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すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

幼保連携認定子ども園整備には「3000億円足りない」?だから公私連携で売却・譲渡するのか

2012年07月19日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

【今日のニュース】 6月26日に衆院で可決され現在、参院審議中の《子ども子育て新システム・総合子ども園法案》政府原案の民自公3党合意修正による『子ども子育て支援法案・幼保連携型認定子ども園充実法案・(前二法案施行に伴う)関連法整備法案)』のその看板とその無責任でデタラメな正体、その核心はどこにあるか?!

  野田政権の「子ども子育て新システム関連3法案」(原案)の極悪の中身が自公の修正要求とそれに基づく民自公3党合意に基づく修正法案の議員立法で「修正・改善」され、政府の極悪の狙いに歯止めがかかって後退したなどというものではまったくない!

 その一端が、修正3関連法案の成立した場合の施行の財源に関する安住財務大臣の国会答弁で明らかになった。

 政府法案原案に対する自公修正をのんだ民自公3党合意で、新制度法案は議員立法の形で衆院で可決され参院に送付され審議中である。

※前掲の衆院通過・参院審議中の「修正3法案」の正式名称は以下の通り。

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案 

子ども子育て支援法案 

子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案 

(※修正案が成立すれば、この3本目の法律名は、「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」に変わる)

【1】 7月19日の国会でのアリバイ的な質疑で安住財務大臣が松あきら(公明党)の質問に「今回の修正法案では1兆円の財源が必要だが、政府のもともとの法案で財源として確保している7000億円を超える3000億円については、現時点では『足りない』『ねん出するとしかお答えできない』『どうやって足りない3000億円を確保するかは私にもまったくわからない』と答弁した。

 野田政権が「社会保障と税の一体改革」一連法案で提出予定だった「子ども子育て新システム関連3法案」を当サイトとして暴露・批判した際にも、触れておいたが、その政府原案でも、「7000億円」しか確保できていなかった。法案の目玉看板・シンボルの「待機児童解消」「子育て支援」にはまったく程遠い実体でもともと「新制度」は組み立てられていたということに過ぎない。

   「新制度」のために必要な財源での3000億円の不足とは、とりもなおさず、政府民主党が、保育に欠ける子どもを抱えて悩み苦しんでいる共働きやダブルジョブ・トリプルジョブなしには生活・生計を維持できない非正規世帯の「待機児童の解消」も「子育て支援」もさらさら念頭にはなかったということ、これを頭から切り捨てて恥じないということを自己暴露するものだ。これは「子ども子育て制度改革」にかかわる最大の根本問題だ。なぜなら保育所に入れない「待機児童」のほとんどは3歳未満・乳幼児であり、その世帯はほとんどが若い非正規世帯だからだ。

 つまり「待機児童解消」「子育て支援」を看板に、実際には子どもの保育を食い物にして保育を企業のカネ儲けビジネスの市場にしようとしていたということだ。「新成長戦略との連携」「新たなマーケットと雇用の創出」と「新システム」はもともとうたっていた。保育の株式会社への解禁・自由化こそが狙い。消費税を増税して、そのカネを参入する株式会社に濡れ手で粟の儲けのシステムを提供しようという魂胆だったのだ。

 政府民主党が甘かったのは、保育所の幼稚園との制度的一元化、施設の統合一体化、子ども園への一本化が簡単にいくと考えていたこと。簡単にそのシステムを企業に提供できるとタカをくくって、何らの成算もなしに、「子ども子育て新システム」という安直な制度設計を唐突に持ち出したところにこそある。この新制度設計の着想も、せいぜい、「待機児童」を抱える保育所と定員割れしている幼稚園を合体すれば「待機児童解消」もできるというパソコン上の員数合わせ、国も幼保に注ぎ込むカネ(保育所への運営費補助金、幼稚園への就学助成金)でこれまでのように悩まないで済むという大ざっぱな皮算用、新制度眼目たる株式会社・民間企業への自由化によって、企業も幼保市場化で活性化し、全面的に参入してくる、かくて万事うまくいくという程度の着想だ。

 とんでもない無責任な話だ。だからこそ、幼保現場の抵抗が噴出し、反対にあうや、「新システム」は「幼保一体化=子ども園」の単一類型を設計原図としていたものが、ガタガタと崩れた。つまり経過が示す通り、一体化・一元化は現場で拒否され、①幼稚園に子ども園移行を義務付けず、②3歳未満も就学前も網羅した総合子ども園はつくるとしても、③現行保育所に子ども園への移行を義務付けず、④3歳未満児の乳幼児保育所として保育所の存続を残さざるを得ず、⑤乳幼児保育が重荷となっている保育所の3歳以上就学前児童の保育所も保育所として存続させるという、モザイク的で、どこが新システムなのかもさっぱりわからない複雑な制度類型に行き着いた。「総合子ども園」とはそのモザイク的なデタラメさをごまかす「総合」仮装に過ぎない。

 しかし、これでは元の黙阿弥、それどころか行き詰った現行制度以上に大混乱を招いてしまうだけでなく、現行制度の骨組みをさまざまに残していることによって財政的重荷はひきずったままだ。このままでは、やはり幼保は「金食い虫」で何のための「新システム」なのかというところから、政府原案がそのようなモザイク型に固まった後で、国会提出の政府原案としては、それとは何らの整合性もなく全く別の「公私連携型総合子ども園」の概念・規定を急きょ強引に盛り込んだ。


  要は、国や自治体のコストカットと幼保の自由化・市場開放という新システムの原点への回帰だ。つまり、
財政難にあえぐ自治体の公立保育所を「公私連携型適合法人」と指定した株式会社・民間企業に無償譲渡または時価より安い価格で貸し出し、文字通りの民営化ないし指定管理者制度的運営という本音をむき出しにした。総合子ども園や保育所や幼稚園に補助・助成のカネを国や自治体がこれまでのように出し続けるより、財政的に補助金負担が重荷になっている自治体にその施設を身売りさせて、企業に施設や事業そのものを委ねさせるという一刀両断に、法案の政府原案で原点回帰し「純化」した。

 前掲の安住財務相答弁は、経過から見ると一見、確かに財政難、財源的展望を欠いた政府のどうしようもない危機的惨状をさらけだしたものではあった。

(※もともとの「子ども子育て新システム制度案要綱」の時点ではこれまで保育所への運営費補助金と幼稚園への就学助成金等の整理・再編・圧縮と労使折半拠出または社会保険か消費増税によって1兆1000億円)の財源確保を当て込んでいた! しかし、どうあがいても7000億円にしかならないことがハッキリした。4000億円もの財源不足だ。そこから、民自公3党合意に基づく修正法案に対応した必要財源総額を1000億円下げて、1兆円にしたがそれでも3000億円足らないということなのだ)。

 しかし、それは起きている問題の半面に過ぎない。安住国会答弁の本音・本質は、「新システム」を国や自治体にとっての「金食い虫」の幼保を民間企業(資本)に投げ与える、自由化してしまえば、カネなどかからないというとんでもない発想、新制度着想があって、何の財源的裏打ち策もとってこなかったというのが実際だ。財源が裏打ちされているかどうかなど、実は政府にとってはどうでもいいことで、新制度に移行してしまうことが先決だというのが政府の考えていることの根底にある。

いずれにしても、この乱暴このうえなく、国は「新制度」で幼保コストを削り、企業には「新制度」でぼろ儲けさせるという「カネがすべて」のギラギラした「子ども子育て新システム」のそのあまりの現状破壊性と保育・幼児教育という社会にあって非常に根底的な大きな問題が、現行の幼保現場から激しい反発と抵抗にあって、その原色のままではいっさい法律化も法案化もままならない事態に政府は追い込まれた。これが核心の第一である。

 別に、この「カネがすべて」のギラギラした民主党政府原案に対して、自民党と公明党が「児童福祉」の党として民主党に抵抗し、揺さぶりをかけ、「待った」をかけて修正に追い込んだからではまったくない。もともと自公はついこの間まで「カネがすべて」の政治を財界から委ねられ、幼保領域でもその先頭にたってきたのだ。

 

 【2】 逆に、自公は、国として財界として「新システム」の狙いの貫徹のためには、あまりにも大きな反発と混乱を生みだした民主党的なやりかたではなく、自公的な「認定子ども園」の推進で目的を達することができると、国と財界の階級的な「新制度」目的を救いにかかった、その意味では民主党政権を「批判」する形で、政府に助け船を出したのである。これが核心の第二だ。

 

 その証拠に自公の修正を受け入れた「幼保連携型認定子ども園」「子ども子育て支援」法案は、もともとの「子ども子育て新システム法案」を、一見そぎ落としたかのような「福祉」の装いを押し出し、「NPO法人や民間企業の参入を認めてはない」「指定ではなく認定・認可」などと強調しているが、よくみれば、まったくそうではない。むしろ、自公=別働隊的な「子ども子育て新システム」が3党合意法案の核心である。

 

【3】  はっきりさせておこう。これは政府法案原案への真向からの廃案として出てきたものではもちろんなく、政府法案原案の修正法案として出てきたものだ。 自公は財界の意向である「子ども子育て新システム」の極悪の階級的制度目的をかなえるために「通りやすくする」修正を提起し、それで民自公が一致したのだ。

 

 

【4】 私たちが絶対に見逃してはならないのは次の点だ。自公の修正要求→民自公3党合意→議員立法としての修正法案の提出と衆院可決成立・参院審議で誰も真向からの抗議・批判を集中も指摘すらもしていないが、政府民主党の「新システム関連3法案」原案と審議中の「修正3関連法案」では、もっともゆるしがたいところで、明記されている共通の極悪内容が絞り込んでいえば二つある。 

 

 政府原案がもともとの政府の成案にはなく、急きょ加えた前述の「公私連携型適合法人」による「公私連携型総合子ども園」は、修正法案でも「公私連携幼保連携型認定子ども園」として明記されている( 「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案」にハッキリ明記されている)。この点は絶対に曖昧にはできない。「公私連携型」とは株式会社・民間企業への幼保市場解禁のための規定だからだ。「公私連携幼保連携型認定子ども園の認可申請者」の審査における修正法案の「認可」の適合基準の定義も政府原案とまったく同じだ。「政府原案のように、誰でもなれる指定制では悪徳悪質業者の参入を防げない」などと言って「指定制に反対」するふりをしながらその実は嘘八百、修正法案で自公は「指定」を「認定」と言い換えただけで、そっくりそのまま政府「総合子ども園法案」の「公私連携」規定を活かしたのだ。民自公は、現行の公立幼保の一掃、施設・事業の民間企業への身売り(譲渡・市価より廉価な貸与)、いまの幼保職員の解雇、職員の総非正規化という点で完全に一致している。

 

②さらに「小規模保育、地域型保育」と称して、一企業のチェーンで20数人の子どもを死なせた「ちびっこ園」のような、あるいはまた「保育ママ・預かり保育」と言う形で、誰の目も届かない密室保育へ、子どもの命を危険にさらす「制度改革」を「子ども子育て支援」のもう一つの柱に据える点では、政府原案も修正法案もまったく同じだ。

 

 政府民主党の「新システム」法案原案と3党合意によって衆院で可決成立している修正法案は、この骨格、極悪の核心においてまったく変わらない。民自公は、財界の意を体現して、よってたかって、公立の保育所と幼稚園を焼け野原にし、民間企業に身売り、払い下げし、職員のクビをきり、子どもを命の危険にさらそうとしている。「子ども子育て支援・認定子ども園新制度」法案に絶対反対だ。怒れ!

 

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「税・社会保障一体改革」修正の民自公3党合意と「子育て新システム関連法案」見送り

2012年06月12日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

 6月15日までに「税と社会保障の一体改革」関連法案の民自公3党協議による修正合意にこぎつけ、6月21日の通常国会会期末までに修正案の衆院可決をめざす野田政権がなりふりかまわぬあがきを重ねている。最後のギリギリまで民主党のマニフエストの「社会保障改革」の要である「最低保障年金」の撤回要求については譲らぬとしながらもそれも最終的には棚上げする模様だ。「最低保障年金の創設」も棚上げ、「後期高齢者医療制度」の棚上げだけではない。民主党が政治看板に掲げ続けてきた「総合子ども園法案」をはじめとした「子ども子育て新システム」3関連法案も見送りを決めた模様だ。小宮山厚労相は「理念が認定子ども園に生かされ、認定子ども園の支援充実がはかられるなら、総合子ども園にはこだわらない」といとも簡単に自公政権時の「認定子ども園」の存続を認め、自公の修正要求に応え、新システム法案を断念する国会答弁を行った。

 何が明らかになったのか?

 (1) 民主党と菅政権さらに野田政権が鳴り物入りで「待機児童児解消」の決定打、「女性の就労支援」「雇用と子育ての両立」「全世代型社会保障」と言いふらしてきた幼保一体化・新システムをこうもいとも簡単に、こうもいともアッサリと投げ出したということ。これこそ、野田政権が「待機児童児解消」の決定打、「女性の就労支援」「雇用と子育ての両立」「全世代型社会保障」など本気ではさらさら考えていなかったことの何よりの証左だ。社会保障目的税と銘打って消費増税を強行するための政策的小道具として、財源もなければ実施の見通しもないものを、「子育て支援」「就労支援」「若者重視」を騙って法案にしようとしてきたのだ。だから野党(自公)の協力が得られず実現可能性がないとみるや簡単に引っ込めたのだ。だが、これは直接の問題だ。

根本は国家の危機の問題

 (2)明白なことは、何が何でも「税・社会保障の一体改革」法案(消費増税法案)の今国会成立を強行する、それを至上命題とし最優先で、自公の協力を得んがために、それ以外のすべてはなりふりかまわず、棚上げし、見送ってよしという政府決断をしたということだ。この根本問題が第二だ。

  根本的背景に、国の空前の財政危機、その危機にあって増税法案も通せない政府危機を抱えこんだ国家そのもの危機、これに対する財界、資本家階級の激しい危機感と野田政権への促迫があったことは言うまでもない。原発再稼働と原発推進政策に対して、「脱原発」で「反対」した橋下大阪市長を「再稼働容認」へ転換させたのは「国を滅ぼす気か、余計な事をするな、四の五の言わずにその大口を閉じろ」と脅しつけた財界の危機感と恫喝である。野田政権もまた、財界代理人、資本家代理政府としての信任は、消費増税と原発再稼働と沖縄辺野古新基地建設=日米安全保障体制強化の強行、ここに、クビの皮一枚がかかったのだ。野田首相の「精神論ではやっていけない。きれいごとではいかない」という原発再稼働会見、なりふりかまわない消費増税今国会成立強行のための3党修正合意のあがき、辺野古新基地建設=日米合意遵守のための沖縄訪問(予定)は同じ一つのものだ。野田が会見や答弁のたびに開口一番飛び出す「待ったなし」「命がけの覚悟で」というのは、財界のこの国家の根本的瓦解に対する危機感に対応している。

公立保育所全廃・保育労働者クビきり、自治体の民間企業への身売りゆるさず職場からの保育労働者の反乱を

 (3)それゆえ、「税・社会保障一体改革」修正協議と「こども子育て新システム関連法案」先送りに関しては、労働者人民への攻撃の後退などではまったくなく、むきだしの攻撃との激突が不可避である。

 この点で「総合子ども園法案」上程直前に法案に盛り込まれた「公私連携型総合子ども園」はその方向性をあからさまにしたものだ。公立保育所全廃・保育労働者クビきり、民間企業への無償または廉価の譲渡として出された「公私連携型総合子ども園」条項は、法案の見送りに関係なく、そのまま全国の公立保育所と保育労働者に襲いかかってくる攻撃だ。自治体がコスト削減のために、民間企業に施設を身売りする、そのために自治体当局が保育所に働く職員のクビを切る、民間は廉価または無償で明け渡された施設に超低賃金・不安定雇用・無権利の非正規労働者を雇い入れることで儲ける。自治体が競争入札で安値で企業を買いたたくこれまでの外部委託・外注から、企業が自治体から施設を無償まで譲り受けまたは安値で買い取る。自治体と地域の企業による支配への転換・・・つまり道州制の突破口としての公立保育所全廃、労働組合解体・一掃、保育労働者全員クビきりだ。「子ども子育て新システム」のさまざまの虚飾を払えば、その正体は、もともと、ここに据えられていた。財界が産業構造審報告と「成長戦略2010」で出していた「子育て支援ビジネス規制緩和」の核心もそこにあった。「総合子ども園法案」は消えても、国の危機のもと、この攻撃はますますあからさまとなる。この基本的対決構造をこそ、はっきりさせよう。あらためて職場の団結を固め、決意も新たに国と自治体当局との攻防、職場反乱をたたかいぬこう。

【もうひとつ看過できないことは、「子育て支援」「待機児童解消」で法案い盛り込まれていた「小規模保育」、つまり保育ママ、預かり保育、保育ルームの具体化だ。全面規制緩和で密室保育が広がり、ここでも企業が絡むことで登録型派遣とパート・アルバイトとして雇用される。この居宅保育支援と預かり保育は保育スタッフの非正規化細切れ雇用と子どもたちのいのちと安全が危険にらされるという保育事故の問題に直結している。「小規模保育」の全面的導入は保育所の設置基準の全面的規制緩和、かつてひとつのチェーンで20数人の乳幼児の死亡事故をひきおこした「ちびっこ園」のような事態を必ずひきおこす。これが「認定子ども園」の拡充とならんで関連法案で通されようとしている。絶対反対だ。】

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野田も小宮山厚労相もメディアも「子育て新システム法案」で触れない「公私連携型」とは何?

2012年06月02日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

 

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写真は6月1日(金)夜の首相官邸前:大飯原発再稼働絶対反対の緊急行動が2700名で闘われています。

 

   消費増税と社会保障の一体改革の一環として、既に「子ども子育て新システム関連3法案」の衆議院特別委での審議が始まっている。「子ども子育て新システム3関連法案」とは、以下の三つ。

① 子ども・子育て支援法案
② 総合こども園法案
③ 関係法律の関係整備法案

  法案は、専ら「待機児童の解消」「女性の就労を可能とする子育て支援」「全世代型社会保障の要」等々と聞こえがいいことを掲げて、その実、▲待機児童は解消せず、▲とりわけ保育を死活的に必要としている共働き世帯(大半が非正規)にとってはその要求が叶えられない手が届かない高料金のものとなり、▲ただただ民間営利企業(株式会社や派遣会社)に保育ビジネスとして自由化するためのものであり、▲結局、公保育と公立保育所の解体・一掃にほかならないこと、▲保育所職員(公務員)をこの新システム導入によって全員解雇し、低賃金・不安定雇用・無権利をのまない限り、再雇用(新制度下の施設への採用)も認めないという許しがたい公務員攻撃・クビきり・労働組合解体の強行となること・・・・これら諸点は、当サイトでも、すでに繰り返し、暴露・弾劾してきた。

  当サイトの見解は既に4月8日記事で明らかにしている通りだ。

 6月2日のNHKの「週刊ニュース深読み」でも、この審議中の「子ども子育て新システム3関連法案」をクローズアップし、40分近い時間をとって「総合子ども園法案」を特集した。そこでも一致した認識として「待機児童の解消」が働く女性、共働き世帯の死活問題であり、新システムはそれをめざすとして出されはしたが、実際には「待機児童の解消」にはとうてい届かない、程遠いものという見通しが強調された。

 だがこのNHK特集はじめ、全メディアが審議中の法案について、口をつぐみ、決して触れようとはしていない超重大な問題がある。

国会に上程されている法案では、これまで概念としても類型としても一度として挙げられたこともない「公私連携型総合子ども園」なるものが急きょ盛り込まれている!メディアも野田首相も小宮山厚労相もどの政党もこの問題を隠している!!

 実際、国会上程にむけた最終案たる政府の法案骨子PDF(↓)でも、この「公私連携型総合子ども園」のことはただの一項も一行も触れられていない3月2日の政府の法案骨子には、その用語(文言)がないだけでなく、その内容にあたるもの、それを示唆する項目もまったくないのだ。どこにも「公私連携型総合子ども園」など書かれてはいない! 実際に、政府作成の「法案骨子」を以下PDFでごらんいただきたい。

★「法案骨子」政府PDFフアイルhttp://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/pdf/kihonseido/s1-b2.pdf

★その政府説明とフロー資料については下記の政府PDFフアイル

 http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/03/30/1319301_1.pdf

  この突然盛り込まれた「公私連携型総合子ども園」こそ、政府がこの法案で狙っている法案の目的と断じるべきものだ。

どういうことが新たに盛り込まれているのか?

 法案に国会上程直前にこっそりと盛り込まれた事項(「公私連携型総合子ども園」に関する事項)は、以下の二か所にわたる。法案特有の長々とした条項をざっと見るだけではほとんどの人は見過ごし、誰も気づかないくらいのさらりとしたものだ。しかし、とんでもない!政府「法案の骨子」が定めていた「総合子ども園」と例外としての「幼稚園存続型総合子ども園」「3~5歳児総合子ども園」「3歳未満児保育所型総合子ども園」の1プラス3類型とは、まったく別の枠組み、別個の類型としての「公私連携型総合子ども園」とは一体どういうものか?

◆まず「総合子ども園法案」第三章 総合子ども園の設置等(設置者)

 ここに、国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人のほかに「適合法人」が加わった。

  但し、多くの人にはここだけでは、株式会社等の営利企業やNPO法人等の非営利事業で、総合子ども園の基準を設備や資金、経営のための資産、経営にあたる役員の経験と知識、社会的信望等を有する者を「適合法人」と規定しただけに見える。これだけなら、株式会社等の営利企業の全面的参入を「適合性」で正当化・法制化しただけのようにも読める。だが、この「適合法人」という規定の意味は、次の条項で俄然、おそるべき許しがたい意味合いが現れる。

 

★第22条

 

(公私連携型総合こども園に関する特例) <o:p></o:p>

 

 1 市町村長(特別区の区長を含む。以下この条において同じ。)は、当該市町村における保育の実施に対する需要の状況等に照らし適当であると認めるときは公私連携型総合こども園(同項に規定する協定に基づき、当該市町村から必要な設備の貸付け、譲渡その他の協力を得て、当該市町村との連携の下に教育及び保育等を行う総合こども園をいう。)の運営を継続的かつ安定的に行うことができる能力を有するものであると認められるもの(学校法人、社会福祉法人又は適合法人に限る。)を、その申請により、公私連携型総合こども園の設置及び運営を目的とする法人(以下この条において「公私連携法人」という。)として指定することができる。 <o:p></o:p>

 

 2 市町村長は、前項の規定による指定(第十一項及び第十四項において単に「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ、当該指定をしようとする法人と、次に掲げる事項を定めた協定(以下この条において単に「協定」という。)を締結しなければならない。 <o:p></o:p>

 

一 協定の目的となる公私連携型総合こども園の名称及び所在地 <o:p></o:p>

 

二 公私連携型総合こども園における教育及び保育等に関する基本的事項 <o:p></o:p>

 

市町村による必要な設備の貸付け、譲渡その他の協力に関する基本的事項 <o:p></o:p>

 

四 協定の有効期間 <o:p></o:p>

 

五 協定に違反した場合の措置 <o:p></o:p>

 

六 その他公私連携型総合こども園の設置及び運営に関し必要な事項 <o:p></o:p>

 

 3 公私連携法人は、第十二条第一項の規定にかかわらず、市町村長を経由し、都道府県知事に届け出ることにより、公私連携型総合こども園を設置することができる。 <o:p></o:p>

 

 4 市町村長は、公私連携法人が前項の規定による届出をした際に、当該公私連携法人が協定に基づき公私連携型総合こども園における教育及び保育等を行うために設備の整備を必要とする場合には、当該協定に定めるところにより、当該公私連携法人に対し、当該設備を無償若しくは時価よりも低い対価で貸し付け、又は譲渡するものとする <o:p></o:p>

 

 5 前項の規定は、地方自治法第九十六条及び第二百三十七条から第二百三十八条の五までの規定の適用を妨げない。 <o:p></o:p>

 

 6 公私連携法人は、第十二条第一項の規定による廃止等の認可の申請を行おうとするときは、市町村長を経由して行わなければならない。この場合において、当該市町村長は、当該申請に係る事項に関し意見を付すことができる。 <o:p></o:p>

 

 7 市町村長は、公私連携型総合こども園の運営を適切にさせるため必要があると認めるときは、公私連携法人若しくは園長に対して必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。 <o:p></o:p>

 

 8 第十三条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。 <o:p></o:p>

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以上、総合子ども園法案から抜粋したが、赤字下線した部分に注目いただきたい

 ここで定めようとしていることは、

 ① 市区町村は協定に基づいて適合法人(公私連携法人)に対して、無償または時価より低い安い価格で貸付け、または譲渡するのである。

 ② 市区町村は、適合法人(公私連携法人)を指定するが、その指定した法人に市区町村の側が協力するのである。

 ③ 公私連携と書かれてはいるが、①②で自明の通り、市区町村と私企業は市区町村の側に何らかの優位な権限・地位関係があるのではない。反対に私企業の側が市区町村より優位に立つ。

  【 これまでの外部委託、業務委託や指定管理者制度は自治体業務の民営化・委託化・外注化の典型的形態だったが、そこでは自治体が、競争入札で受託業者選定を行っていた。自治体は財政難によるコスト削減の必要性から応募入札事業者を「安値」で買いたたくという「優位」に立っていた。!! 「総合子ども園法案」では、これまでの外部委託・業務委託とは逆に、私企業に主導権がある。自治体が私企業に対して、自施設・設備を無償または時価より安価で貸し付けたり譲渡して協力する。自治体と私企業の求める言い値で協定を結ぶ。企業が自治体から買いたたくか、ただで手に入れるのである。

これを国が法律で定め、自治体にやらせるというのだ。企業が、「自治体(地域・地方)の事業」を牛耳り、自治体(地域・地方)を支配する・・・「自治体」は企業の代理人になる・・・・、これは、ここでは詳論しないが道州制そのものものである。】

 

 ④ どういう背景と魂胆で「総合子ども園法案」でこういう「民営化」における「官民逆転」が狙われているのか?

公立保育所全廃・一掃、保育職員全員クビきりを絶対許すな!

 《1》国は、「子ども子育て新システム」で算段しようとした財源1兆1000億円を工面できず、消費増税分からの7000億円しか消費増税を強行しても工面できないことがハッキリした。

 《2》国は、総合子ども園に移行する保育所(企業が運営・経営する認可保育所や認証保育所)については施設運営費補助金を支出するが、抵抗し難色を示す保育所にはびた一文財政支援しない。

 《3》現在自治体には国の補助金なしには保育所を支援する財政的力はない。

 《4》自治体にとっては、公立保育所を維持・存続するより、企業に設備・施設まるごとたとえ時価より安くとも貸し出したり譲渡した方が、財政難をしのげる。自治体にとっては、いっそのこと無償でも公立保育所を譲渡した方が自治体財政は楽になる。

 《5》公立保育所を自治体自身の手で潰させ、企業に身売り(無償または時価より安い貸出・譲渡)させることで国は「総合子ども園」を増やせる

 《6》但し、労使関係・雇用関係は、雇用主が変わる以上、そのまま移転しない公立保育所解体=保育職員(公務員)全員解雇である。保育所が企業に貸しだされ、または売り渡され、またはただで投げ出された結果、保育所の職員は仕事を続けるためには、これまでよりはるかに低い低賃金と不安定雇用、無権利を誓約し屈服しないかぎり企業には採用されない。

 《7》「適合法人」「公私連携法人」とはこの公立保育所の施設や設備をタダ(無償)か時価より安値で買いたたいて手に入れることで「保育でのカネ儲け」を狙う株式会社のことである。そのアコギでダ―ティな法人指定のために考え出された規定が、ここで言う偽りの「適合」、偽りの「公私連携」にほかならない。「指定」とは自治体による自治体施設=保育所の身売り先の選定である。

 《8》この《6》《7》を既に実際にやってのけた自治体が現にある。あの東通原発をカネに負けて受け入れた青森県東通村だ。4月1日、東通村は保育所、幼稚園、児童館を統廃合した。それに先立ち、3月31日、勧奨退職に応じなかった11名の職員に対して分限免職でクビを切った。

 

怒れ!徹底的に怒れ!職場討論で一致団結し不退転の闘争態勢を築こう!

 《9》結論:「総合子ども園法案」で政府が定めようとしている「公私連携型総合子ども園」とは、市区町村自治体が、自治体自身の手で、「自治体の財政難」を理由に、保育所をカネ儲け企業にタダまたはタダ同然で譲り渡す、売り渡す、そのために自治体職員=保育職員のクビを切って企業のために施設を「キレイ」にして明け渡すという攻撃である。保育労働者の皆さん!自治体労働者の皆さん!これがどうして許せるか!こんなものを通してなるか!なめられてたまるか!怒れ!激しく徹底的に怒れ!

 絶対粉砕あるのみだ。現場から職場討論まきおこし、職員の一致団結で一歩も譲らぬ闘争態勢を築こう!保護者と地域に支援・連帯・共闘を訴え、ストライキを含むあらゆる手段で闘おう!

 

 ここに、「子ども子育て新システム」の狙いが、法案提出段階で条文上もあからさまになった、極悪のアコギで卑劣な正体で完全にあぶりだされたとも言える。公務員制度の解体・改悪、公務員大量解雇の最も凶暴な突破口に、公立保育所全廃・保育職員全員クビきりがあらためてすえなおされたということでもある。政府・財界も自治体当局も労働者の怒りと団結、労働組合の再生、労働者階級の底力を恐れている。だから、連中にとっての正面突破の攻撃であるはずの「公私連携型総合子ども園」を法案に盛り込みながら、こそこそとして、その決定的条項については触れることもせず、怒りを恐れて陰謀的に隠している。ここに敵の弱点がある。

  満身の怒りで「公私連携型総合子ども園」条項を徹底暴露し、保育労働者の絶対反対の職場決起で「子ども子育て新システム関連3法案」を粉砕しよう!野田政権と財界は、公立保育所を企業にタダで譲り渡せ職員は全員クビだと言っているのだ。保育労働者、自治体労働者は怒りを爆発させ、保育労働者の階級的人間的誇りにかけて総反撃、大反乱に立ち上がろう。

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前回記事(「子ども子育て新システム法案」批判の小論)の続き

2012年04月08日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対
以下は、前回記事の小論の続きです。

【2】 株式会社の参入の自由化で「保育」「子育て支援」の看板で企業のカネ儲けを促進・支援するのが新システム法案の目的であり正体だ!

 法案では、さすがに大本の「子ども・子育て新システム基本制度要綱」で踊っていた「新成長戦略との連携」とか「雇用とマーケットの創出」といった「子ども」「保育」を道具にした「企業のカネ儲け」がすべての表現は控えている。しかし、法案の目的も正体も大きくはそこにある。

 (1) 法案の文言では、「株式会社」が「総合子ども園」等の運営主体を担うことになる点は、ごく控えめに書かれているが、株式会社の参入こそ、法案の最大の要であり、制度激変=保育・幼児教育の規制緩和の劇薬である。

 子ども園運営行う株式会社に関して「制度案要綱」では会計の運用、経営に関して「自由度を企業に持たせる」と言っていた点は控えめな表現とはいえ、何ら変わらない。

(※以下の引用「・・・・」部分はすべて前掲の政府PDFフアイルからのもの)

「他事業会計との区分会計を求める」としているが
「繰入れや剰余金の配当に関する法的な規制は行わず」と言い切っている。
 やるのは会計区分だけで実際には株式会社として「子ども園事業」外にカネを回していくということだ。

「総合こども園会計からの資金流出を制限する」
「 区分経理された『総合こども園会計』から『子ども・子育て新システム関係事業及び学校・社会福祉事業以外の事業に係る会計』への繰入れは認めない。」としているが、
「総合こども園会計からの株主への配当については、一定の上限を設ける」とはっきり言っている。「制限」というが、「一定の上限」を設けるが、儲けの株主への配分は「上限を超えない限り」自由なのだ。

 子ども園を運営する株式会社には、施設利用者からの契約に基づく利用料収入だけでなく、国と自治体からの施設運営費の補助金が入る。「カネの出入り」「カネの流れ」で会計は区別しても、国と自治体から子ども園事業のために得たカネを元手に使っての企業収益、利潤については広範に自由に使えるということだ。
  こんなふざけた話はない。政府は消費増税分を社会保障目的で使うと言っている。つまりは私たちからまきあげた税金は株式会社の施設運営費補助金として企業のサイフに入り、それを元手とした子ども園事業であがる収益・儲けも企業のサイフに入り、かなり自由に使えるというのだ。

 (2) 利用料についてはどういうシステムになるのか。ここでも株式会社はやりたい放題ができる仕組みだ。

 「実費徴収以外の上乗せ徴収」を認めている。施設運営費補助を全面的に受けたうえで、「一定の要件を満たす施設については、実費以外の上乗せ徴収を行うことを認める」。

 これが「制度案要綱」で言っていた「企業の裁量、自由度を認める」という趣旨の法案での具体化だ。国や自治体が利用料の公定価格を定めてもせいぜいガイドライン程度の意味しかなく、企業が決めることができるというわけだ。

 (3) 法案によって、企業はカネ儲け目的で「子ども園事業」に参入する。企業の「子ども園事業」でのカネ儲けを規制しないというところに、さらに税金を補助金として投入してそれを元手に儲けさせるというところに新システムの核心がある。企業にとっては濡れ手に泡のカネ儲けのシステム(保育・子育てマーケット)を国が税金(消費増税)を使って法律でつくってくれるというものだ。「子ども」「保育」を食い物にする。まさに「新たなマーケットの創出」「新成長戦略との連携」(制度案要綱)ということだ。



 【3】 「待機児童解消」は施設保育に拠らず小規模保育(保育ルーム)と在宅預かり保育・居宅訪問保育(保育ママ)で!・・・・これが新システム法案のもう一つの実体だ!


 これはもうひどすぎるというほかない。「子ども・子育て新システム」の政府の動きが始まってから、小泉規制緩和「保育規制の弾力化」以来の乳幼児事故、保育重大事故の頻発・多発傾向が、ここ二年間というもの完全にはねあがっている。保育事故で死亡した子どもの人数が2年連続で2ケタ台になっている(2011年12名、2012年14名)。圧倒的に多いのが乳幼児(3歳未満児)の死亡事故であり、いずれもうつ伏せ寝による窒息死のように、スタッフが一瞬目を離した、あるいはちょっとした変化に気付かなかったということが直接の「原因」となっている。

 これは、保育スタッフのせいではない。多数の乳児を一人または手薄な体制で見守らざるを得ない劣悪な職員配置のもとで起きている。
 子どもの命、安全を守るのは保育の第一義の仕事であり、それは施設保育に拠らねば不可能である。とりわけ0歳児は2人以上の複数で見守らなければならない。3歳未満の乳幼児の場合に子どもの年齢に応じて保育士の配置数がそれぞれ何人以上とされてきたことには理由がある。子どもから一瞬でも目を離すことが子どもの命と安全に関わるからだ。資格はもとより経験を積んだベテラン保育士でさえ、一人ではとうてい乳幼児の保育では安全に責任をとれない。

 規制緩和・民営化のもとでは、さらに、保育スタッフが、パート、アルバイトが過半となりつつあるという問題がある。保育スタッフは低賃金非正規・不安定短期雇用であり、勤務も時間シフト、週数日のローテーション制でひきつぎやミーティングもほとんどない。加えて「保育」の仕事だけでは生計を維持できず、他の仕事もかけもちしている。これでは体力ももたなければ、落ち着いて保育の仕事に集中することもできない。これではかたときも目を離せない保育の仕事に全神経を集中できない。この劣悪な条件下では、どんなにスタッフが真面目でどんなに職場で子どもの動きや変化に神経を集中しようとしても「目を離してはならない動きや変化」を見過ごす、気付けない一瞬は避けられない。そしてそこに子どもが命をなくす保育事故が生じている。

 (1) この今でさえ乳幼児事故多発の3歳未満児保育を子どもの命と安全に責任をとれない密室保育に投げ出すのが、新システム法案が子ども園事業と並んで打ち出している「待機児童解消」策である地域型保育だ。
 法案(前掲の政府PDFフアイル)ではこう書かれている。

「こども園給付(仮称)に加え、以下の保育事業を地域型保育給付(仮称)の対象とし、多様な施設や事業の中から利用者が選択できる仕組みとする。
・ 小規模保育(利用定員6人以上19 人以下)
・ 家庭的保育(利用定員5人以下)
・ 居宅訪問型保育・ 事業所内保育(主として従業員のほか、地域において保育を必要とする子どもにも保育を提供)」


 保育ルーム(「ちびっこ園」型):「小規模保育」「家庭的保育」とはもちろん保育所のような施設ではない。「小規模保育」とは2人以上のスタッフ体制でマンションの一室などで数名から十数名の乳幼児を預かるというものだ。これはほとんどコインロッカーの出し入れのように乳幼児を預け、預かるだけのシステムだ。

事業所内保育:これも子どものコインロッカー出し入れ方式で発想された預かり保育、一時保育だ。それも事業所で働く人以外に地域からも子どもを預かると法案は言っている。「預けやすく、引き取りやすい」とか「買い物や外出に便利」というような問題ではまったくない。子どもは荷物ではない。

在宅預かり保育:「家庭的保育」とはこれを自宅(家庭)で引き受ける保育者に子どもを預ける、保育者が自宅にあずかるということだ。「家庭的保育」ではたった一人がおよそ施設ではない普通の家(部屋)で乳幼児複数を見るということだ。これではどんな要綱を定めようが、子どもの命と安全が守れないシステムだ。保育所という設備と職員配置と指導員が整っている、多数の乳幼児を複数の職員が責任体制を組み、集団として一致・連携して子どもの命と安全を守る施設(保育所)においてはじめて可能となる保育を、施設(保育所)ではないところで行ってもかまわないと考えていること自体とんでもないことだ。それを個人宅でやろうというのだ。

 居宅訪問型保育:これは介護保険制度のもとでの居宅訪問介護をなぞってでっち上げた保育ならざる「保育」形態だ。保育ママである。これも保育従事者が一人で行う。前記の「家庭的保育」と同じ一人で担うという問題があり、なおかつ従事者にとっては勝手知った自宅ではない、勝手のわからない他人の居宅で行う。

 これは密室保育だ! 保育ルームは多数の子どもが相次いで命を保育園でなくして問題となったちびっこ園を想起させる。保育ママ、居宅訪問型保育も在宅保育も、本質的にも実際にも密室保育というべきものだ。密室では子どもの命と安全は守れない。

(2) この地域型保育には、当然、有意のグループや個人が福祉理念や生計のために保育スタッフとして取り組みもするだろうが、新システムが想定し喚起しようとしている動きは、労働者派遣企業の取り組みの方である。「自宅で居ながらにして仕事になる。在宅でも子どもを預かれば収入になる」「施設で働けなくても、保育に使える場所がなくても利用者宅を訪問してそこでを職場にして仕事ができる」「利用者の必要としている保育時間と働ける時間的都合があえば収入になる」・・・・企業の募集要項が目に見えてくるほど意図鮮明だが、要するに企業にとって登録型派遣の活用にぴったりの形態が、この地域型保育だ。

企業は、小規模保育にあったマンションの一室を確保してパート・アルバイトを確保し、利用者からそこで子どもを預かる。企業は利用者のニーズや都合に合わせて登録派遣メンバーに自宅や利用者宅で子どもを預からせる。

 法案によれば、子ども園のような施設事業でなくても、地域型保育事業にも、運営補助金(財政支援)は出る。だから企業は当然、この地域型保育事業に全面的に手を出す。労せずして企業は濡れ手に泡だ。施設維持・保守費はほとんどかからないかタダで済む。確実に儲かる。とりわけスタッフからのピンハネで儲けることもできる。企業や派遣企業が新システムをぼろ儲けのために利用しないはずがない。介護保険制度下、介護報酬からの過大な中間マージンの組織的不正が発覚して問題になったグッドウイル・コムスンのようなことをやらせるということだ。企業は、福祉理念や生計のために地域型保育事業で「保育の仕事」をしようとする人々を大量に確保し、細切れで配置し、中間搾取による超低賃金で使いまわし、いいようにぼろ儲けする。


【※新システム法案が成立し実施された場合に、総合子ども園や幼稚園型子ども園や乳幼児保育所で働くスタッフの雇用形態や賃金等労働条件や権利の問題でいかなる破壊的激変が起きるかは、新システムの受け皿を狙うJPホールディング・日本保育サービス等の保育園での契約社員月給18万~22万円、パート・アルバイト時給800円~900円台の実際の先例とともに、いまここで述べた在宅型自宅預かり保育、居宅訪問型保育の保育ママ=登録型派遣の想定される極悪水準を凝視すべきである。介護保険では居宅訪問介護ではホームヘルパーは月10万円そこそこしか手にできなかった。前例がないわけではないのだ。】

 (3) 地域型保育事業に子ども園と並んで新システムのウエイトをおいているということ自体が、法案が保育の解体をめざし、招来することを示してあまりある。「待機児童」問題で子ども園事業での足らずを地域型保育事業で帳尻合わせするという机上の計算で出されているということだけではない。保育のぶちこわし・根こそぎ崩壊が示されている。

① 子どもの命と安全を一顧だにしない施設外保育の積極的推進
② 保育に携わるスタッフの超低賃金・不安定雇用・無権利の非正規化と極悪派遣労働によるピンハネの温床となるような制度再編で保育が焼け野原にされるということだ。焼け野原でカネ儲けするのが株式会社・企業だということである。



 【4】 新システム法案は、国による教育支配、そのための幼児教育課程をめざしている!

株式会社の参入の自由化とともに、法案の隠された臍(へそ)となっているのが、就学前3~5歳児を幼児教育として一括する制度が目指されているということだ。先に【1】で保育所を0~3歳乳幼児保育と3~5歳児幼稚園型保育園に分断しているとも書いたが、ざっくり言えば、こういったほうが正確かもしれない。0~3歳乳幼児保育は保育所として企業の保育カネ儲けビジネスに委ね、3歳以上は全部まるごと学校教育の前段・一環として幼児教育として国が支配する。

 3歳児から叩きこむように教え込み、しつけし、植え付けなければ、国の将来は危ういという位置づけだ。乳幼児段階から就学前の段階はこどもの第一の形成期・成長期であり、そこでは何もかもが子どもにとって新鮮で諸々のことを覚えたり、身につけたりするだけでなく、自由遊びこそがのびのびと子どもを育む。これを改め、強制的な「学び」(=上からの教え込み、植え付け)の教育課程にするというのだ。子どもの本分である自由や遊びを奪われては、子どもたちはたまったものではない。

  「待機児童の解消」「子育て支援」「質の高い保育」「社会のみんなで保育を支える」「保育も教育も」などといった聞こえがいいことを政府は新システムについて言いふらしてきたが、そんなやわなものではない。子どもを預けられない世帯が増え、保育はぶちこわし、保育は企業のカネ儲けに委ね、3歳から国にとって都合がいい子どもにするための強制的な幼児教育課程にするというのだから、これは犯罪的な国家的詐欺行為である。絶対粉砕あるのみである。

 【5】 いまの保育所、幼稚園、さらには児童館、学童クラブ等にまで及ぶ職員のクビきり、低賃金非正規化=総パート・アルバイト化をひきおこす!団結して非正規職撤廃かかげ闘おう!

 法案には直接書いていないが、新システム法案による制度再編は、子ども園事業の3類型化、地域保育型事業、株式会社参入を通して、これまでの職場のありよう、労使関係、雇用関係を御破算にし一掃する。閉鎖、解散になる保育所や幼稚園も出てくる。新システムは児童館、学童クラブ等も射程に置いている。

 首都圏でパート・アルバイト時給800円、900円台、契約社員月給18~22万円、全国ではそれ以下という現状の株式会社運営の保育所の賃金水準や労働条件は、新システムによる株式会社参入による競争激化で、ボトムはどんどん切り下がる。公立を辛うじて維持している保育所もそれにならうし、業務委託、民営化はますます拡大する。

 そこで行われるのは、保育所・幼稚園の労働組合の破壊であり、いまの職員のいったん解雇である。そして株式会社のもとであれ、新システムの3類型のいずれかで働き続けようとするならば、この非正規職への転落やいっそうの低賃金をのまないかぎり再雇用にはならない。保育士が幼稚園教諭の資格をとったり、幼稚園職員が保育士の資格をとれば子ども園事業3類型のいずれかで働け、食いつなげるということではない。低賃金非正規化をのまなければ、採用とはならない。株式会社が参入し、大手を振って施設運営していく制度激変で起きるのはそういうことなのだ。企業も国もスタッフは、全部、非正規職ーパート・アルバイトでやると言っているのだ。非正規職撤廃を掲げて団結しよう。労使関係も雇用関係も全部ご破算にする新システムに対しては、労働者は団結して生きるために闘うしかない。公立であろうと民間であろうと、存続であろうと再編であろうと子ども園事業の何類型であろうと地域型保育事業であろうと、全員を正規職として雇用しろと要求して闘おう。

 新システムは、全部パート・アルバイトにするとか、アコギなグッドウイルのようにピンハネ派遣企業を容認するとか、20数人の子どもが立て続けに施設で死んだ「ちびっこ園」のような事故頻発をまねくとか・・・・・・まさかそこまではすまい、などと考えるべきではない!

福島原発事故の大惨事があって、それを受けてドイツやイタリアが原発廃止を決めていても、世論調査で反原発・脱原発が8割を超えて拡大しても、原発再稼働を政府4閣僚の政治判断で決定・強行できるとしているのがこの国の政府であり財界だ。沖縄県民が絶対に反対だと繰り返し繰り返し意志表示しているのに「日米合意の順守」=辺野古新基地建設を強行しようとしているのがこの国の政府であり支配階級だ。その同じ政府が子ども子育て新システムを強行すると言っている。    「命よりカネ」?ふざけるな。「子どもはカネ儲けの道具だ」?ゆるせない!「新システムでは補助金の事業外活用も労働者のピンハネもできる」?労働者を何だと思っているんだ。「子どもに必要なのは自由や遊びではなく教育だ」?絶対に許せない!消費増税でこの詐欺的な仕組みをつくる?粉砕あるのみだ!労働者を何だと思っているんだ。保育現場、幼稚園現場、地域保護者を先頭にして絶対反対で団結して粉砕しよう。怒り!怒り!怒り、これあるのみだ。反原発・脱原発もそうだが、子どもたちの命と未来は闘いによってしか守れない。子ども・子育て新システム法案を野田政権もろとも葬り去ろう!
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「子育て新システム」法案絶対反対・消費増税阻止・非正規職撤廃!野田政権たおせ

2012年04月08日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

 ★今回は「子ども子育て新システム法案」の暴露・批判の小論です。

はじめに

・・・・・極悪労働者派遣法改悪に次ぎ、原発推進のための「新安全基準」・原発再稼働の政治判断、消費大増税・「子ども子育て新システム法」めざす野田資本家政権をたおそう!・・・・・

 野田政権を私たちの怒りで、私たちの団結で、私たちの実力でたおす時が来ました。

 野田政権がこのかんやっていること、今やろうと狙ってやみくもに進めていることは、どのひとつをとってみても、野田らを八つ裂きにしても飽き足らない、天人ともに許さざる暴挙。粉砕あるのみです!労働者派遣法改悪強行にせよ、原発再稼働のための「判断プロセス」(ストレステスト→政府4閣僚会議「新安全基準」評価→地元への要請→政府4閣僚会議による再稼働の政治判断→再稼働決定)にせよ、消費増税強行のためにすすめている算段にせよ、そのことごとくが、「先に予めの強行の結論ありき」で、そのためになりふりかまわず、デタラメにデタラメ、イカサマにイカサマを重ね、その意図もウソもみえみえの猿芝居を繰り返しています。議会野党のていたらくの総屈服と御用労働組合の裏切りをよいことに、渦巻く国民的規模というべき労働者人民の轟々たる非難と憤激を無視して政府権力の座にしがみつき、その権力の座にあるというだけで、何でも強行できるとタカをくくり錯覚し図に乗って思いあがっています。破たんしつくした新自由主義の末路をこそ、この野田資本家政府のこのかんのウソとイカサマと暴力頼みの凶暴化は示しています。決して政府の思い通りにはいかないし、また私たちも断じて思い通りにはさせない。                                   

 ★ 労働者派遣法改悪ゆるすな!非正規職撤廃は新自由主義との闘いの土台なす闘い

  政府は3月28日には労働者派遣法改正案の国会採決を強行し同法を成立させた。改悪派遣法の核心はどこにあるか。「法改正」で規制・禁止すると前ぶれしていた「製造業への派遣」もそのまま容認・継続・合法化。企業が必要な時に「人出し」し、最廉価で好き勝手に企業に使いまわさせる「登録型派遣」もそのまま温存・護持・継続。派遣期間の「制限」も「1ヶ月間」以上ならどんな短期でもOKと積極的に容認。さらに偽装請負に対する「指導・監督」は何の改善指導も規制も加えず、「もっと企業に手心を加え、見逃すように丁寧にやれ」というものです。

 これは「改正」=規制・制限ではなくまったく逆に現状の野放図な労働者派遣の全面的合法化です。かつて「違法派遣」として告発・断罪され企業として解散を余儀無くされた極悪労働者派遣業・グッドウイルのような企業、いま原発を「人夫出し」で支えピンハネでぼろ儲けしているアトックスのような企業に規制などせず、もっと野放しにせよと言っているのが今次改悪労働者派遣法です。とんでもない大改悪、資本が大手をふって違法派遣や偽装請負を行えるようにする規制緩和にほかなりません。

 この労働者派遣法改悪こそ、福島事故原発「収束」と全国原発でメチャクチャなピンハネと安全無視で命を削る放射線被曝労働を原発作業員(非正規・多重下請労働者)に強いている非人間的現実を温存・合法化し、業種業態を問わず全企業・全事業での「9割非正規化」を『新時代の日本的経営』、「日本経済の再生の唯一の道」とする国と財界、支配階級の階級意思そのものです。民主党政権とその先兵・連合は、いまや2千5百万から3千万になんなんとする超低賃金・不安定雇用・無権利の非正規労働者、6千万労働者に対して、いっさいの虚飾を打ち捨てて文字通り資本家政府としての正体をむきだしにしました。【この非正規化反対・非正規職撤廃の階級的視点、労働運動の実践的課題は、暴露・批判の最後の方で後述しますが、「子ども・子育て新システム法案」批判のひとつの核心問題になります。】

★追いつめられ後がないのは国と資本だ!

 貧困と生活苦にあえぐ私たち労働者人民から際限なくむしりとる消費税大増税もそうです。政府の「政治判断」で決定するという原発再稼働もそうです。どんなに沖縄全県民が反対しようと日米合意=沖縄・辺野古新基地建設をあくまでごり押しする日米安保同盟の強化・米軍再編がそうです。「命よりカネ」「労働者の生存より企業の儲け」「民の生活より国策」というのが政府、資本の行動原理です。やられてたまるか。もう沢山だ。生きるために闘おう。生存のために団結して闘おう。連中に何らかの展望、何らかの成算があるわけではありません。嘘八百とイカサマを重ね、繰り返している政府支配階級も、私たちの生きるための抵抗、反乱、団結を破壊し壊滅させ一掃する以外に結局は道がないことがわかっています。いま始まっているのは私たちの生存(権)をめぐる戦いです。連中には絶対に負けるわけにはいきません。そして屈しなければ私たちは決して負けることはありません。。私たちは生きる必要があります。生き抜くために闘おう。死すべきは、倒さるべきは、政府と資本です。まず最悪極悪の資本家政府、民主党ー連合政権、野田政権を私たちの怒り、私たちの団結、私たちの実力で倒しましょう。

★「子ども・子育て新システム法案」の閣議決定弾劾!

   いま原発再稼働問題と消費増税問題、「北朝鮮のミサイル発射に対する迎撃」問題の陰にかくれていますが、この同じ嘘八百とイカサマの資本家政府が、今国会に上程し成立させようとしているのが、民主党が同党の最大の政治看板にしてきた「子ども・子育て新システム法案」です。今日は、「税と社会保障の一体改革」として、消費増税法案と連結・一体で閣議決定され、国会に提出されるこの「子ども子育て新システム法案」について、当サイトでのこれまでのシリーズ連載による暴露・批判(カテゴリー参照)に踏まえて、お伝えします。

 「子ども子育て新システム法案」については下記の「骨子」政府PDFフアイルhttp://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/pdf/kihonseido/s1-b2.pdf

★その政府説明とフロー資料については下記の政府PDFフアイル

 http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/03/30/1319301_1.pdf

を参照してください。

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こんなものは「子育て支援」でも「待機児童解消」でも何でもない!保育所を解体し、「保育」を企業のカネ儲けの道具にする株式会社参入の自由化が「子ども・子育て新システム法案」の最大の狙いだ。さらに教育の国家支配めざし幼児教育課程まで狙っている!

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  ★暴露と批判の要諦と方法

 ここでは「子ども・子育て新システム法案」の全体を逐条的に丹念に検証するというより、むしろ、法案のとんでもない正体を際立って示している諸点をクローズアップし、そこに焦点を当てて極悪の問題点を絞り込んで暴露・批判するという方法をとります。なぜなら、「新システム法案」などというとあたかも何か体系性を持った制度整備・システム改変であるかのように聞こえますが、この法案は、およそそういうものではないからです。実際に法案で政府がやろうとしていることをみればわかることですが、実にふざけきったデタラメ、イカサマで構成されています。法案でコトバとして網羅的に書かれていることにいちいちまともにつきあっていく必要もありません。

 ▲この領域で、私たちにとって、もっとも切実な問題は何か、

 ▲その私たちにとってもっとも切実な問題について法案は答えを出しているか

 ▲結局、法案で政府がやろうとしているのは実際には何なのか

 単刀直入に、この点で「新システム法案」をズバリ暴露し、バッサリと批判するのが、今回の記事の目的であり、内容です。法案には正当性が一カケラもないというだけでなく、何の整合性も何の説得性もありません。ここを怒りをこめてえぐりきり、暴きたてよ、ということです。

 【1】 新システム法案は、「新システム」が掲げる「待機児童解消」「子育て支援」「質の高い保育」等を何らもたらすことのないまったくの詐欺法案だ!!!

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 「待機児童解消」「子育て支援」「質の高い保育」・・・・これは私たち労働者人民とりわけ、日々の生計のための収入を得るために子どもを保育所に預けて働くしかない若い世代、共働き世帯にとっては、切実な社会的要求です。本来なら、国が国の義務として本来「国と企業の負担」で保障し支援し解決しなければならない問題です。

 新システム法案」は、この本来の社会保障や社会福祉を目的や理念とするものでは、もともとありません。「社会のみんなで支える」などというのは真っ赤な嘘です。私たちからむしりとる消費増税の増税部分をそこに注ぎ込む「社会保障目的税」だというのもまったくの大ウソです。なぜなら、「新システム法案」は、私たち労働者人民とりわけ若い世代、共働き世帯にとって深刻で切実な「待機児童解消」「子育て支援」「質の高い保育」の問題でこれっぽっちの「改善」ももたらすものではないからです。これが暴露・批判すべき法案の最大の第一点です。以下具体的に見てみましょう。

 (1) 現行幼稚園について法案は「総合子ども園」への移行を義務付けることはできなかった、むしろ今では義務付けないことに平然と開き直っている。

 幼稚園が設備面・スタッフ確保面・コスト面等での負担の大きさから「総合子ども園」への移行に抵抗していることを政府は事実上認めた。幼稚園を「幼保一体化」で「総合子ども園」とすれば「待機児童解消」につながるという施設数・員数の机上の計算だけで「待機児童解消」をはかれると算段していた政府のいいかげんな浅智恵は破産した。幼稚園は「待機児童解消」の「援軍」にはならない、政府もそうできないと判断し、そうしないと決めているーこのことが法案でほぼ確定的にハッキリした。

 (2) 現行保育所について、法案は「保育所の総合子ども園への移行期間を3年間とする」と打ち出しているが完全に義務付けることはできなかった、とりわけ「乳幼児(3歳未満児)の受け入れ」を義務付けることができなかった。これも今では法案でも開き直っている。このことはきわめて重大な問題だ!

 幼稚園の「総合子ども園」への移行を義務付けず、保育所も「総合子ども園」への3年以内の移行を義務付けず、乳幼児(3歳未満児)の受け入れも義務付けないとすれば、もはや「幼保一体施設=総合子ども園」を最大の実体とすべく制度設計されていた「子ども・子育て新システム」は名ばかりのものだ。

 そこで法案はどういうことにしたか。三つの「子ども園」類型を定めた。

  乳幼児(3歳未満児)の保育所機能と小学校就学前3~5歳児の養育・教育機能をひとつの施設で担う幼保一体施設=「総合子ども園」(※これが本来の「新システム」が目指していたもの。法案が成立したとしても実際にはそうなるのは少なくなると政府自身が見込んでいる)

  小学校就学前3~5歳児の教育を担う「幼稚園型幼保一体子ども園」(※要するに現行保育所から乳幼児(3歳未満児)を乳幼児保育所として外し、現行保育所に現行幼稚園の機能を加え、また逆に現行幼稚園に現行保育所における就学前3~5歳児保育の機能を加え、幼保併設型または、十ぱひとからげ型で就学前3~5歳児教育に放り込むということ。いわゆる幼児教育課程だ。)

  現行保育所は「乳幼児(3歳未満児)保育所」として特化する形でだけ存続させる。「保育所型子ども園」=新システム下の保育所

 「幼保一体化」「子ども・子育て新システム」の民主党の政治看板だけは維持したうえで、この3通りの苦肉の腐心形態で存続と再編を行うというわけだ。いまの保育所現場をズタズタにぶちこわす、現行保育所だけでなく現行幼稚園にも現場大混乱をもたらすものだ。勝手に3~5歳児の就学前幼児教育3歳未満児の保育に力ずくで分断する!何のための「新システム」か?!

 「保育は3歳未満=2歳児まで3歳以上は幼児教育=学校教育だ!」→勝手にこんなことを決めるな!「保育も教育も」などと聞こえがいいことを言いふらしているが、幼児期からの教育の国家支配、保育は解体・切り捨てるという魂胆が透けて見えるというものだ。こんな無責任で破壊と混乱だけをいまの保育所、いまの幼稚園の現場(子どもたち、職場、職員、保護者)にもたらすだけの「新システム」は絶対に真っ平ごめんだ。

 (3) ここでの最大の問題はいわゆる「待機児童」の問題だ。政府の「待機児童解消」「子育て支援」の真っ赤な嘘が完全に暴露された。待機児童は何ら解消されず、保育が必要な若い非正規世帯は子どもを預けることもできない!

 (2)で明らかになった最大の問題とは、私たちがこの法案を検証する場合に最も重視しなければならない切実な問題=「待機児童解消」「子育て支援」のことだ。「待機児童」の問題、それは具体的には、乳幼児(3歳未満児)保育、夫婦共働きで就労するしかない「保育に欠ける児童」をもつ世帯の苦悩の問題。「待機児童」の七、八割は乳幼児(3歳未満児)である。その乳幼児(3歳未満児)を抱える世帯のほとんどが、ダブルジョブ、トリプルジョブ、パート・アルバイトで就労しないと生計もままならない若い非正規労働者家族である。

 ところが法案は、(2)で見たとおり、乳幼児(3歳未満児)保育の保障、若い非正規労働者世帯の子どもの保育の死活的保障の問題に何の手も打てない、いな、むしろ何の手も打たない。乳幼児(3歳未満児)の保育キャパシテイ総量は全然拡充されない。

 後述するが、株式会社参入の自由化で「総合子ども園」に名乗りを上げる株式会社では、現在すでに企業として運営している認可保育所や認証保育所、認定子ども園がそのまま「総合子ども園」として指定される。その保育料は、公立保育所や社会福祉法人立の認可保育所の保育料に比して現在でも二倍、三倍の高額であり、新システム法により一層企業の自由度が認められるために、切実に「就労と子育て・保育」の問題で苦悩する若い非正規労働者世帯にとっては「手の届かない保育」だ。

  結局、乳幼児(3歳未満児)保育、共働き非正規世帯の保育は、実際には、乳幼児(3歳未満児)保育機能に特化した保育所型子ども園(前掲(2)③類型)のキャパシテイ総量にかかってくる。政府も民主党も、公立保育所や認可保育所を増設する気はさらさらない。(その気があればそもそも「新システム」というような制度設計など出てこない!)つまり「待機児童」の問題は法案・「新システム」によってまったく解決されないのだ。むしろ、ますます保育所に入れない乳幼児=「待機児童」、自分の子どもを保育所に預けることができない非正規労働者世帯は激増する。【※この「待機児童解消ならず!程遠い新システム」という点はマスメディアによってもクローズアップされている見通しだ。】これでは若い世帯は子どもも持てないし、結婚もできない。子どもを持って家庭を営むこともできなくなる。

 「新システム法案」、これは詐欺そのものだ!何が「待機児童解消」か!。こが「子育て支援」「就労と子育ての両立」か!若い非正規世帯はじめ私たちから消費増税でなけなしのカネを問答無用でむしりとるようにまきあげ、しかもそのカネは、ここに暴露したように、保育が必要な乳幼児(3歳未満児)、その子らを抱える若い非正規労働者世帯のためにはまったく使われないのだ。これが詐欺でなくて何か。社会保障目的税を騙(かた)り、実際には保育が死活的に切実で必要な非正規労働者世帯に対する保育は保障・支援しないのだ。

この続きは⇒次回記事に

 

 

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政府ワーキングームが「子ども子育て新システム」最終とりまとめ案!絶対反対だ

2012年01月31日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

 1月6日発表の「社会保障と税の一体改革」政府素案の最終とりまとめの提示日限(予定)が1月31日、つまり今日だった。素案は①社会保障改革と②税制改革の二つのジャンルで出され、①が②の目的の一部(社会保障目的税)を構成するという組み立てで成り立っていて、この②の前提として、③公務員制度改革、公務員総人件費の「身を切る」削減が盛り込まれていた。そして2014年4月8%、2015年10月10%の消費増税を具体的に明記して、その今通常国会成立を「待ったなし」で「不退転の決意」での目標として掲げた。

 

 そして1月31日・・・・・・政府、ワーキングチームは最終案を今日どう発表したか。

「社会保障と税の一体改革」「子ども子育て新システム」で、このかん、何が起き、また何が示されたか

 (1) 政府は「財源」論抜きの民主党の「弱点」と政権交代時の同党マニフエストとの関連で中長期展望の明示の説明責任を野党に突つかれ、次から次へとボロを出し、馬脚をあらわし、窮地に自ら追いつめられた。社会保障目的税による年金・医療・介護・子育て支援の4財源捻出(「全世代型社会保障のための国民負担」)とその「大義名分」を掲げていたが、1・6政府素案の前掲①社会保障改革が前掲②税制改革=大増税というムチのためのアメでしかないことがハッキリした。民主党政権という資本家政府、民主党という資本家・保守政党がデタラメもデタラメ、後は焼け野原の無責任も無責任、人をたぶらかすペテン・デマと暴力頼みの最末期資本家政府、最末期保守政党であることがハッキリした。もともと1・6政府素案時点でも、4つの「大義」中、「年金保障」は難しいのでハナからパス、「医療保障」「介護保障」はTPP待ちで具体化回避、「子育て支援」を目玉にしたが《はたして?》といういいかげんで、アメとしてもアメに見せるだけの腐心の跡もみえない未整理・疑問だらけのシロモノだった。

 

 (2) そして、この1・6政府素案は、「年金保障のためには今次10%消費増税では全く財源不足でさらなる消費増税が必要」「60年後に最低保障年金」の岡田副総理発言への轟々たる批判と怒りの噴出、「政府の試算根拠」をめぐる「まず与党内で協議」なる野田首相発言による「試算隠し」でグラグラになった。資本家代理政府としての階級的意思を際限なき極限的大増税として本音をオモテに出したのが岡田発言。そのひきおこした大憤激と国会運営・与野党協議のとん挫から「火消し」にこれつとめているのが野田発言。

 

 (3) 「全世代型社会保障」の売りの目玉「子育て支援」でもつまずきと破たんが隠しようもなくなってきた。後述の通り、「経団連・成長戦略2010」「民主党・新成長戦略」のもとで打ち出された「子ども子育て新システム」制度案に盛られた幼保一体化・こども園構想とその工程表はズタズタ、ボロボロになった。「待機児童解消はまったなし」「女性の就労支援に必須」等々と呼号し続け、政府は、これまで頑迷に体裁を取り繕ってしがみついてきた2013年度制度実施の目標を断念し、2015年度実施とついに言い換えた。「待機児童解消」や「女性の就労支援」を社会の存続に関わる大課題と本気で構えて取りくむのが「新システム」ならば、何を措いても実施にしゃにむに進むのが筋だろうに、やっぱりカネが足らないから2年度遅らせるというのだから、「新システム」の掲げるそうした目的も実際にはいいかげんなものだ。実施年度を先送りしたうえで、それを明記した法案については国会に出すなど虫のいい話だ幼保現場の職員(労働者)の怒りと危機感、保護者の怒りと不安、危機感が「新システム」をここまで追いつめた。そして新制度移行と新制度運営費に回せるだけのカネは国にはないという国家財政破たんの危機がリアルに「新システム」に「ダメ」を押した。2013年度実施目標の断念とはそういうことだ。

野田政権もろとも「新システム」にとどめを刺そう!私たちの怒りと闘いがすべてを決する。反原発反失業、民営化・非正規化・外注化絶対反対、非正規職撤廃の闘いで新自由主義・野田政権をたおそう!

 (1) ニッポン子育て応援団のサイトや1月31日今日のNHK報道が伝えるところによれば、「子ども子育て新システム」政府ワーキングチームと政府の最終とりまとめ案は骨子、以下の通りだ。

 

 ① 制度実施は2015年度から。2013年度実施は断念。

 

 ② 2万3千の保育所の総合子ども園への移行については3年間をかける。

 

 ③ 反発が強い幼稚園の総合子ども園への移行については移行期間の期限を定めない。

 

 ④ 2015年度に7000億円の予算を確保して実施する。

  ⑤ 株式会社の参入の促進

 ⑥ 厚労省と文科省に保育所(保育)と幼稚園(幼児教育)の所官はこれまで通り。一元化は断念されたのだ。

 ・・・・・・

※「2015年度に7000億円の予算」などと言っているので些細なことだが一言しておく。消費増税で2015年になれば財政が少しは「好転」しているかと言えば、現在のヨーロッパ信用危機と全世界の政府財政破たんの数段の進行という見通しを除外視しても、2015年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は政府試算で16・8兆円の赤字、2020年度に至っても政府試算で16・6兆円の赤字だ。つまり、2014年4月8%、2015年10月10%の消費増税でも何の「好転」もない。ハッキリしているのは、いま注ぎ込めないカネが10%消費増税で出てくるわけでもないということだ。

 

 (2) それ(上記※)はともかく、とにもかくにも「新システム」は消費税10%頼みということだ。見ての通り、幼稚園は手をつけず、そのまま存続。一元化・一体化と看板を掲げてきたが、、「新システム」の眼目は保育所の「こども園移行」だ。しかし、0~2歳乳幼児保育として保育所は子ども園移行を義務付けずそのまま存続を認める、3~5歳児保育と幼児教育(と「できれば0~2歳乳幼児保育」も)の総合こども園への移行を7割目標で追求するというのが、幼保一体・こども園の現時点での実体だ。これが2015年度実施の最終案の中身である。「待機児童解消」「女性の就労支援」の大看板はどこに失せた?!待機児童の8割超が0~2歳児だ。就労しなくては食っていけない若い母親が抱える子どもの過半がこの0~2歳乳幼児だ。最終案は、ここに何も手をつけないことを自ら認めている。「新システム」は代わりに保育ルームを量産するからコインロッカーのように出し入れして女性は働きに出ろというのか、株式会社が運営しベラボウに高い保育料をまきあげる(民間の)子ども園に預けて働きに出ろ、その保育料に充てるカネがないなら保育をあきらめろ、子どもも持つなというのか。 】

 

 (3) では法案として今成立させたいという最大の狙いはどこにあるか。最終とりまとめのキーワードとして株式会社の参入を明記しているところにある。保育の市場開放・産業化・民営化、この法律をもってする全面解禁だ。企業のカネ儲けビジネスとして株式会社が大手を振って保育に参入する。認可保育所だけでなく、現在、株式会社が認証保育所や認定子ども園して運営している保育所は、をのまま子ども園として横滑りで認可(正確には「新システム」では認可制を改め、かわりに指定制にとってかわるので、指定)され、そこには運営費が子ども園勘定として国と自治体から流れ、運営費の使途は株式会社に自由度が認められ、株式会社の他の事業にも使える。施設だけではない。保育ルームや保育ママにも財政支援が出る。それも資金力をバックに保育ルームを量産することができ、また子どもを自宅にあずかる保育ママを登録型で安価に確保できる株式会社の手に入る。これが是が非でも今国会で「総合施設こども園の2015年度実施」を通そうとする最大の狙いだ。当サイトが暴露しているJPホールディング=㈱日本保育サービスのような株式会社の保育ビジネスの活性化とそのための消費増税で国民からむしりとる血税の株式会社への横流しだ

 

 (4) 株式会社による保育園運営での契約社員月18万円とパート・アルバイトの800円900円台の超低賃金・不安定雇用の実際の実体は繰り返し暴露してきた通りである。重大なことは、この新システムの法案化によって自治体は現在でも行っている業務委託・民間委託、民営化に雪崩打つように進むということであり、これからますますクビきり・賃下げ・民営化との決戦になる。賃金水準や労働条件、雇用形態は、右へならえで、非正規化、非常勤化、パート・アルバイト化、低賃金化、無権利化が、ボトムの切り下げ・平準化として進むだろうということだ。非正規職撤廃をかかげて闘おう。

 

、(5) 保育の現場は、そこで働く職員にとって、生きるためには、働くためには闘う以外にない戦場となった。これはもはや制度・政策を要求するような「闘争」ではない。政府そのもの、国家そのもの、社会そのものをめぐる闘争だ。子どもの安全と命にとっても、保護者のわが子をめぐる戦場だ。ここで一番重要で大切な認識は、ガタガタ、グラグラなのは「新システム」というだけではなく、政府そのもの、新自由主義そのもの、支配階級そのものだということだ。これまでがそうだったように、保育職場の労働者の団結と決起がカギだ。保護者もまた同じ労働者だ。これは私たち労働者階級自身の闘いだ。労働者が団結し渾身の怒りでたちあがれば、この生きるための闘い、子どもたちのいのちと未来のかかった闘いに絶対に勝てる。野田政権もろとも「新システム」を葬り去ろう。労働組合を再生し、反原発・反失業、非正規職撤廃、大増税絶対反対の闘いで野田資本家政府をたおそう。

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2011年1年間で保育施設で14人の乳幼児が死亡(1月27日厚労省発表) 

2012年01月29日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

 野田政権は、「社会保障と税の一体改革」法案の3月通常国会上程を「不退転の決意」で強行すると宣言している。消費増税がその最大の重心だが、その目的として、「全世代型社会保障」の社会保障目的税であると「説明」し、その重点課題として「待機児童解消」「子育て支援」「就労と育児の両立」の制度再編・整備として「子ども子育て新システム」の実施を掲げている。また、この「社会保障と税の一体改革」法案の上程の前提として「国民に負担を求める以上、「隗より始めよ」「身を切る決意」の公務員制度改革法案の成立をめざすとしている。「社会保障と税の一体改革」攻撃と公務員制度改革攻撃の実体的な要は、現在の幼稚園・保育所の公的側面の解体、幼保職場で働く職員のクビきり・賃下げ・労働条件切り下げ、超低賃金非正規化・不安定雇用化にすえられている。国と自治体の幼保コスト削減と財界・資本の幼保規制緩和・市場化・産業化の利害が、「子ども子育て新システム」として一つとなった。株式会社への市場開放、現行幼保の要件の全面的規制緩和、つまり「国・自治体の公務からサービスへの幼保の制度転換」、「社会・公共の私・私企業のカネ儲けへの丸投げ」があり、それが「全世代型社会保障」を騙る柱、いうところの「待機児童解消・子育て支援」「ワークアンドライフバランス」の正体だ。これは言っていることからだけでもふざけ切った話ではないだろうか。そしてその

  この「新システム」が引き起こす事態を示唆し予知する重大な事実が乳幼児がいる私たち世の保護者にとっては皮膚が粟立つような数字で明らかになった。2010年1年間12名、2011年1年間14名という保育施設での乳幼児の死亡事故の発生だ。2年間連続二ケタ!当然、これは氷山の一角といえるだろう。そして死亡にいたらなかったケースはほとんど隠蔽、握りつぶされているままだ。1月27日厚労省が発表した。以下は毎日新聞27日18時26分配信記事

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<保育施設>11年 全国での死亡乳幼児は14人…厚労省<o:p></o:p>

  厚生労働省は27日、11年に全国の保育施設で死亡した乳幼児は14人で前年より2人多かったと発表した。うち認可外保育施設で死亡したのは12人と大半を占め、前年(7人)を大幅に上回った。

 死亡時の年齢はいずれも2歳以下で、0歳が7人だった。死亡したのはいずれも睡眠中で、死因は「不明」が9人で最も多く、心臓まひや窒息、気管支肺炎などがそれぞれ1件だった。

 認可保育所の利用者は11年4月1日現在で約212万人、認可外保育施設の利用者は10年3月末現在で約24万人。厚労省は「認可外の方がリスクの高い3歳未満児の割合が高く、事故も多いのでは」と話している。【山崎友記子】<o:p></o:p>

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  保育とりわけ乳幼児保育とは、子どもの命を守る仕事である。だから子どもの状態、動静から職員はかたときも目を離すことはできない。そのために子ども何人に職員何人という必置職員数が基準化され、職員の体制が措置され、経験と資格あるベテランの常勤配置が措置され、当然のこととして「子どもからかたときも目を離すことができない緊張と責任ある仕事に従事する職員」の労働条件の確保が重要な意味を持ってきた。 

 事故は、このかんの保育規制の弾力化、認可要件の緩和、そのもとでの前掲の保育の当たり前の前提の瓦解、認可外保育の容認と認可保育の実質的形骸化のもとでこれまでも増加してきた。だが、2010年1年間12名、2011年14名という保育施設での乳幼児死亡数が示すものは深刻であり、その意味は重大である。奇しくも「子ども子育て新システム」制度構想のスタート・進行と一体でこの年間10名を超える乳幼児の死亡が発生したということだ。「新システム」やワーキングチームがどんなに「保育の質」をコトバで強調しようが、新制度が「命よりカネ」「公務よりサービス」「新たなマーケットの創出」を制度の本質としている以上、必ず引き起こされるのが保育事故であり、死亡事故である。新制度が提唱され、いまだ法律にならず、法制度として執行されてもいない現時点ですら、この新制度の階級的意志がもたらすものは、既に実際の現場で作用し、このとんでもない数字として顕現しているのだ。世の保護者の皆さん、正規・非正規、官・民、良心的幼保法人・個人の皆さん!いのちはかけがえのないものだ。乳幼児、子どもたちはいずれは社会をひきつぎ担う存在だ。これは心底怒り、絶対にぶっとめなければならない動向であり、趨勢ではないだろうか。この淵源は新自由主義であり、元凶はそれを国策とする財界と政府、つまり1%いな0・1%の社会的存在でありながら、社会の富のほとんどを簒奪、一人占めする支配階級だ。

  「新システム」は単に、民間参入促進のために現状よりはるかに緩和・弾力化した「子ども園・総合施設」の認可要件をほとんどがパスできるような幼稚園と保育所の「子ども園・総合施設」への移行や0~2歳児(乳幼児)保育に限定・特化した乳幼児保育所の存続、一定の私学助成幼稚園の存続といった施設再編にとどまらない。「新システム」は施設運営に企業の裁量権を広範囲に認める、そういう切符を企業に与える。「新システム」では幼保施設・幼保事業は役所の監督・指導が基本的に及ばない企業本位の「治外法権」にかわる。つまり、二十年前後さかのぼってみれば社会的指弾を浴び、「無認可保育(ヤミ保育・もぐり保育)」を認可保育基準の外部に「認可外保育」として合法化し役所の掌握範囲に置くきっかけとなった「ちびっこ園」(一グループで短期間に大量の乳幼児死亡事故をひきおこした)のようなカネ儲け保育・無責任保育が、「新システム」では歯止めなく拡大することになる。

 そして、「新システム」が予定しているのは施設面にとどまらない。「新システム」は預かり保育・一時保育で子育て支援を積極的に拡充する、さらに多様な保育パワーを活用するという基本方針のもとに、保育ママ、保育ルーム等を新制度のもう一つの核心に据えている。これは単純に有意の個人の力をも保育事業に動員するというものではない。介護保険で居宅訪問介護事業にコムスンが目を付け、介護従事者を登録制で超低報酬で派遣したのと同じシステムを預かり保育・一時保育の保育ママ制度化は想定している。保育ルームにいたってはコインロッカーに荷物を預けるような発想で、企業が確保したマンションや駅やビルの一室に一人の保育従事者を置いて乳幼児を預かるシステム。しかも保育ママや保育ルームは「総合子ども園」の基準よりはるかに低く設定される。最低でも二人以上の従事者がいなければ子どもの安全と命を守れない、目の離せない乳幼児の保育体制が、ワンルームで一人が複数の乳幼児を預かるという密室保育に切り替わる。

 ここには施設であるかどうかを超えて、「新システム」の制度上の本質が凝縮している。これはもう「子どもの安全と命を守る保育」ではない。事故が必ず起きる、死者が必ず出ることが誰の目にも明らかなのに、それを制度化し強行しようとしている。

 これが経団連「成長戦略2010」・民主党政府「新成長戦略」で柱にされ、以来ワーキングチームがすったもんだで有識者と業界をまきこんで素案にこぎつけようとしている「新システム」の実体だ。子どもの命を奪う「新システム」を絶対許すな。幼保労働者と保護者(労働者)の決起で粉砕しよう。

 

 

 

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資料:子育て新システム法案上程を前に。受け皿狙う最大手・㈱日本保育サービスは? 

2012年01月10日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

 ★ 「社会保障と税の一体改革」素案によれば、なぜか「子ども子育て新システム」の位置づけ序列(順番)がトップに! これは与野党客寄せパフォーマンス?

 昨年12月末までは政府が掲げる「社会保障と税の一体改革」、税制改革=消費税増税の社会保障4経費では、年金、医療、介護の3つにやっと付け加えられた4番目の「少子化対策」「子育て支援」だったが、なぜか年頭の1月6日政府素案正式決定、1月11日与野党協議呼びかけでは、「少子化対策」「子ども子育て新システム」はトップに掲げられるにいたった。野党が「拒否」「抵抗」しにくくするためか、連合等の御用組合や社民党・日本共産党の影響下の労働組合や市民運動が「賛成」「合意」しやすくするためか、はたまた巷でにわかに解散・総選挙前夜情勢の選挙モードになって内閣支持率や政党支持率を何とか引き上げようとしていうためかは、当サイトの知る由もないところだ。だが当たらずとも遠からず、という面もあろう。

 ここでハッキリさせなければならないのは、消費税大増税に政財界は絶望的に突進しようとしていることであり、そのためにも、またそれが成らずとも、その「血刀」を公務員給与大削減と公務員大量クビきりに振り向けてくるということだ。

 だいたい、民主党=連合政権が真の階級的狙いをやるために使ってくる手法は、このところどれもこれも似通ってこざるを得ない。原発政策でこのかん政府が言っていることを見よ。危機的現状が続き放射能汚染と放射線被曝を拡大しているさなかの「福島原発・事故の収束」宣言がその最たるものだが、誰の目にも明らかなように、どう見ても原発再稼働・原発輸出が連中がめざすところだ。

 そのために打った手は、①脱原発依存・自然エネルギーへの段階的移行をめざす・・・、②反(脱)原発(絶対反対)か原発護持(賛成)の二項対立ではなく・・・、③原発の公的運営検討・・・、④原発は原則40年廃炉・・・。①は「原発をすぐなくそう」とは全然思っていないということ、②は「原発はあくまで残す」ということ、③は「原発はそのまま存続」「運用・運営を公営にすれば《安全》で今のまま民間電力会社にやらせればいい」ということ、④は「40年に至っていない原発はそのまま継続稼働」「40年もあくまで原則(建前!)」「原発を臆することなく再稼働せよ、それが国の方針だ」ということ!!!

 「社会保障と税の一体改革」も同じような手法でごり押ししようとしている。つまり小出し小出しでゴマカシにごまかしを重ねながら目的だけは財界の意を体してしゃかりきになって追求する。年金は「消えた年金」「未整理年金件数」「最低保障年金は難しすぎ」でパス?! 医療・介護は「改革は本丸・本命のTPP頼み」で拙速は回避?!・・・・これらは名ばかり野党とはいっても飲みそうもない。それでは税制改革=消費税増税の「大義名分」も立たない・・・・。同じ困難でも「少子化対策」「子育て支援」「待機児童解消」なら野党を土俵に乗せられる・・・・そんなところが政府が思いついた算段ではないか。そこは消費増税のクリアの突破口になるし、幼稚園・保育所職員給与削減・大量人員削減で公務員制度改革の実体的な突破口にもなる・・・。ここー公務員大量クビきり・非正規化・外注化・民営化と労働組合と団結権・争議権の圧殺・解体と大増税が、「社会保障と税の一体改革」その一環・突破口としての「子ども子育て新システム」の階級的な対決点・激突点たるゆえんである。

 そこで、舞台を国会の茶番劇や政府の思惑からいったん目を社会・現場に転じて、「子ども子育て新システム」の「子どもの命よりカネがすべて」のカネ儲けビジネス、その先端大手=㈱日本保育サービスで、見ておこう。ほとんどコメントを要しないので、同社のサイトからの転載でお伝えしておこう。写真画像は日本保育サービスの首都圏、政令指定都市を中心とした展開の資料・図表(同社HP)ですが、画面ではワンクリックで拡大してごらんになれます。



【1】あくまで増やし続ける

★2014年開園予定保育園





★2012年年頭現在の㈱日本保育サービスの実勢【運営施設】

 (保育園・学童クラブ・児童館・放課後こども教室等)


都内エリア



神奈川・千葉エリア



さいたま・愛知・宮城・大阪エリアおよび指定管理者




放課後児童健全育成事業、放課後子ども教室推進事業



【2】どこまでも低賃金非正規職を基本でスタッフ集める(契約社員で月給18万円、パート・アルバイトで時給840~900円)


以下は転載

保育士・学童クラブスタッフ(社員)

★月給18万円以上(経験考慮します)※試用期間2ヶ月有(給与変わらず)給与例:前年度実績・2年目保育士(25歳)/年収300万円・2年目園長(35歳)/年収450万円

★保:7:00~22:00の間でシフト制。 学:800~21:00の間でシフト制


保育士・学童クラブスタッフ(パート・アルバイト)

★保育士【有資格者】時給900円スタート(研修150hは850円)

★7:00~8:00と18:00以降は時給100円アップ!

【無資格者】<東京・神奈川エリア>時給840円



【3】 ASC48?・・・・・㈱日本保育サービスは、アスク保育園の48名の保育士のブログを立てて、「宣伝に余念がない」が・・
・・

 下記にてアスク48のブログをごらんになれますが、この宣伝をごらんになってどのような感想をもたれどのように判断されるかはみなさんの自由です。

http://www.jp-holdings.co.jp/blog/asc48.php


【4】 記事の結びとして・・・

 認証保育所や民間認可保育所の保育料は、現在の公立保育所の場合の保育所の2倍から3倍です(東京23区はじめ首都圏)。「待機児童」の児童数激増は、夫婦共働きやダブルジョブ・トリプルジョブ、パート・アルバイトの非正規職激増で「保育に欠ける児童」が激増したことに起因しています。その結果、現状の公立保育所、認可保育所では子どもをこれ以上受け入れることができなくなったからです。本来は公立保育所を増設し、認可保育所を増やすことで国と自治体の責任で解決すべき課題です。それをせずに、定員数を青天井にして詰め込みに走ったり、認可保育所の認可要件を規制緩和・弾力化したりしてきたが、ついに保育の公的責任の「歯止め」を取っ払い、㈱日本保育サービスのようなカネ儲けが目的の株式会社をはじめとした民間企業に全面的参入を可能にするのが、政府の「子ども子育て新システム」です。「待機児童解消」「就労支援」「雇用と子育ての両立」と称して、実際には、世の中全体に非正規職を激増させるという財界と国の国家社会と企業の経営・運営原理、9割(10割と言っても言い過ぎではない!)非正規化の路線のもとに考え出されたのがこのシステムにほかなりません。資本家のカネ儲けのための非正規化・ワーキングプア化に絶対反対、非正規職こそ撤廃すべきだ。

 ここで絶対に見過ごしてはならないことは、新システムで増える認証保育所や民間認可保育所の保育料では高すぎて、子どもをゆだねようにも非正規労働者家庭には子どもを保育所に委ねることはできないということです。「待機児童解消」は嘘っぱちです。労働者家庭、とりわけ非正規世帯から保育奪う保育切り捨ての新システムに反対しよう。

 さらに絶対に見過ごすことができないのは、これまで公立保育所で保育の仕事に従事してきた職員の賃金と比べれば、主任格ですらその半額や三分の一の低賃金、パート・アルバイトの場合には時給800円台、900円台の日替わりローテーション、細切れ時間・シフトでとうていその仕事だけでは生計を維持できない超低賃金でその保育の仕事を職員は担わなくてはならないということです。いま公立保育所では業務委託・外注化で、既に低賃金非常勤化、パート・アルバイト化が進んでいます。新システムでもっと激しくそれは進みます。そこでは、必然的に公務員である職員を解雇して低賃金で再雇用した方が安上がりだということから全面的な非正規化が進みます。正規・非正規を超えて、労働者の団結で非正規職撤廃、新システム反対で闘おう。

 もう一つ絶対に見過ごせないことは、保育の仕事に従事する労働者の労働条件が十分に保障されることによってはじめて守られる子どもの命と育ちが瓦解・崩壊してしまうということです。「守れなくなった」労働者のせいではありません。カネ儲け本位の企業に保育を委ねるところから、労働条件と職場環境の劣悪化と職員の無権利化が不可避に進行し、その結果、職員がどんなに頑張っても、子どもの命と育ちに責任が取れなくなり、重大な保育事故、死亡事故さえ引き起こされていくのです。新システムが子どもを「殺す」のです。

 みなさんは、㈱日本保育サービスが行っている「洗練」された宣伝とその経営する施設で働く職員の賃金や勤務形態の実体から、何を感じ、何を考えるでしょうか。原発は「原子力の平和利用」「安全なクリーンエネルギー」の国と財界をあげてのデマで導入され、その行き着いた果てが福島第一原発事故でした。新システムは「社会のみんなで育てる」「民間企業のサービスのノウハウとスキルで必要な保育ニーズを満たす」というデマで子どもたちの命と育ちを脅かす焼け野原をもたらします。

 そしてこんな財界の野望のために、新システムを理由に大増税が強行されようとしています。断じて粉砕あるのみ、絶対反対あるのみです。野田政権もろとも「社会保障と税の一体改革」「子ども子育て新システム」を葬り去ろう。幼保労働者と保護者(労働者家族)の総決起でたちあがろう。現場は国会ではありません。現場は職場(保育所・幼稚園)です。国会は与野党ろくでもない連中がおしゃべりしているが、子どもを守り育てる仕事は労働者がやっています。職場の団結、職場での決起がカギです。

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「社会保障と税の一体改革」・「子育て新システム」の来年通常国会上程阻止、野田政権もろとも葬り去れ!

2011年12月27日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

どんなにあがき、凶暴化しようと「死に体政権」は「死に体政権」、根本に出口なき大恐慌の拡大と資本主義の崩壊あり。大増税と9割非正規化、公務員労働者大量クビきり、社会保障完全きりすてで新自由主義にしがみつく野田政権に対して、職場・地域・街頭の全労働者全人民の怒りの根底的総反乱の爆発、3・11福島現地大闘争(郡山)・全原発停止・廃炉の全国的大運動で引導を渡そう!

 12月26日、政府が今春以来何回目かの「子ども子育て新システム」の国会上程に向けた政府最終案をとりまとめ(焼き直し)、作業チームに提示した

 何度、「中間とりまとめ」を出したか。何度「最終とりまとめ」を出したら気が済むのか。同システムがボロボロに破たんしている証拠であり、その表白がこの経過が示すものだ。

 (1) 私たちの怒りの大きさ 第一に、民主党政権は目玉政策として鳴り物入りで唐突に「子ども子育て新システム」「幼保一体化・一元化」を掲げたが、現場は職場である幼稚園・保育所での職員(労働者)の団結と怒りの大きさ、子どもの命と成長を委ねる労働者(保護者)のデタラメ極まりない「新システム」への危機感と不安と憤りがこれを根本で阻んできた。幼保関係の既成労働組合が政府の幼保民営化=非正規化の導水路スローガンである「待機児童解消」「子育て支援」「就労支援」のデマに屈服し、「よりよい保育」の政府への「要求」(お願い)運動にとじこめようと、要求も含めて現場の怒りはこの2年間に何度も全国大結集で五千名を超える全国集会を実現し、「絶対反対」で燃え広がっている。政府が絶望的に強行すれば、闘う保育労働者先頭に必ずストライキに火がつく。やれるものならやってみろ。

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(昨年11月14日の大集会に続き、今年も11月3日日比谷野外音楽堂で「子ども新システムにノ-の大集会が5000名でたたかいとられた。)

 (2) 3・11大震災・原発事故と闘いの爆発 第二に、3・11東日本大震災・福島大地原発事故と反原発闘争の爆発、子どもたちを放射能から守れの闘いの爆発が、2011年国会上程を吹き飛ばした。当初4月上程予定だった「新システム」法案が挫折し「それどころではない」ものとして宙に浮き、その結果、作業部会は何度も陳腐なテーマごとの「突っ込んだ具体的検討」を焼き直し、「間をもたせた」が、2011年上程を断念し、2012年国会上程に先延ばしし、後ろを切っても、基本的な状況に何の変化もない。「年金改革」も「医療改革」も全部似たような経過をたどって目白押しで、しかも出口がない。おまけに当の政府部内、与党内部でも一致を見ていない。

 (3) 国の財政破たんの激しさ、深刻さ 第三にそうした状況下で、このたび「社会保障と税の一体改革」の一環として、「新システム」=子育て支援を掲げたが、それとて消費税増税頼み。その税率や実施時期をめぐってもまだ何一つ先が見えない。そういう中で、増税分の内訳をめぐっても、「年金」「医療」「雇用」「子育て支援」で枠の取り合いが起きている始末であり、さらには「新システム」そのものでも、「子ども子育て勘定」への財政一本化を掲げながら、「保育」「子ども園」領域運営費と「存続幼稚園助成」との間ですったもんだの総枠の配分や「勘定」からの排除の争いがおきているという状況だ。

 この根本に国家財政の危機的破たんがある。対GDP比200%の国(と地方)の累積債務は、いま炎上している財政破たん国、ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルどころの話ではない、世界最悪の状態だ。つい先日、日本の大手格付け会社(格付投資情報センター(R&Iが日本国債を「トリプルA」から「ダブルAプラス」にワンランク下げる格下げを行ったことはきわめて大きな赤ランプがともったことを意味する。国内格付け会社が格付けを引き下げたのは初めてのことだ。R&Iは2000年3月以来、日本国債の格付けを開始。このかん日本国債をトリプルAで維持してきたが、11月30日に格下げ方向で見直しと発表していた。

 日本国債の格付けを巡っては、今年1月に米スタンダード・アンド・プアーズが、8月に米ムーディーズ・インベスターズ・サービスがそれぞれ1段階引き下げた。 R&Iによる日本国債の格付けは、米国、英国、ドイツ、フランスと肩を並べていたが、ダブルAへの格下げでベルギーなどと同じになる。

  ユーロ圏の財政・金融危機とユーロ安・ユーロ売り、ドル安・ドル売りのもとで、国内からの投資(国債購入)で手厚く支えられているという日本国債が「安定」「堅固」とされているが、ユーロ圏市場、アメリカ市場から逃避した大量の資金やいわゆる新興国市場でかせぎまくったフアンドの資金が、日本市場に流入しているだけの話だ。正真正銘の最悪財政破たん国日本にいつまでもマネーがはりついて離れないなどあり得ない。ギリシャ発の世界財政破たんの炎の連鎖から日本やアメリカが逃れられるはずがない。野放図の借金財政と新自由主義政策がパリバーリーマンショック以降の世界恐慌によって、丸裸になり、ひきおこされているのが、この国家財政破たんの全世界的な炎の連鎖だ。そこに赤ランプがついに自国日本の最大の格付け会社によってともされた。

 この財政破たんのもとで、しかも東日本大震災と福島原発事故による巨大財政出費を抱えて、「社会保障と税の一体改革」と言おうと「子育て支援」と言おうと、全世代の責任と負担による「全世代型社会保障」という「長期持続可能な改革」と言おうと、途方もない空前の財政規模を要することに変わりはない。そんなことがいまの政府や財界にできるわけがない。だから自国の格付け会社からも見限られたのだ。

 格下げの理由として、R&Iは「野田政権の消費増税への強い決意は評価できるが、社会保障改革は負担増が先送りされるなど踏み込み不足だ」などと指摘し、「財政状態を調整していく能力は、もはや最上位の水準とは認めにくい」と結論づけた。

 これは「踏み込み」を強め、大増税を断行すれば、危機を脱するということではない。資本主義は自らの手に負えないマネーを世界にあふれかえさせ、暴走させ、またその過程で手に負えない、資本主義では解決不能の借金をつくりだしてしまったということだ。

大増税と非正規化(ワーキングプア化)に絶対反対!

国が破たんする以前に私たちの生活が破壊され、破たんし、窮乏を強いられている!

 (4)「社会保障と税の一体改革」とは極限的大増税への道

 野田政権は一切合財を消費税の増税で突破しようと、政府部内や与党内部で意思統一もままならぬままに、そこに躍起になっている。財界は消費税増税とTPPと9割非正規化にすべてを賭けよ、国運はここにかかっているとわめいている。

 根本からはっきりさせねばならないことは何か。政府は私たちに「国家財政破たん」の責任をなすりつけ、私たちからむしりとろうとしており、資本家はクビきりと賃金カット、パート・アルバイト化、非正規職化で「経済を再生」させ、「国家再生」をはかると言っているが、私たちは、もはやこのままでは生きていけないほどに生活が破たんしているとっくに生活を破壊しつくされ、食っていけない、生きていけない状況に叩きこまれている。誰のせいで食えなくされているか。だれのせいで生きられなくされているか。奴ら政府、財界、資本家=1%にも満たない連中のせいだ。その連中がこの生きていけない私たちから「血税を出せ」と搾りとり、むしりとろうとしている。「全世代型社会保障」とは99%の労働者人民に対するあくなき流血の徴税ということだ。

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(写真は11月30日イギリスで200万人以上が参加したゼネスト、1926年以来の大規模ストライキとなった。翌日12月1日にはギリシャで官民ニ大労組が大連立政権下で24時間ゼネストで財政緊縮策絶対反対の闘いに立ちあがっている)

 私たちの回答は何か。99%の人民のくらしや命より1%の資本家のための財布(国家財政)が大事と言うこの大増税(社会保障と税の一体改革、消費増税)に絶対反対ということだ。争いは「社会保障をよりよくするためにどうすればいいか」「そのためにはどういう税財政が必要か」というところに起きているのではない。奴らは人民の命やくらしのことなどまったく一顧だにしていない。「子どもや労働者の命よりカネ」という原発推進政策と同じだ。搾ってももはや一滴も落ちない渇ききった雑巾からさらに搾りとる、雑巾の布が切れようが破れようがもっと搾れば何がしかのものがえられるかのように、労働者を幾つ職をもっても家族を養えないような極限までおとしめられた低賃金をさらに切り削り、切り下げる・・・そして、私たちは「雑巾」ではないのだ。私たちは血が通った人間だ。

 

 (5)大増税攻撃と一体の階級的大攻撃が360万公務員クビきり・賃下げ。ここが非正規職撤廃と並ぶ最大の激突となる!

 

 大増税攻撃と表裏一体の攻撃、大増税攻撃の最大の切っ先は、公務員制度解体・大改悪、360万公務員労働者クビきりだ。スト権(争議権)圧殺・剥奪のままの「労使交渉による労使協約締結権の付与」で、《クビきり・賃下げ・権利剥奪の自由》を法制化しようとする「公務員制度改革」こそ、財界=経団連が民主党政権=民主党・連合政権に課した階級的至上命令だった。「全国民に痛みを強いる改革」である「財政削減」のためには、真っ先に公務員こそが先んじて「痛みを分かち合う範を示すべきだ」というのが、政府財界の勝手きわまりない攻撃の論理だ。民主党=連合政権は、だから、消費税増税(10%~15%引き上げ)とともに公務員給与総額2割削減をあくまで追求している。2011年公務員給与7.8%カットに続いて、必然的に焦点化・激突化してくるのが、公務員大量削減であり、360万公務員のいったん全員解雇の攻撃だ。これは財政破たんにあがきまわるギリシャ、イタリア、スペインはじめ全世界の資本家政府と共通の攻撃だ。「公務員が血を流さない限り国民は増税をのまない」「公務員を減らし、公務員給与を民間並み(非正規並み)に切り下げない限り、納税と低賃金で痛みに耐える一般人は納得しない」という実に許しがたい分断デマと暴力的攻撃だ。そして、この攻撃の核心に公務員労働運動解体、労働組合一掃、団結権圧殺がある。大阪市長となった橋下は大阪市職労を叩き潰す、そのために市長になったと公言している。橋下は自分が市長としてやろうとしていることは全国でやらねばならないことだ、それなしに日本はおしまいだという趣旨のことをわめいている。橋下大阪市長は公務員攻撃の最先兵だ。

 だが公務員クビきり・賃下げも非正規化・ワーキングプア化・社会保障きりすて・増税も、行き着くところ、99%の労働者人民への1%の「富の独占者・簒奪者」=資本家の攻撃だ。官・民分断、正規・非正規分断、労働者・生活者分断のデマゴギッシュな前提そのものが新自由主義とその破たん、大恐慌によって崩れ去り、吹っ飛んでいる。

 消費税増税=「社会保障と税の一体改革」の核心的激突点が、非正規職撤廃とともに、公務員制度解体・公務員労働運動圧殺・公務員大量クビきりとの大決戦であることをしっかりと確認しよう。全労働者の団結、全労働者・全農民・全漁民・全自営業者・全住民・全学生の団結・連帯で粉砕しよう。ストライキで闘う国鉄千葉動力車労働組合、国鉄水戸動力車労働組合、産業ゼネストを貫徹した関西生コンに続こう。鈴木コンクリート工業分会のように闘おう。私たちはみんな、生活を既に壊され、破たんしている。闘って失うものは何もない。逃れようにも逃れることで生きられる道もすべもない。文字通り99%の総反乱だ。奴隷頭として資本家に魂を売り、資本家とグルになって攻撃のお先棒を担ぐ御用組合中央などくそ食らえだ。私たちはみんな同じ仲間だ。いっさいの既存の垣根を取っ払おう。ギリシャに続け。ゼネストと大規模反政府デモ、ニューヨーク、オークランドを先頭とする全世界のオキュパイ(コンミューン型占拠)運動で闘おう。全原発の停止・廃炉まで退くことができない反原発・脱原発の大運動と同じ99%、否、99・9%の正義の総反乱に立とう。

 (6)「子ども・子育て」を騙って、大増税とカネ儲け・非正規化の政治的道具に。断じて粉砕あるのみ!

 政府の「社会保障と税の一体改革」「全世代型社会保障」、その「お飾り」としての「子育て支援」の「新システム」とは大増税強行のための資本家政府の小道具であり、公務員クビきり・民営化・道州制攻撃、雇用関係の液状化=9割非正規化、クビきり自由の超低賃金・不安定短期雇用化のためのシステムであり、万が一にも制度化すれば、いまの保育料の2,3倍もの負担を強いられる、従って、そのカネを苦役に等しい労働によってもねん出できない非正規労働者家庭は保育所や幼稚園に子どもを通わせることもできなくなるということだ。「就労支援」「子育てと就労の両立」と称して、あたかも労働者のための新システムであるかのように装いながら、実際には大量の安上がり・使い捨ての非正規労働者をもっと大量に生みだすための攻撃であり、、なおかつ、非正規労働者家庭の保育の願い・要求をふみにじりきりすてるものだ。ここをはっきりさせよう。そして、この幼保新システムの攻撃こそ60万幼保職員クビきりであり、公務員大量クビきり・民営化・非正規化の最大の実体をなしている。これは子どもの命と未来をめぐる闘いであるとともに、民営化・非正規化との決戦、非正規職撤廃の闘いであり、「命よりカネがすべて」の資本家との闘いだ。2012年、闘いはすべて同じ一つの闘いとなっていく。根底的総反乱にしよう。

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(写真は340名の労働者参加の12月22日の鈴木コンクリート工業分会闘争勝利、非正規職撤廃・解雇撤回の総決起集会)

 ☆ 野田政権をたおそう!「社会保障と税の一体改革」=大増税に絶対反対!増税と一体の公務員労働者大量クビきり粉砕!野田政権もろとも「公務員制度改革」「幼保一体化」「子ども子育て新システム」を葬り去ろう!

 ☆ 原発再稼働絶対阻止!全原発を停止・廃炉に!原発推進の野田政権をたおそう!3・11福島現地大闘争(郡山開成山球場・福島県民集会)に総決起しよう!労働組合先頭に総結集しよう。

 ☆ 全労働者の団結で非正規職撤廃!生き抜くために、クビきり・非正規化・大増税の新自由主義・野田政権をたおそう!

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ふざけるな!「社会保障と税の一体改革」(野田)、「全世代型の社会保障(むしりとる)」(小宮山)

2011年12月07日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

以下は、夜更けの発信ですから、短いフレーズの列挙・羅列だけですが、真実、憤りを覚える、心底から怒りは胸張り裂けんばかりです。

 年末までに「最終とりまとめ」で「社会保障と税の一体改革」の成案をつくり、年度末までに国会にかけて通すという「不退転の決意」を野田首相はわめきたてています。そこには「2015年までに消費税率を10%引き上げるために2012年度にどれだけあげるかの数値目標とその時期まで盛り込むと言っています。その一環として、お調子者の女性閣僚である小宮山厚労相の「将来世代にまで先送りしてツケ払い強制しない」ための「老若男女」「正規・非正規」問わない「みんなで責任をとる」と称する「全世代型社会保障のための負担の分かち合い」の表明があり、「明るいニュース」であるかのように「就労支援」「子育て支援」の幼保新システムも掲げられています。

★日本の「ユーロ圏」化=EU瓦解が「日本経済の奈落」になるのは嫌だから「財政規律」と称して「不退転の決意」で大増税と官民大リストラか!!!???そのどこが小泉の「聖域なき構造改革」と違う?????同じじゃないか。

★それをごまかすのに「女性閣僚」小宮山厚労大臣に「全世代型社会保障」=「持続可能な社会保障」=【その正体】そのための全世代への徴税負担と「拠出強制」だって!!真実、1%の「命よりカネ」がすべての政府財界=支配階級のための99%の人々への「痛み」の「分かち合い」=強要じゃないか。

★この1%の連中がTPPで農民殺し、医療・介護の市場開放と「復興特区」=3・11東日本大震災被災地での大民営化・非正規化、沖縄への名護辺野古沖新基地強要、福島県民200万県民棄民とチェルノブイリ化を前提にした「福島=最先端医療特区=放射線被曝のデーター調査のための実験台化・モルモット化」を進めようとしている!!!

★怒り爆発→→→12・10日比谷→→来春3・11郡山(福島)開成山球場2万人大結集と女たちの経産省前「とつきとおかのテント村行動(来秋9月11日まで)」の大爆発、ストライキ、ゼネスト、「OCCUPY」運動へ突き進むのみ!

★それだけの猛烈な大反乱を覚悟の上で、野田や小宮山や一川防衛相も、米倉経団連も好き勝手なことを放言していることについて、首根っこを洗って待っていろというしかありません。

★非正規職撤廃・全原発廃炉・大増税粉砕・「子ども子育て新システム」粉砕・TPP絶対阻止・・・・・・怒り、つながって団結すれば、99%は1%に負けるはずがない!!!

★想いを一つに、心を一つに、声をあげ、たちあがろう

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 (すぐ上の写真は、ムバラクをたおした第一次エジプト革命のタハリール広場ではなく、軍部と衝突が始まった11月下旬のタハリール=第二次エジプト革命の始まりの画像です)

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11・3新システムにNO!保育大集会、反原発・非正規職撤廃-11・6日比谷大集会に行こう

2011年10月30日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

原発なくせ、社会を変えよう、子どもたちを守れ!

11・6日比谷への総決起を呼びかけ

    ・・・・・・・・・・・・・・福島の女たちに続こう!!!

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(経産省前・福島の女たちの座り込みに寄せられたフランスから寄せられたメッセージ)
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(子どもを守れ!怒りを胸に集まった人々は、しかも根本から明るく誇らしい。朗らかでおおらかでやることが楽しい!)

子ども・子育て新システム」絶対反対!子どもたちを守れ!すべての原発いますぐなくせ!非正規職撤廃!

ー 11・3新システム」NO!の日比谷集会を新自由主義と闘う絶対反対の怒りの大集会に!すべての怒りを11月6日日比谷大集会・1万人大デモに!-

 これまでデモや集会の経験がない人々が世界中、日本中で声をあげ、たちあがっています。はじめて参加する人がデモや集会の一部という時代は終わりました。はじめて参加する人が7割・8割・9割という新い変革の時代、躍動の時代がはじまりました。日本中、世界中で生きさせろ、生き抜こうという行動が始まっています。ここから歴史は新たにつくられ、ここから社会は変わるのです。社会を変えるのは、政府でも国会でも政党でも御用組合でもない。私たち99%の労働者人民です。デモと座り込み、そしてストライキの中から、私たちは99%の労働者全人民の闘いの砦として労働組合をよみがえらせ、巨大な反政府の運動を縦横無尽、柔軟に闘える広大な組織をつくりだし、政府にとって代わり、新しい社会を私たち99%が運営する社会、いかなる搾取と収奪、いかなる差別と抑圧もない人間中心の社会としてつくりだすのです。

 11・6集会には福島はじめ全国から、そして韓国、アメリカ、ドイツはじめ全世界から新自由主義と闘う国際統一行動として大勢の人々が参加します。私たちは反原発・反失業、非正規職撤廃を掲げて参加します。日比谷から一万人の大デモに繰り出し、犯罪企業・東電を徹底弾劾し、原発再稼働の野田政権打倒を全世界に呼びかけます。みなさん、いっしょに日比谷に行こう。11月6日日比谷野外音楽堂にみんなで集まろう。

参考: 以下は「われら99%」(「we are the 99%(as we gather ogether)」)

「われら99%」youtube画像の転載 http://www.youtube.com/watch?v=IgEdrh617qs

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東日本大震災救援対策本部 ニュースからの転載

 前掲27日からの経産省前座り込みとそこでの発言を報道しています。

転載で紹介します。 

反原発・反失業!

怒りを力に!116日比谷へ
反原発・反失業の国際統一行動を!
国鉄1047名解雇撤回!
 非正規職撤廃!
新自由主義とたたかう
労働組合の全国ネットワークを
116全国労働者総決起集会
116日(日)正午 東京・日比谷野音

 

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「新システム」NO!11・3保育大集会【②】労働者の団結で「命よりカネ」の新自由主義と闘おう

2011年10月29日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

福島の女性たちが経産省前で座り込み開始!(10月27日~)

「原発を全部とめろ」「子どもを守れ」「放射能から子どもを守ろう」

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(座り込みが開始されたことを報じる当日夕刊記事・・・福島からは29日までの3日間で111名が座り込みに参加すると報じている。実際には27日、座り込み現場には1000名に達する大勢の人々が支援にかけつけ、700名をこえる沢山の人々が共に座り込んだ。30日から11月5日まで全国から集まった人々によって座り込みは継続される。)

福島原発事故と私たちと子どもたちに襲いかかっている事態はいっさいの曖昧さ、まやかしをはぎとった。いま起きている全問題・・・これは「命よカネ」の新自由主義との私たちの命と未来がかかった《戦い》だ。

 重いと言えばあまりにも重い現実の確認となりますが、2011年3月11日の東日本大震災・福島原発事故を通して、いま起きている全問題や全攻防で、このうえなく明瞭になって来ている問題とは、この問題ではないでしょうか。この私たちと子どもたちの命と未来が懸っている戦いという逃れようのない現実に立ち向かおうとするとき、そこに重さを突き抜けて、展望が見え、希望が明瞭になるということです。これは私たちが生き抜くための闘い、人間が人間として生きることができる社会をめざす、新たな社会をつくる闘いだからです。

 (1)新自由主義とは、資本主義の極致として、「利潤(資本家のカネ儲け)のためには労働者人民の生活状態や命などいっさい顧みない」、利潤を求めて自己運動する資本の本質が極限までむきだしになった、その支配階級の政策・イデオロギーへの反映であり、「利潤の追求のためにはいっさいの社会的紐帯もズタズタにし、社会が焼け野原になろうとも一向に構わない」というものだ。それは日本では1987年国鉄分割・民営化を節目として民営化・非正規化・外注化として激しく推し進められ、ワーキングプア化、貧富格差社会の拡大が激しく進行してきた。労働組合破壊と御用組合化、労働者の団結破壊と無権利化、社会福祉・社会保障の解体が、労働者人民を丸裸にするように進められてきました。私たちは国鉄分割・民営化撤回の国鉄闘争を先頭にこれと闘ってきました。

 (2)だがこの10余年、20余年、言わばあれよあれよという間に進められてきた新自由主義はそれでもついに破たんしました。破たんが完全に明らかになり、新自由主義の社会のありかたそのもの、社会そのものが根本から全労働者全人民の危機意識と憤激・怒り、批判・変革の対象となっています。リーマンショックによる世界大恐慌の爆発であり、そして2011年3・11福島原発事故です。そしてギリシャ危機・EU危機と世界大恐慌の拡大のもとでの全世界的な労働者人民の生きんがための反乱の「革命」「ゼネストと大規模反政府デモ」「暴動」です。新自由主義とその腐敗せる金融の総本山であるNYウオ-ル街から始まり全世界に拡大している「占拠」運動とその掲げる「われわれは99%」スローガン。「管理デフオルト」を宣告されたギリシャにおける「われわれの生活は国が破たんする前から既に破滅している。政府が破たんしようがわれわれは生きる必要がある」、3・11福島原発事故直後に政府をして原発停止や原発断念に追い込んだドイツ、イタリアの労働者人民の決起。すべて新自由主義との非和解的闘いです。

 (3)ここに起きていること、ここで問題になっているのは、社会の現状、制度のあれこれの「改良」や「改善」の問題ではありません。(社会を牛耳る支配階級自身がいかなる「改善」「改良」「打開」の出口も持っていないというだけではなく、また今の新自由主義のやりかた以外に何もないというだけではなく)この支配階級の手に社会を委ねていたら人民(人間)は生きていけない、私たちも子どもたちも飢え死ぬか、皆殺しにされてしまう、1%にも満たない一握りの政府・資本家階級のカネ儲けのために99%の労働者全人民が犠牲になるようなこの社会そのものがおかしい、この社会そのものを変えるしかない、という問題です。

 (4)3・11福島原発事故の今なお続く危険拡大と放射線被曝・放射能汚染の拡大、そのもとでの原発再稼働・原発推進、ますます進む大失業と9割非正規職化で私たちに突きつけられている問題とはこのことにほかなりません。いや、この原発と大失業・非正規職化に《命よりカネがすべて》という核心が突き出されているが、すべての問題がそうなっている。TPPしかり、辺野古新基地建設=日米合意しかり、増税しかり・・・・すべてがそうです。3・11を通してすべてがはっきりしたということではないでしょうか。

 (5) 「子ども・子育て新システム」との攻防もそうです。どうしたら、いまの保育や幼児教育の現状をよりよくできるかが争点なのではもはやないカネ儲けがすべてでそのためには全部民営化し、子どもの命や成長などどうなってもかまわない、職員は最低賃金並の安上がりのパート・アルバイトで使いまわし使い捨てればいいという新自由主義との闘いが「子ども・子育て新システム」をめぐる闘いです。つまりすべての攻防がそうであるように、政府・財界ー支配階級という敵がいる闘いです。その「カネがすべて」の1%の敵に対する99%の労働者全人民の生き抜くための闘い、社会を変えようという闘いです。私たちは今日明日食う、生きることで何も持っていない「丸裸」にされたが99%の仲間がいる。これに対して、敵は1%・・・・つまり丸裸、裸の王様になったのです。

原発絶対反対、「新システム」絶対反対。子どもを守れ、非正規職撤廃

 福島原発事故と政府・東電の事故対応、放射線被曝・放射能汚染の拡大、御用学者・マスメディアの対応を通して、私たちは言わば新自由主義の極致というもの、その極悪の正体というものをまざまざと知りました。その観点で「新システム」を俯瞰するとあらためて「新システム」がめざすもの、ひきおこすこと、行き着く先が完全に見えます。ここでは順不同で思いつくままですがメモとして列挙しておきます。

雇用構造・労働条件

  ★原発:東電(電力資本)は現場に本社社員をまったく配置しない。保守・点検等の現場作業は何重もの下請構造で非正規労働者が従事する。すさまじい何重もの中間搾取のうえで支払われる賃金はスズメの涙。ほとんど防護措置のない無防備で被曝労働が強制されてきた。放射能下で作業する資格、研修なし。

  ★「幼保一体施設」(現在株式会社で運営している保育所等の現状で見える):施設の所長も主任格も契約社員。直接子どもに接する職員はパート・アルバイト。勤務は時間シフトと曜日ローテーション。賃金は所長~主任格でも月給20万円前後、一般職員は時給800~900円の最低賃金並。「資格の有無は問わず」。

事故

  ★原発:作業員に「命の安全」なし。訴訟に見られるように被曝症認定もほとんどなし。原発由来の事故原因は「作業員の不注意」に転嫁、電力会社は事故責任回避。原発事故がひきおこす犠牲と被害の規模は幾十万幾百万人、一生、生涯に及ぶ影響、子子孫孫、何世代にもわたる影響。政府は「福島原発廃炉まで最低でも30年」と事も無げに公表した。ふざけるな。「30年以上廃炉にはかかる」とはその数倍十数倍・・・と延々と危険と苦しみ、不安の日々が続くと言うことだ。まっぴらごめんだ。

  ★保育事故:この1年で10名以上の乳幼児が死亡。ヒヤリハットの法則に基づけばすさまじい危険に子どもたちはさらされている。事故責任は「職員」に転嫁。職員の配置人数や乳幼児詰め込み等での保育所の事業所責任は隠蔽。子どもを職場で死なせた職員の苦しみ、わが子を保育所や幼稚園で「殺された」保護者のくやしさと苦しみ、とうてい言葉にはできない。職員のせいでも保護者のせいでもない、すべてあげて民営化・非正規化、新自由主義のせいだ。

対外宣伝

  ★「原子力=クリーンエネルギー」:この大ウソのもとで原発労働者は命を削る被曝労働、周辺住民には放射能被害

  ★「子どもの安心・安全」「健やかな成長」:この歯の浮くような綺麗ごとのもとで保育労働者には心身ぼろぼろになるような激務、子どもたちには命の危険。

規制・基準・・・・対象やレベルが違う話だが、そっくりの国の考え方、手法が示されている。

  ★放射能:放射線被曝線量や放射能汚染に関わる食品その他に関わる国際的基準値や暫定規制値について、起きた事故と放射性物質の放出量、線量に合わせ、現実の検出量や測定数値が「安全圏内」におさまるように「引き上げ」。「安全」「健康に影響はない」。

  ★保育所:乳幼児の年齢に応じた職員の配置員数、施設の面積と受け入れ乳幼児数、その他に関する基準の「弾力化」「緩和」。児童福祉法や認可保育所の設置基準、認可外保育所の標準要綱を次々と民間が参入しやすいように、自由化してきた。無認可保育を容認するために認可外保育のルーズな要綱をつくってきた。詰め込みを促進するために定員を青天井にしてきた。「新システム」はいっさいの規制の緩和。

国策として、以上のことが「原発推進政策」「公的保育解体・保育民営化政策」として行われてきた。

原発も保育民営化=幼保一体化も、事故が起きることが不可避な構造があることが明らかであるのに、「カネ儲け」「国にとっての低コスト」「効率性優先」で進められてきた。「命よりカネ儲け」・・・それが原発推進・原発再稼働・原発輸出であり、「子ども子育て新システム」だ。福島の子どもたちはいま「戦場」に置かれています。「新システム」もまた親にとっては子どもを「危険」に送り出すようなものだ。

鍵を握っているのは、労働者。労働者の団結と決起が原発を停止・廃炉に追い込む。子どもの命を守る。

★原発で働く労働者:「獅子身中の虫」

★保育所・幼稚園で働く正規・非正規の労働者

原発に示される新自由主義の極致、福島原発事故が示した底なしの地獄の惨状、おそるべき犠牲と被害・・・・、「新システム」がひきおこす事態、「新システム」で行き着く先に私たちがみるものは同じです。闘わなければ私たちは生きられないし、子どもたちの未来はない。闘って未来を拓こう。闘って未来を変えよう。

特別に重要な確認点

(ⅰ)幼保民営化下の職員が非正規であること、そこに子どもを預けて働く保護者もほとんどが非正規であること。同じ非正規、そして正規も非正規も同じ労働者。ここで手をつなごう!

(ⅱ)原発労働者の被曝労働強制との安全確保の闘いと放射能被害と闘う周辺住民の闘い。幼保労働者の労働条件と団結権の闘い・組合による職場支配の闘いと子どもたちの安全と成長を願う保護者の要求。

(ⅲ)現場労働者の団結なしに労働者の安全、住民・子どもの安全なし。

(ⅳ)そこでの女性、とりわけ母親の決起の持っているはかりしれない底力と位置。親は、とりわけ母親は子どもを守るためにjは命がけで闘う存在であること。社会の半分を支え、天の半分を背負う力、勢いはいったん火が付いたらもう退けない、退かない。福島の女たちの闘いに続こう

                 
           

11・6日比谷野音に総結集しよう

反原発・反失業!

怒りを力に!116日比谷へ

反原発・反失業の国際統一行動を!

国鉄1047名解雇撤回!

 非正規職撤廃!

新自由主義とたたかう労働組合の全国ネットワークを

116全国労働者総決起集会

116日(日)正午 東京・日比谷野外音楽堂】

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11月3日に日比谷野音で「子ども子育て新システム」反対の大集会

2011年10月26日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

 11・3日比谷の保育大集会を前に、①②③の計3回で訴えます。原発再稼働・民営化・大増税の野田政権もろとも政府「子ども子育て新システム」を絶対反対で葬り去ろう。

保育所・幼稚園で働く正規・非正規労働者を先頭に、日本中の母親・父親の声を集めて絶対反対で粉砕しましょう!!

 11月3日東京・日比谷野外音楽堂で正午開場・13時開会で「新システムNO!国は保育に責任を!すべての子どもによりよい保育を!11・3大集会」が開催され、集会後は大デモ(パレード)が行われます。

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(上は昨年11・14日比谷野外音楽堂、全国から「新システム」反対の怒りで4800名が大結集)

経産省前、福島の女たちを先頭とする「ついに・・・立ちあがり、そして座り込む」緊急アクション (10・27~11・5)と結んで日比谷野音を「子どもを守れ」「野田政権たおせ」の怒りの大集会にしよう!

  11月3日のこの「新システム」反対の日比谷野外音楽堂大集会がもたれるそのとき、桜田通りを挟んで日比谷公園のはす向かいにある経産省前では、10月27日から29日、福島第一原発事故被災地・福島から上京したお母さん達が「子どもたちを放射能から守れ」を掲げて「ついに・・・・女たちは立ちあがり、そして座り込む」の福島の女たち100人の座り込みが闘われ、10月30日からは全国のお母さん達がそれをひきつぎ、11月5日まで10日間の座り込みが決行されます。

 日比谷野音の「新システム」反対集会と反原発・経産省前座り込みは同じ一つの闘い。敵はひとつ(野田政権、政府・財界)、私たちの想いもひとつ(子どもを守れ、私たちの未来を奪われてたまるか)、日本中のみんなで心をひとつに大きな声をあげ、つながりあって闘いましょう!(「福島の女たち」発のこの経産省前座り込みの緊急アクションについては  http://20110311.blog.shinobi.jp/   をごらんください)

カネ儲けがすべての「新システム」の正体

 2010年、民主党=連合政権が鳩山政権から菅政権に代わったとき、財界肝いり、鳴り物入りで突然打ち出されたのが、いまの公立の幼稚園と保育所を全廃し、すべての幼稚園と保育所を幼保一体化で「こども園」に統合するという「子ども子育て新システム」でした。

 「新システム」の「制度(案)要綱」は新たな雇用とマーケットの創出」「新成長戦略との連携を新システムが何が何でも必要だという最大の理由としてあからさまに掲げていました。

 ここで言っている「新たな雇用の創出」とは既に始まっている大恐慌時代の経営としての雇用の9割非正規職化=大量の低賃金不安定雇用によることによって企業が利潤を確保し儲けをのばすこと。

 私たち労働者世帯にとってはこれはどういうことか?これでは食っていけないがゆえの共働きの常態化であり、複数の仕事をもたなければ生きていかないダブルジョブ、トリプルジョブ化であり、大量の「保育に欠ける子ども」を抱えた労働者世帯の爆発的な激増です。

 政府・財界が「新システム」を「新成長戦略の目玉政策」と位置付けているのは、この「9割非正規化」の強行で生み出される「保育に欠ける子ども」の大量発生をも「新たなカネ儲けビジネス」の産業分野としている点にあります。

 つまり「新たなマーケットの創出」とは公立の保育所と幼稚園を全廃し、株式会社による運営を前提に民間企業に市場として全面開放するということにほかなりません。。

  「新システム」のもとでは、保育所・幼稚園の制度的全廃によって、現在の保育所・幼稚園の職員は全員いったん解雇し、ごく一部(1割)ほどの契約社員と過半(これまた9割)のパート・アルバイトからなる非正規職員を低賃金で大量に採用し、いったん解雇された職員もこの非正規職として再雇用するということ。

 「子育て支援」とか「待機児童解消」とか「育児と就労の両立」とか「安心・安全の保育」とかいう「新システム」が並べ立てている綺麗ごとは全部、雇用の9割低賃金非正規化・不安定雇用化、総ワーキングプア化の犠牲による企業のカネ儲けという「新成長戦略」の真実の目的を押し隠すために飾り立てられた大ウソに過ぎません。

 「新システム」が「保育も教育も」といった歯が浮くような「よい(?!)制度であるはずがありません。パート・アルバイト職員による細切れ勤務時間のシフト制と月水金と火木土と土日等々の日替わりローテーション、職員間ではミーティングもなければ申し送り・ひきつぎもできない、園長も主任格の職員も有期短期契約の契約社員。会社はこうすることで人件費の極限的切り下げの追求でカネ儲けになるが、これでは肝心要の子どもたちの命や成長には職員がどんなに真摯でどんなに頑張っても責任もとれなければ安全も守れない。このかん公表されているだけでも年10人をこえる子どもの死亡事故、あいつぐ保育事故はもっと「新システム」で激増することは火を見るよりも明らかです。】

「新システム」(法案)の破たんを規定する基本的情勢

 歴代政権・国と財界は、一貫して保育の解体と民間企業への市場開放を狙って保育民営化の攻撃を繰り広げてきました。ここでは結論的に要約しますが、

①保育所定員の弾力化や設置基準の規制緩和、

②保育所運営の外注化・業務委託化、

③保育所職員(公務員)のクビきり・非正規化、

④私的カネ儲け=「ちびっこ園」に代表される無認可保育の拡大、認可外保育の拡大

⑤そのもとで認可外・無認可保育所でも、認可保育所でも相次ぐ保育事故、乳幼児の死亡事故が頻発、激増してきました。公表された乳幼児死亡事故、保育重大事故は氷山の一角

 この一連の保育民営化の攻撃に対してこれまで「福祉の最後の砦=保育所を守れ」「子どもを守れ」を掲げて闘ってきた保育所・幼稚園で働く職員が、「新システム」に反対して立ち上がったのは当然でした。昨年11月14日には日比谷野音を埋め尽くす大反対集会がもたれました。政府は今年の通常国会で「新システム」法を通し、2013年度からの要綱通りの制度実施をめざして、1月から3月の過程で、ワーキングチームを使って、新制度財源の問題を除く法案の中身のほとんどをつくって国会当初段階からの法案上程を予定していました。しかし、その「新システム」の工程表は、実際には主要に四つの絡み合った理由で崩れました。

 (1)幼保労働者の怒り、保護者の決起   何よりも、保育現場、幼稚園現場で、保育の仕事の何たるか、幼児教育の仕事の何たるかを一番知っている職員(労働者)の反対、子どもを保育所・幼稚園に預けて働き、子どもの成長と未来が一番気がかりな保護者の怒りと反対の声の大きさです。

 (2)3・11大震災・福島原発事故   「新システム」法案準備過程そのもの、通常国会そのものを根底から吹っ飛ばす3・11東日本大震災・福島原発事故が起きたことです。何度か「火事場泥棒」よろしく突破を画策した模様ですが、3・11情勢の激しさと大きさは、「震災対策」「原発事故対応」一辺倒を政府に余儀なくさせたのです。「新システム」がどんなに「新成長戦略の目玉政策」であったとしても、それどころではなかったというのが政府の実情でした。「新システム」を「目玉政策」にして登場した菅政権は3・11情勢によって吹っとび、私たちの怒りによって引きずり倒されました。

 (3)空前の財政破たんと「新システム」の財源問題  民主党政権の、と言うよりも日本の政府・財界=支配階級の最大の危機的なネックの問題としての財政破たん状態です。そもそも民主党政権スタート時点で、国と地方の累積債務は対GDP比200%(世界最悪)に近づき、歳出は税収額をも上回る借金でまかなわれる財政赤字に至っていました。「新システム」は公立保育所・幼稚園に現在かけている補助金・助成金を全廃し、民間に丸投げすることでコスト削減するとしながらもそれでも「新システム」維持のためには労使拠出によるか消費増税によるかしてそれで「新システム」運営の財源をひねり出すしかないという何とも先行きが不明の問題点をかかえていました。そこへ3・11東日本大震災・福島原発事故が直撃した。復旧と原発事故対応、賠償・・・ここにこれから政府が注ぎ込まねばならない財政総額は想像を絶するもので、政府にはいまだ算出すらできていません。このとき、増税の名目に「新システム」財源を潜り込ませるようなことが今の政府にできるか?「復興増税」に加えて「子育て増税(新税)」など持ち出すことができるか。私たちほとんどの国民にとっては「減税」が実施されるべき、生きていけない大恐慌・大震災状況下で、真逆に「増税」とは何だ。ましてや「子育て減税」ならざる「子育て増税」など誰が認めるか。

 (4)命の問題で御用組合に労働者は従わない  民主党ー連合政権という形で御用労働組合を使って、保育所・幼稚園の職員(労働者、組合員)の反対と抵抗をおしつぶして「新システム」=幼保民営化にこぎつけるというのが、政府・財界の魂胆でした。しかし、保育所・幼稚園・自治体の職場で働いているのは、御用組合のナショナルセンター・連合中央でもなければダラ幹でもありません、その現場が、「新システム推進」を労働組合の名で現場に飲ませようとした組合中央に抗議と怒りの叛旗を翻して反乱を開始しています。政府の危機のもとで自治労本部は、今夏7月末に、富山で全国保育集会と称して「新システム推進」で組合を「固め」、8月24~26日の長野での自治労定期大会で「新システム推進」を決議しようとしました。

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(8月24~26日自治労定期大会(長野)での「新システム」絶対反対の決起)

 その自治労定期大会では怒りと反対、抗議の発言、質疑が相次ぎ、自治労本部のもくろみは完全に粉砕されました。連合傘下であろうと全労連傘下であろうと自治労傘下であろうと日教組傘下であろうと関係ありません。職場・現場の組合員(労働者)の怒りや危機感は労働者として譲れない攻撃には必ず労働者として絶対反対で立ち上がります。これは9・19明治公園さようなら原発6万人大集会が示した通りです。

この力、自治労定期大会で「新システム推進」決議を粉砕した怒り、9・19に大結集した労働者の怒りの力で、11・3日比谷集会を大成功させよう!

 「新システム」を規定するこの4つの基本的情勢は、野田政権によって何か政府財界にとって「好転」したでしょうか?全然そうではない。この4つの規定的な問題点は何一つ政府・財界にとっては「解消」していません。ハッキリ確認すべきは次の点ではないでしょうか?「新システム」の2011年国会通過など絶対にできないし、私たちは絶対そうはさせない、ということです。「新システム」法案は、財界が何をわめこうが、政府ワーキングチームがどんな成案をまとめようと、破たん必至、瓦解同然と言っても言い過ぎではないでしょう。国会や法案の上程・審議・採決で何かが決まるという情勢ではもはやありません。いっさいは衝突・激突で決まります。

デモと座り込み、ストライキで野田政権たおそう

 福島原発事故情勢は「収束」の見通しもまったく見えない危機的悪化の一途です。パリバショック~リーマンショック以降の世界大恐慌は、ギリシャ危機の永続的拡大を火点にEU各国の財政破たんと世界金融恐慌の爆発にいたって、世界経済を破局的な収縮段階に叩きこんでいます。その中でも世界最大の財政破たんにあえぎ、大恐慌・大震災情勢で二進も三進もいかなくなっているのが、日本経済であり、日本の政府・財界です。この中で原発再稼働、辺野古新基地建設=日米合意強行、TPP参加、復興特区=大民営化、大増税で超反動で突っ走り始めたのが野田政権です。しかし、それは野田政権の「強さ」などではもとよりありません。反原発の闘いはますます燃え上がります。9・19明治公園6万人大集会を通して労働運動の再生、青年労働者を先頭とした労働組合の再生の闘いが燃え上がっています。全争点が政府・財界ー支配階級と私たち労働者全人民との非和解的な衝突になっています。この闘いは全世界と連帯しています。いっさいは私たち労働者人民と政府・資本家階級との階級闘争で決します。政府がこう決めたからと言って進む情勢でもなければ国会が審議をすれば決まるものでもない。これがいまの情勢の根本的な特徴です。

 「新システム」めぐる攻防ももはや法律や制度、システムの転換や移行の問題ではなくなっています決するのは、保育所・幼稚園の職場での労働者の闘いであり、子どもを施設に預けて働く保護者(労働者)の怒りの決起です。資本(企業)は資本(企業)で実際には「新システム」の法制化を待たず、株式会社として大都市圏を中心に各地で認証保育所(都)、認可保育所という形や業務委託という形で民間保育所をつくり、「新システム」でそうなるような契約社員1割、パート・アルバイト9割の雇用配置でスタートしており、保育所にとどまらず、学童クラブや児童館にも手を伸ばし、一人で多数の乳幼児を預かる保育ルームや派遣ママ(訪問保育)にまで手を出して、この分野を新市場としてカネ儲けを追求しています。株式会社・日本保育サービスはその最大手です。これは保育の市場化のもとでの民営化・非正規化との攻防そのものです。

 保育所・幼稚園だけではない。全国の全職場が、全工場が、資本家とその政府との労働者が生き抜くための戦争になっているのです。職場と地域と街頭が政府・資本家階級との衝突の対決点になっています。すべての原発をいますぐなくせという反原発の闘いを挙げるまでもなく、私たちは、人間が人間として生きることができる社会をつくる戦争に、全問題をめぐって入っているということです。「新システム」をめぐる攻防も、まさしくそのひとつにほかなりません。子どもの命と未来を守るためには私たち自身が闘うしかない、政府を倒し、社会を変えるしかありません。

 エジプトやリビアの闘い、ギリシャの闘い、全原発を止めるドイツやイタリアの闘い、ニューヨーク発の「ウオール街を占拠せよ」「われわれは99%だ」の闘い、が示しているのはそういうことです。社会を動かし、支えているのは、私たち99%の労働者人民です。ところがいま、「命よりカネ」「子どもの未来よりカネ」と言って、99%の犠牲の上に富を貪り続けると言いそのように権力を行使しようとしているのが、政府であり財界・資本家であり、そのとりまきです。99%が1%を包囲し打倒し、とってかわるしかありません。99%の私たちが完全にひとつにつながることが1%に過ぎない敵を打ち負かし、敵にとってかわる道です。99%だからこそそれは可能です。「新システム」反対の闘いも、その一環であり、子どもを守り私たちが生き抜くための戦争そのもの、99%の1%に対する闘いそのものです。

 

 

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7月29日から自治労・全国保育集会 ★つぶそう!「子ども・子育て新システム」Q&A10題

2011年07月26日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対
自治労7月29日~31日全国保育集会(富山駅北口オーバードホール)が近づいている。保育労働者・公務員労働者のクビきり・民営化・非正規化の最悪の先兵・自治労中央に生き抜き闘い抜く労働者の怒りを叩きつけよう!「子ども・子育て新システム」絶対反対!公務員制度改革・360万労働者クビきりと闘おう!

 。自7月6日政府「子ども・子育て新システム」検討作業チームが、これまで政府や同部会が何回か出してきた成案の焼き直しとほとんど変わらぬ内容で「中間まとめ」と題する報告を発表した。2013年度に制度導入と言っている。みんな反対だ。そもそも今の政府そのものに反対だ。この政府に代わって御用組合・連合・自治労が組合定期大会で「新システム」と同じ中身を『労働組合』の方針・路線として決定しようとしている。そのために、「新システムに反対の組合員は参加させない」という動員方針のもとに、自治労保育集会を7月29~30日の富山集会として行おうとしている。自治労は労働者の団結形態であり全労働者人民の闘いの砦となるべき労働組合を「自主的に解体」しようとしている。国労同様に流れ解散・自己解体しようとしている。その突破口を保育労働者クビきり・保育民営化で拓こうとしている。政府の法律がなくても自治労が財界・政府の代わりに現場で「新システムの道をつける」というのだ。「労働組合」の名でこれをやると言っている。怒りを爆発させよう!口先「新システム反対」の全労連と日本共産党は、国鉄1047名闘争で解雇屈服・闘争団解体・国労解体でそうだったように連合・自治労の「新システム」、幼保労働者いったん解雇・総非正規化に屈服し攻撃の先兵になる。現場の労働者はこんなものを絶対に認めない!こんなものは私たちの怒りで必ず粉砕する。労働組合を裏切り者から取り戻せ。正規も非正規も、常勤も非常勤も、パートもアルバイトも、労働者が生きていくためには労働者家族が暮らしていくためには、労働組合が必要だ。政府・財界・企業・裏切り御用幹部・既成政党がなくそうとしているものこそ、私たち労働者が復権・再生すべき労働組合だ。ここで「新システム」と対決し勝負しよう。私たち労働者の団結こそが労働者と子らのいのちと未来を守る闘いだ治労7・29~保育大集会を反原発・反失業・反「新システム」の怒りの総決起の場にしよう。

 私たちの基本見解に変わりはない。


「子ども・子育て新システム」と幼保一体化・保育民営化に関するQ&A10題


以下、単刀直入に結論的骨子でQ&Aを列記します。

とはいえ、10のQ&Aとなると全文は長くなります。そこで便宜、Q&Aの10の表題を先に記しておきます。この番号順でのQ&Aになりますので皆さんの関心と問題意識で選択してごらんになることもできます。


Q&A・1-「新システム」とは?

Q&A・2-どこから出てきた制度構想?

Q&A・3-いまの保育所、幼稚園はどうなる?

Q&A・4-いまの職員はどうなる?

Q&A・5-「新システム」で資格の問題はどうなる?

Q&A・6-保育料はどうなる?

Q&A・7-そもそも新制度の財源は?

Q&A・8-「新システム」で子どもはどうなる?

Q&A・9-「待機児童ゼロ作戦」とは?

Q&A・10-「新システム」に対してどうしたらいいか?



Q・1 「子ども・子育て新システム」とは何?

 A・1 菅民主党政権が昨年6月に基本制度要綱案を出しました。これまでの保育制度と幼児教育制度の抜本的一括的再編も含めて、「子どもと子育て」「多様な働き方のもとでの仕事と家庭の両立」の全問題について十把一からげの包括的制度にするというものです。

 幼稚園・保育園の子ども園への一体的統合にとどまりません。就労支援での年中無休・24時間開所による子育て支援として、一体化施設・子ども園、児童館・学童クラブ・放課後児童教室、病児保育、障害児保育、一時預かり・保育ママや保育ルーム等の小規模保育サービスを新設・再編・網羅し、株式会社も含めた民間企業も参入させ、個人まで動員してこの仕組みを実施し稼働させるというのが制度設計の骨子です。


 Q・2 保育所の規制緩和や幼稚園の小中学校間競争・格差にひきずられた変化は気にはなっていたが、この「新システム」はあまりに急な話で唐突な感じ・・・何でこういうことに?誰かが火をつけたの?

 A・2 その通りです。この「新システム」の制度案では「新たなマーケットと雇用の創出」「新成長戦略との連携」という目的が掲げられています。保育や幼児教育というものとはまったく別のところから、政財界特に財界の要求からにわかに制度設計されました。それが法案となり法律になり制度として実施・強行されようとしています。制度化の火元は、政財界中枢であり、理由を挙げれば、以下の4点ないし5、6点にわたります。

(1)経団連の「成長戦略2010」では「雇用の創出」「多様な働き方」ということと「子育て支援の産業化・市場化、そのための規制撤廃」ということが大きな戦略的な政策項目になっています。2009年9月のリーマンショック以降の国家戦略として、「労働力配置=雇用は9割をパート・アルバイト等の非正規にする」(1995年「新時代の日本的経営」日経連報告)という指針のがむしゃらな実践が目指されています。労働者の賃金体系全体を低賃金化し、専業主婦も家庭から刈り出し、共働き・家族総働きしないと暮らしていけなくさせ、そうすることで総人件費をおさえて企業の利潤を少しでも大きく確保しようとしています。そこでネックになるのが子どもの問題、子育ての問題。総非正規化で「保育に欠ける子ども」が大量に生み出されることに対してその「処方箋」が「新システム」の理由の第一。「子どもの保育」や「働く親」のためではありません。労働者の賃金をこれまでの半分、三分の一といった低賃金にし、ひとりの稼ぎでは生計がままならない状況にし、大量の非正規労働者をつくりだすことで企業が利潤を確保する、この国策がまず最初にあり、そこから、その全社会的な強行・貫徹のために、この「新システム」が机上でひねりだされました。

(2)第二に、介護保険制度で介護・高齢者福祉を商品化・市場化・産業化したように、保育所・幼稚園、さらには子どもと子育てに関するすべてを一切の規制を撤廃して商品化・民営化・市場化し、企業にカネ儲けさせるためです。介護保険制度では、バブル経済崩壊後の「失われた10年」のもとで企業に対する救済・支援の「国策」として介護の市場解放・民営化を行い、鉄鋼、造船、電器といった基幹産業から教育・外食・娯楽産業まで、いっせいに施設介護、在宅訪問介護に異業種参入しました。居宅訪問介護最大手にのしあがったグッドウィル・コムスン(元はジュリアナ東京に代表される高級ディスコチェーン)とその労働者派遣法違反、中間搾取の組織的不正の発覚による業務停止・廃業は有名な話ですが、いま都知事選に出ている渡辺のワタミやニチイ、ベネッセグループも同じく高齢者介護を食い物、カネ儲けの道具として巨大企業にのしあがりました。「失われた20年」とリーマンショック以後の世界恐慌のもとで企業救済とコムスン・ワタミといった新規大化け型企業の台頭を「子育て支援」ビジネスで狙っているのです。前経団連会長や石原都知事と結びついて、保育・学童・児童館等の「子育て支援」ビジネスで「業界最大手」を狙っている㈱JPホールディングス・㈱日本保育サービスや「年中無休・24時間保育」を掲げて次々と事業所・施設を増やしている新規企業グループ、駅型保育所を埼京線と中央線を軸につくっているJR東日本の生活支援サービス事業・・・こうした動きを「新システム」で一気に活性化したいというのが財界の狙いです。

(3)第三に、もともと70年代から90年代、2000年代の小泉構造改革・規制緩和まで「保育は施設数が多過ぎ金食い虫だ」という攻撃があり、国の財政支出削減のために保育所への運営費補助金や幼稚園への助成金を削減する動きが何度もありました。そこにリーマンショックがあり、国債発行額が税収を上回る、国と地方の累積債務残高が1000兆円を超えて国家的倒産の危機、政府閉鎖のリアリティという事態になりました。これまで保育や幼児教育にかけてきたような予算はバッサリ切って、この際、国や自治体がカネを出し自治体が実施義務を負っている現在の法制度そのものを廃止する、今後はこの領域の事業は民間企業にやらせ、利用者の自己責任で企業と直接契約しサービスの提供を受けて応分の利用料を利用者に払わせる・・・国の財政破たんがあたかも「保育はじめ福祉や社会保障にカネをかけすぎたせいだ」と言わんばかりに槍玉にあげ、財政削減のために責任転嫁をはかっているのです。もちろん財政破たんについて私たち労働者人民には、いかなる責任もありません。この「財政削減」が第三の理由。

(4)もう一つ、細かく言うとさらに二つ三つ、深い隠されている理由があります。その一つが、これまでスムーズに民営化・規制緩和が進まなかった原因として現場の保育労働者の抵抗と団結、労働組合の存在の問題があります。この労働組合をつぶす、解体・一掃するということです。「新システム」の成否はこの労働組合つぶしにかかっているという面と、労働組合一掃のためにも、全保育所と全幼稚園をいったんサラ地にし、労働組合ゼロから始めるという面があります。つまり、サッチャー、レーガン、そして中曽根の国鉄分割・民営化をはじめとするすべての民営化がそうであるように、「新システム」は60万人規模の労働者を擁する幼保職場を解体し、労働組合をなくする、つぶすことも、直接の狙いになっています。

(5)二つ目は、保育園・幼稚園職員は公務員だということに関係します。国は2008年国会で既に国家公務員制度改革基本法を定めており、2011年通常国会でその公務員制度改革の法案を審議・成立させ、2012年度から実施する、地方公務員制度はそれに準ずると基本法で決めています。公務員制度改革は、360万人の公務員のいったん解雇、選別再雇用・総非正規職化です。「人事院勧告の廃止」「協約締結権を付与する代わりに労使交渉で賃金・労働時間・雇用関係を決する」「スト権を与えず協約締結権にとどめる代わりに、労使交渉が妥結しない場合の強制仲裁権を政府と中労委に与える」を骨子とする「ストライキ禁圧、クビきり・賃下げの自由化」法案です。公立保育所・公立幼稚園の職員60万人のいったん解雇・選別再雇用・非正規職化の「新システム」は、この公務員制度改革とワンペア、双子の法律であり、その突破口です。公務員制度を廃止し、道州制にもっていく、そのために、公務員労働運動をつぶす、公務員労組をなくするーそのために保育労働者の団結と組合を一掃しようとしています。

(6)最後の三つめが、学校教育法、教育基本法の廃止・解体、小中学校=義務教育の廃止・民営化のために、3歳児以上の幼児教育を民営化しようという魂胆で、ある意味では保育という面以上に幼児教育面を「新システム」での制度改変の隠された大きな狙いとしていることです。小中学校の義務教育過程の民営化、公立高校の民営化、その土台部分として幼児教育の民営化を狙っています。イギリスのサッチャーが強行した教育・学校の民営化であり、アメリカはじめ世界中で攻防の焦点になっています。日本の政財界が「国家百年の計」と言っているように自由競争原理の導入による教育制度改革は非常に大がかりなもの-究極の新自由主義、その極致です。この杉並区の区長職を任期途中で投げ出した前区長、いま日本創新党党首として零落の極右ファシスト・山田宏が尊敬してやまない福沢諭吉も、日本の資本主義の富国強兵・殖産興業による勃興期にそのイデオローグとして今で言う「新自由主義」の教育をあおっていました。「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずと言えり」と諭吉の『学問のすすめ』はあたかも「教育・学問の平等」を啓蒙したかのように私たちは教え込まれてきましたが、まったく反対に諭吉は「教育の階級は正しく貧富の差」であると言い切り、「この世で最も恐るべきことは、貧にして智ある者が世に出ること」「元来学問教育も一種の商売品にて、豊かにして父母の志篤き子のために上等の教育を買い、資力乏しく足らざる者は中等の教育を買い、中等より下等は・・・」と同じ『学問のすすめ』で貧富の教育格差は当然と説いています。学校教育の民営化、自由競争原理・市場原理の教育への導入とは、この諭吉が言う「貧富格差=教育格差」当然論です。「新システム」は幼児教育の民営化とブランド幼稚園の特化・制度化で子どもの間に貧富格差をもたらすものです。


 Q・3 今の保育所や幼稚園はどうなるの?

 A・3 現在開会中の通常国会に上程すべくまとめられた政府最終案をマスメディアは「子ども園と幼稚園・保育所の併存方式」などと伝えていますが、現在の保育所、幼稚園は全廃されます。

 ◆基本は0~2歳児保育と3~5歳児幼児教育を幼保一体施設として行う「子ども園」、◆形の上で存続することができる保育所は0~2歳児保育に限定する、◆存続が許される幼稚園は小中受験予備校に等しいブランド幼稚園のみ・・・この3パターンとなります。3パターンとはいえ、「存続する保育所」や「存続する幼稚園」はこれまでとはまったく違う運営です。政府は、今の国会で法案を通したら、これを2013年度から実施し、そこに向けて「子ども園」に移行した施設には手厚く補助金を出すという露骨な政治的買収・金銭誘導策をとっています。カネで現在「新システム」に反対し、あるいは難色を示して抵抗する自治体、公立保育所や公立幼稚園を揺さぶり、認可保育所の法人を脅かし、2年間で干上がらせ、投げ出させるか、子ども園への移行を急かし、首尾を遂げようと考えています。あくまで全廃というのが政府の方針であり、しかも、「自治体ごとに、実情に応じて、子ども園、乳児保育所、幼稚園の整備の実施計画をたてるものとする」と国の手は汚さず、自治体をしてこの全廃=移行・整備をなさしめようとしています。幼保一体化のこの「子ども園」整備を自治体が進める時、次には、児童館・学童クラブの「新システム」移行、これまでの児童館・学童クラブの全廃・民営化が自治体に求められることになります。


 Q・4 保育所や幼稚園で子どもをみている職員は専門の資格や免許をもった経験を積んだ人がほとんど。「新システム」では、そうした職員はどうなるの?

A・4 全員がいったんは解雇されます。つまりクビきりです。これまでの保育所と幼稚園の全廃であるということからそうなります。A・3であげた三つの形態になるということは、資格や免許を有する正規常勤職員も、非常勤・パート・アルバイトの職員も、いったん解雇され、総入れ替えになります。さらに民間の株式会社も全面的に参入するわけで、現在あって当面形の上で存続しても資金力が乏しく、補助金の廃止や縮減でたちゆかなくなったところは、企業に身売りするしか事業を続けられなくなります。

 「新システム」に移行すると、今の職員はいったん解雇され、「新システム」のもとでの施設運営者に選別再雇用や新規採用されるしか仕事を続けることはできません。今の公立保育所・公立幼稚園や社会福祉法人立の認可保育所の職員に対して国鉄型のいったん解雇・選別再雇用の攻撃が始まるということです。


 Q・5 これまでの資格・免許はどうなるのでしょうか?

A・5 保育士資格と幼稚園教諭免許の両方をとっておかないと「新システム」になるとどうなるかわからないという動きが保育所や幼稚園の職員の間で始まっています。しかし政府は口先では「質の高い保育」とか「良質のサービス」とか謳いながら、実際には、「子ども士」という非常にハードルが低い新資格に替えようとしています。注意しなければならないのは、この「子ども士」資格はハッキリ言って「資格ならざる資格」だということです。

 これまでは、たとえば保育所の場合には児童福祉法に基づく最低基準や認可保育所の設置基準というものがありました。そこから必然的に常勤職員には保育士資格が必須要件となり、全職員数に対する常勤職員数の「これ以下にしてはならない」という割合も定められてきた経緯があります。小泉規制緩和=保育弾力化でハードルは低くなったという経過はありますが、それでも大きな基準に保育士資格がありました。だから厚労省の文書でも「認可保育所であれ認可外保育所であれ、保護者は、子どもを預ける場合は、実際に保育所を見学し、児童数と保育士の数やベテランの保育士がたくさんいるか自分の目で確かめ、よく施設の説明を聞いて決めるように」という助言までしていました。職員の資格と経験は大きな基準だったのです。

 ところが「新システム」ではおよそ基準として現存するものは全部廃止されます。「新システム」では保育士資格や幼稚園教諭免許は事実上無意味で、せいぜい職員の月給や時間給でわずかの考慮が払われる一要素程度の意味しか持たなくなります。株式会社等の民間企業の参入の促進とは、現在の認可外施設の水準を子ども園の基準とするということです。むしろ、企業の参入の促進のためにこそ、基準を撤廃し、職員の資格・経験等のハードルを取り払っているのです。「子ども士」とはこれまでの無資格を「資格」と衣替えするに等しいものです。今、子育て支援ビジネス企業の保育所職員募集ホームページには「経験不問、無資格でも大歓迎」と書いているのがしばしば目につきますが、「子ども士」資格の内実はそういったものであり、せいぜいプラスアルファとして採用後の研修期間が付随する程度のものです。

 いま現在、子育て支援ビジネスとして既に認可保育園を設立・運営し、あるいは認証保育所を運営している株式会社の採用情報を見れば、園長・主任格の契約社員の場合で月給18万円~22万円、パート・アルバイトのスタッフの場合、時給830円、保育士資格有でもプラス50円となっているのが参考になります。資格・経験は賃金だけの問題ではもちろんありませんが、「新システム」では資格・経験がほとんど意味を持たない賃金水準になります。

 なお、子ども園、幼稚園、乳児保育所の問題だけでなく、資格の問題では保育ママの預かり保育の問題もあります。政府の「新システム」では保育士資格無の無資格の保育ママによる一時預かり保育が前提になっています。現在の保育所では保育士が一つの同じ施設=職場で複数で集団的保育を行っており、たとえば認可保育所では0歳児の場合は3人の乳児に最低1人、つまり1人以上の保育士を配置しなければならず、他に職員がいる施設であることが前提になっています。施設ではないマンションの一室で乳幼児を無資格の保育ママが一人で預かることには、かたときも目を離せない子どもの命にかかわる保育事故の危険があります。「新システム」は基本的に「無資格」システムであり、誤解を恐れず、たとえて言えば自動車の「無免許運転」にも等しいシステムだということです。


 Q・6 気になるのは保育料、「新システム」ではどうなるのか?

 A・6 これまでとは、仕組みも、保育料金の金額も大きく変わります。まず仕組みです。保育でいえば、これまでは、「保護者の就労等の事情で保育に欠ける子ども(家庭)」に対しては、自治体に「公的責任による保育の十分な保障の実施義務」がありました。

 保育料は、保護者の前年度の所得税・住民税の課税状況と入所する子どもの年齢に応じて自治体が算定し自治体の長が決めてきました。保護者の収入の実情に応じて決められた保育費負担額が決められ、保護者が自治体に支払ってきました。その子の保育に必要な保育費から保護者が支払う保育料の残りの全額は国と自治体が、国が二分の一、都道府県と区市町村がそれぞれ四分の一ずつ、公費で負担する仕組みでした。いわゆる応能負担制度です。保護者が自治体に保育料として支払う金額は保護者の収入と自治体の実情によって差異がありますが、たとえば年収が400万円から600万円の場合、認可保育所に子どもを預けている保護者が支払う保育料は、厚労省調べで平均月2万円~3万円です。

 ところが「新システム」は「自治体の保育の実施義務」を制度として廃止します。保育は国や自治体の公的責任から外されます。保育が「公的に保障されるべきもの」から外されるというのは、保護者が自己責任で施設の事業運営者(経営者)と直接契約を交わし、子どもを預かってもらい保育サービスを受けるという商行為(商品の売買)関係になるということにほかなりません。自治体は、事業者を指定し、その指定事業者を保護者に紹介・斡旋するだけで、この指定と紹介・斡旋以外には基本的には何の責任も負いません。保育サービスの利用料金は標準公定価格を国と自治体が提示はしても、指定事業者はその公定価格を参考にはしても遵守・履行は求められません。指定事業者が自由に金額を決めることができます。その保育サービス料金は、「新システム」では保護者が直接指定事業者に支払います。

 保育料は、介護保険の場合の要介護度のように細かく明文化することが難しいことから、政府最終案では大括りに「基本コース=1日保育」と「短時間保育」に二分して公定価格を標示し、短時間保育については「時間単位の額」を定めるかどうかがまだ煮詰まっていない模様ですが、指定事業者が契約で定めた条件を時間的に超える分については契約外の追加分として全額保護者自己負担となることだけが決められています。要するに保育はカネで買うサービス(商品)にきり変わります。これまでの保育がが応能負担制度だったこととの関係でいえば、完全に応益負担制度に変わるということ。指定事業者として「新システム」の「子育て支援」の主たる担い手となる株式会社は収益、利潤を目的とし、「新システム」は企業に自由度を大幅に認めていますから、企業の「言い値」で保育料が決まり、それが無理とか嫌ならよその施設に行ってくれと断られるだけになります。保護者の大半は非正規で不規則勤務ですから、施設が「基本コース」や「短時間コース」と定めて契約した時間の枠外に子どもを引き取らざるを得ないケースが多々出てきます。この超えた分については全額自己負担で指定事業者に保護者は支払わなくてはなりません。

 介護保険の場合には「介護の沙汰もカネ次第」と諷刺がありました。「新システム」の場合も「保育の沙汰もカネ次第」という保育残酷物語が始まるわけです。保育を受けられない子ども、子どもを預けられない家庭が続出します。いま現在東京都の認証保育所が保護者から受け取っている保育料金は、月7万円前後です。非正規不安定雇用で共稼ぎの家庭の月収総額は多くても30万円以下、二人合わせても手取り20万円そこそこという家庭が増えています。20万円そこそこの収入で家賃を払い、保育料を払ったら、光熱費や食費としていったい幾ら残るでしょう!ワーキングプアには「新システム」は子どもを持つな、保育に出すな、というまさに地獄のような話です。

 それともう一つ。当初はバウチャー制度として国と自治体から保護者が指定事業者に支払う保育料の一部を金券(杉並区もやっていた「子育て応援券」とおなじようなもの)で保護者に給付し、保護者は保育料を指定事業者に支払う際にその金券と自己負担分の現金で支払う仕組みで設計されていました。その金券を添付して指定事業者は自治体に請求し、換金するという保育のカネの流れでした。ところが法案の政府最終案ではそのバウチャー券を使用して保護者から指定事業者に支払う制度もやめにして、自治体が関係会計から直接現金で指定事業者に支払う仕組みにきり変えました。これは新制度財源、これまでの保育運営費の補助金や幼稚園に対する就学助成金の交付金会計にあたるものにも関係してくる問題です。


 Q・7 民主党は財源問題が無責任でいい加減とよく言われています。この「新システム」でどう言っているの?国はいっさい補助金を出さないの?


 A・7 これもその通り、実は新制度財源についてはまだ何も決まっていません。制度案要綱では、保育所を所管する厚労省からのこれまでの財源と幼稚園を所管する文科省からの財源を廃止し、①国の一般会計と労使拠出を「子ども・子育て勘定」に財源として一括し、それを区市町村に回し、②都道府県の一般会計からの補助金と区市町村自治体の一般会計からの補助金・負担金を合わせて、③ ①プラス②で区市町村が特別会計を設け、そこから「幼保一体(子ども・子育て支援)給付」財源に充当するという、それ自体何とも複雑で中身が抽象的なものでした。ハッキリしているのは、国はこれまでのようにこの分野に国家財政で補助金を注ぎ込むことは絶対しない、これまでの交付金財政は廃止しすべて自治体に押しつけるということです。


 民主党政権は「子ども手当」もこの①の中に計算に入れていたと思います。ところが、ご存じの通り「子ども手当」そのものが予算通過できないでいます。それだけでなく「労使拠出」の社会保険料方式についても、経団連が反対しています。つまり最終的に制度実施主体である自治体が持たねばならない財源の一番の大所が未定・ゼロという状況に現在あります。政府や財界では消費税率の大幅アップという大増税方針が出ており、そこには社会保障目的税の範囲として年金・医療・介護に加えて「子育て支援」も加えるという議論もおこされていますが、政府サイドの専門家の意見としても「子育て支援」を含めれば消費税は20%にしても足らないと指摘されています。

 机上の試算で、子ども手当プラス厚労省・文科省の所官の一元化と幼稚園助成金・保育所運営費補助金の二重のムダの「仕分け」で、後は増税(子育て支援保険か消費税収)をやって、自治体に押しつけてしまえば何とかなるという安直な制度設計が完全に破たんしています。

 それでは「新システム」は砂上の楼閣として潰え去るのかといえば決してそうではありません。国や自治体に「新システム」財源に充当するものがたとえなくても、ますます、全面的な民間企業への丸投げに突き進んでくるでしょう。地域の支配的企業が自治体を影響下に置き、その地域の議会も買収し、行政も財政も牛耳る、つまり道州制=幾つかの大企業グループによる地方分割、立法・行政・税財政の自主的決定権を持った国並みの経済ブロックの形成に突き進んでいるのです。大阪の橋下知事や名古屋の河村市長や7都県市を首都広域として一括りにする石原都知事が目指しているのは、そうした道州制です。そうしないと日本経済が持たないからであり、「新成長戦略」が吹っ飛んでしまうからです。最末期の新自由主義の究極の政策として労働者の総非正規化・総ワーキングプア化があり、それと一体で保育・子育ての焼け野原化があります。企業が生き残り儲けられれば後はどうなってもいい、子ども・子育てなど後は野となれ山となれという考え方です。こう断じ決めつけても何ら間違いはありません。


 Q・8  保護者の身になって考えてほしい・・・「新システム」で子どもはどうなるの?

A・8 皆さんは、現場をのぞいてみれば、今の公立保育所を含む認可保育所や公立幼稚園が、さまざまに民営化・規制緩和の波を受けて常勤職員態勢が次第に非常勤化を強いられていながらも、ベテランの職員を中心に正規常勤職員、非正規非常勤職員が懸命に保育、幼児教育、養育を親代わりで担い、てんてこ舞い、キリキリ舞いで頑張って職場を守り、子どもの命と安全を守り、子どもの伸びやかな発育と成長のために尽力していることがよくわかると思います。「目を離す」ことが子どもの命にかかわる保育事故に直結している現場・職場が保育所であり幼稚園です。0歳児から5歳児までの全年齢の保育を経験しているベテラン保育士を中心に十数名、多くても二十数名の職員のチームワークと個々の献身性で個人差があり年齢差がある乳幼児を百名、百数十名も、個人的にも集団的にも見守り、ともに遊び、親代わりの保育・養育・教育をしているのが幼保職場です。この職場は労働者の団結と労働条件、雇用関係の確実な保障をめぐる闘いによってかろうじて成り立ち、守られてきました。

 「新システム」は職員の結束と努力で懸命に守り抜かれてきた現在の幼保職場を破壊し解体します。考えてもみてください。「新システム」では園長ですらシフト制の契約社員で給与は18万円~22万円です。主任格もシフト制で16万円~18万円です。その他はすべて時給830円から900円といったパート・アルバイトのシフト制勤務であり、週3,4日、1日6時間~8時間の交代制です。給与面から言っても、他に同様の仕事を掛け持ちするか、居酒屋やコンビニでアルバイトしないと暮らしていけない低賃金です。そういう状態で、「かたときも目を離せない」保育ができるでしょうか?今日明日の自分の生計が不安で心身疲れ切った状態で、「子どもの伸びやかな発育と成長」を精神的ゆとり(保育には絶対条件)をもって見守れるでしょうか?そもそも同じ職場にいながら月水金と火木土の職員は顔も合わせることがありません。日替わりローテーション勤務や時間シフト勤務では、保育に欠かせない職員のミーティングもできなければ、職員間でのひきつぎや申し送りも不十分にしかできない、または全くできません。子どもも誰が「先生」なのかわからず、職員も個々の子どもの名前や個性や状況も把握、認識できません。これで「親代わり」という保育ができるでしょうか。

 そして「新システム」のもとで保育事故が激発し、保育の安全が完全に崩壊し、子どもに犠牲者が相次ぐのは目に見えています。

 「新システム」に対しては、きちんとした保育であれば防げたはずの子どもの命が、22人も奪われた24時間態勢の都市型保育「ちびっこ園」のことを想起すべきです。小泉規制緩和・保育弾力化による職員の非常勤化・非正規化と定員の青天井化・詰め込み以来、認可外保育所だけでなく認可保育所でも保育事故が頻発し、「新システム」の浮上の中で昨年1年間で12名もの子どもが死亡し、2名の子どもが意識不明になっています。これは氷山の一角です。ヒヤリハットの法則の通り、起きた実際の重大事故の件数には、その29倍の同種事故が表ざたにされずに潜んでおり、その300倍のすんでのところで軽微でとどまったものが潜んでいます。

 これらの相次ぐ保育事故は職員のせいではありません。いま保育現場の労働者の労働条件・雇用関係・職場状態は、いつ命に関わる保育事故が起きても何の不思議もない過酷で劣悪なものになっているということです。「新システム」は子どもの命を危険にさらす、子どもの命を奪う制度だと断じるべきです。


 Q・9 「待機児童解消」「待機児童ゼロ化」ということも「新システム」と一緒に言われているけど、それは必要ではないの?どうすればいいの?困っている保護者はどうしたらいいの?

 A・9 ハッキリ言って、政府と財界が言い出した「待機児童ゼロ作戦」は、保育が必要なすべての子どもに保育を保障するための政策ではまったくありません。「待機児童ゼロ作戦」は小泉首相が認可保育所の保育弾力化、定員の青天井化・詰め込み拡大と民営化の中で言いだしたことです。認証保育所で無認可保育を始めた石原都知事や保育民営化を実施した山田杉並区長が掲げた民営化のスローガンが「待機児童ゼロ作戦」です。今の民主党政権も「新システム」実施を待たずに「待機児童解消」先取りプロジェクトチームをつくって無認可保育への助成による増設とともに、保育ルーム拡大、保育ママ制度の本格的稼働で「待機児童」をゼロ化すると国会で答弁しています。

 認可保育所に入れない子どものことを「待機児童」と呼びます。「新システム」では認可制を廃止し、指定事業者に自由化するわけですから、新制度実施とともにその瞬間からそもそも「待機児童」のカウントもしなくなります。保育所に入れない子ども、子どもを預けることができず就労もできないで苦しんでいる保護者のことなど政府は毛頭考えていません。ここは絶対に騙されてはならないところです。政府や財界が言う「待機児童ゼロ作戦」「子育て支援」は、子どもを「荷物」のようにコインロッカーに預け出し入れするようなきわめて危険な仕組みなのだということこそハッキリさせなければなりません。必要な保育は団結して闘って国と自治体に何が何でも安全な保育施設を増設させることでもぎりとるしかありません。「新システム」には絶対反対し、「待機児童ゼロ作戦」によるコインロッカーに出し入れするも同然の保育ママ・保育ルーム制度の危険を暴露・弾劾して、あくまで施設保育、安全保育を自治体に要求して闘うことです。かけがえのない子どもの命がかかっています。

 Q・10 どうしたら「新システム」をやめさせることができるの?

A・10 法案が上程され、審議される国会では絶対反対で闘う政党や議員は一人もいません。

 日本共産党も反対していません。これは当サイトで紹介しているように同党・高橋千鶴子衆院議員の2月9日予算委員会での菅首相や与謝野少子化担当相や細川厚労相への国会質問や「しんぶん赤旗」の主張や同党の統一地方選向け「しんぶん赤旗」号外をみればよくわかります。「反対」のひとこともなく、逆に、政府と一緒になって「待機児童解消」に協力し、「公有地を便宜をはかって手を挙げた企業に活用させ保育所を増設すべきだ」というように保育民営化に積極的に協力する立場です。

 日本共産党や全労連、自治労連には、現場の職員=労働者の団結で保育民営化攻撃をはねかえす、粉砕するという考え方がまったくありません。民営化の土俵に乗って、同じ労働者を「サービスを提供する職員」と「サービスを利用する利用者」(保護者)に分断し、職員を「よりよい保育を提供する奉仕者」の地位にとじこめ、労働者として職員がクビきり・低賃金・民営化に反対してたちあがること、そのために団結することを否定しおさえこんでいます。職員が決起したら保護者(「利用者」)の反発を招く、「利用者」に対して「よりよい保育」を提供する「奉仕者」の立場で「保育をもっとよくする」要求以外はしてはならないという考えです。ここには職員が職員である以前に労働者階級であるという真実、保護者もまた同じ労働者階級であるという真実、この階級的認識がありません。日本共産党は、労働者を信じていない、労働者の団結の力をまったく信じていない、ということです。職員と保護者が同じ労働者として一つになって団結して闘うことなど絶対起こり得ないと思っているのです。そこから「国民共同」の「よりよい保育」の「政府へのお願い」に閉じ込め、労働者の職場からの反対闘争をおさえこみ、保育民営化反対闘争の最悪の絞殺者の役割を果たしています。

 「新システム」との闘いでは、「お願い」ではなく「絶対反対」の運動がカギです。幼保職場、地域、街頭で署名や学習会・デモ・集会を行い、統一地方選の渦中でも絶対反対の声をあげ大運動をつくりだすことです。

 特に最大のカギは保育園・幼稚園で働く正規・非正規の職員の団結と職員と保護者の団結・連帯・連携にあります。同じ労働者だからそれは必ずできます。そこから「新システム」に絶対反対!クビきり・低賃金・民営化に反対!全員を正規職・常勤にしろ!子どもの命と安全を守れ!という怒りの声と運動をおこすことです。これは、職員のクビきり・低賃金非正規化ということからも、保護者自身が共働きなしには生きていけない低賃金・非正規職化を強いられていることからも、「新システム」で子どもの安全が崩壊し子どもがますますいのちの危険にさらされていくことからも、完全に労働者として心と声を一つにできる闘いです。同じ労働者の運命と未来がかかった攻防が、「新システム」との闘いです。労働者階級の苦難からの解放は、労働者自身の事業(仕事・闘い)だということです。労働者としての幼保職場の正規・非正規を超えた団結と幼保労働者と保護者の団結による抗議と絶対反対の闘いです。

 職場・地域の署名から集会、ストライキ、ゼネストという実力行使まで含めて、カギは保育所・幼稚園職場(労働者)と保護者(労働者)の懸命の一致であり団結であり連携です。この心からの団結と一致をかちとったとき、一つの職場での、保護者の完全な理解と支持・協力を得たストライキが、「新システム」粉砕の全国的大運動の合図となり、一斉反乱の烽火となります。職場で討論を重ね、職場で組合として絶対反対で一致し、保護者と協議・討論を重ね、闘争委員会をつくって労働組合と保護者会の闘いとして可能な取り組みを積み上げ、完全な一致のもとに渾身の決起をかちとることです。職員の日ごろの苦労と献身は保護者も十分に知り得ること、きちんと話せば、同じ労働者である保護者に必ず闘いの意図と必要性は理解されます。
 親代わりの保育の仕事をして社会を支えているのは労働者であって企業経営者でもなければ役所の官僚でもありません。子どものいのちを守って働いているのは、政府でも企業でも役所でもありません、労働者です。その誇りと底力を示すこと、組合・職場、保護者・地域が一つになってたちあがることです。「子ども・子育て新システム」-保育民営化に絶対反対の署名からそれは始まります。団結こそ「新システム」粉砕の力です。職場の団結と反乱、保護者の決起で「新システム」を粉砕しよう。
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子どもの命を危険にさらす新精度に屈服-衆院予算委・共産党国会質問を批判する

2011年02月26日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

シリーズ・実践編(第八回)

日本共産党・全労連・全保連の裏切り・抑圧はねのけ、幼保労働者、保護者先頭に《幼保一体・民営化に絶対反対》で立ち上がろう!

 政府の「子ども・子育て新システム」に対して、保育所・幼稚園、地域の現場はみんな反対しています。昨年11月14日日比谷野外音楽堂の全保連(全国保育運動連絡会)が軸となってよびかけた保育大集会には幼保労働者を先頭に4800名が結集し、集会は幼保現場の労働者の怒り、絶対反対の気持ちがみちあふれていました。しかし、運動の主催者である全保連全労連、主導政党である日本共産党は、この現場の《怒り》と《反対》を「よりよい保育を」「保育をもっとよくする」のスローガンでねじ曲げ、「公的責任による保育の拡充をもとめる共同」の名で幼保労働者の決起を裏切り、おさえこんで、民主党政権に対する改善要求の枠内にとじこめることに躍起になっています。

                          

 

 日本共産党と全労連にとっては、目前に迫った統一地方選挙と解散総選挙接近がすべてであり、「待機児童の解消」「子育て支援」を「選挙の集票の道具」として利用し、「建設的野党」として民主党その他政党と同じ土俵で競い合うことはしても、幼保一体化・保育民営化に反対して組合や職場から労働者が決起することに対しては、“自党の選挙戦を不利にする、余計なことはするな”と規制・抑圧し「選挙がすべて。票集めに集中しろ」と言ってまわっています。決して「反対」とはいわないこと(反対しないこと)に核心があります。「共同」の名で(「反対」に反対し)労働者の決起を抑圧しねじ曲げ、切りすてるものです。

 日本共産党が言う(労働者の団結を妨げ労働者の決起を封じ込める)「共同」とは、「統一戦線」などではまったくありません。あからさまにそう言わないまでも、内実は政府・財界との「共同」です。日本共産党の立場・路線は、民主党政権や財界と一緒になって「待機児童ゼロ作戦」を推進し、「子ども・子育て新システム」をよりよい制度として一緒になってつくるということにほかなりません。日本共産党の規制と抑圧をうちやぶることは、幼保一体・保育民営化に対する反対運動の前進と爆発のために避けて通れない重要な課題です。組合、職場、地域、選挙戦で日本共産党を批判し、絶対反対の闘いの拠点をつくりだしましょう

 今回は公開録画から、2月9日衆院予算委員会での日本共産党・高橋千鶴子議員・国会質問(菅内閣総理大臣、与謝野少子化対策担当大臣、細川厚生労働大臣が答弁)の骨子の紹介を通してこの点について明らかにします。

細川律夫厚労大臣★「しっかり取り組んでまいります」        

日本共産党・高橋千鶴子議員★「しっかりやってください」

 これは2月9日衆院予算委員会での高橋千鶴子議員の質問の締めくくりのやりとりです。レーニン率いるボルシェヴィキの国会議員の場合は常に絶対反対の抗議で質問を結んでいます。ボルシェヴィキ国会議員の例を引かなくても、野党や反対の立場で追及の質問では政府答弁のいかんにかかわらず、反対、抗議の表明で自党(自己)の態度表明で結んで質問を締めくくるものです。高橋千鶴子議員の質問の終わり方、結びの言葉に、政府「待機児童ゼロ作戦」「子ども・子育て新システム」に対する日本共産党の態度が象徴的に現されています。

 表記のやりとりは、▲「待機児童解消」の問題、▲「新システム」の問題に関する質問の最後のまとめ部分の質問項目ー乳児の死亡事故を焦点とした保育の安全問題です。それを全体20数分のうちわずか2分足らずの駆け足で端折り、以下のような質問と答弁の最後になされたものです。

 高橋議員:保育を儲けの道具にすると何がおきるのか、一番わかりやすい例として保育施設における死亡事故の問題があります。・・・・かつて、ちびっこ園で22名の乳児が死亡するという死亡事故がありました。赤ちゃんの急死を考える会の報告によれば、昨年は1年間で12名が死亡している、それだけでなくプラス2名の意識不明の事故があった、この事実を見ていただきたい。会の人々は「死亡事故は認可外でもともと多い」「しかし、認可でも一定の事故が起きている、単に事故ではなく、人手不足が原因で防ぐことができた死亡事故が起きている」と訴えています。・・・・こうした事故はその後も続いている。ひとりの悪質な園長がいてそのもとで死亡事故が起きたというようなとらえかたでは事故をなくすことはできない、最後にこの点についてお聞きします。

 細川厚労大臣:死亡事故はあってはならない。保育所において健康安全の体制づくりにつとめ、各自治体に事故防止のポイントを周知し、事故防止に努める。「子ども・子育て新システム」でも保育の職員の配置基準、安全確保に努め、保育の質の向上をはかり、死亡事故のないよう、しっかり取り組んでまいります。

 高橋議員しっかりやってください。

 細川大臣の答弁は、無内容なだけでなく、2010年までの240名の乳幼児の死亡事故、2010年の12名の死亡事故(他に2名が意識不明)という失われた(奪われた)かけがえのない命の重さにも何ら応えることのない、官僚的答弁の見本のような論外のものです。しかし、高橋議員の質問は、あまりに通りいっぺんのお座なりの質問、かけがえのない子どもの命の問題をとりあげるにしてはあまりに軽いやりとりだとは思いませんか?保育の問題を質問する以上、乳幼児の死亡事故、保育事故の問題はパスするわけにもいかないという位置づけで、仕方なく「訊くだけ訊いておく」というアリバイづくりで質問を行っているからこういうお座なりのものになるのです。これは高橋千鶴子議員個人の問題ではない、相次ぐ保育事故の問題に対する日本共産党の立場、路線、態度の問題です。

 ▲ちびっこ園をはじめ無認可保育所で保育事故が激発した、▲それだけでなく2001年の小泉規制緩和以来、認可保育所でも保育事故が急増している、▲「子ども・子育て新システム」を掲げる民主党政権のもとで一体的に民間企業の参入が増え、民営化が進む中で、2010年のわずか1年間に12名の死亡事故、2名の意識不明の事故がひきおこされた、▲ヒヤリハットの法則でいえば、この29倍の隠れた同様事故があり、その300倍の潜在リスクが実際にある・・・この事実を通して突き出し追及しなければならないことは、《新システム=幼保一体化・保育民営化は必ず子どもを命の危険にさらし、子どもの命を奪う保育事故を不可避に多発させる》という具体的結論です。

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(武田さち子著・赤ちゃんの急死を考える会〔企画・監修〕の『保育事故を繰り返さないために・・・・かけがえのない幼い命のためにすべきこと』 ※同書は「子ども・子育て新システム」がまだ公表されていない時期に執筆されていますが、日本共産党の場合とは違って保育民営化・規制緩和、保育現場で働く職員の労働条件の劣悪化に対する批判の視点と何よりも死亡事故への心底からの危機感と人間的憤りが貫かれています。) 

  日本共産党・高橋千鶴子議員は「保育を儲けの道具にしたら何が起きるか」などと口先では「保育を企業のカネ儲けの道具にすること」に「批判」のスタンスを装っています。しかし実際には子どもの命の問題で身が震えるような危機感や憤りは毛ほども感じていません。だから制度として認可制を廃止し指定制に変える「新システム」に絶対反対、絶対阻止の質問にならない、それでもかまわないというお座なりの質問になる。認可制を廃止するとは、児童福祉法の定める設置基準、最低基準その他いっさいの(子どもの命と発育の安全を保育施設において守るための)規制をすべて取り払い、こども園を運営・経営する指定事業者=株式会社等の企業の自由にできるようにするということです。

 子どもを保育施設に委ねる親(保護者)にとっては身体を張ってでも命に代えても守らずにいられないのが子どもの命です。真剣に保育事故・死亡事故の問題にとりくもうとするならば、その実践的結論は、「新システム」絶対阻止・絶対反対以外にありえません。およそ真剣でなく、絶対反対ではまったくないから、細川大臣の「しっかり取り組む」に対して「しっかりやってください」と政府におもね、政府と一緒の制度づくり・体制づくりの土俵に立てるわけです。絶対反対で政府・財界と対決するよりも、政府・財界との共同を選ぶという路線の帰結が、子どもの命を守るという保育の原点まで投げ出し、その重さから逃げてもかまわないという際限ない転向になっているのです。

与謝野少子化担当大臣 ★「待機児童の増→保育所整備の後追い的発想ではなく潜在的な保育ニーズに対し先取り的に取り組む」    

高橋議員 ★「潜在的需要を考えて先取り的にやっていくということ自体は間違いではない

 質問の締めくくりが「しっかりやってください」という高橋議員の質問のはじめはどうだったでしょうか?締めくくりがこの締めくくりなら、はじめもはじめです。政府と日本共産党の子育て支援策は「待機児童ゼロ作戦」で完全に一致しているという確認から始まっています。

 高橋議員:子育て支援策について質問します。まず深刻な待機児童対策について・・・・認可保育所の待機児童数は2万6千人、過去最悪で潜在的には100万人とも言われている。・・・入りたくても入れない、この声を総理はどう受け止めているか。ビジョン、システム、チルドレンファーストを言うのはいいが、まずこれ(待機児童対策)を真っ先に解決しなければならないのではないか。この点についてうかがいたい。

 菅総理大臣:今おっしゃった点については基本的には問題意識は同一と認識いたしております。チルドレンファーストの考え方をベースにして、「子ども・子育て新システム」を構築していく、そのために「待機児童ゼロにむけて、このシステムが成立するまでの間も私のもとに「特命チーム」をつくっている。来年度は200億円の予算を組み、自治体、色々と無認可も含めて保育施設の増設に充てていきます。最終的にはすべての希望する方に対して子どもが預かれるようにしていく、そう遠い先ではない形で進めていきます。

 高橋議員:総理から見通しについて言われたが、今考えねばならないことは、本当の対策とは何なのか、この問題です。2001年小泉政権のときに「待機児童ゼロ作戦」が出された。それで一時的には待機児童は減少したが、結局また元に戻った。与謝野少子化担当大臣は小泉政権では大臣をつとめています。待機児童を減らせなかったのはなぜですか。

 与謝野馨少子化担当大臣:これまでの待機児童対策については、菅総理のもと「待機児童ゼロ特命チーム」で待機児童解消先取りプロジェクトで検証を行っています。これまで待機児童解消に向けて取り組まれてきたものの、解消には至らなかった。原因の一つとして、待機児童がいるから保育所を整備するという後追い的発想があったと指摘されている。こうした後追い的取り組みでは保育所の定員枠を拡大しても潜在的な保育ニーズが顕在化したら定員枠の拡大が待機児童解消に直結しない状況になっています。待機児童の解消については計画的かつ潜在的なニーズを考えて先取り的に取り組むことが重要と考えています。

 高橋議員潜在的需要を考えて先取り的にやっていく、というそのこと自体は間違いだとは思いませんが、問題はこれまで本当に需要にみあった保育所づくりをやってきたのかということであります。

 (1) このやりとりは、待機児童問題も含めて今日の保育問題の根底にある重大問題を含んでいます。キーワードは、与謝野も高橋議員・日本共産党も平然と当たり前のように用いている「潜在的な保育ニーズ」と「先取り」です。

 「保育所」とは「保護者の就労等の事情から保育に欠ける児童」に対して保育を保障するものです。▲ 「保育に欠ける児童」の激増、言いかえれば、▲保護者が、これまで「専業主婦」だった母親もパート・アルバイト等で就労せざるを得ない、共働き・家族総働きしなければ暮らしていけない、日中のみならず、早朝も深夜も不規則であろうと何であろうと、パートやアルバイトを二つも三つもしなければ生計が厳しい・・・現在、労働者家庭がおしなべて叩きこまれつつある経済的現実が根本にあります。保育所に子どもを預ける以外にない、さらに延長保育や一時保育や夜間保育に拠るしかない、そうしてでも働かないと生計がままならないない労働者家庭が急増、激増しているということです。

 この労働者家庭を襲っている経済的現実の問題は、万策尽きた資本主義の破局、大恐慌が不可避にひきおこしている社会的災厄そのもの、一方的な労働者人民への犠牲の転嫁にほかなりません。「利潤(カネ儲け)がすべて」の資本家階級、企業が大恐慌時代に生き延びるために、「19世紀の工場法以前の状態に戻す」「雇用の9割をパート、アルバイト、派遣等の低賃金・不安定雇用の非正規労働による」とする新自由主義の究極の戦略(1995年日経連報告「新時代の日本的経営」)をとっていることからひきおこされています。

  与謝野が「潜在的な保育ニーズ」と言っているのは、この「9割非正規雇用化」「9割パート・アルバイト・派遣化」以外の何ものでもありません。“恐慌はおさまらない、整理解雇・大失業は当然”、“今後もどんどん労働者家庭は大量の非正規不安定雇用の供給源になる”と、働いても働いても暮らしていけない、家ではとても子どもを育てられない状況が全社会的に拡大するということを言っているわけです。「先取りする」とは何でしょう!そういう社会に必ずなる、そういう社会に必ずするから、その前提でこれまでの保育制度についても完全にひっくり返す、「公立」だ、「認可」だと甘いことを言っていられる状況ではない、全部規制を取っ払う、「民間」結構、「認可外」結構、「株式会社」大いに結構・・・、そう言っているわけです。それだけではありません。財界も政府も、彼らがつくりだす総非正規化、「保育に欠ける児童」の激増を「新たなマーケットと雇用の創出」(「子ども・子育て新システム」制度基本要綱)の好機とまで言い切って株式会社への全面的な市場開放として「新システム」を強行しようとしています。

 日本共産党が「潜在的な保育ニーズに対して先取り的に取り組むのは間違いではない」(「正しい!」と言っている)のです)と国会の場で表明したということは、この「親の就労等で保育に欠ける児童」の激増=労働者の9割非正規化(総パート・アルバイト化)をまるまる容認し受け入れ“貧困ビジネス”よろしく非正規就労家庭を食い物にして企業がカネ儲けする「新システム」に協力することを国会の場で誓約したということです。

 (2) もう一言、ここで触れておかねばならない点は、日本共産党は政府と財界の「待機児童ゼロ作戦」(保育の規制緩和・民営化)の積極的共犯者だということです。高橋議員は、「待機児童ゼロ」を掲げながらなぜ解消にいたらなかったのかという質問ををメインにすることで日本共産党が小泉政権時代から今の民主党政権にいたるまで一貫して「責任ある建設的野党」として「待機児童解消」のために働いている、今後も協力すると強調したいのです。

 私たちは、子どもを保育所に入れたいのに入れられなくて苦しんでいる労働者家庭がおびただしい数に上ること、子どもの保育所入所が死活的に切実な問題になっていることを知っています。しかし、「待機児童ゼロ作戦」の名で行われてきたこと、これから行われようとしていることは何でしょうか。保育の規制緩和であり、民営化です。小泉純一郎が言いだし、石原慎太郎都知事が掲げ、杉並区の山田宏前区長や田中良現区長はじめ全国の自治体首長が掲げ、民主党政権が掲げている「待機児童ゼロ作戦」「待機児童解消」はことごとく、認可外保育の拡大の促進、保育の規制緩和、保育所への詰め込みの天井(上限)外し、保育の民営化の看板でした。高橋議員自身が質問の中でそう言っています。後述の通り、「規制緩和、民営化では何も解決しない」とも言っています。そうでありながら政府と同じ土俵で政府に「待機児童ゼロ」を求めています。「何も解決しない」規制緩和に屈服し、民営化の攻撃と闘わないで「このままでは規制緩和、民営化はとまらない」などと言っている日本共産党の「待機児童解消」「保育の拡充」のスローガンには間違っても幻惑されてはなりません。「待機児童ゼロ」は民営化のスローガン、「新システム」推進のスローガンです。

高橋議員 ★「公有地を活用し、便宜をはかり、手を挙げるところがあれば、民間の保育所も増やすべきだ」

 ・・・・高橋議員は縷々、児童福祉法が定める設置の最低基準や定員枠の弾力化、規制緩和、民営化が進行してきた経過に触れ、保育所に詰め込みが強要されてきたことを「待機児童解消に至らなかった内実」として強調し、「民営化の流れはこのままでは止まらない」「しかしそれでは問題は解決しない」「規制緩和、民営化では解決にはならない」・・・・と、規制緩和・民営化に反対するというそれ以外にあり得ない結論から逃げ回り、自党の屈服をごまかし続ける堂々巡りの質問を続けたうえで、やっとのことで「公的責任における保育の拡充」を求めています。

 与謝野大臣:市町村自治体の関与の具体的な内容としては、必要な子どもに幼児教育、保育を優先的に利用を確保すべき利用を斡旋する責務を自治体に課することを、ワーキングチームで検討しています。公的責任については、現行制度より市町村の関与を後退させることはありません。 

 この与謝野大臣の一言で縷々長広舌の「公的責任による拡充」要求がすげなく一蹴されると、ついに高橋議員は「公立も民間も増やせ」と要求しています。

                           

 高橋議員:(公的責任という点については)財政の問題も含めて公的責任と言っています。因みに日本共産党は、国の責任で10万人受け入れの認可保育所をつくるべきだと訴えています。器を変えるだけでなく、たとえば困っている土地の問題についても、東京23区には東京ドーム130個分の国有地があります。土地の活用も含めて、便宜をはかり、手を挙げる人がいれば、公立も増やし、民間も増やすべきだと考えます。

 何をかいわんや、ここまで来れば、コメントも不要というものですが、日本共産党は、便宜をはかり公有地に株式会社を誘致し、認可保育所を運営させよと言っているのです。こうなると「公立も増やせ」は付け足しにしか聞こえません。これは、株式会社の全面的参入による幼保一体施設・民営こども園に日本共産党が賛成しているということです。それにしても「民間に対して便宜をはかる」とは何でしょう!便宜をはかって、JPホールディングスのように「手を挙げる」企業をどんどん増やせということではないですか。だからこそ、日本共産党の議員の議会質問や「しんぶん赤旗」や全労連や自治労連等の共産党系組合のビラには、「新システム」に対する「反対」や「阻止」のコトバはただの一言も出てきません。稀に「反対」とか「ストップ」とか「阻止」というコトバがあってもまったく本気ではなく、絶対反対で闘う労働者の決起があり日本共産党や全労連の屈服・裏切りが暴かれていることに対して自らの影響下の組合員や労働者に動揺が起こり、大量の離反と決起になりかねないことから口先だけそのように言っているに過ぎません。日本共産党や全労連が真実「反対」「阻止」の気があれば、国会での小池晃の後釜を任じる高橋千鶴子の国会質問で「反対」の「は」の字も出てこないなど考えられません。しかし高橋議員の20数分の国会質問にはただの一言の「反対」も表明されませんでした。そこには何の不思議もありません。日本共産党には「子ども・子育て新システム」に「反対」する気はないからです。日本共産党こそ「子ども・子育て新システム」、幼保職員クビきり、総非正規職化の最悪の先兵です。

 そういう次第ですから、質問で「新システムの内容」に関して質問しても、当然何の批判精神もなく、与謝野大臣に「検討中」の「個人的見解」として「制度説明」をさせているだけです。そして冒頭掲記の通り「しっかりやってください」と「新システム」の推進で政府と日本共産党は協力して進めていくことを確認して締めくくったということです。

幼保職場、地域、選挙で「新システム」の先兵・日本共産党の正体を暴露し、民主党政権打倒、幼保一体化・保育民営化に絶対反対の闘いをまきおこそう

 保育民営化絶対反対の署名を拡大しましょう。日本共産党は自ら法人を立てて民営化の先兵として指定管理者となっている杉並の保育園で職員と保護者に署名を呼びかける活動に「警察を呼ぶぞ」と妨害と敵対の挙に出て失敗しています。保育民営化絶対反対署名の「1筆」「1筆」は、「子ども・子育て新システム」阻止への「1筆」であり、私たち労働者の団結の「1筆」です。

 団結こそ私たちの武器です。労働者の団結こそ持たざる者の唯一の武器であり私たち自身の力で社会を変え、未来を切り開く武器です。チュニジア、エジプト、リビアをはじめとして全世界をいま揺るがしている中東の軍事独裁政権打倒を掲げた革命も持たざる労働者のストライキと反政府デモ、青年労働者の決起が切り開いています。民主党政権打倒! 戦争絶対阻止! 保育民営化に絶対反対! チュニジア、エジプトの革命に続き、皆さん、ともに闘いましょう。

 

 

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