民主党田中区政が「慎重に進める(実施する)」と言明している図書館全館指定管理は、民営化=非正規化=外注化=全図書館のワーキングプア職場化
・・・・ということです。今年2010年9月の区議会定例会で田中区長が言明しています。既に先行して2010年4月1日から指定管理者制度に移行している6館では、たとえ資格があり経験がある司書であっても時給8百円台、高くても9百円そこそこでパート・アルバイトとして採用して酷使している民間企業(株式会社)が運営しています。田中良区長は「最小経費で最大効果の良質サービス提供」の立場で「全館指定管理の実施」と答弁していますから、全館指定管理を絶対反対でつぶさない限り、低賃金のボトムライン、シフト制勤務の「細切れ度」は際限のないものとなっていくことは明らかです。
反対闘争の抑圧で全館指定管理実施の最大の協力者となっているのが杉並区職労の日本共産党
これは一方的非難ではありません。経過を通して動かぬ証拠があります。
① 全館指定管理者制度導入の2009年6月の区決定を前提とした2010年4月1日指定管理者制度6館移行実施に対して、2009年10月指定管理者企業第一次選定の翌日10月22日「実施後6カ月をメドに《第三者機関設置》、実施6館の運営を検証する」の「図書館行革の妥結」で労使交渉を打ち切り、反対運動を解体しようとしたこと(あたかも先行6館の検証で、後行6館の指定管理者制度移行阻止と先行6館の見直しが可能であるかのような口ぶりで!)
② 2010年6月24日の杉並区職労の組合大会で、「10月には図書館指定管理実施後6カ月となる。区の指定管理者制度全館実施に対して区職労としてどういう方針をとるのか」という代議員の発言に対して「10月をメドに検討委員会をつくって検証する」と「執行部見解」を述べ、「それでは遅すぎるのではないか。残る6館の選定がはじまっている時期では間に合わない」という発言にも「事項によっては間に合うものもある(事項によっては間に合わないものが出てくる)」と指定管理者制度全館移行を前提にした「執行部見解」を明らかにしたこと。この組合大会での「執行部見解」は残る6館実施はやむを得ないものとして闘わず、認めるということ、すなわち全館指定管理は阻止できない(反対しない)ということ以外の何ものをも意味しません。
③ 9月区議会定例会で田中区長が、「山田前区政の検証」のポーズで「山田カラーの一掃」の一環として「今年度(2010年度)の(後行6館)実施は行わず、全館指定管理は一年程度の検証期間を保障して、慎重に進める(実施する)」と答弁したことを受けて、組合大会での「執行部見解」(「10月をメドに検討委員会をつくる」)も反古にし、「(10月から)半年先に延びた」と先送りして、恬として恥じないこと。
つまり、2009年秋も、2010年も「反対」では闘ってこなかったが、今後2011年も、図書館全館指定管理とはまったく「闘う」気などさらさらその気はないこと。「反対」の立場などもともとなく「検討委員会による検証」も真剣に考えられた「方針」などではまったくないこと。2010年年末に至っても今の今も来年4月(半年先に延びた計算からは4月となる)に向けての準備も計画もないということは、先に延びた4月に「検討委員会をつくり検証する」気もないということです。
・・・要するに田中区長がそう考えているように、杉並区職労執行部を牛耳る日本共産党もまた図書館全館指定管理反対闘争を寝かせ、一年もすれば、現場の職員や地域労働者住民の反対運動などいずれなくなると考えているということがこの一年間の経過で完全に明らかになりました。
▲ そもそも日本共産党は、この区の図書館全館指定管理が打ち出されたことに対して反対の声がまきおこっている最中にも長い間「白紙撤回や反対の決議などもってのほか、そんなことできるか」と執行部会議の議論でわめきちらしていました。
▲ 絶対反対の意見と現場の怒りと住民の反対運動がさらに大きく燃え上がったことから、組合執行部としてしぶしぶ「反対」を確認せざるをえなくなったものの、「反対」のポーズをとって反対闘争を抑え労使交渉を打ち切るために「第三者機関」に飛びつき、「妥結」を「労使交渉の成果」のごとく偽装・粉飾し(『杉並区職労』2009年10月29日発行第10号)、指定管理者制度導入への屈服・容認をごまかし続けてきたに過ぎません。
▲ そして山田区長から田中区長に代わって、田中区長が全館指定管理の完全実施のために2011年4月の実施を「先送り」し「慎重に進める」と工程表を見直したことに歩調を合わせて、自ら明らかにしてきた「方針」である「検討委員会づくり」も「半年先に延びた」としているだけです。杉並区職労執行部を牛耳る日本共産党にとっては、図書館全館指定管理実施は、撤回の対象でも反対・阻止の対象でもないということです。既に4月には6館が指定管理者制度に移行しています。実施後8か月経過した今にいたっても「検討委員会」の設置の準備の一言もないのは、「検証」しようなどとはまったく考えていないということにほかなりません。「検討委員会」も「検証」も図書館全館指定管理に反対しない(容認し賛成する)ためにその代わりに持ちだされた虚言です。全館指定管理を全面的に認めて田中区長に協力するということです。
図書館全館指定管理と幼保一体化・こども園=保育民営化は田中区政の労働組合(区職労)解体・自治体まるごと民営化・総非正規職化の攻撃の両輪。職場から絶対反対の声をあげて闘おう!
ところで日本共産党は、杉並区田中区長が国の幼保一体化・こども園=子ども・子育て新システムに向けた動きの「先進事例」として推進している認定子供園の拡大に対しても決して反対とは言っていません。日本共産党杉並区議団の議員が区議会で行っている質問も反対の立場での質問ではまったくなく、これまでの認定子供園を検証せよと要求しているだけです。田中区長が「経過を慎重に検証し、実施する」としていることに対して、反対や追及できないのは当然です。杉並区職労執行部を牛耳っている日本共産党もそうです。
重要なことは、杉並を全国の本拠とする全保連の呼びかけた11月14日の保育大集会に対しても、杉並区職労執行部としての取り組み方針も出さず、日本共産党の拠点である保育園分会からの提起すらなかったということです。全保連をはじめとして自治労連も取り組んでいる「子ども・子育て新システムに反対し公的保育の充実を求める5百万人署名運動」についても組合としての取り組み方針を打ち出すこともせず、保育園分会からの協力要請もないということです。
田中良杉並区長は、前東京都議会議長であり、東京の民主党のトップです。田中区長が杉並版・幼保一体化として「先進事例」と位置付けて実施する「認定子供園」の拡大は、杉並区が「子ども子育て新システム」の最先頭に立つということです。この保育民営化の最先端攻防の激突点である杉並区で、日本共産党杉並区議団も日本共産党が組合執行部を牛耳る区職労も、反対しない、闘わないということです。
図書館全館指定管理実施と幼保一体化・こども園=保育園民営化は、広範な利用者(地域の労働者住民)に大きな影響が及ぶ大問題であるだけでなく、杉並区職労にとっても、組合の二つの分会が壊滅・一掃させられるという区職労働運動の今後を決するような分岐点に立たされる大攻撃です。この自治体民営化の杉並区における両輪の攻撃に、日本共産党杉並区議団も区職労・共産党も反対しない、反対せず道を開けるということは重大なうえにも重大な裏切りです。
▲ 図書館全館指定管理は、120名の職員から職場を奪い、区職労の一分会をなくする攻撃であり、12館を時給800円台から900円そこそこのパート・アルバイトのシフト配置で株式会社が運営するワーキングプア職場に変える攻撃です。
▲ 幼保一体化・こども園は、44園の区立保育園、4園の区立幼稚園で働く1000名を超える職員をいったん解雇し、区職労の保育園分会を一掃し、全園を株式会社が経営するまるごと民営化そのものであり、新たなこども園もまた時給800円台から900円そこそこのパート・アルバイトのシフト配置でまかなうワーキングプア職場となります。
革新であるならば、労働者階級の立場に立つ政党ならば、無条件に、絶対反対で闘うべき攻撃に対して、日本共産党は「反対」しない代わりにどのようなスローガンを掲げているか?
図書館民営化問題では「図書館をもっとよくする」「よりよい図書館」、保育園民営化問題では「よりよい保育」「保育の拡充」・・・・・、反対(政府支配階級との対決)が求められているときに、反対のスローガンを掲げず改良のスローガンを掲げるのは、政府支配階級の側に回るということです。
日本共産党のこれらの「改良」のスローガンの最大の目的は、改良をかちとることそのものなどにはなく、政府支配階級に反対ではないこと、反対していないことを政府支配階級に示すところにこそあります。「日本共産党は決して反政府党ではありません、政府と一緒に進むことができる政党です」・・・これが日本共産党の「よりよい・・・」「・・・をもっとよくする」の「改良」スローガンの真意です。事実、あらゆる対決点で「反対」「阻止」「撤回」等のスローガンは日本共産党の主張からは消えています。
皆さんご存じの通り、介護保険制度では、介護保険法案の国会上程を前に、日本共産党が当初掲げていた「反対」「廃案」から法案成立を前提にした「改善」「修正」に転換し、「よりましな介護保険制度の実現」をスローガンに掲げて「推進」「賛成」に回ったのでした。「高齢者は死ねというのか」という命の叫び、激しい反対の声が湧き起った介護保険での大裏切りでした。今日現在も「超党派で実現した介護保険制度」(日本共産党杉並区議団小倉順子の11月定例会での一般質問)と日本共産党が「政府与党と一体」の「超党派」で介護保険制度の成立に協力したことを積極的に総括しています。「超党派」とは与党化・翼賛化ということです。
介護保険、図書館、保育・・・挙げればキリがない「よりよい・・・」「もっとよくする」「よりまし」路線の根幹に、「資本主義の枠内での改良」を党是・綱領とし、「労働者階級の政党」を党綱領からも削除し「国民の政党」に変更した日本共産党の転向の総仕上げがあります。転向とは際限のないもので、6月の組合大会を前に「組合の犠牲者救援基金は、もういい(要らない)だろう」と廃止まで口にしています。厳しく批判されてあわてて引っ込めたという経過があります。犠牲者救援基金の廃止で「組合は処分や弾圧を招くような闘いは絶対やらない」「組合の中から処分者や被弾圧者が出ても組合は一線を画して救援しない」ということを決議しようとしていたのです。目的が当局に「区職労は区とは闘わない」忠誠を示すところにあったのは明白です。労働組合を労働者の闘いを規制し抑圧し当局に代わって労働者を支配する労使協調機関・労働代官機関にしようとしている日本共産党の抑圧と組合支配を打ち破ることなしに区職労働者の闘いと未来はありません。
図書館全館指定管理をめぐっても、保育園民営化をめぐっても、賃下げ反対・賃上げ要求貫徹の2011年春闘をめぐっても、2011年4月24日統一地方選をめぐっても、菅民主党政権打倒、360万人クビきりの公務員制度改革法案と子ども・子育て新システム=幼保一体化・こども園法案が上程される国会闘争をめぐっても、切迫化しているアメリカの朝鮮戦争をめぐっても、対立構図は鮮明です。「よりよいクビきり」「よりよい民営化」「よりよい非正規化」「よりよいワーキングプア化」「よりよい戦争」など金輪際、私たち労働者住民のスローガンにはなり得ません。
「戦争を止める」「民主党(政府)をたおす」「クビきり・民営化・非正規化に反対」掲げ全力で闘おう
①絶対反対で闘おうということです。②労働者階級の団結で闘おうということです。③職場反乱、職場からの決起で闘おうということです。ヨーロッパや韓国での闘い、検査修理業務・構内業務の外注化とローカル線きりすてに絶対反対で闘う動労千葉、ゼネコンの価格引き下げを粉砕する関西生コン、不当選別解雇に絶対反対・白紙撤回で闘う202名を先頭とする日航労働者の闘いが示している通り、ストライキ、ゼネストこそ労働者のやむにやまれぬ闘いだということです。④組合、職場、地域、街頭、学園、選挙、対国会のすべてで「戦争を止める」「民主党(政府)をたおす」「クビきり・賃下げ・組合破壊・民営化・非正規化と闘う」をストレートに掲げて立ち上がろうということです。