なぜ、3・11福島第一原発事故フクシマがあってなお「もんじゅ継続」「試運転再開」か?
国家戦略としての「日本の核武装」、ここにすべての核開発国が高速増殖炉開発を断念しても、唯一、日本が高速増殖炉にしがみつく最大の理由があります。
11月8日、福井県敦賀市の開発中の高速増殖炉「もんじゅ」を推進する日本原子力研究開発機構が文科省の作業部会で、今後10年間高速増殖炉・もんじゅを継続し、そのために2013年末には試運転再開を行うという計画の報告書を提出しました。野田政権のもとでいったんは「廃止の方向」で「検討」とされたものの、石原慎太郎東京都知事が「もんじゅ」を9月6日に視察し、「廃炉はとんでもない。継続は当然」とし、「日本の核武装」を扇動し、政府のエネルギー・環境戦略でも「もんじゅ廃炉」は撤回されるという経過があったことは皆さんの記憶にも新たなところではないかと思います。3・11福島原発事故と反原発・脱原発の空前の高まりの中で、追い詰められ、あぶりだされたのが「再稼働」の真の理由であり、「原発推進・核燃サイクル護持」の最奥の理由である「核兵器製造の技術的ポテンシャル」、つまり核武装です。これはもう電力需給やエネルギー政策とはまったく無縁の本音です。改定された「原子力基本法」に「安全保障に資する目的」が新たに加わったことも、この日本の核武装への政財界中枢の絶望的な衝動が背景にあります。高速増殖炉・もんじゅの運転再開は、この「日本の核武装」という国家戦略の最先端に位置づけられています。その核心は、高速増殖炉・もんじゅがいつでも核兵器に転用できる純度が高いプルトニウムの大量生産の技術であるという一点に尽きます。
★小出裕章さんの2012・11・3国際基督大学講演
日本が高速炉を含め原子力を諦めない本当の理由
①技術・・・プルトニウム製造の効率性
燃えないウラン238+中性子→捕獲→ウラン239→β崩壊[半減期24分]→ネプツニウム239→β崩壊[半減期2・4日]→プルトニウム239」
②核兵器超えるプルトニウム組成=高速炉で取り出される含有量はプルトニウム239:純度98%
③技術に「平和利用」も「軍事利用」もない。あるのは「平時利用」と「戦時(実戦)利用」。「原子力の平和利用」を標榜して技術を持ってしまえば、いつでも軍事的に使える。
1945年広島に続き、長崎に投下された原子爆弾ファットマン(プルトニウム原爆)。広島投下原爆リトルボーイは高濃縮ウラン原爆)④外務省幹部の談話(1992年11月29日朝日新聞)「個人としての見解だが日本の外交力の裏付けとして、核武装の選択の可能性を捨ててしまわないほうがいい。保有能力はもつが、当面、政策として持たない。、という形で行く。そのためにもプルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかねばならない」
★2011年11月21日「たね蒔きジャーナル」での小出さんのお話 2011年11月21日(月)、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。現在国会版「事業仕分け」(政策仕分け)にて焦点となっている『高速増殖炉・もんじゅ』について説明しました。
<動画>http://youtu.be/WXMLCUBhBMQ
高速増殖炉・もんじゅに絶対反対。もんじゅは即刻廃止!試運転再開を絶対阻止しよう!
理由はこのうえなく明白です。当然です。
(1)すべての原発(核)をただちに廃止だから当然そうですが、高速増殖炉もんじゅという原子炉は、そもそも原子力発電所(原発)でもありません。もし「開発」が「成功」し、少しでも運転すれば、すぐ核兵器に使える純度の高いプルトニウムを高速中性子による核分裂連鎖反応で効率的に大量生産・再生産できる、核兵器そのものズバリ、否、超核兵器と言えるようなものを絶対に運転させるわけにはいかないというのが第一点です。原子力推進の国際機関であるIAEAですら、発電目的以外の高速増殖炉等における燃料棒の早期の取り出し、燃焼中の核燃料取り出しを「核武装」「核兵器保有」の準備・実行行為として禁止・監視対象としているのです。ところが「日米同盟関係が解消された場合の唯一の安全保障、国防力」として日本は高速増殖炉と核燃料サイクルを位置づけています。
(2)そもそもプルトニウムというもの放射性物質そのものが、角砂糖数個で日本が全滅する、プルトニウム100万分の1g吸えば確実に肺がんになるといわれるような物質です。こんな危険きわまりない猛毒物質をつくるということ自体が、犯罪です。
(3)3点目に、もんじゅは冷却に金属ナトリウムを用いるというおそるべき仕組みでこの高速増殖運転をやるというシステムだということです。化学を少しでもかじっている人なら誰でも知っていることですが、ナトリウムは空気や水に触れると凄まじい大爆発をおこすことで有名な物質です。液体ナトリウムが漏出したら、プルトニウムを製造する炉そのものが大爆発するような大事故の危険と背中合わせで、この炉の「安定運転」が行われるという仕組みそのものに、人類滅亡の超核兵器たる高速増殖炉もんじゅの正体があらかじめ刻印されています。現にもんじゅはナトリウム事故で十年以上も停止していたのです。
(4)高速増殖炉の開発は、アメリカもフランスもイギリスもソ連も完全に断念して久しく、実験炉、原型炉段階にまでしか至らず悉く失敗し、実証炉は1基だに存在しない。十数年も中断し何らの技術的展望もないのが日本であるのに、日本だけが、しかも冷却という基本的必須関門でのナトリウム火災事故で失敗している日本が、まともに「開発」などできるはずもなく、その日本が高速増殖炉の実用化にしがみつき、やみくもに運転再開に踏み切ろうとしているということは開発段階で福島原発事故をはるかに超える未曾有の大事故・大爆発に暴走するということを意味しています。この計画は絶対に潰さなければなりません。絶対に!
(5)大飯原発がそうであるだけでなく、高速増殖炉もんじゅがある敦賀も、福井県は活断層だらけです。
(6)この高速増殖炉・もんじゅの継続・試運転再開には、フクシマを圧殺し、原発をことごとく再稼働し、大間・島根を新規に開設し、原発輸出を推進し、核燃サイクルを護持し、核武装に突き進むという政財界の意図が凝縮しています。むきだしです。もんじゅを継続させるか、廃止するかには、人類の未来、私たちと子どもたちの命と未来の全てがかかっていると言っても過言ではありません。
(7)もんじゅに反対し、運転を止め続けてきた現地から、12月8日にもんじゅ現地での全国集会が呼びかけられています。
12月8日もんじゅ現地・全国集会で国と日本原子力研究開発機構に対して、怒りの絶対廃炉を叩きつけよう<o:p></o:p>