特報・・杉並版
(児童館・あんさんぶるー地域・職場・決戦2~3月議会版)
【短期連載第四回】
国有財産関東地方審議会全委員に送付されている緊急要望書からの重要個所・全文掲載 (4)
3、 「喫緊の特養整備のための財産交換」? この1月の情報公開で明らかになった事実は、そんな目的から始まった話では全くないということ!
・・・・田中区長の「荻窪駅前周辺の再開発」公約、その実現のために国に「税務署建替工事の中止」を申入れ、「荻窪税務署の賃料負担ゼロでの誘致を含んだ高層複合ビル」の構想を申し向けて、国を巻き込んで荻窪駅前周辺整備(北東再開発)を推進しようとしたのが事の起こりだったことが完全に明らかになりました。
① 区のそもそもの目的は「荻窪駅前周辺整備、まちづくりの活性化」。そのための「国税・都税・区税の行政機能を集約した」高層複合ビルの建設構想で、国の荻窪税務署建替工事に「待った」をかけ、税務署をそこに誘致することだった。「喫緊の特養の整備」という目的などまったくなかった。
年明け早々1月7日のことですが、地元住民の方が、情報公開で、2010年(平成22年)12月3日付けの田中良杉並区長名での中村明雄財務省理財局長あての『荻窪税務署の建替工事について(要望)』の開示を受けました。当時の経過について情報公開を求めている私たちに対して、区から文書は既に処分しているので不存在と言われるなかで、幸い、国に残っていて公開されたのがこの文書です。
●情報公開された文書の骨子
その文書によれば、国にあっては「荻窪税務署の2013年度(平成25年度)中の竣工を目指し、2011年度から建替え工事に着手する予定」と聞き及んだが、杉並区にあっては、荻窪税務署の最寄り駅である荻窪駅周辺地区について、「荻窪駅前周辺整備で区民の利便性向上のために、国税・都税・区税の行政機能の荻窪駅前への集約化の検討中」であり、「2014年度に供用開始できるように施設整備を進めたいと考えている」、「その際、税務署として必要な機能を確保し、国に賃料負担が発生しない方法と致します」というもので、「荻窪税務署の建替えは当分の間一時休止し、荻窪駅周辺整備など、まちづくりの進展を注視していただきますよう、特段のご配慮をお願いします」となっています。
さらに「公有財産の有効活用を図る等を通して区民の利便性向上とまちづくりに寄与するために、国・東京都・杉並区の三者による定期的協議のためにまちづくり連絡会議を設置したいと考えています」とも書かれています。
●当時の政権、民主党をバックに田中区長が掲げた公約が「荻窪駅前再開発」
田中区長は「荻窪駅前周辺整備」のまちづくりを最大の公約といえる位置づけで大きく掲げていました。この文書で、田中区長が国の「荻窪税務署建替」に「待った」をかけた目的は、文書で繰り返し強調されているように、「荻窪駅前周辺整備」(荻窪駅前再開発)だったのであり、そのために「国税・都税・区税の行政機能の荻窪駅前への集約」をはかる、それに際しては、「税務署の機能の確保」と「(国の側での)賃料負担はゼロ」をはかると、荻窪税務署の荻窪駅前に区がつくるつもりの高層複合ビルへの誘致の交渉を提案しているわけです。
背景に既に荻窪駅北口直近に竣工している18階建ての高級高層オフィスビル・インテグラルタワーがあります。「北東再開発」の起爆剤と喧伝されたもので街の光景も一変しました。東京都議会議長を歴任した田中良氏が、杉並区長となったのは、民主党政権誕生のもとです。この2010年(平成22年)12月とは、自民党に代わって民主党が天下をとり、田中区長がはその勢いで、行け行けドンドンと再開発に入れこんでいだ時期です。インテグラルタワーのような高層複合ビルをもう一つ建てれば一気に再開発は進むと考えたのでしょう。具体的にもインテグラルタワーをモデルに田中区長はこの文書の構想を国に持ち込んで、国を相手に「税務署建替などより、もっとポジな話がある。杉並区は今、国税・都税・区税の税務機能を集約してすごい高層複合ビルを荻窪駅前周辺(北東)に建てて、まちづくりを活性化させる構想を進めている」「あわてて税務署を建て替えるより、この構想の進捗を見守り、そこに税務署が入ればいい」「税務署の移転・入居に際しては国の賃料負担はなしにする」「これなら、区にとって、まちづくりの活性化に大きなメリット、国にとっても建替えの建築コストを考えれば大きなメリット」「平成26年度(2014年度)には供用開始できるようにするから」とでも言って国に交渉を申し向けたに相違ありません。何のアテもなかったのだから空手形ですが、国は当時、民主党政権というバックがあるということもあってでしょう、田中区長のその話に乗せられたのです。
●荻窪税務署の移転先となる高層複合ビルの建設用地の確保に失敗
しかし田中区長と杉並区のこの荻窪駅周辺再開発は、「暗転」しました。なぜなら「インテグラルタワー型の高層ビル建設」の肝心要の用地確保が失敗し、さらに大きな事態として2012年12月衆院選での民主党惨敗によって民主党政権が瓦解、自民党(自公)政権への政権交代が起きたからです。
当時の政府と民主党をバックにした田中区長に言われれば、たとえ横車でも国と言えども従わざるを得ないといった「田中区長のわが世の春」のそのバックが崩れ落ち、権勢がしぼんでしまったのです。
国にとっては、荻窪税務署について2011年度(平成23年度)から建替えに着工し2013年度(平成25年度)には竣工する予定でいたものを、政権与党の民主党の田中区長の「待った」で「中止」して交渉のテーブルにつかされた経緯があります。国にとっては、田中区長の「待った」がなければ、2013年とは荻窪税務署の新庁舎が建っている時期です。しかし、田中区長が「要望」文書で国に言っていたような「まちづくりの進展」はなく、それどころか全く移転のメドも立たないわけですから国側からは「いつまで待たせる気か」という激怒の抗議が起きて、堰を切ったように区に向かったというのも推測にかたくありません。田中区長の所属する民主党はもはや政権与党でも何でもないというのがそれを勢いづけたはずです。
●国に対して窮地に立たされた杉並区が代替地として「荻窪南口・あんさんぶる荻窪」を差し出した
荻窪北口東の荻窪税務署含めた税務行政機能統合の高層複合ビルの話が区において急速にしぼんでトーンダウンし、代わって荻窪駅南口のあんさんぶる荻窪の話が区から切り出されたのは、この2013年だということには大きな意味があります。
明らかなことは、区は2013年、交渉相手の国から空手形の責任を追及される羽目になったということです。
民主党が政権与党の座を失ったという事情もそうですが、荻窪駅前(北東)は商店街にひしめくビル・店舗の密集で、「インテグラルタワー型ビル」建設の用地確保など捻出しようにもその余地もありません。再開発がどれほど大変な手順と方法と時間を要するものかを知るその道のプロなら誰でもわかることです。田中区長は、「建替工事」を中止させるまでして、国をまきこんだにもかかわらず、移転先となる高層複合ビルの用地確保の見通しも示せず、失態をさらし、空手形で国を騙した責任を激しく追及されたはずです。
「いつまで待たせる気か」「もう待てない」という国に対して、区は、矢も楯もたまらず、「荻窪税務署の移転先」の代替として、このとき、あんさんぶる荻窪を区に「移転先候補」を差し出すことで、大失態をとりつくろう舵を切ったのです(9月30日田中区長名の東京国税局長宛の『荻窪税務署の移転先について』)。
これが、2013年11月13日の麻生財務大臣・田中杉並区長の「あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・国家公務員宿舎跡地の交換」の合意に先だって水面下で進んだ事態です。
まちづくり会議やその周辺での議論で、JRの高架化や線路をまたぐ大型デッキの構築や、現在の線路北側西口側からあんさんぶる荻窪までつなげるという、工法上も技術上もJR運行との関係上も現実性がない構想が、あれこれと何度も持ちあがってくるのはどういうことなのか、なぜ「あんさんぶる荻窪」の話が荻窪北口(北東)とは町の成り立ちが違う生活区域であるこの南口の「駅前周辺整備」としてしばしば出てくるのか、という疑問について、私たち地元は、この文書を見て合点がいきました。それは田中区長の当初の構想(同じ税務署誘致による駅前周辺整備でも、高層複合ビルによる荻窪北東の再開発)を引きずって、あんさんぶる荻窪への税務署移転をふんだんに大がかりな駅前周辺整備と国にみせかける区の意図が地域の利権関係者に反映して生々しくかもし出されたのです。
現在の時点で、この2010年12月3日の田中区長名の財務省理財局長宛の文書で重要な事実は、次の諸点です。
第一に、今日の「財産交換」のことの起こりは、いま杉並区が「喫緊の特養ホーム整備」「最優先施策」と言っているような、「特養ホーム建設」などといった綺麗ごとでは全くなかったという事実です。区がめざしていたのは「荻窪駅前周辺整備」そのための「荻窪駅前(北東)への税務行政機能を集約した高層複合ビル」構想だったということです。荻窪税務署を荻窪駅前(北東)に開発・建設する高層ビルに移転した後の税務署跡地をどうするのか、とか隣接国家公務員宿舎跡地をどうするかといった、今問題になっていることなどまったく区の眼中にもなかったというのは重要なことです。現実性がなろうと無理であろうと、何が何でも「荻窪駅前(北東)への税務行政機能を統合した高層ビルの建設」、そのための税務署誘致、それがすべてだったのです。この文書に「あんさんぶる荻窪」のことがまったく出てこないのは当然です。そもそも杉並区がめざしていたのは「荻窪駅前周辺(北東)」の再開発だったからです。
第二に、あんさんぶる荻窪の話は、その荻窪駅前(北東)を指す「荻窪駅前周辺整備」構想の破たんで、2013年、国との関係で厳しい責めを負う立場に立たされた区が、失態をとりつくろうために、荻窪駅前(北東)高層複合ビルに代替するものとして南口至近のあんさんぶる荻窪を国に明け渡して犠牲にするものとして持ち上がったということです。
田中区長や区の理事者の話を聞いていると、あたかも杉並区の側から特養ホーム整備の高邁な話を国に提案し、国の税務署跡地と国家公務員宿舎跡地の双方がそのために必要だと熱心に国に働きかけ、区の施設再編整備であんさんぶる荻窪を税務署移転地として財産交換すれば、区は「喫緊の特養の整備」ができ、国も「建替しないでコストをかけずに済む」と互いのメリットを区が粘り強い交渉で確認したかのように聞こえますが、そんな格好いい話ではまったくありません。区が国に対して空手形を切っていたことから、その責任を問われ、当初の交渉内容から転換し、代替であんさんぶる荻窪を交換対象にして国にゆるしてもらおうと、失態を拭おうとしたのです。こういう口が裂けても言えないような大失態があるからこそ、区は、ウソの説明でごまかすということを延々続けてきたのです。
第三に、では「喫緊の特養ホーム」はどこから出て来たのか。これも2013年という年、民主党政権の倒壊と自公政権への政権交代という時期に意味があります。同じ9月30日『荻窪税務署の移転先について』で出てきます。
民主党政権は「子ども子育て支援制度」(民主党は「子ども子育て新システム」というタイトルで唐突に目玉政策としてこれを押し出していた)を内政上の突出した政策課題に据えていましたが、その反面、高齢者政策、介護制度の問題にはほとんど重きを置いていませんでした。田中区政も同じでした。それが、杉並区議会でも公明党から「田中区長は保育園の増設には熱心だが、特養整備では何もしていない」「特養整備に取り組め」という強烈な田中施策批判が噴き出しました。時期は、荻窪駅前(北東)再開発としての高層複合ビル建設の頓挫とあんさんぶる荻窪による代替を区が決めた時期と重なります。
田中区長は今では「特養」「特養」と言いますが、2013年まではほとんど施策の視野に入っていなかったのは事実です。それが「特養」「特養」とにわかに言いだしたのは、公明党からの批判にまいって、公明党の支持なしには区政運営・議会対策も成り立たないと「喫緊の特養整備」をにわかに掲げるに至ったに過ぎません。
あんさんぶる荻窪の財産交換の目的として「喫緊の特養整備」を掲げたのも、田中区長が本心からそう思っているからではなく、公明党の言うことを聞かないと区長権力の座が危ういという判断からです。そこから「特養整備」をにわかに田中区長は強調しだしたのです。田中区長の悪賢いところは、その手始めに、「あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・国家公務員宿舎跡地の財産交換」という区政最大級の課題の看板にこの「特養整備」を使うことを思いついたところです。「そうか、この手があった。特養整備で財産交換を進めよう」「特養を掲げれば通しやすい」と思いついたということです。
こうして田中区長は、「荻窪駅前再開発」を後景化させ、破たんし大失態をさらした荻窪駅前(北東)高層複合ビル建設の問題についてかん口令を敷いて、なかった話にし、「荻窪駅前再開発」から「特養整備」に看板を掛け替え、「喫緊の特養の整備、そのための財産交換」で走りだしたのです。田中区長の「特養整備」は中身もないキャッチコピーの看板に過ぎません。
だから、あんさんぶる荻窪の廃止で児童館がなくなり、子どもの居場所を平気で取り上げて何とも思わないのと同じで、口では「特養のために頑張る」とは言っていても、「そのためには広大な土地が必要だ」ということは言っても、どういう特養が必要なのか、どういう地域包括ケアが必要なのかについての真剣で具体的な話も出てこなければ、区としての真剣な設計の企画も全く出てこないのです。
◎「杉並区には特養が必要」⇒「そのためには広大な土地が必要」⇒「天沼三丁目の荻窪税務署と隣接する国家公務員宿舎跡地の二つとも必要」⇒この交換対象としては「あんさんぶる荻窪の建物・土地」をおいてほかにはない⇒この交換で、区は「特養と地域包括ケア」を建設でき、国はわざわざ新しく税務署を建てずとも建築コストなしで「あんさんぶる荻窪」の建物を「荻窪税務署」にすれば国にとってもコスト節約で、区・国双方にとってメリットがある。・・・・、という話ではまったくないのです。
◎田中区長公約「荻窪駅前周辺(北東)整備のまちづくり」⇒その目玉として「国税・都税・区税の税務行政機能を集約・統合した高層複合ビルの建設」構想に国を巻き込んでの「建替工事中止と荻窪税務署のそこへの移転」⇒構想の破たんによる「空手形」の国からの追及で窮地に立った杉並区の「荻窪南口・あんさんぶる荻窪」を代替で国に差し出す決断 ⇒「あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・国家公務員宿舎跡地の財産交換」・・・・これが杉並区がそこにこぎつけた、大失態の取り繕いで行き着いた、その結論です。
これは、最初(今から6年前)、区が言っていたことと、今、区が言っていることは違うじゃないか、という次元の話ではありません。
自分の公約にしがみついて地元・住民も無視すれば、議会も無視する、国にすら空手形を出して恥じず、大失態をとりつくろうためにはすべてを隠し通して強行する、この結果、犠牲を強いられるのは、あんさんぶる荻窪を居場所・遊び場とする子どもたちであり、その親たちであり、職員であり、住民であり、地域です。絶対に容認できません。子どもが安心して遊べる場所をなくし、子どものために親代わりで働くことを誇りとし職場を愛して頑張ってくださっている240人ものあんさんぶるの職員がその職場を失う、子どもが安全に行き来できる道路交通規制を緩和して事故の不安、危険が絶えない、子どもも親もお年寄りもおびえるような駅前周辺整備・道路拡張、このどこが、「まちづくり」でしょう!私たちが苦労して育て上げ、守り抜き、安全も安心もみんなの協力でつくりだしてきた私たち自身の町であり、地域です。
②区は天沼三丁目につくる特養ホームを含む複合施設について、国に言うことと、区民に言うことで説明を使い分けて来た。
こういうことをやってきながら、区は証拠(前掲田中区長の文書)を残さず廃棄処分にし、この1月の国に保存されていた文書の情報公開にいたるまで私たちからすべてを隠し通してきました。以下は、このような杉並区にして、はじめてできるような区の振る舞いの典型的な事実です。
●天沼三丁目に区がつくる「特養ホームと地域包括ケア」は私たちが思い描いているようなものではまったくありません!
区は、天沼三丁目に区がつくる複合施設については「大規模特養ホーム・地域包括ケア」であり、そのために「税務署」と「国家公務員宿舎跡地」の片方ではなく、双方合わせて6331平米という広大な土地が必要だった、隣接するこの広大な土地をおいてほかには、大規模特養ホーム・地域包括ケアを建てられるような場所はないということを、ことあるごとに言ってきました。今もそうです。
だから天沼三丁目・(仮称)複合施設棟建設の説明会で、最終的な実施設計の平面図をみている人を除いては、区内ではほとんどの区民が、あんさんぶる荻窪を廃止して荻窪税務署・国家公務員宿舎跡地との財産交換で、天沼三丁目に建てられる複合施設は一言でいえば「大きな特養ホーム」とその付属関連施設と思っており、大規模特養ホームを中心とし、介護・看護・医療関連の施設・機能を兼ね備えたものだと想像しています。
しかし、このかん(仮称)複合施設棟建設説明会に参加して、基本設計や実施設計の資料を見て来た私たちは、回を追ってまったくそんなものではないということを知らされました。説明会も最初のうちは、(仮称)複合施設棟については、まだ介護や看護、医療の関連でのケア機能を特養ホームとの密接な連携で備えたものとしてつくろうとしていると思わせるような要素が少しはありました。しかし、昨年10月24日の天沼小学校説明会で出された(仮称)複合施設棟の平面図をみて驚きました。およそ隣接の特養ホームとの一体性を持った専門的で一体的な関連施設といったものではありません。それどころかそういった関連の施設や機能は設計図のどこを探しても一つも見当たらないのです。
具体的に言えば、猫の額のようなほんのわずかの狭いスペースの「在宅生活を支える区事務室」が「4階建」の(仮称)複合施設棟のワンフロアの片隅にもうけられているだけです。区には真面目に特養ホームをつくる気などまるでないということがよくわかりました。
「特養には広大な土地が必要だ」「税務署と公務員宿舎の両方の土地が必要だ」「単なる特養ではなく、地域包括ケアとして専門的なバックアップ機能を備えた複合施設だ」と説明しているので、漠然とはいえ、立派な新たな施設ができるのではないかと期待していた方は多いはずです。税務署隣接の国家公務員宿舎に建てられようとしている「(仮称)複合施設棟」の実際の実体は人を愚弄するも甚だしいものです。
●「(仮称)複合施設棟」は、あんさんぶる荻窪に現在ある施設のそっくりそのままの引っ越し・移転先庁舎
では、実際の(仮称)複合施設棟はどんな構成になっているか。「消費者センター」「福祉事務所」「社会福祉協議会」「成年後見センター」・・・「集会室」、つまりいずれも「あんさんぶる荻窪」がそのまま引っ越して入るというものです。正確に言えば、「あんさんぶる荻窪」にある、それもその中心である「荻窪北児童館」(ゆうキッズ(乳幼児親子居場所事業)を含む)を除いた全部です。
誰が考えてもおかしな話です。「特養ホーム・地域包括ケア」というから税務署跡に建つ特養ホームに隣接する(仮称)複合施設棟には特養ホームの関連施設が入るのかと思っていたら、そんなものはない!入るのは、「あんさんぶる荻窪」に今ある施設!そんなことなら、「あんさんぶる荻窪」があるのにわざわざ、それを廃止して、新たに別のところにつくり直す必要などありません。交換などする必要もありません。今の「あんさんぶる荻窪」のままであれば、児童館もゆうキッズも居場所を奪われ、バラバラに解体されてしまうということも起こらないのです。職員も今まで通り忙しくとも誇りが持てる職場で働き続けることもできるのです。
「税務署と公務員宿舎の二つの土地が両方とも必要」などということではないのです。今のまま「あんさんぶる荻窪」が存続しても、税務署は今の天沼三丁目で建替えは可能だったし、現に国はその気で現在地での建て替えを考え、杉並区からの「待った」がなければもう建て替えも済んでいた筈です。しかも国にはもう一つの隣接地があるのですから、杉並区がその気になれば、区が今計画で言っている、これから5、6年後というような先の話でなく、1、2年でそこに特養も建てることもできるのです。
●区は国に対しては、「あんさんぶる荻窪の施設の移転先」として国家公務員宿舎跡地に庁舎をつくると説明しておきながら、区民に対しては、「特養ホームと一体の包括ケア・サポート拠点をつくる」と騙してきた。
これは本当にひどい話です。2014年2月10日の国有財産関東地方審議会の議事録には、利根会長の説明として、「『あんさんぶる荻窪』に入居中の福祉事務所、消費者センター、社会福祉協議会及び成年後見センターの4施設は、荻窪税務署等の敷地に整備する施設に移転し、荻窪北児童館は子どもセンターとして、荻窪駅に近い小学校に移転させるとともに、環境情報館は、別施設に移転の上、区民サービスを行うと予定されています」と記載されています。つまり、国に対しては、区は最初から、(仮称)複合施設棟は荻窪北児童館等を除く前掲の施設の移転先として建設するということを誤解の生ずるような余地もなく説明していたのです。
2014年2月の審議会ですから、その前から区のこの計画は国に対して説明されていた筈です。ということは、2013年11月下旬から2014年1月末までの間に区がセシオン杉並や杉並区役所などで住民説明会を行い、区の施設再編整備計画の柱として「大規模特養」そのための「あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・国家公務員宿舎跡地の財産交換」について区の見解を一方的に流していた時期です。区はそこで、「特養」と「包括ケア」の話はしても、「あんさんぶる荻窪の施設を税務署隣接の土地に建てる庁舎に移転する」などということはほとんど言っていない。区のパンフレットには小さな活字でちょこっと書いていても、実際の説明では「特養ホーム」「ショートステイ」「包括ケア」「医療ケア」一辺倒のことしか言っていません。だから、先ほども申し上げた通り、ほとんどの区民が「天沼三丁目にできるのは大きな特養ホーム」とイメージしており、まさか(仮称)複合施設棟にはケア機能、看護・介護・医療関連の専門機能など一つもなく、「あんさんぶる荻窪からの引っ越し施設」ばかりになるとは思ってもいないのです。
区は、つくる必要性もない(仮称)複合施設棟という区庁舎を新たにつくるに際して、国には、税務署跡地に建てるのは特養、隣接公務員宿舎跡地に建てるのは「あんさんぶる荻窪の施設の引っ越し先」と説明しながら、区民に対してはさもさも税務署跡地に建てるのも、隣接公務員宿舎跡地に建てるのも特養とその関連の施設というように誰もが受け取るように、そういう意図的な説明の使い分けをしてきたのです。
ここで指摘している問題について、国は、杉並区は国に対してはちゃんと誤解の余地がない言い方で説明している、財産交換は国と区の契約なのだから問題はないというようなことを言えるでしょうか。杉並区がどんな説明の仕方で区民に説明しているか、それに対して杉並区民がどう受けとってしまったのかは、国の関知するところではないというようなことを国は言える立場でしょうか。
そもそも、「荻窪北児童館は子どもセンターとして荻窪駅近くの小学校に移転整備させる」(2月10日の審議会議事録記載)と区が国に対して行ったウソの説明を鵜呑みにして国は審議会に報告をしているではないですか。それとも、国が区のウソの説明を鵜呑みにしているのではなく、杉並区と国で「荻窪北児童館の小学校移転」という説明にするという口裏合わせをしていて、それに基づいて国が審議会に「荻窪児童館の小学校移転」と報告し、区が前掲・七町会「要望書」事件で明らかになったように地元町会に「児童館はまるまる桃井第二小学校に移転」と説明したのが真実だということなのでしょうか?その場合には国は杉並区と完全にグルという話です。
この「学童クラブと小学生放課後居場所事業の機能の桃井第二小学校への移転」という実際の区の計画と「児童館の桃井第二小学校への移転」の説明の違いの問題は決して小さな問題では決してありません。
私たち地元も「児童館はまるごと移転する」と国に説明したのと同じ言葉を使って荻窪の町会長をウソの説明で騙して要望書を出させた区に、危うく騙されっぱなしになるところでした。しかし、話が違うと思った瞬間(2014年12月18日桃井第二小学校改築検討懇談会)から苦しみ悩み抜いたすえに、ウソに与することはできない、「話が違う」「状況が変わった}と地元町会長は7月23日付七町会「要望書」を撤回しました。
「あんさんぶる荻窪の財産交換」問題の最大の問題が児童館をどうするのかという問題です。その児童館の問題で、区としては既に、児童館をバラバラにして移転させるという計画でいるのに、杉並区は、説明では、国に対しても、地元町会に対しても、そのようには言わず、「児童館の移転」と説明しているのです。杉並区の行なっている「説明」の問題は、「児童館の機能の移転であるのに児童館全体が移転するという誤解を与えるような説明を区が行った」という問題でもなければ、「児童館の機能の移転を児童館がまるごと移転になると地元が思いこんでしまった」という問題でもありません。区が「児童館の移転」というウソの説明をした、騙して了解、了承を得ようとしたという問題です。
審議会の委員の方々はどのようにお考えになるのでしょうか。
次回に続く
★ 第五回:発信は2月7日夜の予定
4、区の施設も区の財政も元をただせば区民の血税。「あんさんぶる荻窪廃止・税務署の荻窪南口駅前誘致の財産交換」固執・強行で杉並区がやっていることはその税金の「使い放題」「無駄遣い」
三、地元が合意していない「あんさんぶる荻窪廃止」を国と区との取引(交換契約)で決めることは許されません
【資料一覧】
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連載は、ここまでです。その後の決戦2・3月議会の追及点報道は
★2010年12月3日区長「荻窪税務署の建替え工事について」⇒2013年9月30日区長「荻窪税務署移転について」(あんさんぶるー天沼3丁目二用地の財産交換の提案)⇒11月7日東京国税局長「移転候補あんさんぶる提示の検討と財産交換協議応諾の回答)⇒11月13日田中区長・麻生財務大臣「交換合意」・・・この説明の付けようがない不可解きわまる杉並区・国の交渉経過・・・議会と地元・地域住民説明会で区と国は説明責任を果たせ!2013年第四回まちづくり連絡会議議事録、第五回まちづくり連絡会議議事録、その他伏せているすべての文書、接触・交渉経過を情報公開せよ (2月8日発信予定)
★交換物件の鑑定評価額に係る密室諮問ー答申は無効、即刻凍結せよ(2月9日発信予定)
★☆★☆★☆当通信は、情報公開で明かになった2010年12月3日田中区長文書(『荻窪税務署の建替工事について(要望)』)問題とともに、《1》上記の2013年9月30日田中区長文書(『荻窪税務署の移転について』)から11月7日東京国税局長文書(『荻窪税務署移転候補物件(※あんさんぶる荻窪)の提示について』)ならびにその6日後の11月麻生財務大臣・田中杉並区長「合意」の経過について、また《2》上記の国と区の交換物件の鑑定評価額に関わる杉並区の諮問機関の審議会答申結果について、1定提出「第25号議案」の提出そのものの当非・適格の問題として最大級に重視しています。
★第25号議案そのものを区議会は斥けよ(2月10日発信予定)