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脳動脈瘤 その3 脳動脈瘤はなぜできるのか?(臨床研究編)

2019年11月01日 | その他
さて、私たち人間はどんな条件だと脳動脈瘤が出来やすくなるのでしょうか?

当然のことながら、人間で動物に行ったような実験はできません。しかし、定期検査でどのぐらい動脈瘤が新たにできるかを調べて、それらの患者さんの背景因子を調べればある程度のことは分かります。
このような調査結果はすでにいくつか報告されています 。それらを総合すると、脳動脈瘤の新たな形成は、上に示す条件に当てはまる方に多いとされています。また、脳動脈瘤が新たにできる確率は年間0.2~1.8%程度と報告されています。
これらの条件を見てドキッとされた方も多いのではないでしょうか?年齢や性別、多発動脈瘤、家族歴などは自分で変えられません。
しかし自分で調節できるものもあります。それは3)喫煙、4)高血圧です。

さて、前回紹介した実験のことを思い出してみましょう。脳動脈瘤を作るための実験で行われたのは、片方の血管を止めること、高血圧、そして血管を弱くする薬の投与でした。そうすると、上記の条件となんとなく似ていることに気がつきます。

まず喫煙はガンだけでなく、心筋梗塞やその他、血管の病気を増やすことがわかっています。血管を痛めるわけです。
つまり、タバコを吸って血圧が高いまま放置することは、自分の体を脳動脈瘤ができやすい条件にしているようなものなのです。もちろん、心筋梗塞などにもかかりやすくなります。
我が国では喫煙率と飲酒率が低下傾向にあるということですが、それでも多くの方がこれらの条件に当てはまると思いますし、女性で喫煙者が増えているという報告もあります。
私も以前はスモーカーでしたので「日々のストレスを癒すためについ」、というのは良く分かりますが、上記の他の条件に該当する方はできるだけ頑張って禁煙して、血圧をしっかり管理しましょう。

また、多発性脳動脈瘤や脳動脈瘤の家族歴のある人は、血管の弾性板が欠損している確率が高そうですし、年齢とともに脳動脈瘤ができる確率は上がってきます。
したがって、これらに該当する方は定期的にMRIなどを受けるとよいでしょう。

以上、脳動脈瘤が出来やすい条件、おわかりいただけましたでしょうか?
次回は、脳動脈瘤ができやすい病気と遺伝について紹介します。



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