脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

紡錘状動脈瘤について

2009年12月19日 | 動脈瘤
紡錘状(ぼうすいじょう)動脈瘤について質問がありましたのでお答えします。
脳動脈瘤は一般にその形状から2つに分けられます。
嚢状(のうじょう)動脈瘤と紡錘状(ぼうすいじょう)動脈瘤です。
難しい名前ですが、まず嚢状動脈瘤は上図の左のように、普通血管の分かれ目にできることが多く、本幹から部分的に出っぱった形をしています。英語ではsaccular aneurysmといい、破裂してくも膜下出血を起こすものの多くはこのタイプです。
一方、紡錘状(ぼうすいじょう)動脈瘤というものもあり、上の図の右のように血管全体がふくらんだ形をしています。英語ではfusiform aneurysmといいます。この紡錘状動脈瘤には血管の壁が裂けてできる解離性動脈瘤と普通の動脈瘤があると言われています。

動脈瘤
1) 嚢状(のうじょう)動脈瘤 
2) 紡錘状(ぼうすいじょう)動脈瘤
   2)-1 解離性動脈瘤
   2)-2 非解離性動脈瘤

解離性動脈瘤の場合には解離直後にくも膜下出血や脳梗塞を起こすことがあり、短期に重症化することがあるので急性期の治療が必要です。しかし偶然に見つかった紡錘状動脈瘤は非解離性か、解離してから時間が経過してることが多く、破裂・再破裂する可能性が少ないため、よほど大きくなければ経過をみることになります。中には徐々に大きくなって脳の圧迫症状を出す場合もあります。
では徐々に大きくなった場合にはどうしたらいいのでしょうか?
嚢状動脈瘤と違い、紡錘状動脈瘤では通常のクリッピングやコイリングが不可能です。
このため以前「治療困難な動脈瘤」で説明したように、治療する場合には血管ごと閉塞してバイパス手術を加えることが多いのです。大掛かりな治療となることが多いので、将来的には徐々にステントが使われるようになると思います。

解離性動脈瘤は上に述べたこと以外にも色々と特徴があります。
例えば、若年者に多い、外傷性の場合がある、発症から2週間程度経過すると悪化する可能性が低くなる、などです。
解離性動脈瘤については
http://www.fuchu-hp.fuchu.tokyo.jp/sub/nouge/nou_kairi.html
にくわしく解説されているのでご覧になってください。

参考となれば幸いです。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 富山の薬 | トップ | クリスマス »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます。 (MS)
2009-12-20 10:25:48
質問をさせていただいた者です。
早速の更新、嬉しいです!
わかりやすいご説明ありがとうございます。
あとは、大きくならないことを祈るのみですね。
ひたすら神に祈ります!
情報がない状態というのは本当に不安でした。
今回のこと、心より感謝いたします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

動脈瘤」カテゴリの最新記事