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脳動脈瘤 その25 外科手術が難しい動脈瘤:深い動脈瘤

2021年02月20日 | 動脈瘤
ご無沙汰しています。いよいよコロナワクチンの接種が始まりましたね。
副作用を心配する声がありますが、これまでの情報をもとにすると極めて低率です。
アメリカではすでに全人口の20%以上、イギリスではそれ以上の接種が進んでいます。
日本でも早く集団免疫が確立し、この感染症で命を落とす方が減少することを期待しています。

さて今回からしばらくは「外科手術が難しい動脈瘤」について紹介させていただきます。
外科手術は開頭して行います。このため当然脳の表面に近いほど、つまり浅いほど治療が行いやすいのです。
上の図をご覧ください。
たとえば、中大脳動脈という血管は脳の表面に近いところにあります。
一方で、脳底動脈という血管はその名の通り、脳の底にあります。
左側に示したあたりが開頭の場所です。ここから深いほど手術は行いにくくなります。
このため、中大脳動脈は外科手術に向いていて、脳底動脈は向いていない、ということがわかると思います。
それではこれら2つ以外の場所はどうかというと、これらの中間になります。
ざっくりとまとめると、以下のような順になります。

浅い方から順に
中大脳動脈、内頚動脈、前大脳動脈(前交通動脈)、椎骨動脈、脳底動脈

いかがでしたでしょうか。
もちろん、それぞれの血管においても動脈瘤の位置によって深さは微妙に違ってきますが、だいたいこの順で手術の際の深さが変わるのです。
つまり、右に行くほど血管内治療の方が有利であることになります。

外科手術の難易度はこれ以外にも様々な要素で難易度が変化します。
次回は大きさについてお話ししますね。



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