脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
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医学雑誌「脳神経外科」での脳動脈瘤特集を担当しました

2021年01月28日 | 報道・出版関係
医学雑誌「脳神経外科」には特別な思い入れがあります。
私が初めて論文を投稿した雑誌なのです。
掲載された時にはうれしくて、わざとページを開いて医局の机に置いたほどです。
その「脳神経外科」から、脳動脈瘤特集を担当するよう依頼を受けました。
こんな名誉なことはありません。そこで我が国のトップランナーの先生方に依頼したところ素晴らしい特集号が出来上がりました。
私も全編、しっかりと読ませていただきました。
脳神経外科、脳動脈瘤治療に関わるみなさん、是非手に取ってみてください!
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新しい脳動脈瘤治療機器、WEB上陸!

2021年01月21日 | 動脈瘤
分岐部脳動脈瘤に対する新しい治療機器、WEBを使用した治療を行いました。
対象は脳底動脈先端部の大型脳動脈瘤でした。
通常のコイル塞栓術では再発が多いタイプで、フローダイバーターも使用できません。
この新しい治療機器はみかんのネットのような形のもので、動脈瘤の中に留置します(上図)。
そうすると徐々にネットの中に血栓ができて動脈瘤も血栓化し、破裂しなくなります。
これまでのステントとコイルを併用した治療と比べ、正常血管に異物を留置する必要がないため、早期に内服薬(抗血小板薬)を中止できるのが利点です。
しかも再発も少ないということです。
適応基準を満たした症例では、この機器で従来より安全な治療が可能となることが期待されます。
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コラム5 脳動脈瘤の破裂予測スコア(UCAS Prediction model)

2021年01月12日 | 動脈瘤
脳動脈瘤の破裂率に関するコラムの続きです。
前回は日本人の脳動脈瘤の統計データ(UCAS-Japan)から算出されたサイズと場所の一覧表をお示ししましたが、今回はこのデータを基にした破裂の予測スコアを紹介します。

脳動脈瘤の破裂については、動脈瘤の大きさや場所だけでなく、年齢や性別、さらには高血圧なども関連します。このスコアでは、動脈瘤がいびつな形の場合(動脈瘤上に小さな膨らみがある場合)という条件も加え、6つの項目で評価しています。
左図の各項目の点数を足していき、合計点数を計算します。
つぎに右図で、合計点数の右側を見ると、3年間の破裂率がわかります。確率のバラツキの範囲も右側に示されています。
このスコアの精度の高さは、複数の日本人の統計データで確認されています。

このように、このスコアは3年間の脳動脈瘤の破裂率を予測するのに大変参考となります。ただし、日本人は平均寿命が長いので、3年間だけ予測しても十分とは言えません。しかし、20年とか30年間の予測スコアはないため、前回示した場所とサイズのデータとこの予測モデルの数値をもとに、長期を推定することになります。

いかがでしたでしょうか。次回は世界的な予測スコアを紹介しますね。
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