脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

「tPAの今」で得られたもの

2009年11月30日 | 学会/研究会
先週の富山の学会で開催させて頂いた特別企画「tPAの今」。
この企画のため、全国の脳血管内治療専門医にアンケートを行いました。
結果、脳の太い血管がつまって脳梗塞になった(脳主幹動脈急性閉塞)患者さんのデータを2000例近く集計することができました。
これだけの症例が集まると色々なことが分かってきます。多くの注目すべきデータがありますが、その中でもとりわけ目を引くデータがありました。
これは脳底動脈や中大脳動脈が急に閉塞した患者さんがtPA静注療法を受けると、やはり結果が良くなること、さらにtPA静注が無効だった患者さんに血管内治療で救済を行うと、さらに患者さんが良くなることです。
このデータからこれまで我々が行ってきたtPA静注で改善しない患者さんへの救済療法がやはり全国的にも有効な可能性が示されました。ただしまだ症例数が少ないのでもっと多くの症例で確認する必要があります。また最終的には以前説明したランダム化試験を行う必要もあります。

ただ、ランダム化の前に、血管内治療が極めて有効な状態を調査から割り出す必要があります。そういった状態を選んで治療のランダム化を行えば、効率よく治療の有効性を確認できるからです。
重症の患者さんを良くできる重要なヒントがこのアンケートに見え隠れしています。
全国の多忙な先生方から提供された貴重なこのデータを、さらに解析して論文化を目指します。
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たくさんのアクセス、有り難うございます。

2009年11月27日 | 閑話休題
今日、このブログを見た友人から10万アクセスを超えていると言われました。
10万アクセス!
皆さん、本当に有り難うございます。
一般の方向けの脳卒中の本を書くため、下書きとしてはじめたこのブログですが、思いもかけず多くの方に見て頂いているようです。
基本は「脳卒中の解説」ですが、少しでも皆さんに役立つ、楽しいブログを目指して続けるつもりです。
これからもよろしくお願いします。
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おいしい駅弁:富山駅

2009年11月24日 | グルメ
富山のおいしいもの再び発見しました。
富山駅の売店で売っていた「ずわいがに寿司弁当」!
カニ好きの私にはたまりません(^^)v
1000円でこんなにおいしいものが食べられるなんて、富山ってなんていいところなんでしょう!
来月のハンズオンセミナーが楽しみです。
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市民公開講座

2009年11月23日 | 学会/研究会
学会の最終日に市民公開講座がありました。
富山大学の遠藤俊郎教授、神戸の坂井信幸先生とともにお話しさせて頂きました。
私の担当は「脳動脈瘤のコイル治療」でした。
今回の学会では発表が多かったのですが、市民の皆さんに対する講演はスライドも別なので気合いを入れて準備しましたが、終わってから聞いていた人たちに「分かりやすかったー」と言っていただけてほっとしました。
300名も参加者があったんですよ!
富山の皆さんの健康に対する関心の高さを知りました。

その公開講座の中で、「倒れたら済生会病院に行きたいけどどうすればいいか?」という質問があり、桑山先生と遠藤先生が「脳卒中の急性期はすべて済生会病院の脳卒中センターに集まるシステムができているので大丈夫です!」と言われていて驚きました。
海外ではそういったセンター化が行われているところが多いのですが、日本では病院が多くてなかなかそうはいきません。
「大学病院や市民病院でなく、私立病院である済生会病院になぜ?」とお聞きしたところ、「人材、医療機器、脳卒中センターとしての体制」のすべてが整えてもらえるという条件が揃ったためだそうです。
実際、今回の学会で桑山先生を補佐された久保道也先生は現在済生会病院で勤務されていて、血管内治療の指導医も持っておられます。また開頭手術の専門家もいます。なるほど、と思いました。
また大学病院では夜間や休日のMRI等ができないとのこと。脳卒中治療は年々進歩しています。検査や治療がすぐにできないのでは患者さんを受けると申し訳ない、と遠藤教授がおっしゃっておられました。
岐阜大学病院は緊急で売っていますから、もちろん緊急の検査や治療はきわめて迅速に対応してもらえます。ある意味、岐阜大学の方が変わっているのかもしれません。先日、他の大学の先生にも「国公立大学病院ではまずあり得ない体制」とお誉めにあずかりました。
昨日の夜も脳底動脈の急性閉塞が入って緊急カテで再開通をしました。救急部で挿管を受け、放射線部で全身麻酔のまま治療を行いました。技師さんも看護師さんもチームの一員として快く手伝ってくれました。おかげで再開通させることができましたよ。みなさん、ありがとう!(^^)/~
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JSNET2009 大成功!

2009年11月23日 | 学会/研究会
JSNET2009は大成功でした。
桑山先生、久保先生、おめでとうございます。
今回の学会場は駅の北側にあるオーバードホール、カナルパークホテルで開催されたのですが、富山駅の北側は別世界!。
http://www.aubade.or.jp/
ポートラムというヨーロッパのような路面電車が走っていて(上の写真)、まるで外国にいるようです。
さすがはおしゃれな桑山先生!

企画、担当させて頂いた特別企画「tPAの今」も大変盛況で、立ち見がたくさん出ました。
座れなかったみなさん、申し訳ありません。
会場は熱気に包まれており、全国アンケートも非常に興味深い結果が出て、我々も興奮していました。
いずれここでも紹介しますね。
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JSNET2009

2009年11月18日 | 学会/研究会
いよいよ明日から日本脳神経血管内治療学会(JSNET2009)が富山で開かれます。
今回は私が敬愛してやまない、富山大学の桑山先生が会長として開催されるので、とても楽しみです。
上の図を見てください。桑ちゃんマークというんですよ!
富山の久保先生がデザインされたこのマーク!素晴らしいの一言。師匠への愛情が感じられますよね。
久保先生も温かいお人柄の素晴らしい先生です。富山大学はいいですね!

さて今回、私はいくつかの発表の機会を頂き、頑張って準備してきました。
特に、「tPAの今」という特別企画を担当させて頂き、以前からこのブログでも紹介している「tPA静注療法後の救済療法」にスポットライトを当てることができそうです。
この企画のため、神戸の坂井信幸先生と桑山会長の協力を得て、JSNETの会員に全国アンケートを行わせて頂きました。
その結果、2000例近い症例のデータが集まり、大変興味深い結果が出てきています。
アンケートの解析は当科の江頭先生がやってくれましたが、明日は彼がその結果を発表してくれます。
私はその最後に、現在企画中の日本における急性期脳梗塞の前向き登録調査(RESCUE registry)を紹介します。
いよいよ迫ってきました。すでに取材の申し込みもあります。
頑張ります。
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JIN -仁-

2009年11月15日 | 閑話休題
テレビを見たら、脳神経外科医が江戸時代にタイムスリップしてしまうというドラマがやっていました。
ドラマの題名は「JIN -仁-」。
大沢たかおさん扮する南方仁が、満足な医療器具も薬もない幕末の時代にタイムスリップして人々の命を救っていくというストーリーです。
主人公が「脳神経外科医」というところが自分には格別ですが、坂本龍馬・勝海舟・緒方洪庵なども出てきて、とにかくとても面白いドラマですよ。

http://www.tbs.co.jp/jin2009/
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紅葉

2009年11月14日 | 閑話休題
昨日、岐阜県土岐市にある土岐市立総合病院で出張治療をしてきました。
その帰りに道路脇を見ると素晴らしい紅葉!
思わず写真を撮ってしまいました。
ばたばたとした毎日を送っていて気づきませんでしたが、すっかり秋なんですねー。
今年の紅葉は綺麗なんじゃないでしょうか?
土岐から名古屋へ向う中央自動車道沿いは素晴らしい眺めでしたよ。
その後に一宮市の大雄会病院に行きましたが、やはり土岐の方が紅葉は綺麗ですね(^^)
皆さん、紅葉は見に行かれましたか?
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頚動脈ステント留置術中の脳保護について

2009年11月13日 | 脳梗塞
頚動脈ステント留置術において脳に血栓を飛ばさないようにする工夫についてお話しします。
これには現在3通りがあります。
1)風船で狭窄より心臓側を止める
2)風船で狭窄より脳側を止める
3)フィルターで脳側を保護する
上の図は、この3)にあたります。
脳に血流を流しながら治療できるのが、このフィルターデバイスのいいところです。
海外にはこのタイプの製品がたくさんあるのに、なかなか日本に導入されずやきもきしていました。
ジョンソンアンドジョンソン社が上の図のフィルターデバイスを導入してくれたおかげで、この頚動脈ステント留置術が日本でも認められた治療になりました。保険で行えるようになったのです。

さて、上の図を見てもどういう具合に使うかちょっと分からない方もおられるかと思います。
ホームページに動画があるのでぜひご覧になってください。
http://www.e-oishasan.net/site/yoshimura/treat03.html

分かりましたか?
この器具は画期的で、実際日本で多くの患者さんに使われています。
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CEA高危険群に対してCASの有用性が示された!

2009年11月08日 | 脳梗塞
10月20日の「CEA高危険群について」の続きです。
CEAのリスクが高い患者さんにCEAを行えば当然治療結果が悪い。
そこで別の治療ができないか?ということになります。
その候補となる治療は頚動脈ステント留置術(Carotid artery stenting: CAS)です。
上の図はCEAのリスクが高い患者さんにCEAとCASを無作為に割り付けて行った結果を示しています。
表に示すように、全ての項目でCASの方が良い成績です。
統計学的には「CASの方が良い」とまでは行きませんでしたが、「CEAとほぼ同等の結果」という結果が得られました。
結果が同じであれば低侵襲のCASの方が良く行われるはずです。
ですから事実上、CASの有用性を示した報告ということになるわけです。

現時点ではCASの有用性を示す大規模臨床研究はこれだけです。
しかしこの結果を受けて、米国も日本も頚動脈用のステントを認可しました。
それが上の図のJohnson & Johnson社のPrecise stentです。
もう一つ、傘のようなものが右側にありますが、これは脳に血栓を飛ばさないようにするための保護フィルターです。
次回、もう少し詳しくお話しします。
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