前回は脳血管が細い患者さんでは、急性期にはアスピリンとプラビックスの併用が再発予防に有効であるというデータを示しました。
しかし長期はどうなのでしょうか?
上のグラフがその結果を示すデータです。
プラビックスのみの治療に比べて、プラビックスとアスピリンの2種類を内服した場合には3ヶ月を過ぎたあたりから徐々に頭蓋内出血が増えてしまいます。
このため、脳梗塞の患者さんにこの2種類の組み合わせを長期継続するのは特別な場合に限られます。たとえば心臓や他の血管にステントなどが留置されている場合です。こういった場合には、2種類が長期投与されることが多いので、脳梗塞を起こして、しかも心臓にステントが入っている場合には、どちらを重視して治療していくかを専門医同士で相談して決めています。
脳梗塞では、「長期は抗血小板薬1種類」が基本です。
処方の原則、ご理解頂けましたか?
しかし長期はどうなのでしょうか?
上のグラフがその結果を示すデータです。
プラビックスのみの治療に比べて、プラビックスとアスピリンの2種類を内服した場合には3ヶ月を過ぎたあたりから徐々に頭蓋内出血が増えてしまいます。
このため、脳梗塞の患者さんにこの2種類の組み合わせを長期継続するのは特別な場合に限られます。たとえば心臓や他の血管にステントなどが留置されている場合です。こういった場合には、2種類が長期投与されることが多いので、脳梗塞を起こして、しかも心臓にステントが入っている場合には、どちらを重視して治療していくかを専門医同士で相談して決めています。
脳梗塞では、「長期は抗血小板薬1種類」が基本です。
処方の原則、ご理解頂けましたか?
頚動脈や脳血管の狭窄が原因の脳梗塞は、予防治療をしていても2度目の発作を起こしやすいことが知られています。従って、こういった状態では予防薬が1種類より2種類の方が良いのではないかと考えられます。
この疑問を調べるため2つの研究が行われました。頚動脈狭窄症を持つ患者さんを対象としたCARESS研究と頚動脈または頭蓋内血管狭窄を持つ患者さんを対象としたCLAIR研究です。CARESS研究はドイツやフランスなど欧州、CLAIR研究は香港などアジアで行われました。
その結果、アスピリン単剤では4~7%の再発を認めましたが、アスピリンとプラビックスの2剤を内服した場合には再発を認めなかったと報告されています。
もちろんもっと多い数で調査すれば再発を起こす患者さんもあるはずですが、2つの研究ともに2剤の方が再発が少なかったことは注目に値します。
頚動脈や脳血管が細く、それが原因で脳梗塞を起こした患者さんに、急性期に2種類の予防薬を内服してもらうのはこういった結果が根拠となっているのです。
この疑問を調べるため2つの研究が行われました。頚動脈狭窄症を持つ患者さんを対象としたCARESS研究と頚動脈または頭蓋内血管狭窄を持つ患者さんを対象としたCLAIR研究です。CARESS研究はドイツやフランスなど欧州、CLAIR研究は香港などアジアで行われました。
その結果、アスピリン単剤では4~7%の再発を認めましたが、アスピリンとプラビックスの2剤を内服した場合には再発を認めなかったと報告されています。
もちろんもっと多い数で調査すれば再発を起こす患者さんもあるはずですが、2つの研究ともに2剤の方が再発が少なかったことは注目に値します。
頚動脈や脳血管が細く、それが原因で脳梗塞を起こした患者さんに、急性期に2種類の予防薬を内服してもらうのはこういった結果が根拠となっているのです。
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2)特定の製品(商品)に関するネガティブなコメント
またここで掲載されている記事について変更などを希望される場合には、
stroke_buster@mail.goo.ne.jp
まで直接ご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
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国際学会で名古屋に来ています。
名古屋大学の宮地 茂先生が主催されているAAFITN(Asian Australasian Federation of Interentional and Therapeutic Neuroradiology)に参加するためです。
今回はBSNET(脳血管内治療ブラッシュアップセミナー)との同時開催であったため、多くの参加がありました。
本日は最終日です。私もいくつかの発表をさせて頂きました。
宮地先生と関係者の先生方、素晴らしい会のご開催、ご苦労様でした。
名古屋大学の宮地 茂先生が主催されているAAFITN(Asian Australasian Federation of Interentional and Therapeutic Neuroradiology)に参加するためです。
今回はBSNET(脳血管内治療ブラッシュアップセミナー)との同時開催であったため、多くの参加がありました。
本日は最終日です。私もいくつかの発表をさせて頂きました。
宮地先生と関係者の先生方、素晴らしい会のご開催、ご苦労様でした。
プラビックスについて「どのタイプの脳梗塞に効くか?」という質問を受けました。
2012年03月07日の本ブログの図をご覧頂くと分かると思いますが、アスピリン、プラビックス、プレタールという薬は、抗血小板薬と呼ばれるもので、主にアテローム血栓性脳梗塞(つまり動脈硬化による脳梗塞)の再発予防に使われます。
またラクナ梗塞も小血管の動脈硬化が原因なので、使われることがあります。
しかし、心原性脳塞栓症、つまり心臓が原因となる脳梗塞には効きません。
このためご質問に対する答えとしては、「アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞には効きますが、心原性脳塞栓症には効きません」ということになります。
さて、プラビックスがなぜ最近多く処方されるようになったか。それには理由があります。
上の図を見て頂くと分かるように、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈疾患のいずれか1つを有する患者さんにプラビックスとアスピリンのどちらかを内服してもらうという臨床試験(ランダム化比較試験)を行ったところ、プラビックスの方が全身の血管イベントが少なかったという結果が出たからです。
医師達はこのようなランダム化比較試験の結果を重要視します。それは最もバイアスのかからない比較結果だからです(これについては、このブログでも何度か説明してきましたね!)。
しかもプラビックスはアスピリンと比べて胃潰瘍などの問題も少なく使いやすい薬です。同系統のパナルジンの副作用を減らすように改良された薬ですから、当然、パナルジンよりも安全です。
次回、もう一つプラビックスのデータを紹介しますね。
2012年03月07日の本ブログの図をご覧頂くと分かると思いますが、アスピリン、プラビックス、プレタールという薬は、抗血小板薬と呼ばれるもので、主にアテローム血栓性脳梗塞(つまり動脈硬化による脳梗塞)の再発予防に使われます。
またラクナ梗塞も小血管の動脈硬化が原因なので、使われることがあります。
しかし、心原性脳塞栓症、つまり心臓が原因となる脳梗塞には効きません。
このためご質問に対する答えとしては、「アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞には効きますが、心原性脳塞栓症には効きません」ということになります。
さて、プラビックスがなぜ最近多く処方されるようになったか。それには理由があります。
上の図を見て頂くと分かるように、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈疾患のいずれか1つを有する患者さんにプラビックスとアスピリンのどちらかを内服してもらうという臨床試験(ランダム化比較試験)を行ったところ、プラビックスの方が全身の血管イベントが少なかったという結果が出たからです。
医師達はこのようなランダム化比較試験の結果を重要視します。それは最もバイアスのかからない比較結果だからです(これについては、このブログでも何度か説明してきましたね!)。
しかもプラビックスはアスピリンと比べて胃潰瘍などの問題も少なく使いやすい薬です。同系統のパナルジンの副作用を減らすように改良された薬ですから、当然、パナルジンよりも安全です。
次回、もう一つプラビックスのデータを紹介しますね。
アスピリンのライバルのうち、まずプラビックスとパナルジンという薬を紹介します。これらの薬もアスピリンと同様、血液中の血小板という成分の凝集(くっつき合うこと)を抑える作用があります。これにより血液が固まりにくくなり、脳梗塞の再発が減少するのです。
その作用を少し詳しく紹介します。
「各種抗血小板薬の作用機序」(4月24日に紹介)の図を再度引用します。
まず血小板が凝集するには、ADPという物質による刺激が必要です。ADPは血小板の表面にあるADP受容体と呼ばれるタンパク質に結合して、血小板を凝集させるための連絡を出します。プラビックスとパナルジンは、このADP受容体の活性化を防ぐことで、血小板凝集を防ぐのです。
さて、面白いことに、これらの薬自体は血小板の凝集を抑える作用を持ちません。直接血液と混ぜても作用は現れないのです。これらの薬をヒトが内服し、体内で代謝されてはじめて作用が現れるのです。このような効き方をする薬をプロドラッグと呼んでいます。
プラビックスやパナルジンは血小板凝集を抑制する作用が強く、血管内にステントなどの異物を留置する際には必須の薬剤とされています。しかし、パナルジンには重大な副作用(血栓性血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、肝機能障害など)が起こることがあります。ですから、パナルジンを服用する人は、定期的に血液検査を受けなくてはいけません。最近、これらの副作用を克服するために改良されたのがプラビックスなのです。プラビックスはパナルジンと効果はほぼ同じでありながら、副作用が少なく安全性が高いことが知られています。
以上、ちょっと難しいかもしれませんが、プラビックスとパナルジンの作用とその違いについて紹介させて頂きました。
その作用を少し詳しく紹介します。
「各種抗血小板薬の作用機序」(4月24日に紹介)の図を再度引用します。
まず血小板が凝集するには、ADPという物質による刺激が必要です。ADPは血小板の表面にあるADP受容体と呼ばれるタンパク質に結合して、血小板を凝集させるための連絡を出します。プラビックスとパナルジンは、このADP受容体の活性化を防ぐことで、血小板凝集を防ぐのです。
さて、面白いことに、これらの薬自体は血小板の凝集を抑える作用を持ちません。直接血液と混ぜても作用は現れないのです。これらの薬をヒトが内服し、体内で代謝されてはじめて作用が現れるのです。このような効き方をする薬をプロドラッグと呼んでいます。
プラビックスやパナルジンは血小板凝集を抑制する作用が強く、血管内にステントなどの異物を留置する際には必須の薬剤とされています。しかし、パナルジンには重大な副作用(血栓性血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、肝機能障害など)が起こることがあります。ですから、パナルジンを服用する人は、定期的に血液検査を受けなくてはいけません。最近、これらの副作用を克服するために改良されたのがプラビックスなのです。プラビックスはパナルジンと効果はほぼ同じでありながら、副作用が少なく安全性が高いことが知られています。
以上、ちょっと難しいかもしれませんが、プラビックスとパナルジンの作用とその違いについて紹介させて頂きました。