患者の心がけ、素晴らしいですよ!
書評を書かせて頂きました。
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本書は「攻めのリハビリ」で有名なリハビリテーション医、酒向正春先生の著書です。先生はもともと脳神経外科医として第一線で活躍された後、リハビリテーション医に転向された方です。それにしても「早く治る人は何が違う?」とは刺激的なタイトルです。どのような内容なのでしょうか?
この本は6つの章に分かれており、とても魅力的なタイトルが付いています。そこで、この章立てに沿って紹介して行こうと思います。
[第1章:病後の人生はリハビリで決まる] 私たち脳神経外科で治療を受けた患者さんの何割かはリハビリテーションを受けることになりますが、その後の回復度には大きな個人差があります。そこで先生が最も強調されているのは、患者さんと家族に明確な目標を示し、それに向かって科学的なリハビリを行っていくことの重要性です。「画像を読むことで患者さんの回復の見通しを立てる」ことができれば、患者さんだけでなく、セラピストや家族のモチベーション維持に大きく寄与するからです。これは全てのリハビリ病院が実践できるよう目標とすべきことだと思います。
[第2章:私の医師人生] 若い頃に交通事故後の辛いリハビリテーションを経験したことが、先生のリハビリテーション医としての情熱に繋がっていることを知りました。また、脳神経外科専門医として急性期治療に当たったのちに、自身の天職に出会った感激、そしてそれにすぐに前向きに取り組む姿勢に感動を覚えました。
[第3章:病院は選ぶ時代に] 私たち同業者が、ちょっとドキッとするタイトルです。「世界一の医療レベル」と言われる我が国ではありますが、病院によって取り組み方やレベルは様々です。また、病院にはいろいろな患者さんがやって来ます。このため病院の運営には多くの苦労があることが紹介されています。また、ここでは「医療の質」の一歩先にある「医療のホスピタリティ」についても言及されています。
[第4章:リハビリ病院は医療の航空母艦] ここでは実際にリハビリに関わるチームの皆さんの言葉が記されています。私も日々、患者さんの診療に取り組んでいますが、スタッフの皆さんの医療に対する考え方を詳細に聞く機会は多くありません。このため、読んでいてハッとするような言葉もありました。この病院では皆が患者さんだけでなく、周囲スタッフのことを気遣いながら連携していることが分かります。
[第5章:リハビリで人生を取り戻した患者さんたち] ここでは先生が診療された3名の患者さんが紹介されています。リハビリはこれほど病院によって違うのか、それによって患者さんがこんなに良くなるのかということを、驚きをもって拝読しました。
[第6章:立派に生きて死ぬということ] ここでは高齢や病気によって障害を抱えても、充実した人生が送れるような街を作ろう、という先生の最終目標が紹介されています。なんとも素晴らしい計画ではありませんか?もちろん壮大な計画ではありますが、先生の発案で、すでに初台ヘルシーロードというものが作られ、いくつかの自治体が、病院を核とした新しいコミュニティについて取り組みを始めているとのことです。世界一の超高齢社会である我が国はそのロールモデルとなれる可能性があります。多くの方の支援を得るために奔走する先生の姿が目に浮かびます。
[あとがき] 最後に、大リーグから電撃移籍した黒田博樹選手を例にあげて、メンバー全員が一流チームを目指すことの重要性が示されています。私も本書を読んで大いに勇気付けられました。先生の取り組みが世界に広がり、医療とそれを取り巻く社会が変わっていくことを心から願っています。
書評を書かせて頂きました。
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本書は「攻めのリハビリ」で有名なリハビリテーション医、酒向正春先生の著書です。先生はもともと脳神経外科医として第一線で活躍された後、リハビリテーション医に転向された方です。それにしても「早く治る人は何が違う?」とは刺激的なタイトルです。どのような内容なのでしょうか?
この本は6つの章に分かれており、とても魅力的なタイトルが付いています。そこで、この章立てに沿って紹介して行こうと思います。
[第1章:病後の人生はリハビリで決まる] 私たち脳神経外科で治療を受けた患者さんの何割かはリハビリテーションを受けることになりますが、その後の回復度には大きな個人差があります。そこで先生が最も強調されているのは、患者さんと家族に明確な目標を示し、それに向かって科学的なリハビリを行っていくことの重要性です。「画像を読むことで患者さんの回復の見通しを立てる」ことができれば、患者さんだけでなく、セラピストや家族のモチベーション維持に大きく寄与するからです。これは全てのリハビリ病院が実践できるよう目標とすべきことだと思います。
[第2章:私の医師人生] 若い頃に交通事故後の辛いリハビリテーションを経験したことが、先生のリハビリテーション医としての情熱に繋がっていることを知りました。また、脳神経外科専門医として急性期治療に当たったのちに、自身の天職に出会った感激、そしてそれにすぐに前向きに取り組む姿勢に感動を覚えました。
[第3章:病院は選ぶ時代に] 私たち同業者が、ちょっとドキッとするタイトルです。「世界一の医療レベル」と言われる我が国ではありますが、病院によって取り組み方やレベルは様々です。また、病院にはいろいろな患者さんがやって来ます。このため病院の運営には多くの苦労があることが紹介されています。また、ここでは「医療の質」の一歩先にある「医療のホスピタリティ」についても言及されています。
[第4章:リハビリ病院は医療の航空母艦] ここでは実際にリハビリに関わるチームの皆さんの言葉が記されています。私も日々、患者さんの診療に取り組んでいますが、スタッフの皆さんの医療に対する考え方を詳細に聞く機会は多くありません。このため、読んでいてハッとするような言葉もありました。この病院では皆が患者さんだけでなく、周囲スタッフのことを気遣いながら連携していることが分かります。
[第5章:リハビリで人生を取り戻した患者さんたち] ここでは先生が診療された3名の患者さんが紹介されています。リハビリはこれほど病院によって違うのか、それによって患者さんがこんなに良くなるのかということを、驚きをもって拝読しました。
[第6章:立派に生きて死ぬということ] ここでは高齢や病気によって障害を抱えても、充実した人生が送れるような街を作ろう、という先生の最終目標が紹介されています。なんとも素晴らしい計画ではありませんか?もちろん壮大な計画ではありますが、先生の発案で、すでに初台ヘルシーロードというものが作られ、いくつかの自治体が、病院を核とした新しいコミュニティについて取り組みを始めているとのことです。世界一の超高齢社会である我が国はそのロールモデルとなれる可能性があります。多くの方の支援を得るために奔走する先生の姿が目に浮かびます。
[あとがき] 最後に、大リーグから電撃移籍した黒田博樹選手を例にあげて、メンバー全員が一流チームを目指すことの重要性が示されています。私も本書を読んで大いに勇気付けられました。先生の取り組みが世界に広がり、医療とそれを取り巻く社会が変わっていくことを心から願っています。