脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

英語

2011年05月26日 | 閑話休題
昨年紹介したチャロ2ですが、自分は1年間聞きましたけど、あまりストーリーが良くなくて皆さんに申し訳なかったです。チャロ1はすごく良かったんですけどねー。ごめんなさい。
そこで今年はちょっと方向性を変えて「実践ビジネス英語」にチャレンジしています。
かなり難しいですけど、英語がたくさん聞けますよ。
内容も日常生活に役に立ちそうですしね。
4月、5月と聞いてみて、それなりに楽しく続けています。
ストーリーものではないので、途中からでもはじめられますよ!
でも、あまりに高度と感じる方は、「入門ビジネス英語」の方がいいかもしれません。
ちょっと背伸びした感じですけど、一年間、がんばってみます!
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MRAによる頚動脈プラーク診断がStroke誌にアクセプトされました!

2011年05月23日 | 報道・出版関係
私たちが取り組んでいる頚動脈プラーク診断。
最近では3テスラMRIを用いた超先端的な研究も行っています。
しかし、こういった試みは研究としては大変興味深いのですが、全国、あるいは世界的にはあまり役に立ちません。機器も検査法も新しすぎるからです。私が知る限り、欧米では頚動脈狭窄症の患者さんに何度もMRIを行うこと自体が難しいようです。日本の循環器内科の先生方もそういう印象をお持ちのようです。どうやら世界的な見地からすれば、私たちが深く追い求めている検査法は徐々に日常診療の範囲を超え、マニアックな臨床研究としての試みに近づきつつあるようなのです。

さて、そんなある日、脳出血の患者さんのMRAを見ていて、出血が白く描出されていることに気づきました。「ということは、頚動脈のMRAでプラークの中が白く見えるのは出血が見えているのではないか?」「それなら全員に行っているスクリーニングのMRAを見るだけで、出血を伴ったプラークを診断できるのではないか?」。そう思ったのです。

当時、すでに私たちはMRIやエコーによるプラーク診断をルーチンに行っていました。しかし私自身は徐々にこの簡便法とも言える「単なるMRAによるプラーク診断」に強く惹かれて行きました。なぜならこの検査法は先進的MRIほど緻密ではないものの、出血に関してはきわめて鋭敏であることが分かってきたからです。またMRAは世界中で多くの患者さんに日常診療として行われる検査ですから、この「MRAで白く見える」という単純な所見が実際のステント留置術のリスクと相関するなら、極めて重要な発見のはずです。また本当にそうなら、検査を見直すだけなので費用対効果も絶大です。

調べて行くと予想通りMRAで白く見えるプラークはほぼ全例でプラーク内出血を伴っていることが分かってきました。そこで私たちがこれまでステント留置術で治療した患者さんを振り返り、プラークが白く見える群とそうでない群で治療成績を比較したところ、「白く見えるプラークはステント留置術中に脳梗塞を起こしやすい」ことがわかり、これが統計学的にも証明できたのです。山田先生が病理学的な解析をしてくれましたので、彼との共同論文としてStroke誌に投稿したところ、やはり非常に良いコメントが来て、2度の修正を経て先日アクセプトの連絡が来ました。

「ちょっとした思いつき」を発展させ、日常診療に役立つようにすること。今回はこの目標が達成できてうれしく思います。本研究には循環器内科の川崎先生、放射線科の浅野先生と兼松先生、病理学教室の高松先生と原先生のご指導とご協力を頂きました。この場を借りて御礼申し上げたいと思います。

この発見を論文化してほっとしたのも束の間、この診断法に関することで、調べてみたいことがいくつか出てきてしまいました。でも良いきっかけですので、もう少しがんばってみようと思います。
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奥村 歩先生

2011年05月22日 | 学会/研究会
昨日、岐阜市内で講演会がありました。
私は脳卒中について話をしました。
もう1人の演者は奥村 歩先生でした。
先生は、岐阜大学脳神経外科で私の一年先輩です。研修医の頃や私が帰国した2000年頃に一緒に仕事をさせて頂きました。
先生は3年前に「おくむらクリニック」をご開業されましたが、その直前に本を執筆され、最近ではテレビにも良く出演されており、大変有名になられています。
先生の最近のご専門は認知症で、「ボケない技術(テク)」という本も書かれています。私は本を読みましたが、今回はじめてご講演を聴きました。
印象は...、「素晴らしい!」の一言です。
私自身もかなりの数の講演を行っていますが、先生のご講演から多くのことを学びました。今回の講演会ではまるで「講演のしかた」を教えて頂いたような気さえします。
先生、ありがとうございました。
これからますます有名になられて、私たち同門の星になって頂きたいと思います。
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下呂温泉病院

2011年05月20日 | 病院
昨日、下呂温泉病院に手術指導に行ってきました。今回は動脈瘤の開頭手術でした。
JR岐阜駅からワイドビュー飛騨で1時間少し。
昨日は素晴らしい天気でしたから、駅から徒歩2-3分の病院までの道も普段と違って感じました。
手術もうまくいきましたし、ほんの少しですがほっとした気分を味わえました。
脳外科の山田先生、度会先生、手術室の皆さん、ご苦労様でした。
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Brain & Heart Attack Forum

2011年05月18日 | 学会/研究会
先週末、大阪でBrain & Heart Attack Forumが開催され、講演をさせて頂きました。
講演名は「脳梗塞超急性期治療における血管内治療の役割」でした。国立循環器病センターの山口武典先生をはじめ、大変ご高名な先生が中心の会でしたので緊張致しましたが、本当に光栄なことでした。

さて、この会は心臓と脳の専門家が一堂に会するというとても興味深いものです。私は心臓関連のご発表に興味を持ちました。
特に経皮的大動脈弁置換術(TAVI)については、名前は聞いてはいましたが、実際の治療の様子を拝見して感嘆いたしました。
丁度私たちが頚動脈に挿入するような自己拡張型のステントに、心臓の弁が装着してあり、堅くて狭くなった弁をバルーンで広げた後に留置するのです。その後は血流で勝手に弁が動きます。原理は頚動脈ステントと同じですが、こんなことができるようになったことに驚きです。アニメを見てもらうとよく分かると思います(Video 2がアニメです)。
http://www.youtube.com/watch?v=ZkgEf1EvRGc

心臓外科領域でも最近では大動脈のステントグラフトやこのTAVIのように血管内治療がどんどん取り入れられています。
やはり時代の流れは確実に低侵襲な方向に向かっているようです。


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コングレスでの講演 その3 「CFDを用いた脳動脈瘤解析」高尾洋之先生

2011年05月15日 | 学会/研究会
今回私が感銘を受けたコングレスの講演のうち、3つめを紹介します。
脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血になることが知られていますが、なぜ破裂するのかについては、いまだに明らかになっていません。ただ、動脈瘤の中には血液が流れているので、血流の当たり方や流れる具合によって壁が薄くなって破れるのではないかということは推察できます。
最近、この動脈瘤の中の血液の流れをコンピューターでシミュレーションすることが出来るようになってきて、破裂しやすい動脈瘤が明らかになるかもしれないため大変注目されています。

東京慈恵会医科大学の高尾洋之先生は、このコンピューターによる瘤内血流解析に関するご講演をされましたが、そのプレゼンが素晴らしかった!見事な動画に感動してしまいました。

高尾先生は脳血管疾患の診療サポートツールである「i-Stroke」も開発されており、注目されています。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/it/news/201005/515208.html
スピードが要求される脳卒中診療においては、i-Strokeのようなシステムの導入がますます重要な役割を果たすようになると思いますし、近い将来、CFD解析で破裂しやすい動脈瘤とそうでない動脈瘤が判別できるようになることを期待しています。

今回のコングレスの講演には素晴らしいものが多かったので、とても全ては紹介しきれません。マイクロ練習に関する富士脳研の井上智弘先生のご発表、微小解剖セミナーでの高橋 淳先生のご発表にも感銘を受けました。まだまだ紹介したいものがあるのですが、まずはここまでと致します。
同じフィールドで活躍されている先生方のご発表に触発されたコングレスでした。
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コングレスでの講演 その2 「脳神経外科医における臨床研究の考え方と実践」小笠原邦昭先生

2011年05月14日 | 学会/研究会
今回のコングレスの会長である小笠原邦昭先生自らが、プレナリーセッション「脳神経外科医の research mind とacademism」でされた講演です。これは若手脳神経外科医に向けたメッセージでした。

「まずは症例報告を書こう!」という切り出しでした。総頚動脈が閉塞した患者さんにバイパスをするのは結構大変なのですが、そういう患者さんの血管撮影を見ていたところ、反対側からの吻合によって浅側頭動脈内に血液の逆流を認めたので、その逆流を使ってごく単純なバイパス手術ができた、という症例報告を書いたということでした。
この話だけでも結構面白いのですが、すごいのはその後に「まれだと思っていた現象だったが、良く観察するとほとんどの患者さんで逆流が認められた」、ということで、「総頚動脈閉塞症の患者さんにはこのバイパス法がほぼ全例でできるかもしれない」、という締めくくりでした。まさに「目からうろこ」の発想です。「ちょっとした目のつけどころが重要」ということの典型です。

私も、いつも「この難しい病気、なんとかならないのかな」とか「この治療法以外にもっといい方法はないのかな」と考えてばかりいます。なかなかいい発想はないものですが、時に「あっ」と思いつくことがあります。問題はこの、「あっ」という発想をきちんとした形にできるかどうかです。
小笠原先生はそれを見事に実践されているというご発表でした。会長自らご講演されたのも納得です。先生のご講演は、私には一生忘れられないほどインパクトがありました。
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コングレスでの講演 その1 「頚動脈プラークイメージング」佐々木真理先生

2011年05月12日 | 学会/研究会
前回お話ししたように今回のコングレスで感銘を受けた講演は多かったのですが、そのうちのいくつかを紹介します。

まず紹介したいのは、最終日のランチョンセミナーの岩手医科大学放射線科 佐々木真理先生のご講演です。「頚動脈プラークイメージング」という題名で、私たちが精力的に取り組んでいるプラーク診断に関するご講演でした。
頚動脈が細くなると脳梗塞の原因になるため頚動脈内膜はくり術(CEA)やステント留置術(CAS)が行われるのですが、CASはプラークが柔らかいと治療後に脳梗塞を起こしやすいことが分かってきています。この柔らかいプラークをMRIで識別することが可能になっているのですが、実は非常に多くの検査法が開発され、どの方法がいいのか混沌としていますし、それぞれの施設で検査法が微妙に違うため比較することができません。
佐々木先生はこれまで報告された代表的な検査法をまとめて、標準的なMRI機器でプラーク診断ができるよう適正化されています。もちろんこのような試みは世界ではじめてです。この方法を用いると、世界のどこでも同じ条件で検査をすることで比較ができるようになるのです。

佐々木先生はさまざまな脳血管障害関連の検査法を標準化するご研究をされており、今回はプラーク診断に取り組まれたということです。それにしても明快なご講演であり、MRIシークエンスの詳細が分からない私でもすっきりと理解ができました。ちょうど私たちは多施設研究を開始しつつあるので、この撮影法を取り入れて行きたいと思います。

佐々木先生、素晴らしいご講演をありがとうございました。まさに世界をリードされている先生ですが、今後とも我々脳神経外科医へのご指導をよろしくお願い申し上げます。
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日本脳神経外科コングレス

2011年05月08日 | 学会/研究会
5月6日から本日まで横浜で日本脳神経外科コングレスが開催されました。
今回は岩手医科大学の小笠原邦昭教授が会長をされました。周知の通り3月11日の大震災で、岩手県は大きな被害を受けています。本会の開催に関する先生のコメントが本学会のホームページに記されていますが、震災からわずか10日でのご判断であり、今読み返しても先生の並々ならぬご決意が伺われます。
http://www.jcns2011.jp/message.html

さて本学会は他の学会と決定的に違うところがあります。それは本会が脳神経外科医の生涯教育を目的としていることです。このため通常の学会のような一般の演題発表はなく、すべて教育講演の形となっています。会場も基本的に一会場のみです。私は今回も全ての演題を聞きましたが、この会で発表される先生方はそれぞれの領域の若手のトップランナーであることが多く、発表に大変熱意がこもっていて本当に勉強になりました。

また今回の主題は「脳神経外科医のProfessional SpiritとResearch Mind」。つまり「脳神経外科医としてのプロ意識と研究にかける情熱」ということでしょうか。これが小笠原先生が理想とされる脳神経外科医の姿なのだと思いますし、私たちが目指すところも同じです。今回は全てのセッションがこのキーワードのもとに構成されており、深く感銘を受けました。私の拙い発表にも多くのご質問やコメントを頂き、襟を正す思いでした。

震災で自粛ムードだったころから考えると、最近は「復興」に向けて日本全体が動き出していると実感します。本会の開催は丁度そのタイミングと合いましたが、決定当時は開催に批判もあったようです。
ただ今回の学会の内容はその批判を一蹴するほど素晴らしいものでした。本会を開催された小笠原会長、岩手医大の先生方、そして開催に尽力された全ての方々に心から御礼申し上げたいと思います。
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OCTの論文がAJNRにアクセプトされました

2011年05月03日 | 報道・出版関係
以前から紹介している血管内からの検査、OCT。
これまで40例ほどに応用してきましたが、その解析結果をAJNR (American Journal of Neuroradiology)に投稿したところ本日アクセプトの連絡が来ました。

これまでOCTに関して
1. 頚動脈内血栓をOCTで確認しCEAを行った症例報告
Demonstration of intraluminal thrombus in the carotid artery by optical coherence
tomography: technical case report. Neurosurgery. 2010;67(3 Suppl Operative): onsE305
2. 頚動脈におけるOCTの典型的画像
OCT of Human Carotid Arterial Plaques. JACC Cardiovasc Imaging. 2011;4(4): 432-6.
を報告してきましたが、今回新たに報告したのは
3. 症候性、無症候性頚動脈狭窄症におけるOCTの所見
Visualization of Internal Carotid Artery Atherosclerotic Plaques in Symptomatic and Asymptomatic Patients: A Comparison of Optical Coherence Tomography and Intravascular Ultrasound. Am J Neuroradiol AJNR (in press)
です。

OCTは心臓領域でさかんに行われています。私たちは数年前にグッドマンの早野基樹さんに紹介してもらい興味を持ちましたが、頚動脈には保険が通っていないので、「面白そうだけど使えないなあ」と思っていました。
その後、当院の川崎雅規先生がアメリカでOCTに関する先進的研究をされていたことを知り、症例を選んで循環器内科の先生方と取り組みはじめました。現在まで、ずっとご指導頂いています。
OCTの応用に関しては、以上のように保険未承認という状況のため、倫理委員会での承認後、病院からの研究費で行っています。
これまで頚動脈におけるOCTの応用に関して3つの論文報告ができました。でも、このOCT。まだまだ興味深いことがいっぱいあります。
これからも循環器内科の先生方と協力して取り組んで行きたいと思います。
先生方、ありがとうございました。
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