脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
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You tube 第16弾 硬膜動静脈瘻とは? 耳鳴り、目の充血に要注意

2024年08月21日 | 報道・出版関係

耳鳴り、目の充血

これが脳卒中の前触れのことがあります。

耳鳴りの中でも、脈拍に合わせるような、ザッザッっという音がする時。

目の充血がなかなか治らず、目が腫れたり、物が二重に見えたりする時。

こんな時は要注意です。

そのような状態を引き起こす原因に「硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)」という病気があるからです。

硬膜動静脈瘻とは、聞きなれない名前です。しかも名前自体が難しい。

簡単に言えば、硬膜動静脈瘻とは脳を覆う硬膜の動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながってしまう病気、です。

症状は以下の通りです。

  • 耳鳴り:脈に合わせたようなドクドクという音
  • 目の異常:充血、ものが二重に見える、目が腫れる、眼圧が上がる、など
  • 麻痺、意識障害(脳出血、くも膜下出血による)
  • けいれん(脳の腫れによる)

最初に紹介したように耳鳴りや目の異常だけのことも多いのです。

しかし、重症では脳出血やくも膜下出血を起こしてしまう確率が高くなります。

ではどんな検査を受ければ良いのか?

治療法は?

動画で詳しくお話ししていますのでぜひご覧ください。

 

 

 

 

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総合ビタミン剤の内服は長寿と関係しない!

2024年08月12日 | トピックス

先日の医学ニュースで、「マルチビタミンで寿命を縮める可能性?」と題する記事が掲載されました。

健康維持のため、複合ビタミン剤を内服している人が少なくありません。米国では成人の3人に1人がマルチビタミン(総合ビタミン剤)を摂取しているそうです(そして、何を隠そう、私もその一人です)。

しかし、総合ビタミン剤が健康に有益かどうかについては、科学的に明らかになっていません。

本研究は米国で行われた3つの前向き研究からデータを収集し、総合ビタミン剤が健康に有益かどうかについて解析しました

JAMA Netw Open. 2024;7(6):e2418729. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.18729)。

研究の参加者はすべて、がんや慢性疾患の既往歴のない、一般的に健康な米国成人でした。

20年間にわたる約40万人の参加者のデータを分析したところ、総合ビタミン剤の使用は長寿と関連しないことが明らかになりました。

またこの研究では、総合ビタミン剤を内服している人の死亡率が4%増加したと報告していますが、その明確な理由はわかっていません。

ある専門家は「栄養素の最も健康的な形は食品に含まれるものであり、工場で作られた加工錠剤ではない。また、良いものでも摂り過ぎれば害になることを知っておくべきだ」とコメントしており、確かにその通りだと思います。

今後、総合ビタミン剤を継続するかどうか?

私は、、、やめようと思っています。あなたはどうしますか?

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大連中心病院訪問

2024年07月27日 | 閑話休題

みなさんこんにちは。

先週、中国の大連市に行ってきました。大連理工大学附属中心病院(大連中心病院)の客員教授に就任することになったためです。

ところで、皆さんは大連がどこにあるかご存知でしょうか?以前、満州と呼ばれていたところです。恥ずかしながら、私は以前、講演に招かれるまで、大連がどこにあるか知りませんでした。上の地図をご覧ください。遼東半島の先端あたりにあって、周りを海に囲まれています。緯度は日本の東北地方と同じぐらいでとても涼しく、中国各地からの避暑客で賑わっていました。

私と大連との繋がりですが、大連中心病院の金 点石先生が2019年に講演に招いてくれたのがきっかけです。その時は天候不良で、短時間しか滞在できませんでした。しかし、今回は訪問当日に歓迎会があり、海鮮料理を楽しませて頂きました。大連は海産物がとても美味しいところです。

翌日は、大変豪華な授与式を行って頂きました。自分の想像を遥かに上回る大勢での歓迎でしたのでとても感激しました。

その後、兵庫医大から同行した尹先生と共に講演をしました。尹先生は中国語を含め4ヶ国語を操る才女ですが、私は中国語は挨拶ぐらいしかできませんので、英語でのレクチャーにして、スライドに中国語のキャプションをつけました。そんな私の講義でしたが、大変喜んで頂いたようで、「AIの優秀な翻訳に感謝!」というところです。

病院内の見学もさせて頂きましたが、最新の医療機器が導入されていましたし、治療の内容も高度で、中国の医療が急激に進化していることに感銘を受けました。そして治療数は私たちより多いのです。近い将来、中国の方が先進的になっていくのかもしれない、と思いました。

今回の訪問では金教授、陳教授、袁院長をはじめ、多くの方にお世話になりました。心から御礼申し上げたいと思います。そして、このようなチャンスを頂きましたので、両施設の交流のために尽力していきたいと思います。

 

大家好。

上周,我去了中国的大连市。这是因为我被任命为大连理工大学附属中心医院(大连中心医院)的客座教授。

顺便问一下,大家知道大连在哪里吗?以前这里被称为满洲。不好意思,我以前并不知道大连在哪里,直到我被邀请去讲演。请看上面的地图,大连位于辽东半岛的顶端,四面环海。纬度与日本东北地区相当,非常凉爽,是许多来自中国各地的避暑游客的热门目的地。

我和大连的缘分始于2019年,当时大连中心医院的金点石医生邀请我去讲演。那次由于天气不好,我只能短暂停留。然而,这次访问当天,我们举行了欢迎宴会,享用了海鲜美食。大连的海鲜非常美味。

第二天,举行了非常盛大的授予仪式。欢迎的规模远超我的想象,我非常感动。

随后,我和从兵库医大同行的尹医生一起进行了讲演。尹医生是才女,会说包括中文在内的四种语言,而我只会简单的中文问候,因此我用英语讲解,并在幻灯片上加了中文字幕。尽管如此,大家似乎对我的讲演非常满意,多亏了AI出色的翻译!

我还参观了医院,发现那里引进了最先进的医疗设备,治疗内容也很高端,我深受中国医疗迅速进步的震撼。而且他们的治疗数量比我们还多。我想,在不久的将来,中国可能会在某些方面变得更先进。

此次访问中,我受到了金教授、陈教授和袁院长等众多人的热情招待。我想由衷地表示感谢。同时,借此机会,我希望能够为两所医院的交流作出贡献。

 

Hello everyone,

Last week, I traveled to Dalian, China. I was invited there as a visiting professor at Dalian University of Technology Affiliated Central Hospital (Dalian Central Hospital).

By the way, do you know where Dalian is located? It used to be called Manchuria. Embarrassingly, I didn't know where Dalian was until I was invited to give a lecture there. Please refer to the map above. Dalian is located at the tip of the Liaodong Peninsula, surrounded by the sea. The latitude is about the same as the Tohoku region of Japan, making it very cool and popular with vacationers from all over China.

My connection with Dalian started when Dr. Jin Dianshi from Dalian Central Hospital invited me to give a lecture in 2019. At that time, due to bad weather, I could only stay for a short time. However, this time, there was a welcome party on the day of my visit, and I enjoyed delicious seafood. Dalian is known for its excellent seafood.

The next day, they held a very grand ceremony for me. The welcome was far beyond my expectations, and I was very touched.

Afterwards, I gave a lecture together with Dr. Yin from Hyogo Medical University, who accompanied me on the trip. Dr. Yin is a talented polyglot who speaks four languages including Chinese, whereas I can only manage greetings in Chinese, so I gave my lecture in English with Chinese captions on the slides. Despite my limited Chinese, everyone seemed to appreciate my lecture very much, thanks to the excellent AI translation!

I also toured the hospital and saw the latest medical equipment in use. The level of treatment was very advanced, and I was impressed by the rapid progress of medical care in China. They treat more cases than we do. I thought that in the near future, China might become even more advanced in certain areas.

During this visit, I was taken care of by Prof. Jin, Prof. Chen, and Director Yuan, among many others. I would like to express my heartfelt gratitude to all of them. Given this opportunity, I hope to contribute to the exchange between our institutions.

 

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You tube 第15弾 脳血管内治療:血栓回収療法の実際

2024年07月15日 | 脳梗塞

みなさん、こんにちは!

今回は脳梗塞に対する緊急治療について紹介します。

脳梗塞で病院に運ばれた時に、主に行われる治療は2種類あり、1)血のかたまりを溶かす点滴(t-PA静注療法)、2)血のかたまりを取るカテーテル治療(血栓回収療法)です。

1)の治療は発症から4.5時間以内に開始しなければなりません。このため、脳梗塞の患者さんの10%以下にしか適応できません。また治療を受けても、太い血管(主幹動脈)が詰まっている場合には1/3程度の開通率です。

このような背景から2)の血栓回収療法が始まりました。脳の血管の詰まったところまで細い管(マイクロカテーテル)を入れ、メッシュの筒(ステント)を開いて、血のかたまりを取り出す方法です。

この方法の治療効果は科学的に証明されていますが、

詰まったところをできるだけ早く、そしてより完全に再開通させた方が脳の障害が少なく済みます。

ですから治療は迅速に、そして血管ができるだけ開通するように行わなければなりません。

といってもなかなかイメージが湧きにくいかもしれません。やはり百聞は一見にしかず。

今回は実際の治療の様子を紹介します。カテーテル治療の実際をぜひご覧ください!

https://www.youtube.com/watch?v=4F650wSnzjk

 

 

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You tube 第14弾 脳血管内治療:ステント併用コイル塞栓術の実際

2024年07月06日 | 血管内手術

みなさんこんにちは!

今回は脳血管内治療の実際の様子をお見せしたいと思います。

治療はステント併用コイル塞栓術です。

患者さんと病院の両方に許可をいただいて撮影しました。

患者さんは前交通動脈瘤に対して血管内治療を希望されました。

動画の中でも説明しますが、動脈瘤はおでこの奥(眉間の奥)にあり、結構深い場所です。

今回は血管内治療を手首の血管から行いました。

実際の治療はどんな感じなのか、よくわかると思います。

ぜひご覧くださいね!

https://www.youtube.com/watch?v=vlAfySQT6h8&t=1s

 

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You tube 第13弾 脳ドック 実際の様子は?

2024年06月26日 | 報道・出版関係

前回、脳ドックについて紹介した後、実際にはどんな感じですか?と聞かれることがありました。

このため、今回は私たちの関連施設にお願いして取材をさせていただきました。

https://www.youtube.com/watch?v=L25yTCa1p-8

今回はまごころ脳神経クリニックにご協力いただき、動画の公表を承諾してくださった医療関係の方に検査を受けていただきました。

まだMRI検査を一度も受けたことがなく、ご不安な方もおられると思います。そのような方はぜひこの動画をご覧いただきたいと思います。

ただ、今回の方はそのまま検査できましたが、閉所恐怖症の方は飲み薬や注射をして眠っていただいた状態で検査をしています。

もしご不安が強い方は下記までご連絡ください。検査をお受けになるサポートをいたします。

stroke_buster@mail.goo.ne.jp

ぜひ勇気を出して検査をしてみてください!

 

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脊髄梗塞について

2024年06月14日 | トピックス

NHKの「おかあさんといっしょ」で「体操のお兄さん」として長く活躍された佐藤弘道さんが、脊髄梗塞を発症されたと報道されました。

この病気について質問を受けますので、簡単にまとめます。

 

1. 脊髄とは?

 脊髄というのは脳から全身に連絡を送る神経の束のようなもので、太さは約1センチくらいです。

 首から腰まで背骨(脊柱)の中を走っており、そこから神経が分かれて、手足などに連絡を送っています。

2. 脊髄梗塞とは?

 この脊髄は主に大動脈という太い血管から分かれた沢山の枝から栄養されています。これらの血管が詰まると、脊髄に血液が流れなくなり、脊髄が障害されてしまいます。

 脊髄梗塞の頻度は低く、脳卒中の1/50-1/100の頻度とされています。

3. 脊髄梗塞の原因は?

 原因には以下のようにさまざまなものがあります。

  1. 動脈硬化:動脈の壁が硬くなり、血管が詰まる。
  2. 血栓や塞栓:血管内に血の塊(血栓)ができたり、他の部位から血栓が流れ込んで血管が詰まる。
  3. 外傷:脊髄やその周囲の血管に物理的な損傷が加わる。
  4. 血管炎:血管の炎症によって血管が詰まる。
  5. 手術:大動脈の手術によって脊髄への血管が詰まる。
  6. 原因不明

4. 脊髄梗塞の症状は?

 前述のように障害された位置と範囲によって異なりますが一般的には以下のようになります。

  • 突然の背中や腹部の痛み
  • 腰のあたりが障害されると下半身の筋力低下や麻痺、頚部が障害されると首から下の広い範囲の障害
  • 感覚の喪失や異常感覚(しびれやピリピリ感など)
  • 排尿や排便のコントロールの問題

5. 治療

脳梗塞と違い、脊髄梗塞にはカテーテル治療など、有効性の確立した治療はありません。

このため、一般的な治療法として点滴や内服、リハビリテーションをするということになります。

 

6/15朝のウェークアップぷらすという番組でコメントする予定です。

https://www.ytv.co.jp/wakeup/

お時間の合う方はご覧ください。

 

 

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東京大学附属病院

2024年06月11日 | 閑話休題

新しい脳動脈瘤治療デバイスW-EBの指導のため、東京大学附属病院を初訪問させていただきました。

治療を行ったカテ室は手術室内にあり、とても広々としていました。

術者の小泉聡先生は手術計画、ワークステーション操作、そして実際のカテーテル操作も極めてスムーズに実施され、見事にW-EBを留置されました。脳血管内治療の次代を担う先生の一人だと思います。

以前から仲良くしていただいている小野秀明先生ともお会いし、治療後には久しぶりにお話しできて楽しい時間でした。

東京大学の皆様のますますのご発展をお祈り申し上げます。

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脳血管内治療トラブルシューティング 脳動脈瘤編 第2版!

2024年06月06日 | 報道・出版関係

日本では脳動脈瘤治療の過半数が血管内治療となり、ついに「第一選択」と言われるようになりました。

カテーテル治療では「頭を切らずに」動脈瘤を治せるので、体にやさしい治療ですし、患者さんからの希望も非常に多くなっています。

そして、毎年のように新しい器具(デバイス)が開発・導入されているため、治療数はさらに増えていくと思います。

ただし、カテーテル治療でもトラブルは起こりえます。

最近では治療器具や治療方法が増えたため、トラブルも多岐に渡るようになってきています。

そのような時にどうすればいいのか?

この本では実際に起きたトラブルを提示し、どのように対処したらよいかを詳しく解説しています。

初版も良いご評価をいただきましたが、この度、大幅改定した第2版が出版されることになりました。

本書が全国の先生方の治療に役立つことを祈っています。

 

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You tube 第12弾 脳動脈狭窄症 脳の血管が細いと言われたらどうする?

2024年06月02日 | 脳梗塞

皆さんこんにちは!

今回は脳梗塞のお話です。

私たち日本人は欧米の人達に比べて脳の血管が細い人が多いことをご存知でしたか?

これは遺伝子と関係があると言われていますが、まだ完全に理由が分かったわけではありません。

以前、頚動脈が細い場合には、ステントを使ったら、狭くなったところを手術する方法があって、どちらも有効だとお話ししました。

しかし、脳の血管の場合には、それほどシンプルではありません。

まず、脳の血管が細くて脳梗塞などを起こした場合には、その原因に3つのタイプがあります。

1) 細くなったところ(狭窄)の先の血流不足

2) 狭窄に出来た血栓が流れる

3) 狭窄からの細い枝が詰まる

このどれなのかをまず調べることが大切です。なぜなら、このタイプによって治療法が違うからなのです。

ではそれぞれのタイプなどの治療が良いか決めるためには、精密検査をする必要があります。

今回は

・どんな検査が必要か?

・どんな治療があるか?

・それぞれの利点と欠点は?

について紹介します。

https://youtu.be/MORM9bygBy8?si=aShJnoGkHqQL6mDU

ぜひご覧くださいね!

 

 

 

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