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脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

You tube 第27弾 脳動静脈奇形について

2025年04月18日 | 報道・出版関係

みなさんこんにちは。お元気でしょうか?

今回は若い人に脳出血などを起こす病気、脳動静脈奇形について紹介します。

脳動静脈奇形とはその名の通り、脳の動脈と静脈が繋がってしまっている病気です。

英語ではAVM (arteriovenous malformation)と言われます。

この病気の特徴は以下の通りです。

  • 脳の動脈と静脈が血管のかたまりでつながってしまっている。
  • 脳内出血やくも膜下出血を来すことが多い。
  • 出血率3〜6 %/年。
  • 痙攣発作などで発症することもある。

出血する理由は、簡単に言えば動脈の圧力(心臓から押し出される強い圧力)が血管のかたまりや静脈にかかってしまい、パンパンに膨れた状態になっているので、自然に破れてしまうからです。

出血率については105-年齢で近似されるというデータもあります。つまり15歳の人は生涯で90%、90歳の人は15%ということになります。

このため、「出血する前に治療してしまいたい」という人が出てきます。

どんな治療があるのでしょうか?

  • 経過観察
  • 手術
  • 塞栓術
  • 定位放射線治療
  • 以上から最適なものを選んだり組み合わせて治療することになります。

そうするとたくさんの選択肢になりますが、私の基本方針は以下の通りです。

 

出血率が低いもの:①経過観察

治療する場合、

小さいもの:④定位放射線治療、

大きいもの(3センチ以上):③塞栓術で小さくしてから④放射線治療

以上が困難・ハイリスク:外科手術のみ、または③塞栓術と外科手術の組み合わせ

というのが基本的な方針です。

 

もう少し詳しく知りたい方はぜひYouTubeをご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=B1G9G3AXcvg

この情報が皆様のお役に立つことを期待しています。

 

 

 

 

 

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横浜新都市脳神経外科病院での手術支援

2025年04月11日 | 病院

先日、横浜新都市脳神経外科病院に手術支援に行ってきました。

森本将史先生のフローダイバーター治療、さすがでした。

この病院には私自身が当時、メディアに出て多くの患者さんが関東から来られ、治療後に関西まで来て頂くのに大きなご負担がかかるため、森本先生に相談したことがきっかけでご縁が始まりました。

すでに足掛け10年、お世話になってきましたが、その間、たくさんの患者さんを診療させていただきました。森本先生、脳外科の先生方、放射線技師さん、ナース、そしてクラークさんなど、院内の皆さんに心から感謝しています。

この病院は救急患者さんや手術数が多く、国内有数の有名施設になっていますが、これは森本院長をはじめ、スタッフの皆さんのご努力あってこそのことです。本当に素晴らしいと思います。今後も多くの患者さんを救うために頑張ってください。私も今後もお世話になると思いますのでよろしくお願い致します。

末筆となりましたが、皆さんのご健康とご発展を心からお祈りしています。

 

 

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脳血管内治療 スタート&スタンダード改訂!

2025年04月07日 | 報道・出版関係

脳血管内治療 スタート&スタンダードを改訂しました!

この本は脳血管内治療の入門書として大変好評をいただきましたが、この度出版から7年ぶりに大改訂しました。

7年間の進歩としては、さまざまな医療機器が変わっていること、例えば新しいフローダイバーターやWEBなどが加わっていますし、手首からのアプローチ(橈骨動脈アプローチ)も急速に普及してきています。

また今回はトレーニング編というパートを作り、若手の先生がモデルやシミュレーター、あるいは実際の治療器具を使ってどのように練習すれば良いのかについても解説しました。

本書が脳血管内治療の安全性向上に役立つことを執筆者、編集者一同、期待しています!

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インドでの脳動脈瘤治療と講演

2025年03月25日 | 病院

以前、当科に留学していたDr. Manoj Mahataがカルカッタ(Kolkata)のApollo hospitalでの脳動脈瘤治療のライブデモと講演に招いてくれました。

彼が現在勤務しているApollo hospitalはかなり先進的な病院で、ハイレベルな治療が行われています。

https://www.apollohospitals.com/

参加したのは脳動脈瘤に対するWEB留置術で、日本にまだ入っていない新しいバーションを使用しました。

Manojの治療をSuperviseする形で、難しい治療をなんとか無事に終えることができました。

その後は場所を変え、脳梗塞治療に関する講演を行いました。病院内のあちこちに掲示を出していただいたおかげで沢山の聴衆が集まりましたし、講演後の質疑応答もアクティブでした。

アジアは急速に進んできています。ただし、やはり現時点では日本の医療は極めてハイレベルです。

アジアの仲間たちに負けないよう、今後も新しい治療に積極的に取り組んでいきたいと思います。

 

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You tube 第26弾 脳動脈瘤に対するフローダイバーター治療の実際

2025年03月09日 | 動脈瘤

みなさんこんにちは。

今回は未破裂脳動脈瘤に対する血管内治療の実際を紹介します。

患者さんは大型脳動脈瘤のため目が見えにくい状態が進行しており、動脈瘤が急速に増大していると考えられました。

つまり、破裂の危険が迫っていたということです。

このため、患者さんと相談し、急いでフローダイバーター治療を行うこととしました。

大型脳動脈瘤は治療リスクが高いことが知られています。

今回は実際の治療の様子を紹介します。

ぜひご覧下さい!

https://www.youtube.com/watch?v=HMqahk0tkAU

 

Hello everyone,

Today, I would like to introduce the actual procedure of endovascular treatment for an unruptured cerebral aneurysm.

The patient was experiencing progressive vision impairment due to a large cerebral aneurysm, which was rapidly enlarging. This indicated a high risk of rupture.

After thorough discussion with the patient, we decided to proceed urgently with flow diverter treatment. It is well known that treating large cerebral aneurysms carries a high risk.

In this presentation, I will share the details of the actual procedure.

Please take a look!

 

https://www.youtube.com/watch?v=HMqahk0tkAU

 

 

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頚動脈狭窄症の新しい治療:T-CAR

2025年03月01日 | トピックス

脳に血液を送る重要な血管、頚動脈。

ここが細くなると脳梗塞の原因となります。

治療法には1)内服治療、2)外科手術(頚動脈内膜剥離術)、3)血管内手術(頚動脈ステント留置術)がありますが、あらたな治療法が加わります。

その名はT-CAR(ティーカー: Transcarotid Artery Revascularization)

どんな治療かというと、頚動脈の根本のあたりから管を入れて細いところ(狭窄部)にステント(メッシュ状の金属の筒)を留置する方法です。

https://silkroadmed.com/

日本に近日中に導入されるということで、アメリカでこの治療を多く行っているProf. Matouk(Yale大学病院)を訪問してきました。

治療の手法についてモデルを使った指導を受けた後、実際の治療を見学しました。

いくつかコツがありますが、この治療のポイントがとてもよく理解できました。

Prof. Matoukを含めたスタッフの方々、現地のSilkroad Medicalのみなさん、メディコスヒラタのみなさんに心から感謝申し上げます。

 

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You tube 第25弾 抗血栓薬の中止について

2025年02月16日 | その他

みなさんこんにちは!

血液サラサラの薬(抗血栓薬)を内服している人が手術などを受ける際、担当医から薬を中止して欲しいと言われることがあります。では、その場合にはやめてしまっていいのでしょうか?

実はそう簡単ではありません。薬を中止すれば、手術などの際の出血を減らすことはできますが、一方で脳梗塞を起こすリスクが増えてしまうのです。

ではどうしたらいいのでしょうか?

今回はこの疑問にお答えするため、手術などの際に血液サラサラの薬を止めるタイミングなどについてお話ししたいと思います。

 

最初に結論を言うと、「各薬剤の特性や、手術の種類、個々の患者さんの状態に合わせてお薬をやめるタイミングを決定する」ということになります。

まず血液サラサラの薬には大きく分けて2種類あります。( )内は商品名です。

1)抗血小板薬:アスピリン(バイアスピリン)、シロスタゾール(プレタール)、クロピドグレル(プラビックス)、プラスグレル(エフィエント)など。

 血液の中を流れる血小板という成分の働きを抑えることで、血栓の形成を防ぐ薬です。

2)抗凝固薬:ワルファリン(ワーファリン)、ダビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)、 エドキサバン(リクシアナ)

 ワルファリンや直接経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulant: DOAC)は血液が固まる(凝固する)のを防ぐ薬です。

 これらの薬をどのタイミングでやめるか?薬によって推奨が変わってきます。

 抗血小板薬について、ざっくりと言えばマイルドな薬(アスピリンやシロスタゾール)は継続が可能なことが多く、強めの薬(クロピドグレルやプラスグレル)は1週間前後前から中止することが多いです。

 一方、抗凝固薬はワルファリンはその効き具合が数値でわかるので(PT-INR)、その数値によって出血リスクが変わります。またDOACの場合には当日朝からの中止で良いとされています。

 今回の動画で詳しく解説していますのでぜひご覧ください!

    https://www.youtube.com/watch?v=0IDv-CEzZOQ

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ISC 2025速報: MeVO shock!末梢血管閉塞に対する血栓回収療法の有効性証明されず

2025年02月07日 | トピックス

Los Angelesで開催されているISC 2025に参加しています。

最も注目していたのは、末梢血管に対するカテーテル治療(血栓回収療法)の有効性に関するランダム化比較試験の結果です。

これまでの臨床試験では主幹動脈(Large vessel)の閉塞が対象となっていました。しかし現場ではやや末梢の血管(MeVO)に対しても治療が行われており、その有効性と安全性確認のための試験が進行中でした。

今回の学会ではそのうちの3つが報告され(DISTAL, ESCAPE-MeVO, DISCOUNT(中間解析))、なんと3つとも有効性が示されませんでした。

しかもESCAPE-MeVO試験では血管内治療群で出血合併症が多く、死亡率も高いという結果となっています。

(3試験中2つについては発表と同時にNew England Journal of Medicineに出版されています)。

厳密に実施された臨床試験ですのでこれらの結果は尊重すべきです。ただ、臨床現場で行っている治療の有効性が示されなかったため、私たちにとっては、「MeVO shock !」と呼ぶべき事態です。

 

なぜ有効性が示されなかったのかについて、さまざまな意見が交わされていますが、個人的には以下を考えています。

1)比較的軽症が対象となっていた

2)出血合併症が多かった

3)血流検査が登録の選択基準となっていなかった

4)使用した治療器具が適切ではなかった

5)判定したmRSスコアが適切でなかった

などです。

3つも否定的な結果が出ると、臨床現場でも治療を差し控える必要が生じます。しかし、一定の患者さんに対する有効性はあるはずですので、全ての治療をやめてしまうと、「助けられる人を助けられない」、といったことが起こりえます。

このようなことを防ぐためには、治療が有効な患者さんを選び出し、その効果を科学的に示さなければなりません。

私たちは今回の結果をある程度予想していたため臨床試験を検討中でした。今後、迅速に対応を講じたいと思います。

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You tube 第24弾 W-EB留置術

2025年02月04日 | 動脈瘤

脳動脈瘤の新しい治療器具として、W-EBというものがあります。

みかんのネットのような形のものなのですが、これが血管の分かれ目にあるネックの広い動脈瘤に非常に有効なのです。

どういうことかというと、上の図のように、ステントを併用すると血管をメッシュが横切ることになるため、血液サラサラの薬が長期間必要なのですが、W-EBの場合には術後の長期内服が不要なのです。

もちろん全ての動脈瘤に応用できるわけではありません。

サイズは直径3mm以上〜10mmぐらいまでですし、動脈瘤の向きなども影響します。

しかし、これまでの50例以上の経験で徐々に適応が広がり、多くの動脈瘤に使用できるようになってきました。

今回のYoutubeではこのW-EBについて動画も交えて詳しく説明しています。

ぜひご覧ください!

You tube 第24弾 W-EB留置術

https://www.youtube.com/watch?v=MnRgsVmfE8o

 

 

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You tube 第23弾 かくれ脳梗塞とは?

2025年01月24日 | 脳梗塞

みなさん、かくれ脳梗塞という言葉を知っていますか?

もちろん医学的には正式名称ではありません。

これは自覚症状がほとんどないあるいは全くない脳梗塞のことで、健康診断や他の病気の検査中に偶然見つかることが多い病気です。

別名、大脳白質病変というもので、脳内の小さな血管が詰まることで起きるとされています。

50歳以上の約20~30%にみられ、高齢になるほど多いとされていて、MRIで診断されることがほとんどです。

軽いものから重症まであり、グレード0からグレード4に分類されます。

重症になると歩行速度の低下や認知力の低下につながりますし、

これが出ている人は脳卒中が多いことも知られています。

MRIでこのような所見があることをお伝えすると大きなショックを受ける人もいます。

そこで今回はこの話題を取り上げました。

MRIで「白いところがある」などと説明された方はこの病気の可能性が高いです。

お時間があればぜひご覧ください。

https://youtu.be/hPavClsmIJ8?si=wQOVNAr0Nyq70nGv

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