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脳動脈瘤 その31 脳血管内治療:その1 どこから管を入れる?

2021年05月05日 | 動脈瘤
今回からは脳血管内手術、つまりカテーテルと呼ばれる管を使った「切らない手術」について説明していきます。
この治療、実際にはどのように行われるのでしょうか?

まず多くの場合、ふとももの付け根の「そけい」とよばれるところから管を入れるのが最初の処置になります。ここには大腿動脈という血管が走っており、そこに管を入れるのです(図)。
といってもいきなり頭部まで届くような長い管を入れるわけではありません。まずは10センチか20センチぐらいの短めの管を入れます。
これはなぜなのでしょうか?

実は、足の付け根のところには少し太めの短めの管を入れておいて、その中にいろいろな種類の管を出し入れできるようにしているのです。
私たちはこの短い管のことをシースと呼びます。シースとは鞘(さや)という意味です。このシースの入り口のところには特殊な膜が張ってあり(矢印)、ここにぐっと押し込むと管が入り、管を抜いた時にはうまく穴がふさがって血液が漏れないようになっているのです。
つまり、このシース(短い管)の中に治療用の管を入れ、もし形が合わなければ抜いて別の管に入れ替えられるのです。このシースを使わないと、管の入れ替えがとてもやりにくく、場合によっては別の血管から管を入れ直さないといけなくなってしまいます。ですからシースというのはとてもよく考えられた工夫なのです。

さて、このシースには様々な太さや長さがあります。これはどこから管を入れるのか、そしてどの程度の太さの管を使うのかということで選ばれます。製品によっていろいろな工夫が凝らしてあります。
さて、動脈に管を入れる、といいましたが、じつはこの技術はそんなに簡単なものではありません。管を入れるのにはコツがあるのです。
次回はそんなお話をしようと思います。

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