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脳動脈瘤についてのQ&A その6 お酒を飲んでいいか?続き

2023年10月01日 | 動脈瘤

脳動脈瘤と飲酒習慣について、追加情報です。

日本人を含む東アジア人には体質的にアルコール耐性が低い人が多いとされています(私もその一人です)。

体内に入ったアルコールは、肝臓のアルコール脱水酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)酵素によって酢酸に分解されます。

アセトアルデヒドは有害物質であるため、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)酵素の働きが悪い人は、血中のアセトアルデヒド濃度が高くなり、発赤、頭痛、嘔吐、気分不良、二日酔いなどの症状が出ます。

医学的に、この赤くなる状態をアルコール発赤症候群(Alcohol flushing syndrome: AFS)と呼ぶことがあります。アジア人に多いのでエイジアンフラッシュ(Asian flush)という言い方もあるようです。

この論文ではAFSと破裂脳動脈瘤との関係を調べています。

中国の漢民族を対象とした研究で、1170名の脳動脈瘤患者さん(1295動脈瘤)が対象で、410名(35%)がAFS(お酒を飲むと赤くなる人)でした。

まずAFSと飲酒の習慣を調べたところ、やはりAFSのある人(赤くなる人)の飲酒習慣は少なく、10.5%でした(Non-AFSは27.2%)(左図)。

つぎに飲酒の習慣と破裂脳動脈瘤との関係を調べたところ、飲酒習慣のない人においてもNon-AFS(赤くならない人)に破裂脳動脈瘤が多く、飲酒習慣のある場合にはその差が3倍ほどに開いていました。

以上から、AFS(お酒を飲むと赤くなる人)は破裂脳動脈瘤が少なく、飲酒習慣のある場合にその差が大きくなる、という結果になりました。

お酒を飲めない人にも、たまには良いことがあるようです(笑)。

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1 コメント

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Unknown (@a)
2023-10-03 12:35:53
先生、ありがとうございます。丁度、このブログを読ませて頂きました直後、顔面に絆創膏だらけの知り合いに遭遇。どうしたの?と伺うと、大酒食らって、駅で顔から転んだそうなのです。そこで、さりげなく、このブログで教えて頂いていたお話をしてみました…が…。お酒が好きな方には右から左…かな(^_^*)
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