朽ち縄(くちなわ、くちな、くつな)・・・ヘビの異名
*京言葉(くちなわ)・・・蛇。「みぃさん」とも言う。
*大阪弁(くちなわ、くちな)・・・蛇。口縄(縄に口が付いている意)。近畿から中国、四国、西
九州まで広まっていた語の系列。もと忌み詞。
*広島弁・・・蛇。 *出雲弁・・・蛇 *熊本弁・・・蛇
★くつな石・・・明日香村(奈良県高市郡)の伝説
由来・・・昔、ある山に巨石があり、これに目をつけた石屋が石を切り出そうと石斧を一打ちする
と石の割れ目から赤い血が流れ出し、傷ついた蛇が顕れた。驚いた石屋はそのまま逃げ帰っ
た。ところがその晩からひどい熱と激しい腹痛におそわれとうとう亡くなってしまった。村人はこ
れを「祟り」と恐れ敬い、この石を「神が宿る石」として祀った。これが「くつな石である。
蛇
(1)ヘビ・・・有鱗目ヘビ亜目の爬虫類の総称。円筒形で細長く、うろこで覆われ、四肢が無
い。体をくねらせて前進する(蛇行、直進、横這い)。有毒種と無毒種がある。日本には4科
19属39種14亜種のヘビがいる。
★語源・・・ヘビの語源には「ハヒムシ(這虫)」の略など這うように動く様子からとする説や脱
皮することから「ヘンミ(変身)」の転とする説、小動物を丸呑みすることから「「ハム(食む)」
の転といった説がある。古く「ヘビ」は「ヘミ」と呼ばれており、「ヘミ」が変化して「ヘビ」になっ
たと考えられている。
(2)ヤマカガシ(赤棟蛇、山棟蛇)・・・ナミヘビ科のヘビ。全長100~150cm、緑褐色で黒
や赤の斑紋がある。カエルや小魚を食べ、有毒種である。
★語源・・・巨大なヘビをいう「やまかがち(蟒蛇)」の転であろう。「かがち」は眼が赤く丸いも
のをほうずきの古名「かがち(酸漿)」に喩えたもので、「かがち」から転じた「かがし」も「ヘビ」を
表した。
(3)マムシ(蝮)・・・クサリヘビ科の毒蛇の総称。灰褐色の地に大きな銭型の斑紋がある。
カエル・ネズミなどを捕食する。はみ。くちはみ。
★語源・・・マムシは「虫」に「本当」「真性」を意味する「真」がついた「真虫」が語源であろう。
ヘビは「長虫」とも呼ばれ、虫の一種とされていた。その中でもマムシは毒を持っていて恐ろ
しい虫であるから、虫の中の虫という意味で「真虫」と名付けられと考えられる。また、マム
シは古くは「はみ」といったから「はみむし」の略転で「まむし」になったという説も有力である。
(4)アオダイショウ(青大将)・・・ナミヘビ科のヘビで、体長2m前後で日本で最大、背面は
青みがかった暗緑色。無毒。ネズミトリ。サトメグリ。ヤシキマワリ。
★語源・・・「アオダイショウ」の「アオ」は背中が青みがかった色をしていることからの名。
アオダイショウは日本最大のヘビであることから、ヘビの中の長として「大将」と命名し、
「青い蛇の大将」で「青大将」とする説が妥当と考えられる。
(1)おろち(大蛇)・・・極めて大きな蛇。うわばみ。だいじゃ。
語源・・・「長い尾の神」の意からと考えられる。「おろち」の「お(旧かなはヲ」は「尾」の意味。
「ろ」は助詞で「の」の意。「おろち」の「ち」は「いかづち(雷)」「みずち(水霊)」の「ち」と同じ
で、霊的な力を出すものを表す語である。
(2)うわばみ(蟒蛇)・・・巨大な蛇の俗称。大蛇。おろち。大酒飲みをいう俗称。
うわばみは15世紀頃から見られ、古代語の「を(お)ろち」に代わって用いられるようになっ
た語。うわばみの「うわ」は「上回る」「上手」などと同様な「うわ」とする説と、「大(おほ、うは
)」が転じたとする説がある。うはばみの「ばみ(はみ)」は、食物を食べたり噛んだりする意
の「食む(はむ)」の連用形から転じたとする説、蛇の古形「へみ」から転じたとする説などが
あるが、ヘビの古形「へみ」やマムシの古語「はむ」の語源は「食む」なので、同源と考える
べきであろう。
ヘビの脱皮
●季節に関係なく、年に1~2回脱皮
脱皮の時期は季節に関係なく、回数も、ヘビの種類や環境で変化する。1ヶ月に1回から、
年に1~2回が普通。子ども時は多く、大人のヘビになると年1回ぐらいである。
●脱皮の仕方
ヘビは一度に全部の皮を脱いで、新しい皮と取り替える。脱皮の時期になると、体の光沢
がなくなり、目が濁ってくる。新しい皮ができると、口の先端の古い表皮を、とがったものに
ひっかけておいて前に進む。すると、皮は裏返しになりながら抜けていく。女性のストッキ
ングの脱ぎ方と同じで、脱皮は2~3分で終わる。5mくらいのニシキヘビでは10分くらい
かかる。
●脱皮するわけ
ヘビやトカゲは、皮膚が角化した「うろこ」で覆われている。うろこは硬く伸び縮みできない。
そのため体が大きくなり窮屈になると脱皮する。ヘビのぬけがらはきれいに残るが、トカゲ
の脱皮はヘビと違って、古いうろこが、ぼろぼろと剥げ落ちる。
ヘビと象徴
ギリシャ神話においてもヘビは生命力の象徴である。杖に1匹のヘビが巻き付いたモチー
フは「アスクレビオスの杖」と呼ばれ、欧米では医療・医学を象徴し、世界保健機構のマー
クにもなっている。また、このモチーフは世界各国で救急車の車体に描かれていたり、軍
隊等で軍医や衛生兵などの兵科記章に用いられることもある。また、杯に1匹のヘビが巻
き付いたモチーフは「ヒュギエイアの杯」と呼ばれ、薬学の象徴とされる。