くろ(黒)
(1)意味・・・色の1つで、無彩色。煤や墨のような色。光を最も多く吸収し、視覚に刺激を与えることが少
ない暗い色。
(2)語源・由来・・・語源は定かではないが、「暗い(くらい)」「暮れる(くれる)」などの意味とつながりがあ
る。また、上代に「黒色」を表わした「烏(ぬば)」も「沼(ぬま)」と同源で、「泥」の意味があった。
(3)「ぬば玉」・・・ヒオウギ(アヤメ科アヤメ属の植物)の種子で、黒く艶がある。
*「ぬばたまの」は、和歌で「黒」、「夜」、「曙」、「夢」などにかかる枕詞である。
*「あかねさす 月は照らせど ぬば玉の 夜渡る月の 隠(かく)らく惜しも」(柿本人麻呂)
原文では「烏玉之」を使い、他の歌で「黒玉之」の使用も見られる。「烏(からす)」=「黒(くろ)」の概
念が黒い種子の「ぬば玉」を仲立ちとして成り立っているようにも思える。
(4)濡烏(ぬれがらす)
*女性の髪の色を形容する言葉で、その髪の黒がもつ色合いのこと。烏羽色(からすばいろ)、濡れ
羽色、烏の濡れ羽色(からすのぬればいろ)とも言い、青みをおびた黒を指す。健康な髪の証し。
昔は日本女性の理想美とされた。
その他
(1)カラス(烏)・・・日本のカラスは、留鳥の「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」の2種。
*ハシブトガラス・・・嘴がハシボソより太く、体がひと回り大きい。額のラインが出っ張っている。体色
はやや光沢があり、緑がかって見えることもある。カァーカァー、アーアーと鳴く。市街地に多く見ら
れる。
*ハシボソガラス・・・嘴が細く、体色は黒で、ガーガーと鳴く。田畑や里山に多く見られる。
(2)黒い昆虫
*ヒラクワガタ、ノコギリクワガタやカブトムシは黒または黒っぽい色をしている。その理由は夜活動
する夜行性だから。彼らの天敵はカラスや小動物。進化の過程で夜行性になり、黒っぽくなった。
*カラスアゲハ・・・なぜ黒いのか理由はわからない。生物多様性の1つと考えられる。
(3)黒豆・・・大豆の品種の1つで、黒大豆とも言う。煮豆として、おせち料理には欠かせない。10
月から12月上旬にかけて収穫されるが、実が黒くづく手前の10月頃収穫される枝豆に人気が
ある。
(4)黒毛和種・・・牛の品種の1つ、肉牛として飼育される。毛色は黒単色で、褐色を帯び、体の下部
や四肢の内側が淡い。銘柄牛(ブランド牛)がある。
*松坂牛・・・三重県、松坂牛協議会が認定したもの。
*神戸ビーフ・・・兵庫県、神戸ビーフ・神戸肉流通推進協議会
*近江牛・・・滋賀県、近江牛生産・流通協議会
*米沢牛・・・山形県、米沢牛銘柄推進協議会
*鹿児島黒牛・・・鹿児島県肉用牛振興協議会
(5)コクチョウ・・・カモ科ハクチョウ属。オーストラリア固有種。黒い白鳥。
羽毛は全体が黒色だが、初列風切羽から二列風切羽の外側にかけてが白色である。幼鳥の羽毛
は白色で、くちばしは黒色、成長するにつれて羽毛は黒色に、くちばしは赤褐色から赤色へと変わっ
ていく。