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生き抜くルールづくりの本

2017年09月14日 | 読書
 今さらビジネス書でもないだろうが、佐藤可士和はずっと注目していた。印象深いベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)についても、このブログで三度も取り上げているから、密かなシンパシーを持っている。

 ◆わかっている人は、こう表現する

 ◆整理を整理する、その1

 ◆整理を整理する、その2


(金沢駅)

 いわば続編とその後に出たインタビュー(というより対談集)が実に興味深かった。

2017読了89
 『佐藤可士和のクリエィティブシンキング』(日本経済新聞出版社)

2017読了90
 『佐藤可士和の新しいルールづくり』(聞き手・齋藤孝 筑摩書房)



 『~クリエィティブシンキング』に、コラムニスト天野祐吉の言葉として紹介される一節が、実に佐藤可士和の仕事の本質を突いている気がした、

 「外見と中味を分けて考えている人がいるが、外見は一番外側の中身なんです」


 『~クリエィティブシンキング』で語られていることは、『~超整理術』を一歩進め、提案的にクリエィティブマインドのつくり方や実例などである。
 正直、凡人ゆえにふむふむと感心するだけで、読み流してしまったきらいがあったが、二冊目の『~新しいルールづくり』では、稀代の聞き手、対話上手である齋藤によって、実に豊富に、より提案的になっていて、感心してしまった。


 業界用語や省略的な造語の考え方が実に面白い。
 例えば「トンマナ」「見立て」「シズル」など、仕事だけでなく、日常生活を送るうえでも、活用可能なことが豊富にある。

 広告を扱う場合だけでなく、この本で何度も強調されるのは「コンセプト」である。
 コンセプトの「概念」をしっかり把握しているかどうかという、そもそも論が興味深い。以下のように佐藤が語った一節が示す意味は大きいと思う。

 「売り上げを伸ばしたい」や「長生きしたい」はコンセプトにはならない。
 コンセプトは「思考の設計図」、「こういう方針でやろう」という意志
 共有できないものは「優れたコンセプト」とは言えない。



 また、y=f(x)という関数の考え方は、斎藤の別著書にもあったかもしれないが、fに「佐藤可士和」が入るという例示、つまり佐藤可士和の関数化という発想は実に面白く、この本のテーマ「新しいルール」に直結すると思った。

 ルールを守ることはとても大事である。それなしには社会生活を安定して営むことはできない。
 しかしその裏面において、確実にそして急激に変化している世の中では、「新しいルール」を作り、ゲームの主導権を握る努力をしなければ、萎んでいくは明らかである。
 そのヒントは、コンセプトや関数化を初めとして、この本に豊富にあると思う。