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鈍行に乗ってみれば

2017年09月17日 | 雑記帳

(黒部峡谷鉄道)

 「鈍行」という言葉をあまり使わなくなったようだ。普通列車、各駅停車が正式名称であるのは承知しているが、ドンコウという響きも捨てがたい。久しぶりにその鈍行へ乗ってみた。秋田駅前のとある場所へ用事があり、たまにはいいかとお昼前の二両編成の列車へ。ふだんの自家用車往復にはない楽しみもある。


 つい車内の人間観察へ目が向かう。二つしかないボックスシート席に、若い男性が黒い大きなザックを横に座らせて、乗っている。各駅に停車する度にじっくり外を見入るし、時間があると必ずホームに出てみる。鈍行を使った一人旅か。身なりはそれなりだが、何かを吸収しようとする若者の姿はある意味清々しい。


 秋田駅に着き、用事までの小一時間を隣のアルベェで過ごす。催し物はなく、中央の広場は高校生がテーブルをほとんど占領している。そこに現れた一人の中年女性。何かの機器をセットしたと思ったら、マイクを持って歌い始めた。竹内まりやから始まり朝ドラの主題歌など…歌の出来はともかく、平和な空間だ。


 用事を済ませ、夕刻の列車で湯沢へ戻る。これは4,5両編成。下校時にあたり圧倒的に高校生が多い。こうなると都会と変わらずスマホとにらめっこという単一的な風景が広がる。これを何かを探している、待っている状況と仮定すると、列車の中は孵化場のような空間とも言えるが、配合飼料づけにされないか心配だ。


 そういえば、FBに数年前の「いい子が育つ都道府県ランキング」が取り上げられていた。堂々の1位が本県であり、当時少し誇らしかったことを覚えている。しかしデータはデータ、今目の前にいるその時小学生だった対象者たちの姿は他県と差があるのか…。鈍行車内で目を凝らしてみる。読み取ろうとしてみる。