気になっていた作家だったが読んではいなかった。今回、本屋大賞ノミネート(結果2位)もあり、やけに書名が気に入った。おそらく「高校球児の母」だろう。そこにどんなドラマがあるのか…情報先は他にもあるが小説という形で語られる姿は、独特の背景を持ちながらも、やや普遍的な母親の矜持も読みとれた。
当然「母」側からの視点だが、逆のつまり「息子」の視点が響く場面もある。アルプス席の大観衆に紛れ、遠くから叫ぶ母を、グラウンドから見つめていたと息子が語る最終盤が印象的だ。思いは光るといった形容が浮かぶ。最後に進んだ地方大学が「秋田」だと匂わせる、方言台詞には落語的なセンスも感じ取れた。
これは雑誌の新刊案内で見かけたとき興味が湧いた。たまたま図書館の新刊コーナーに並んでいたので、借りて読んでみた(というより、眺めてみた)。「ある日、地球に『めずらしいもの』を探しに来た宇宙人ふたり-----」という設定はなかなかに面白い。第一章「住宅街の謎」から始まる身の周りウォッチングだ。
取り上げられるのは「標識」「すかしブロック」に始まり「電線の鳥」「踏切」など多種様々。トリビア、雑学的な宝庫とも言え、これをもとにクイズはいくらでも作れそうだ。私達地球人(笑)はいかに身の周りのことに気を遣わないか、思い知らされる…って、いちいち気にしていたら、春日三球(古)のように眠れない。
ラストの謎「定礎」はヘェェェだった。建物にある記念碑的な石板と認識していたが、なんと正式名称は「定礎箱」。入っている物があるとは考えなかった。関わる者には常識でも、一般的に知られていない事物は山ほどあるに違いない。どのジャンルでもいいから「謎」と考え見つめる目は、脳を働かせる。小学生に薦めたい。