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「2024年早期の日経平均3万5000円目標」は不変だ 12/1(金) 7:32配信 東洋経済オンライン

2023-12-01 21:06:45 | 日記
「2024年早期の日経平均3万5000円目標」は不変だ
12/1(金) 7:32配信
東洋経済オンライン

エヌビディアのジェンスン・ファンCEO。好決算でも同社株は売られたが、日経平均はその前に今年の高値を一時更新しており、市場の強気は続いているとみてよい(写真:ブルームバーグ)

 直近の日本株はどうなっているのか。ひとことで言えば、11月初旬からの株価上昇で、売りを建てていた(ショートしていた)弱気派の投資家が買い戻しを急いでいる状況だ。これに加え、「円売り」「米国債売り」「日本国債売り」の、3つの買い戻しも同時に起きているとみるべきだろう。

■市場を覆っていた「4つの懸念」

 日本株の海外投資家動向(週ベース)でみても、11月1~3週(10月30日~11月17日)までの3週連続で買い越し(現物と先物の合計)となっている。この中身は、3週連続の先物の買い戻しが中心なので、ショートの買い戻しなどで株価は上昇していたとみるべきだろう。最新の11月第4週(11月20日~24日)の海外投資家売買動向では、4週間ぶりに売り越しとなり、超短期的にはショートの買い戻しのエネルギーはいったん終わりに近づいているようだ。

 ではなぜ海外投資家は日本株をショートしていたのか。それはこの間、大きくいって「4つの懸念」がマーケットを覆っていたからだ。すなわち①アメリカのインフレ・金利上昇・追加利上げ懸念、②政府機関閉鎖のおそれ【同国のつなぎ予算の期限切れ(11月17日)による財政不安】、③パレスチナ(イスラエル・ハマス)情勢、④米中対立、である。

 これらはどうなったか。まず①は11月13日の消費者物価指数などが弱い数字でインフレ懸念が後退、FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ見送り・来年早々の利下げ観測につながった。②は「つなぎ予算」成立(11月14日に下院で超党派の賛成多数で可決し、11月16日にジョー・バイデン大統領の署名で政府の予算執行を2024年1~2月まで継続する「つなぎ予算」が成立。政府機関の閉鎖は回避された。

 さらに④では米中首脳会議(11月15日)が1年ぶりに対面で実現し、③も11月22日にパレスチナでは戦闘休止で合意、11月24日から4日間の休戦が実行となった。このように4つの懸念の霧が晴れたことから、早ければ、日経平均株価は年末まで、遅くとも来春までに3万5000円まで上昇するとみている。

なかでも、日本経済にとってマイナス要因として投資家に懸念されていた地政学リスクについて、ある程度のメドがついたことが日本株にとって追い風となった。これは前回の「『年末年始までに日経平均3万5000円』は可能だ」(10月31日配信)でもふれたとおりだ。

 例えば、最大のリスクとして注目していた米中対立には改善の兆しがみてとれる。バイデン大統領と中国の習近平国家主席は11月15日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせて対面での会談を実施した。

 米中対立の風向きは明らかに変わっている。日本からの米中両国向けの輸出額は、輸出全体の約4割を占める。その2カ国の関係が悪いことが、日本経済にとっていいはずがない。米中間に関係改善の傾向が出てきたことは、海外投資家にとっては日本へ投資をする理由になり、日経平均の押し上げ要因となる。

 また、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が株式市場に与える影響は限定的だとみる。現在はイスラエルとハマスの限定的な争いだ。

 もちろんこれがレバノンの親イラン組織であるヒズボラやイラン、そしてアメリカを巻き込んだ大規模な戦争に発展する懸念は消えていない。ただイランの首脳レベルが繰り返し「戦争の拡大は望まない」と明言しており、メインシナリオとしては考えていない。

■サプライズ決算でも、エヌビディアが売られたワケ

 一方、直近の市場では、11月21日のエヌビディアの決算が大きく注目されたが、5月と8月に続く「3度目のエヌビディア祭り」は短期的には不発に終わった。時間外取引では株価下落で反応した。

 同社の第4四半期(2023年11月~2024年1月期)におけるアナリストの売上高予想の市場コンセンサス平均は179億ドル(最大は210億ドル)だった。結局、会社予想は200億ドルとマーケットコンセンサス平均を上回りサプライズとなったが、株価の反応は時間外で3%安となった。

 この株価の反応に、多くの専門家等の期待が外れ、中には首をかしげる光景もあった。ただ私の見解は、短期的には「セル・ザ・ファクト」だ。「噂で買って事実で売る」との格言(ことわざ)どおり、すでに同株価が史上最高値を更新していたことで、今回の好決算は織り込まれていたとみるべきだろう。

 中国向けの売り上げ予想が同社の計画を押し下げたが、市場は第4四半期売上高予想250億ドル程度を期待していたのかもしれない。今後は、会社予想に対して、さらに強気なアナリストの業績予想が出てくるかに注目が集まるだろう。

 では今後の日本株はどうなるか。11月21日のエヌビディア株の下落を受けて、22日の日経平均が下落後3万3593円まで上昇する場面があったように、まだまだ株価の先高期待は強いようだ。

 日経平均はすでに6月19日の取り引き時間中につけた年初来のザラバ高値3万3772円を、11月20日に3万3853円をつけて更新している。これは市場の強気シグナルだ。今後は、早期に終値ベースの年初来高値である7月3日の3万3753円を超えることができるかに注目している。もしブレイクすると3万4000円前後まで一気に上昇する可能性もあるが、そこが超短期のヤマ場になる可能性もある。

■日経平均は遅くとも来春までに3万5000円まで上昇

 日本経済のファンダメンタルは非常に強い。足元で進む2023年度の中間決算では、上方修正を発表する企業が相次いだ。特に円安の恩恵を受けた自動車など、輸出関連の銘柄が好調だった。

 その他にも、値上げによる価格転嫁に成功した電力会社などの決算も好調だった。またインバウンド(訪日外国人)需要を取り込むレジャーや、鉄道関係の銘柄も日経平均の上昇を牽引しており、当面はこの傾向が続くとみる。

 私が注目している、企業の資本効率を改善する動きも当面は続きそうだ。東京証券取引所は10月に入って、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みを開示している企業の一覧表を2024年1月から公表(毎月1回更新予定)するなどと発表した。

 投資家は対応に前向きな企業を知ることができるようになり、対応しない企業にとっては明らかなプレッシャーとなる。個別企業がそれぞれ、資本効率をより意識した経営をすることの後押しとなりそうだ。日経平均は早ければ年末までに、遅くとも来春までに3万5000円まで上昇するとの見方を継続したい。

(本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 :株式ストラテジスト

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