コズモと読んでください COSUMO

株式、債券、為替、投資信託を主に

大手生保の為替ヘッジ比率が8年ぶり低水準、円安継続を想定か 2023年12月1日 8:00 JST 更新日時 2023年12月1日 15:01 JST ブルームバーグ

2023-12-01 21:44:44 | 日記

大手生保の為替ヘッジ比率が8年ぶり低水準、円安継続を想定か
Masaki Kondo、テソ由美
2023年12月1日 8:00 JST 更新日時 2023年12月1日 15:01 JST ブルームバーグ

主な円高ヘッジ手段であるフォワード取引の利用が大幅に減少
日銀の政策正常化が緩やかなら円高余地は限られるとの見方


日本の大手生命保険会社が外国証券にかける為替ヘッジの比率が8年ぶりの低水準となった。円高で収益が目減りするとの懸念が和らいでいることを示すものだ。

  大手生保9社の決算報告書を基にブルームバーグが半年ごとにまとめるデータによると、為替のフォワード(先渡し)取引や通貨スワップ、プットオプションなどのデリバティブ商品を使って円高リスクをヘッジしている比率は9月末時点で47.8%と、2015年9月末以来の水準に低下した。3月末時点は52.7%で、半年で5ポイント近く低下するのは少なくとも11年以来となる。

  一方、生保が保有する外国証券は同じ期間に6.1%増え、22年3月末以来の増加となった。こうした動きは、市場に大きな影響力を持つ生保勢が、日本銀行の金融政策正常化は非常に緩やかなものとなり、円安傾向がもう少し続くとみていることを示唆する。

Japan Insurers Cut Yen Hedging Further
Yen short positions relative to holdings of foreign securities
Sources: Bloomberg, the authors’ calculation, life insurers' earnings reports

  ヘッジコスト高止まりへの対処で通貨スワップやオプションの利用は小幅に増えたものの、円高に対する主なヘッジ手段であるフォワード取引の活用がそれ以上に大きく減った。

  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、日銀の政策変更が段階的なものにとどまる限り、生保勢は円が上昇しても1ドル=140円程度とみているのだろうと話す。日銀の利上げが緩やかで、かつ米国が急速な利下げに転じなければ「急激な円高は考えづらい」と言う。

  名目実効為替レートに関する日銀のデータによると、円は21年、22年に主要通貨に対してそれぞれ8%以上下落した後、23年は年初来でさらに9%水準を切り下げた。日本と他の主要国との金融政策の乖離(かいり)や日本の貿易収支の悪化が背景にある。

  日銀は22年12月以降、長期金利の指標となる10年国債利回りの上限を0.25%程度から1%のめどに引き上げた。ただ、米国など他の先進国がより積極的な利上げを行ったことに比べればはるかに小さい動きだ。

Yield Gap Remains Wide Between Japan and Other Economies



  それでも、海外経済の減速が予想される中、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする海外の中央銀行は金融引き締めの終了に近づいているか、あるいは既に引き締め局面を終えたとの見方が広がりつつある。来年には金融緩和に転じ、円高に追い風となる可能性がある。

  この場合、生保の海外投資リスクは再燃し得るが、為替ヘッジにかかるコストは足元の高水準から下がる公算が大きい。

  円高・ドル安に対する3カ月物のヘッジコストは約5.7%。日本から米国債に投資する場合、為替ヘッジを行うと損失が生じることになる。

  マーケットリスクアドバイザリーの深谷幸司フェローは「来年の春ごろからはヘッジ比率が上がる可能性もある」とみる。FRBによる利下げの見通しが明確になり、ソフトランディング(軟着陸)でなく景気後退のリスクが高まるなどすれば円高がさらに進むことも考えられるとし、ドル・円が「140円割れなどの見通しになればヘッジをかけた方が良い」と述べた。

  円は今週対ドルで0.9%上昇し、1日午後3時時点で148円付近で取引されている。

関連記事

住友生命、超長期債投資「タイミングとして適切」-平準買い基本
第一生命、金利上昇局面で超長期債を追加投資-日銀は近々政策修正
日本生命、超長期債「やや抑制」-金利先高観と日銀政策修正の可能性

(6段落の円の名目実効為替レートを更新し、末尾にドル・円のレートを追加しました)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
LEARN MORE

最新の画像もっと見る

コメントを投稿