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ジム・ロジャーズ「世界恐慌への懸念は消えない」 8/1(木) 10:32配信 東洋経済オンライン

2024-08-02 06:29:04 | 日記
ジム・ロジャーズ「世界恐慌への懸念は消えない」

8/1(木) 10:32配信
東洋経済オンライン

次の金融ショックを懸念するロジャーズ氏。すでに相場の下落は始まったのだろうか(写真:Luxpho〈Takao Hara〉)

 シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。

世界三大投資家と言われるジム・ロジャーズ氏と飲食チェーン大手・ワタミの会長兼社長である渡邉美樹氏との対談本『「大暴落」金融バブル大崩壊と日本破綻のシナリオ』(プレジデント社)が好評です。引き続き、最新のロジャーズ氏への取材から、インフレとブロック経済の弊害、「もしトラ」「ほぼトラ」の懸念について、掘り下げていきます。

■次の金融ショックは「これまでにない激しいもの」に

 ロジャーズ氏は、これまでも金利上昇が世界経済にもたらす影響について懸念を示してきました。「2008年のリーマンショック以降、世界各国の金利は、つい最近まで歴史的な低水準が続いてきました。1970年代まで遡っても、金利は一貫して下落傾向をたどってきました。政治家や中央銀行は金利を低くすれば低くするほど、消費が増えて経済が潤うと考えています。低金利であれば、国民がお金を借りやすくなるからです」。

 つまり、政治家や中銀は、金利を低くすることこそが、自分の仕事を存続させる唯一の手段だと思っている、というわけです。

 「ですから、約40年の間、金利はどんどん低下する一方だったのですが、最近になってインフレになり、それを抑え込むために金利が上昇しはじめました。しかし、金利上昇によってこれまで何十年間もたまってきたツケが回りはじめています。借金を増やし続けるということは、どこかで大きなツケを払わなければなりません。もう間もなく、そのときが来るのではないかと、私は恐れています

 「とくに2008年以降は、日本、アメリカ、ヨーロッパのみならず、中国も多額の借金を抱えるようになっているので、次回のショックはこれまでに経験をしたことがないほど激しいものになるのではないかと考えています」。

 ロジャーズ氏はインフレが緩やかになったとは思っておらず、何事にも上昇と下落のサイクルがあると指摘します。彼の考えでは、インフレは継続しており、庶民は再度物価上昇に苦しむことになると言います

 なぜなら、ここ数年、世界中で膨大な紙幣が印刷され、借金が行われてきたからです。歴史的に見ても、お金を大量に刷ればインフレになるのは明らかだからです。そしてインフレは今後も続くと予想しています。

■「ブロック経済」が各地で戦争を引き起こす懸念


 ロジャーズ氏は続けます。「今、世界ではブロック経済化が進んでいますが、これは今後も続くと考えています。歴史的に見ると、ブロック経済になると戦争が起こりやすくなります。今の状況が続くようなら、今後は世界各地で戦争が起こっていくでしょう。さまざまな面で世界は悪い方向に向かっていますから、注意しなければなりません」

 「ブロック経済によって国同士の溝が深まっていくなかで、小さな誤解が生まれ、それが大きくなって戦争の引き金になる可能性があります。大きい戦争がはじまってしまえば、もはや戦争から抜け出すことはとても難しいでしょう。しかも、最初は戦争に意欲的だった人たちも、いずれは戦争に対して否定的になります。それでも戦争からは簡単には抜け出せません。戦争は、いとも簡単にはじまってしまうものなのです。ブロック経済はその引き金になる可能性があるという意味で、とても危険です」

 11月5日のアメリカの大統領選挙が迫ってきました。6月27日のジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領のTV討論会が行われ、7月13日にはトランプ氏の暗殺未遂事件が起きたこともあり、アメリカ国内や市場は「もしトラ」から「ほぼトラ」になりました。しかし、その後バイデン大統領が選挙からの撤退を表明。カマラ・ハリス副大統領が候補となる可能性が高まり、選挙戦は混沌としています。

 では、トランプ氏がもう一度大統領になったらどうなるか、その影響を討論会の前に聞いています。ロジャーズ氏はこう言います。

 「トランプ氏を心配しているのは日本人だけではありません。アメリカ人を含めた世界の多くの人々がトランプ氏を心配しています。トランプ氏が大統領になっても、そのうちのいくつかの政策は問題なさそうです」

 「しかし彼は、私たちがしばらくの間、行かなかったような新しい方向へと、アメリカや世界を巻き込むでしょう。(駆け引きとして使っている言葉かもしれませんが)NATO(北大西洋条約機構)からも脱退するかもしれません。彼が言うことは、良いことかもしれないし、悪いことかもしれません。過去数十年間、従来のアメリカがリードしてきた路線とは、世界はまったく違う方向に進むでしょう」


■再び世界恐慌が来たらどうなるのか

 「また、彼が関税をかけてきた場合、それは多くの人々にとってマイナスになります。多くの経済問題は、関税率の上昇や保護主義によって引き起こされてきました。実際、20世紀の大恐慌の原因のひとつは関税でした。アメリカは特にそうでしたが、他の国もそうでした。行きすぎた保護主義が世界恐慌を引き起こしたのです。もしまた同じようなことが起これば、アメリカの株式市場はもう手遅れになってしまうでしょう」

 「世界中が保護主義に走れば、大きな問題を抱えることになります。誰もが大きな問題を抱えることになるでしょう。保護されている人々は、しばらくの間、経済が活性化したように見え、気分が良くなるかもしれません。しかし、それ以外の人たちは幸せになれません」。

 インフレ、ブロック経済、戦争など、今後の世界は不安定な要因がたくさんあります。また、インフレが選挙の論点にもなっています。そんな中、円安、金価格の高騰など大きな市場の動きもあります。一方で、ロジャーズ氏は世界大恐慌などの大きなクラッシュが来ても、資産を築くことができる人もいると言います。

 「もちろん大恐慌が訪れた1930年代には成功した人もいれば、破滅した人もいます。ただ、成功した人も、その後破滅したケースも少なくありません。ですから、常に気を引き締めていなければいけません」。

 「たとえば、当時、フランスに住んでいたある人が『ヨーロッパは破滅に向かっている』と考え、1938年にソロモン諸島にあるガダルカナル島に移住しました。彼は確かにヨーロッパの世界大戦を避けることができました。しかしその後、ガダルカナル島は太平洋戦争の大激戦地となり、多くの人が命を落としました。その人も同じです。たとえ一つの問題を回避できたといっても、それで安全ではありません。常に破滅と隣り合わせになる可能性があります」

 つまり、国が衰退しているので「移住をしたら大丈夫」というわけではなく、常に状況を把握し、気を引き締めて変化に備え、新たな機会をうかがわなければならないということです。

 ロジャーズ氏もワタミの渡邉美樹会長も、自分の人生や経験からのみならず、歴史から学ぶというスタイルでした。先人から学ぶことによって、自分が経験をしていないインフレ、戦争時代などの生き抜き方や準備の仕方なども学ぶことができます。ぜひ、答えを学ぶのではなく、考え方を学んでいただければと思います。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

花輪 陽子 :ファイナンシャルプランナー

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