米国株、ダウ続落し638ドル安 米CPI控え売り加速、ECBの引き締めも重荷
米国・欧州株概況2022年6月10日 5:38 (2022年6月10日 6:12更新)
【NQNニューヨーク=横内理恵】9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前日比638ドル11セント(1.9%)安の3万2272ドル79セントで終えた。欧州中央銀行(ECB)が9日、7月に量的緩和を終了すると決め、同月中には0.25%の利上げに踏み切る方針を示した。9月には追加利上げの可能性も示唆し、金融政策の正常化による欧州景気の減速が世界景気を下押しするとの警戒が強まった。10日に5月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える。インフレ加速への懸念も根強く、取引終了にかけて売りの勢いは強まった。
ECBは声明で「インフレ率が中期的に目標の2%に戻るようにする」と言明した。今後の政策については9月も利上げを続ける方針を示し、インフレ次第では利上げ幅が通常の倍の0.5%になる可能性を示唆した。ECBの発表を受け、欧州の主要国債利回りは軒並み上昇(債券価格は下落)し、ドイツ株価指数(DAX)など主要国の株価指数は総じて下落した。
米長期金利も一時3.07%(8日終値は3.02%)と1カ月ぶりの高水準を付けた。金利上昇で相対的な割高感が意識されやすいハイテク株が売られ、スマートフォンのアップルが4%、ソフトウエアのマイクロソフトは2%、それぞれ下げた。世界景気の先行き不透明感から航空機のボーイングや建機のキャタピラーなど景気敏感株も売られた。映画・娯楽のウォルト・ディズニーやクレジットカードのビザといった消費関連株も安い。
ダウ平均は小幅高に転じる場面もあったが、午後には再び売りが強まった。市場は10日に発表される5月のCPIに注目している。総合指数は前年同月比では伸び率が横ばいとなる半面、物価の基調をはかる上で重視される前月比では加速が見込まれている。足元のエネルギー高などを背景に市場予想からの上振れを想定するエコノミストも多く、結果次第では米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めペースの加速を示唆する可能性がある。取引終了にかけては発表前にヘッジ目的の売りも膨らんだようだ。
ダウ平均はチャート上で25日移動平均を下回り、下げが加速した面もあった。最近2週間は同移動平均が下値支持となっていたが、下回ったのを受け見切り売りが出た可能性がある。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比332.045ポイント(2.7%)安の1万1754.226で終えた。高PER(株価収益率)銘柄の割高感が意識され、ネット通販のアマゾン・ドット・コムや動画配信のネットフリックスが大幅安となった。
NYダウの6か月チャートです。