成功者K
ポルシェ太郎
羽田圭介、車を買う
読んだ。
クルマを買う、は面白かったが、成功者Kとポルシェ太郎はストーリーが破綻している。
直近で読んだポルシェ太郎では裏社会と若い社長とのからみで、サスペンスが盛り上がってくるが途中で突然裏社会の話はおわる。
で、後日談みたいな話になるが、中途半端な感じがしてならない。
裏社会を描くには作者の力不足だった、ということなのか。
もしくは作者がそこまで闇とか裏に興味がない、と言う事だったのか?作品を読んでいても作者は健全で実は硬派な人なんだろうな、と思うことが何度もある。でもそれならそれで、初めから裏社会なんか出てこない作品を書いてくれればいいのにな。
成功者Kも同様、ジワジワ不安をかきたてておいて、突然その話が終わる。
・ドッキリ番組スタッフが主人公の知らないところで何か調べている。彼らは主人公の本当の顔を知りたい、と言いカメラに向かって主人公が演じる姿に満足しない。
・性交したファンの女性が脅迫まがいのメールが来る(彼女はリストカットの痕がある)。
・外に出ると常に誰かに見られ指を差されている気がして神経がささくれ、マスクと帽子で顔を隠さないと外に出られない。
これらの伏線は放棄される。
筒井康隆みたいに、主人公のプライベートがメディアに暴かれ世間から攻撃されて右往左往するような不条理なギャグ、あるいは花村萬月みたいな陰惨でグロテスクな結末があるのかと思っていたが、そこまで頑張って物語を作ることをしていない。
まだそんなに沢山書いておられないと思うが、これは粗製乱造なのか、すでに枯渇しているのか。
クルマを買う、は面白かったが、小説はもう読まないと思う。
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