■本物の政治家を総理大臣にしよう
参議院選が終わって、一か月になる。9月14日に選出される民主党党首は、日本を率いる総理大臣になる。「好き嫌い」「かっこいい、わるい」という愚劣なレベルではなく、また、「親小沢、反小沢」という低次元の争いでもなく、民主党員は、大きな国家観、社会像を、冷静に吟味、判断すべきだ。「総理をコロコロ変えるのはよくない」という「安っぽい、アホウ同然の『常識』」など、糞くらえである。
1993年、小沢一郎が世に問うた「日本改造計画」は、社会各層に衝撃的な影響を与えた。発行部数60万を超え、既成勢力にとっては「悪魔の書」だった。以来、この書を凌駕する「悪魔の書」はない。小沢は17年間、ひたすら、「国のかたちを変える」戦いを続けてきた。
小沢は「日米対等」「日米中二等辺外交」を主張し続けている。日本はアメリカを通して中国と対峙して来た。小沢は「米」のみならず、日本にとって「中」も大事だと、米中を平等に捉えている。昨年、600余人を率いて胡錦涛と会見した小沢に、アメリカは不快感を抱いた。長い年月と巨額の金を使って買収・篭絡したはずの日本から「日米対等」を主張する実力者が出たことが、アメリカの逆鱗に触れたのだろう。
「悪党」も一人だけでは日本の改革は容易ではない。小沢を超える、あるいは共働出来る「悪党」が欲しい。自分のことは棚に上げ、「重箱の隅」をほじくるのが政治だと錯覚している「潔癖・清潔症候群」の民主党国会議員は、ここで判断を誤ると、政権を失うだけでなく、国を滅ぼすことになりかねないことを銘記すべきだろう。
菅総理に苦言を呈しよう。私は、元旦に開かれる恒例の小沢一郎邸の新春の集いで、何度か彼と話をしたことがある。それが、「小鳩」の辞任で、はからずも、総理の座を手に入れた途端、掌を返すように、しかもテレビを介しての「しばらく静かにしているように」発言には、唖然とした。これは人格を否定する暴言である。全共闘や新左翼の内ゲバならいざ知らず、常識人の世界では考えられない人間への侮蔑そのものである。
「歴史にはもしもが利かず原爆忌」(後藤洋子)
シャンソン歌手クミコの「INORI 祈り」が人びとの心を動かしている。米大使、国連事務総長が「平和記念式典」に初参加、核なき世界へ大きな一歩を踏み出した。オバマ大統領のプラハ宣言は、ある意味ではアメリカの守旧派やネオコンにとっては「悪党」宣言だった。
「悪党」は一人だけでは大事を成し遂げることは出来ない。「悪党」を支える名もなき庶民が地から湧き出すように現れて、時代が大きく動く。庶民こそ、本物の「悪党」であるべきである。マスコミは「悪党派」か「反悪党派」か、それとも「日和見派」はたまた「ただの情報産業」人か。奇しくも一年前と同じように、日本は歴史の歯車を前に進めるか、後戻りさせるかの厳しく、熱い夏の真っ只中に立たされている。