まだできる事はある

人間を慈しむ事さえ出来ない人が、わが国を指導してきたとしか、思えません。今こそ私達の目指すべき道を本気で考えるべきでは。

死神よ去れ

2011-04-12 15:17:53 | ドイツリートは如何ですか

死神よ去れ 4/12

掲載日:2008年11月7日

 

死神よ、我が父の元を去れ。

生命が欲しくば、我が生命を取れ。

 

死神よ、我が母の元を去れ。

生命が欲しくば、我が生命を取れば良い。

我が生命など、くれてやろう。

 

死神よ、お願いだ。我が子の生命だけは。・・・

 

 

魔王

 

Wer reitet so spät durch Nacht und Wind?

Es ist der Vater mit seinem Kind;

Er hat den Knaben wohl in dem Arm,

Er faßt ihn sicher, er hält ihn warm.

<語り手>

夜の風をきり馬で駆け行くのは誰だ?

それは父親と子供

父親は子供を腕にかかえ

しっかりと抱いて温めている

 

"Mein Sohn, was birgst du so bang dein Gesicht?"

"Siehst, Vater, du den Erlkönig nicht?

Den Erlenkönig mit Kron und Schweif?"

"Mein Sohn, es ist ein Nebelstreif."

息子よ、何を恐れて顔を隠す?

お父さんには魔王が見えないの?

王冠とシッポをもった魔王が

息子よ、あれはただの霧だよ

 

"Du liebes Kind, komm, geh mit mir!

Gar schöne Spiele spiel ich mit dir;

Manch bunte Blumen sind an dem Strand,

Meine Mutter hat manch gülden Gewand."

魔王:「可愛い坊や、私と一緒においで

楽しく遊ぼう

キレイな花も咲いて

黄金の衣装もたくさんある」

 

"Mein Vater, mein Vater, und hörst du nicht,

Was Erlenkönig mir leise verspricht?"

"Sei ruhig, bleibe ruhig, mein Kind;

In dürren Blättern säuselt der Wind."

お父さん、お父さん!

魔王のささやきが聞こえないの?

落ち着くんだ坊や

枯葉が風で揺れているだけだよ

 

"Willst, feiner Knabe, du mit mir gehn?

Meine Töchter sollen dich warten schön;

Meine Töchter führen den nächtlichen Reihn

Und wiegen und tanzen und singen dich ein,

Sie wiegen und tanzen und singen dich ein."

魔王:「素敵な少年よ、私と一緒においで

私の娘が君の面倒を見よう

歌や踊りも披露させよう」

 

"Mein Vater, mein Vater, und siehst du nicht dort

Erlkönigs Töchter am düstern Ort?"

"Mein Sohn, mein Sohn, ich seh es genau,

Es scheinen die alten Weiden so grau."

お父さん、お父さん!

あれが見えないの?

暗がりにいる魔王の娘たちが!

息子よ、確かに見えるよ

あれは灰色の古い柳だ

 

"Ich liebe dich, mich reizt deine schöne Gestalt,

Und bist du nicht willig, so brauch ich Gewalt."

"Mein Vater, mein Vater, jetzt faßt er mich an!

Erlkönig hat mir ein Leids getan!"

魔王:「お前が大好きだ。可愛いその姿が。

いやがるのなら、力ずくで連れて行くぞ」

お父さん、お父さん!

魔王が僕をつかんでくるよ!

魔王が僕を苦しめる!

 

Dem Vater grauset's, er reitet geschwind,

Er hält in dem Armen das ächzende Kind,

Erreicht den Hof mit Müh und Not;

In seinen Armen das Kind war tot.

<語り手>

父親は恐ろしくなり 馬を急がせた

苦しむ息子を腕に抱いて

疲労困憊で辿り着いた時には

腕の中の息子は息絶えていた

 


自然における神の栄光

2011-04-10 21:34:22 | ドイツリートは如何ですか

自然における神の栄光 4/10

掲載日:20071111

 

ベートーベンのリート

ゲレルトの詩による六つの歌のなかに、自然における神の栄光があります。訳詩をご覧下さい。

 

天は永遠なるものの誉れをたたえる

その響きは彼の名をはるかに伝える。

地は彼をたたえ、海も彼をたたえる。

おお人よ、それらの聖なる言葉を聞け!

 

数知れぬ、空の星を支えるのは、だれ?

太陽を臥床から連れ出すのは、だれなのだろう?

太陽は昇り、光を放ち、遠くから私達に微笑み、

勇者の如きにそのみちを突き進んでゆくのみ。 

 

宗教的暗黒なる時代を抜け出した人々が、声たからかに自然に対する感謝の気持ちを謳歌したものだと思います。

彼らは私達日本人が、世界人類史の中でも類まれなる安穏なる暮らしをしていた時、彼らがはじめて手にした幸福感に酔いしれていたのではないでしょうか。

 

私は日本人とドイツ人との間に、ある共通点があるように感じます。

それは私達が八百万の神を信じていたように、彼らもキリストのみならず、自然、奥深き森にたいして畏敬と崇拝する心を持っていたのではないでしょうか。

 

欧州国家の繁栄と日本国の衰退

私は以前、もっともらしい数字を出して説得しようとする人には 疑ってみなさいと申し上げました。

よって今回は皆様でお調べ下さい。

15年前より貧しくなっているわが国と比較して、

スイスを始めとする欧州の国々は数倍豊かになっています。

 

千と千尋の神隠しをご覧になりましたか。

神々が食すべき供物を食べようとして、ブタに姿を変えられた人々の物語を、

私たちは「自然における神の栄光」を忘れていませんか。

 


うたが生まれました

2011-04-09 13:55:44 | ドイツリートは如何ですか

うたが生まれました 4/09

掲載日:20071110

 

プシケが運んできてくれたよ。

女の子が言いました。

 

ぼくは水車小屋のそばでうたが生まれるのを見たよ。

男の子が言いました。

 

鬼火がビンの底にいま生まれようとしているうたを

見つけました。

 

鬼火が沼からうたを連れて来るのさ。

お婆さんが言いました。

 

穴の開いたコインが言いました。

うたはぼくのこの穴から生まれてくるのさ。

 

おや、こんな所にうたが埋まっていたぞ。

 

古い井戸の底からキラキラ光るうたが

掘り出されました。

 

あなたも見つけられると良いですね。

 


エルフたちとの語らい

2011-04-08 21:02:18 | ドイツリートは如何ですか

エルフたちとの語らい 4/08

掲載日:2007119

 

中世ヨーロッパに連なる奥深い森、人々はその暗くて惑わせるかのような森に恐れ、服従、忍耐を感じ、木漏れ日から聞こえる小鳥たちの声に安らぎと幸せを、また森よりもたらされるあまたの恵みに祈りと感謝をささげました。

またその奥深き神秘の森には、その森に住む民がゆえの信心深さにより、妖精や子鬼、エルフ、ドワーフ、やノーム、時には魔法使い、魔王の存在さえ感じていました。

 

宗教的暗黒なる時代を終え、人々は心よりの自由を謳歌し、シラー、ショーバー、マイアーホーファーなどの数多くの詩人やうたに心を躍らせました。

吟遊詩人たちの姿を追い、神に賛美の歌を捧げていた人々が、竪琴の替わりにピアノを、祈りや恐れの替わりに高らかに生きている事の喜び、愛する喜びをこの詩人たちのうたにより自らの心の中に溢れさせました。

 

こうしてドイツリートと呼ばれる数多くのうたが生まれました。

心に溢れるが如き幸せ、安らぎ、情熱や感謝のうたを森の妖精たちと一緒に歌ってみませんか。

 


ドイツリートは如何ですか

2011-02-19 21:25:15 | ドイツリートは如何ですか

ドイツリートは如何ですか 2/19

掲載日:2007年11月8日

 

僕が初めてドイツリートを聞いたのはたしか高校一年位の事でしょうか、たまたまシューベルト、「冬の旅」のレコードを聞き、それが僕にとって唯一無二のものとなりました。心を奪われました一日何時間、何年間歌った事でしょう。

音楽にはひとの心を揺り動かす感動を感じます。

 

ご存知のベートーベンのイッヒリーベディヒ

秋の夜に聞いてみませんか。同じくゲーテの詩による新しき恋、

新しき命、コミカルなモルモットなど如何ですか。アデライーデなんかも良く歌っていました。