尖閣諸島の領有権問題についてのレコードチャイナ 10/21
以下の興味深い二つの記事を記録しておきたい。
<レコチャ広場>中国が尖閣問題を国際法廷に持ち込まない理由
2010年10月18日、
尖閣諸島の領有権問題について、国際法廷で争うべきかどうかを考察した中国人ブロガーによる記事「中国は釣魚島問題を国際法廷に持ち込むべきか?」が中国のブログサイト・鳳凰博報に掲載された。以下はその内容。
尖閣問題について、日本側の「不法占拠」を国際司法裁判所に訴えるべきだと主張する中国の専門家は多い。国際法廷に持ち込めば、日本側が主張する「無主地(所有者のいない土地)の先占」「実効支配」が無効であることがはっきりし、中国が勝利を収めることはほぼ間違いない。だが、なぜ中国政府はなかなか訴えようとしないのか?
まず1つには、中国側が勝訴しても日本が従わない恐れが強いこと。背後に米国が控えているため、日本も強気だ。だが、まさか日米同盟相手に開戦するわけにもいくまい。その米国は1986年にニカラグアから撤退するよう命じられたにも関わらず、これに従わなかったという前歴を持つ。
しかも、日本政府が万が一、中国側に譲歩したとしても国民感情が収まらない以上、争いは終わらない。カンボジアとタイのプレアビヘア寺院問題では、国際法廷でタイが敗訴したにも関わらずタイ国民が納得しないため、両国の争いはいまだに続いている。これを見ても分かる通り、国際法廷で判決が出ても国民が納得しなければ意味がないのだ。
公平な審議が行われれば、中国が勝訴する可能性は非常に高い。だが、注意すべきは国際司法裁判所長が日本人の小和田恆氏であるということだ。100%勝てるという見込みがない以上、責任ある政府として慎重になるのは当然。それに、実際は頼るあてのない弱小国家が国際法廷に訴える傾向が強い。彼らは第三者の同情を買いやすいからだ。そう考えると、日本より国力が上である中国は不利だといえる。
国際政治の舞台で、領土問題の解決手段として最も多いのが「実力に頼る」方法だ。トウ小平は中国の国力がまだ弱かった時代、尖閣問題は「とりあえず棚上げにしよう」と言った。中国が尖閣諸島を取り戻したければ、経済発展をさらに進めるしかない。中国が真の大国となれば、日本に対して自然と強く物が言えるようになるだろう。(翻訳・編集/NN)
レコードチャイナ 2010-10-20
http://www.recordchina.co.jp/
<尖閣問題><レコチャ広場>中国が犯した失敗=国際社会の警戒招く
モバイル版URL : http://rchina.jp/article/46034.html
2010年10月9日、琉球大学国際関係学部の林泉忠(リィン・チュアンジョン)准教授は、ブログに亡き父にあてた手紙という形式で尖閣問題への論考を発表した。香港ラジオ局の番組「香港家族への手紙」に寄稿したものの再録となる。以下はその抄訳。
先日、新聞に日本の18都市で中国に対する抗議のデモが行われたことを知りました。日本に長年住んでいますが、これほどの規模の「反中デモ」は聞いたことがありません。読売新聞の世論調査でも「中国は信頼できない」との回答が84%に達しています。この驚くべき数字は日中関係が最悪の状態になった2005年以上の数字です。
この夏、ボストンに滞在中、私は香港紙・明報などいくつかの媒体でコメントを発表しました。先日、ある中国本土の読者は私に尖閣問題で中国は勝利したのかと質問してきました。日本は中国の圧力に屈し船長を釈放したのだから表面上は中国が勝者に見えます。しかし今回の事件は、経済成長を後ろ盾とした「中国の台頭」に対する日本と国際社会の警戒心を呼び起こすものとなったこと、中国に対して友好的だった日本民主党政権を一気に米国へと接近させるものになったこと、日本の反中勢力を一気に拡大させたこと、日本国民の中国に対する信頼感を失わせ、中国人を嫌いにさせたことなどの問題があるというのが、私の回答です。
その読者はもう一つ質問をしてきました。私たち中国のやり方には反省するべきところがあったのでしょうか、と。私の答えはイエスです。外交では理を説くばかりではなく、実際的な効果も考えなければなりません。その意味では2点、反省すべき問題がありました。
第一にレアアースの対日輸出禁止という情報を広めたこと。第二に中国人船長を釈放したあと、謝罪と賠償を求めたことです。領土主権を守るのは重要ですが、有効な手段を追求しなければなりません。歴史問題に起因した2005年の日中対立。中国各地では大規模な反日デモが起こり、日本領事館、日本の自動車、日本レストランを破壊する騒ぎも起きました。本来ならば理があったはずの中国ですが、これでは国際世論の支持は得られません。ある講演会の後、1人の日本人にこう言われました。「私は中国が好きでしたが、今はもう嫌いになりました」と。問題があったとしても衝突を避け良好な関係を築くことが重要なのです。(翻訳・編集/KT)
2010-10-10 17:59:54 配信