まだできる事はある

人間を慈しむ事さえ出来ない人が、わが国を指導してきたとしか、思えません。今こそ私達の目指すべき道を本気で考えるべきでは。

二見伸明氏の悪党論 その二

2010-08-09 22:49:49 | 政治

■「悪党」は革命児だ

 

「悪党」は悪人ではない。既存の体制をひっくり返そうとする革命児だ。悪党とは、本来、鎌倉中・末期から南北朝時代にかけて現れた反幕府、反荘園の在地領主、新興商人、有力農民の集団をいう。歴史上有名なのは、天皇・後醍後を助けて鎌倉幕府を倒した流通業者・楠木正成である。

 

 幕末・明治維新期の「悪党」は坂本竜馬、西郷隆盛、大久保利通だろう。勝海舟を含めてもいいかもしれない。坂本竜馬は「船中八策」で、幕藩体制を否定し(大政奉還)、議会開設、官制改革、条約改正、憲法制定、海軍・陸軍の創設、通貨政策を提唱した。国のかたちそのものを、根本から変える革命理論であった。

 

 竜馬の理想を具現したのが、西郷隆盛、大久保利通である。徳川慶喜に大政奉還させ、版籍奉還・廃藩置県で幕藩体制にとどめを刺し、地租改正、陸海軍を創設して近代国家の礎・大枠を築いた。憲法制定、議会開設はこの延長線上にあり、当然の帰結だった。

 

 戦後昭和期の「悪党」は田中角栄だ。アメリカに相談せず、日中国交正常化、資源外交を展開した。怒り狂ったアメリカは、日本の検察に「ロッキード事件」を示唆し、でっちあげた「収賄事件」で田中の政治生命を絶った。これは、戦後の日米裏面史の知識がないと、理解し難いだろう。

 

 理解の一助に、「CIA 、ホワイトハウス、国務省の公文書館」の文書と「直接取材と一次資料に基づく」、ピューリッツアー賞を受賞したニューヨーク・タイムズのティム・ワイナー記者の「CIA 秘録」(文芸春秋)の一部を抜粋しておこう。

 

■自民党は買収されていた ── CIA秘録」の衝撃

 

★「CIA には政治戦争を進める上で、並外れた巧みさで使いこなせる武器があった。それは現ナマだった。CIA 1948年以降、外国の政治家を金で買収し続けていた。しかし世界の有力国で、将来の指導者をCIA が選んだ最初の国は日本だった。(中略)釈放後、岸(信介)は、CIA の援助とともに、支配政党のトップに座り、日本の首相の座までのぼりつめるのである」

 

★「フォスター・ダレス国務長官は19558月に岸と会い、面と向かって――もし日本の保守派が一致して共産主義者とのアメリカの戦いを助けるならば――支援を期待してもよろしい、と言った。そのアメリカの支援が何であるかは、だれもが理解していた」

 

★「CIA と自民党の間で行われた最も重要なやりとりは、情報と金の交換だった。アメリカ側は、三十年後に国会議員や閣僚、長老政治家になる、将来性のある若者との間に金銭による関係を確立した」。

 

★「アイゼンハワー大統領はCIA が自民党の主要議員に引き続き一連の金銭を提供することを承認した。CIA の役割を知らない政治家には、この金はアメリカの巨大企業から提供されたものだと伝えられていた」

 

★「CIA の買収工作は1970年代まで続いていた。『われわれは占領中の日本を動かした。そして占領後も長く別のやり方で動かして来た』。CIA の東京支局長を務めたホーレス・フェルドマンはそう述懐した」

 

 CIAは日本の買収に成功し、対米従属外交は自民党の「党是」になった。マスコミはこのことを、ほとんど、検証していない。官邸機密費も問題だが、別のワクと別のルートで、CIA 資金がマスコミにも流れていたのではないか、と疑わざるをえない。

 



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