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旅行記、世相独言

エズ村の夜は更けて・・・ -コート・ダジュール-(異文化体験14 港湾空間を巡る旅9)

2011年07月04日 00時32分38秒 | 異文化体験_西欧
(写真はクリックで拡大します)


エズ村の夜は更けて・・・ -コート・ダジュール-  1992.7.26~28

    
           ニースのお城からニースの港、旧市街、更には延々と続く海岸線を望む

 モナコ、ニース、カンヌからマルセイユ辺りまでは、コート・ダジュール(COTE D’AZUR)と呼ばれる海岸地域。モナコからニースに至る20kmには、海岸沿い、断崖の中腹、断崖の上と3本の道路が並行して走っている。

 
(左)白砂ではなく白い小石のコート・ダジュールの浜辺 (右)浜辺に沿ってのびる3.5kmの遊歩道

 初日は午前中モナコ市内を視察し、ニース市内で昼食。リビエラの女王コート・ダジュールの中心都市ニースはプロムナード・デ・ザングレから全長3.5kmの海沿いの遊歩道が続き、南に「天使の湾」を抱き、北側に高級ホテル、ブティックが並ぶ。日本のような白砂青松の海岸ではないが、白い小石を敷き詰めたような海岸にはカラフルなパラソルやベンチが並び、カメラのアングルを何処に向けても恰好の良いオッパイが飛び込んでくる。

 ニースもかつてコンベンション都市としてモナコと競い合ったが、ホテルと会場が離れている等の理由でモナコに敗れたとあって、現在新しい会議場を建設中である。しかし土地不足でこれもホテルから離れた場所である。

  カンヌ映画祭の会場、パレ・デ・フェスティバル(Wikipediaより) 

 ニースからカンヌまでは30km。毎年5月に映画祭が開催されることで有名だ。ラ・クロワゼット通りの西端にある「パレ・デ・フェスティバル」がその会場。最高賞「パルム・ドール」を昨年、今村昌平監督の「うなぎ」が獲得した。
 マリーナには超豪華ヨットが横付けされ、夫々のヨットクラブの旗が誇らしげに風になびいている。ある統計によるとコート・ダジュールのトップレスは4人に一人らしいが、欧州人の間でも夏は肌の黒さが金持ちのシンボルとかで、惜しげもなく肌を焼くため、最近皮膚ガンが増えてきたという。

 
(左)カンヌの浜辺を背景に。1/4はToplessとか、本当?  (右)豪華ヨットが係留されているマリーナ

 断崖の上は、ソフィア・アンテイポリスだというので、車をそちらに向ける。広大な地中海に面した丘陵部に開発中のハイテク研究都市である。

 モナコに戻って夕食をどうしようかと思案、女性同伴の一流ホテルでの晩餐も良いがタキシードや蝶ネクタイでは疲れるし、Y女史も着る服に困ると言うので、彼女お薦めのEze(エズ)村の雰囲気の良いレストランに行くことになった。

 
   (左)エズ(EZE)村の地図      (右)地中海に面した断崖絶壁の鷲巣村の一つ エズ村

      
(左)お城のレストラン「シャトー・ドゥ・ラ・シェーブル・ドール」 (右)狭い曲りくねった急な石畳の路を上がって行く

 
(左)かつて外敵から身を守った迷路が今は観光客を呼び込む (右)オーベルジュの象徴「シェーブル・ドール(金の山羊)」

 エズ村はモナコとニースの間にある小高い断崖絶壁の村で、両側の古い建物の間の急な坂を登っていくとお城があり、ここがレストランだと言う。名前は「シャトー・ドゥ・ラ・シェーブル・ドール」。中庭が地中海を一望する断崖絶壁に面し、折しも地中海の彼方の島に沈む夕日が空を染めている。

 
到着時は陽も高かったが、いつしか地中海に陽が傾き黄昏時が、そして夜の帳に岬の明かりや船の灯りが・・ 

 Y女史はモナコよりニースが好きで、目下旧市街で一人住まいの28歳。語学留学で来て一匹狼の旅行案内役で小遣い稼ぎをしている等々、食前酒を飲みながらの身の上話をしている間に陽も沈み、辺りは薄暗くなってきた。レストランの中は、こんなに人がいたのかと言うほど満席に近い。不幸にもお腹の調子がいまいちの小生は、美味しいはずの料理がもう一つ進まない。ウェイター氏が心配してムッシュは料理が気に入らないのか?と心配する。逆に彼女はワイン片手に料理をぺロッと平らげる。

 
(左)レストランのバー・コーナー(レストランHPより)  (右)Y女史の提案で隠れた穴場を体験出来た

 デザートが近づくと少しは調子も戻り、再び断崖絶壁の上にせり出した小部屋で飲み物を手に、月明かりの地中海に行き交う船の灯明を目で追いつつ話が弾む。運転手はマルセイユから来ている。「先に帰そうか?」。時計を見るともう午前1時。
 旅の穴場、エズ村の夜は更にふけて行く。

 
(左)内陸の鷲ノ巣村の一つ サン・ポール村   (右)ここもエズ村同様、狭い曲りくねった石畳の道
 
 翌日は、ニース市内のバラ園とニースとカンヌの間の山間にあるシャガールが眠る村、サン・ポール・ド・ヴァンス(サン・ポール村)を訪問する。ピカソ、コクトーなど有名な画家が描いた壁画やイブ・モンタン経営のレストラン等もあり、エズ村とは趣を異にする鷲巣村である。

 イブ・モンタンが経営するというレストラン

 彼女の見送りで16時発のAF2321でニース空港を飛び立ち、一路パリへ。
結局、持参した水着はコート・ダジュールでは役に立たなかったなあ!


コメント
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