「森を見ず、木を見よ!」
「森を見ず、木を見よ!」 とは株式等の取引を行う相場界の格言です。
この格言は、新聞に掲載されていたものです。
この「森を見ず、木を見よ!」という格言は、相場の世界では、上場企業全体の結果としての株価指標にばかり囚われず、個別銘柄の特徴を見極めることが重要であるという戒めです。
この格言とは違う内容だとは思いますが、私が慣れ親しんだ会社組織では『森』と『木』を使い、「木を見て森を語る。」という言葉があります。諺?(多分、英語「You cannot see the wood for the trees.」の訳)の「木を見て森を見ず」を言い換えたものです。
これは、ディテールにばかり囚われず、業界全体の、そして市場全体の現状と将来を見極め、自社の方向性を決めていくことが重要であるとの考え方です。
即ち、「『一を聞いて十を知る』ようになりなさい。『十を聞いて一しか分からない』ようではだめだ。」という格言です。
「木を見て、森を語る!」
同じ『森』と『木』を使った言葉でありながら、全く異なることが重要であると示しており、面白いと思います。
「木を見て、森を語る!」は、今、政治家や政府省庁の人々、そして会社経営者の人々に、敢えて贈りたい言葉です。
「些細なこと、個別の利益に囚われず、全体の利益や倫理的に理に適っていることを重要視し、それ従って行動せよ。」との戒めです。
国内大手メーカーの幾つかが、国内での工場投資を活発化しています。
国内の工場を増設したり、生産能力を増加する改善に資金を投入したりしても、少子高齢化による人口減少や価格競争などで、国内市場の先行きには希望がないと思われがちです。
しかし、これらの国内回帰を実施或いは国内回帰計画を進めている企業は、新たな市場構造に“商機がある”とみて、新工場やラインの増設に動いているようです。
これまで、高齢化の進展による一人当たり消費量の減少、少子化や人口の減少、物流費の高騰などを原因として、生産拠点を海外に移してきたし、今後もそう考え、実施する企業は後を絶たないと思われます。
しかし、生産拠点の国内回帰を行おうとしている企業においては、今までのビジネスモデルでは少子高齢化で総需要が縮んでいることは確かだが、新しい時代の市場特性を新たな消費者ニーズであるとか、全く別の市場構図があると考えているようです。
少子高齢化による一人世帯の増加は、「お一人様」という新しい消費者ニーズを生み出しているし、このために保存期間が長くなっている調味料などでは新鮮さを長期間持続するための容器を提供して、その差別化を図ろうとしています。
人件費が高いとか、不動産・動産の所有に係る費用が高いとか、ロジスティック費用が高い、価格競争が熾烈などと考えられている国内市場も、工夫や着想次第でまだまだ伸び代がありそうです。
安全安心意識の高まりを背景とした 国産志向 といった追い風もあります。
国内回帰・強化の流れは今後あらゆる分野で重要な課題となるのではないかと思います。
【関係URL】
○ 日本政策投資銀行 設備投資計画調査
● 全国設備投資計画調査(大企業) 2015・2016・2017年度 設備投資計画調査 (2016年6月調査)
・ 2016年6月 企業行動に関する意識調査結果(要旨)(PDF:191KB)
・ 2016年6月 企業行動に関する意識調査結果(PDF:803KB)
● 地域別設備投資計画調査 地域別設備投資計画調査(2016年6月)
・ 地域別2016年度設備投資計画の特徴(PDF:854KB)
【関係記事】
○ 『家電メーカーに生産拠点の国内回帰』 天晴な経営判断
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