3月3日は雛祭です。「桃の節句」とも言われています。2月の節分が過ぎれば雛人形が飾られ、菱形の餅が供えられている家庭もあるでしょう。
雛祭は女子の健やかな成長を祈る節句で、年中行事です。
内裏雛(親王人形=男雛と女雛)を飾る「親王飾り」や、内裏雛を中心に三人官女や右大臣・左大臣、五人囃子などの人形、橘と桃の花や御所道具などを飾る段飾りなどをして、雛あられや菱餅を供え、白酒や寿司などを楽しむ節句祭りです。
小さな御所風の御殿『屋形』を設え飾った、平安貴族の子女の遊びが、江戸時代には『節句の儀式』と結びつき、飾られるようになったと考えられています。
遊が節句の祭へと変わり、三月に行うようになったのは天正年間(1573年~1592年)以降のことと推測されています。
飾り物である人形に一生の災厄を身代りさせるという祭礼的意味合いが強くなり、武家の子女など身分の高い女性の嫁入り道具の一つにされるようにもなりました。その為、華美でより贅沢なものへとなってきました。
“一夜飾り”は縁起が悪いとの考えから、2月19日頃の「雨水」の日が雛飾りを出す日とされている地方もあるようです。
雛祭のお供えの一つである菱餅(ひしもち)は、餅を菱形に切って重ねたものです。赤・白・緑の三色が多く、江戸時代以降の風習です。
菱形については「大地を表す」という説を始めとし諸説ありますが、雛祭に供える餅を菱形にするのは、女性の性器の形を模し、女性の健康を祈る行事だからだと、母から子、嫁へと言い継がれてきています。
赤い餅は解毒作用のある山梔子(くちなし)の実で赤味をつけて桃の花をあらわし、先祖を尊び、厄を祓い、健康を祝うという意味があります。
白い餅は残雪を模し、血圧低下の効果があるといわれている菱の実を入れ、清浄の意を含めるほか、繁茂する菱のように子孫繁栄を願っています。
緑の草餅は萌える若草をあらわし、増血効果がある蓬(よもぎ)を使い、春先に芽吹く蓬の新芽によって穢れ(けがれ)を祓う祈願をします。
最近では、菱餅に替わって、菱形にしたデコレーションケーキを始めとする多種多様なお菓子が供されるようになってきました。
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