
★フォーレ:夜想曲全集
(演奏:エヴァ・ポブウォッカ)
1.フォーレ:夜想曲第1番~第13番
(2000年録音)
ポブウォッカといえば、ショパコン入賞者。
確かに彼女のショパンも「農婦」的なたくましさ、女性としての繊細さなどが漂ってきて、聴き込むだに味わい深さが増す・・・という性格の奏楽だと思う。
ポニー・キャニオンにおける夜想曲全集やピアノ・ソナタ全集を聴くと、良くも悪くも彼女の特質が明確に打ち出されていて、いいぞいいぞと思ったり、ファンタスティックじゃねぇ~と思ったり。。。(^^;)
BMGにもバラードと即興曲全集や、小品集を録れていて“軍隊ポロネーズ”などは私にとっては屈指の演奏に思えたりするものの、バラードはイモいねーちゃんがムリしてドレスを着たようなちぐはぐなファンタスティックファンタジーを感じてしまうところもある。
ポーランドのナショナル・エディションの全集録音にも当然のようにマズルカや夜想曲に顔を出し、純国産(ポーランド産)のショパンを聴かせてくれている・・・というところも彼女のショパン演奏に関して特筆すべきところだろうか?
でも、実際はデビューはシューベルトの即興曲集(発売当時はケンプの再来の音色と言われていた・・・と思う)だった。これまた名演奏で、楽しい演奏だったけれども、今の耳で聴くとポブウォッカのその後の精進というか、飛躍が感じられもするディスクであった。
その後バッハの小品集もあったし、出色のパルティータ集も私には忘れられない(こんなに素晴らしい演奏なのにリピートを多く省略してしまっているのが残念)、最近でもインヴェンションなどを出し、ここでも円熟してきたことを如実に実感させてくれて堅実な歩みを誇っているピアニストだと思う。
こうして書いてくるととんでもなくいっぱい聴いているような気がするが、彼女のキャリアの白眉は実は一連の夜想曲(とその類似曲)集のコンスタントな録音にあるのではあるまいか?
ショパンの夜想曲全集は先に2種を紹介したとおりだが、その後、メンデルスゾーンの“無言歌集”全曲、フィールドの夜想曲全曲、グリーグの幻想叙情曲集全曲なんてものまでものにしている。
もちろん私はすべて持っているし、折りに触れて聴いては楽しんでいるのだが・・・。
前置きはここまでで、ポブウォッカのディスクを一枚といわれれば迷わず挙げるのがこのフォーレの夜想曲全集であろう。
どこがいいかと言われれば、すべていいと答えるしかないのだが。(^^;)
“現代的な”安定した解釈、輝きと艶のある音色、そしてかぎりなくしなやかなエコー(残響)・・・すなわち録音まで相俟って、本当に夢の中でさらにまどろんでいるかのような・・・とろけちゃいそうなまでのこの雰囲気・質感は、余のディスクをもって代えがたいものがある。
しっとり系が好き、録音のシッポリ感が気にならない人であれば、この楽曲の座右の一枚になること請け合いのディスクだと思う。
そして俄然、フォーレを私にとって身近な作曲家にしてくれたディスクでもあるし、私もあと少なくとも100年はお付き合いできるディスクだと確信できる。
生きてれば・・・ね。
ポブウォッカによるブラームスの晩年の小品集を中心としたディスクが新発売されたようだ。
未聴だが、聴かずばなるまい。
★フォーレ:夜想曲全集
(演奏:エミール・ナウモフ)

1.フォーレ:夜想曲第1番~第13番
(2006年録音)
私はドラゴンズ・ファンである。
かねてナゴヤドームのマスコットだった“ドアラ”が、“キモカワイイ”ユルキャラとしてブレークしているという話を耳にして「世の中変わったな」とひとりごちている・・・。
“ドアラ”にはラップに精を出すより、ドラゴンズの応援をしっかりしてもらってタイガースを追撃する急先鋒となってもらいたいものだと思う。
たとえば藤川投手が投げるときにバク宙を失敗して、会場の笑いを取って集中力をなくすとか・・・いろいろユルキャラとしての実力を遺憾なく発揮する場はあるのではないか。。。という話はどうでもよい。
要するに“ドアラ”の“キモカワイイ”に対して、これはなんという“キモ気持ちワルイ”ジャケット。(^^;)
エミール・ナウモフとは、どんなピアニストかは全く知らなかった(実は今もこのディスク以外は全然知らない・・・)けれど、ジャケットのセンスを見る限りとんでもない何かフテキな勘違いをしている人であるかもしれない。
女性でもここにこの形で自分のアップの写真を採用するのには相当の勇気が要るのではないか?
1962年生まれというのだから私と2歳しか違わない・・・そんな、若い男子の溌剌さも、ロマンスグレーの味わい深さもない中途半端なオヤジのくせして・・・これだけピアノが弾ける人だからそのディスクを世に問うのは慶賀すべきことだと思えるが、このジャケットはあつかましいというほかない。
このジャケットのありようこそKYじゃないかなぁ~・・・と、すでに私の身の回りでは死語になりつつある言葉を敢えて遣って表現しておこう。
前置きばかり長くて恐縮だが、演奏は「いいよ!」。
これで終わったら怒られそうだからさらにダラダラ書くけれど、概ね何事においても中庸を行く演奏。
でも、ときおり想いの底にフッと沈み込むような間の取り方があって、そこは同年輩のおじさんとしては、あるある・・・と思ったりする。
とにかく旋律線はデリケートにしてやわらかで、とことんやさしい・・・優しいと感じにするのもはばかられるほど細やかなやさしさに覆われている。
音色もとにかくうっとりするほど美しい・・・。
でも、ポブウォッカに比べると間接音が少ない録音であるせいもあるかもしれないけれども、音価のグラデーションに意を用いたセンシテイィブな演奏・・・確かにピアニストはフォーレの世界に耽溺しているのかもしれないが・・・である割に、明晰な演奏としてきっとピアニストの感覚の一部と同様に耽溺した世界の仲間では誘ってくれないように思われてならない。
ポブウォッカの空気・雰囲気全体を味わう楽しみ方とは違い、美しさに耽溺した状態を客観的に観る・・・という観点からすればこちらのほうがいいのかもしれない。
とんでもなく美しい音楽をBGMとして聞き流す・・・というなら、ナウモフ盤を推す。
もちろん私はしっかり聴きこんで楽しむこともをできてもいる。
ジャケットで余計な先入観を持ったが、ジャケットを見ずに聞いていたらもっと諸手を挙げて歓迎する文章になったかもしれない。
いずれにせよこの2セットは、全13曲のみを1枚のディスクに収めきれないで2枚組にしてある・・・つまり、タップリと歌いこまれている聴き応えのあるディスクなのである。
読み返してみて自分でもいいのか悪いのかよくわからないと思ったが、ハッキリ書けばナウモフ盤への私の評価はポブウォッカ盤同様に最高度に高い・・・そのように解してもらってよい。
冒頭に「いいよ!」と書いたとおりである。(^^;)
★フォーレ:夜想曲全集
(演奏:ジェルメーヌ・ティッサン=バランタン)

1.フォーレ:夜想曲第1番~第13番
(1956年録音)
古色蒼然というのがふさわしいのだろう。
そして、本来の正統な(・・・というものがあるとするなら)フォーレの演奏というのはこのようなものをいうに違いない。
それぐらい特別の説得力がある演奏だと思う。
何も特別なことを施さないのに、フォーレを常に感じることが出来るように思われる。
前2者がそれぞれピアニストの旨みを聴くべきアルバムであるのに対して、これこそはフォーレの正伝するものを感じるためのディスクだと思える。
この薫りこそ、英国テスタメントが復刻したかったものなんだろうな。
フォーレは作曲家としての人生の最初から最後期までピアノ曲の作曲を続けた。
最初期の夢見るような旋律といささか躍動感を伴った楽曲、中期の華やかで思わずクラッときちゃいそうな色彩感、フォーレ独特の不安定な安定感を伴った曲集、後期のどこまでも沈潜していく晦渋な音楽・・・それぞれに魅力的であり、そのすべてがかけがえのない音楽史上の財産であるように思える。
ドビュッシー、ラヴェルが大家であるのは論を待たないが、少なくとも同位以上に数えられてもおかしくない作曲家だと思うんだけど・・・弾き手を選ぶのが問題なのかな。(^^;)
でも、小さな声でつぶやいておく。
フォーレ万歳!!
(演奏:エヴァ・ポブウォッカ)
1.フォーレ:夜想曲第1番~第13番
(2000年録音)
ポブウォッカといえば、ショパコン入賞者。
確かに彼女のショパンも「農婦」的なたくましさ、女性としての繊細さなどが漂ってきて、聴き込むだに味わい深さが増す・・・という性格の奏楽だと思う。
ポニー・キャニオンにおける夜想曲全集やピアノ・ソナタ全集を聴くと、良くも悪くも彼女の特質が明確に打ち出されていて、いいぞいいぞと思ったり、ファンタスティックじゃねぇ~と思ったり。。。(^^;)
BMGにもバラードと即興曲全集や、小品集を録れていて“軍隊ポロネーズ”などは私にとっては屈指の演奏に思えたりするものの、バラードはイモいねーちゃんがムリしてドレスを着たようなちぐはぐなファンタスティックファンタジーを感じてしまうところもある。
ポーランドのナショナル・エディションの全集録音にも当然のようにマズルカや夜想曲に顔を出し、純国産(ポーランド産)のショパンを聴かせてくれている・・・というところも彼女のショパン演奏に関して特筆すべきところだろうか?
でも、実際はデビューはシューベルトの即興曲集(発売当時はケンプの再来の音色と言われていた・・・と思う)だった。これまた名演奏で、楽しい演奏だったけれども、今の耳で聴くとポブウォッカのその後の精進というか、飛躍が感じられもするディスクであった。
その後バッハの小品集もあったし、出色のパルティータ集も私には忘れられない(こんなに素晴らしい演奏なのにリピートを多く省略してしまっているのが残念)、最近でもインヴェンションなどを出し、ここでも円熟してきたことを如実に実感させてくれて堅実な歩みを誇っているピアニストだと思う。
こうして書いてくるととんでもなくいっぱい聴いているような気がするが、彼女のキャリアの白眉は実は一連の夜想曲(とその類似曲)集のコンスタントな録音にあるのではあるまいか?
ショパンの夜想曲全集は先に2種を紹介したとおりだが、その後、メンデルスゾーンの“無言歌集”全曲、フィールドの夜想曲全曲、グリーグの幻想叙情曲集全曲なんてものまでものにしている。
もちろん私はすべて持っているし、折りに触れて聴いては楽しんでいるのだが・・・。
前置きはここまでで、ポブウォッカのディスクを一枚といわれれば迷わず挙げるのがこのフォーレの夜想曲全集であろう。
どこがいいかと言われれば、すべていいと答えるしかないのだが。(^^;)
“現代的な”安定した解釈、輝きと艶のある音色、そしてかぎりなくしなやかなエコー(残響)・・・すなわち録音まで相俟って、本当に夢の中でさらにまどろんでいるかのような・・・とろけちゃいそうなまでのこの雰囲気・質感は、余のディスクをもって代えがたいものがある。
しっとり系が好き、録音のシッポリ感が気にならない人であれば、この楽曲の座右の一枚になること請け合いのディスクだと思う。
そして俄然、フォーレを私にとって身近な作曲家にしてくれたディスクでもあるし、私もあと少なくとも100年はお付き合いできるディスクだと確信できる。
生きてれば・・・ね。
ポブウォッカによるブラームスの晩年の小品集を中心としたディスクが新発売されたようだ。
未聴だが、聴かずばなるまい。
★フォーレ:夜想曲全集
(演奏:エミール・ナウモフ)

1.フォーレ:夜想曲第1番~第13番
(2006年録音)
私はドラゴンズ・ファンである。
かねてナゴヤドームのマスコットだった“ドアラ”が、“キモカワイイ”ユルキャラとしてブレークしているという話を耳にして「世の中変わったな」とひとりごちている・・・。
“ドアラ”にはラップに精を出すより、ドラゴンズの応援をしっかりしてもらってタイガースを追撃する急先鋒となってもらいたいものだと思う。
たとえば藤川投手が投げるときにバク宙を失敗して、会場の笑いを取って集中力をなくすとか・・・いろいろユルキャラとしての実力を遺憾なく発揮する場はあるのではないか。。。という話はどうでもよい。
要するに“ドアラ”の“キモカワイイ”に対して、これはなんという“キモ気持ちワルイ”ジャケット。(^^;)
エミール・ナウモフとは、どんなピアニストかは全く知らなかった(実は今もこのディスク以外は全然知らない・・・)けれど、ジャケットのセンスを見る限りとんでもない何かフテキな勘違いをしている人であるかもしれない。
女性でもここにこの形で自分のアップの写真を採用するのには相当の勇気が要るのではないか?
1962年生まれというのだから私と2歳しか違わない・・・そんな、若い男子の溌剌さも、ロマンスグレーの味わい深さもない中途半端なオヤジのくせして・・・これだけピアノが弾ける人だからそのディスクを世に問うのは慶賀すべきことだと思えるが、このジャケットはあつかましいというほかない。
このジャケットのありようこそKYじゃないかなぁ~・・・と、すでに私の身の回りでは死語になりつつある言葉を敢えて遣って表現しておこう。
前置きばかり長くて恐縮だが、演奏は「いいよ!」。
これで終わったら怒られそうだからさらにダラダラ書くけれど、概ね何事においても中庸を行く演奏。
でも、ときおり想いの底にフッと沈み込むような間の取り方があって、そこは同年輩のおじさんとしては、あるある・・・と思ったりする。
とにかく旋律線はデリケートにしてやわらかで、とことんやさしい・・・優しいと感じにするのもはばかられるほど細やかなやさしさに覆われている。
音色もとにかくうっとりするほど美しい・・・。
でも、ポブウォッカに比べると間接音が少ない録音であるせいもあるかもしれないけれども、音価のグラデーションに意を用いたセンシテイィブな演奏・・・確かにピアニストはフォーレの世界に耽溺しているのかもしれないが・・・である割に、明晰な演奏としてきっとピアニストの感覚の一部と同様に耽溺した世界の仲間では誘ってくれないように思われてならない。
ポブウォッカの空気・雰囲気全体を味わう楽しみ方とは違い、美しさに耽溺した状態を客観的に観る・・・という観点からすればこちらのほうがいいのかもしれない。
とんでもなく美しい音楽をBGMとして聞き流す・・・というなら、ナウモフ盤を推す。
もちろん私はしっかり聴きこんで楽しむこともをできてもいる。
ジャケットで余計な先入観を持ったが、ジャケットを見ずに聞いていたらもっと諸手を挙げて歓迎する文章になったかもしれない。
いずれにせよこの2セットは、全13曲のみを1枚のディスクに収めきれないで2枚組にしてある・・・つまり、タップリと歌いこまれている聴き応えのあるディスクなのである。
読み返してみて自分でもいいのか悪いのかよくわからないと思ったが、ハッキリ書けばナウモフ盤への私の評価はポブウォッカ盤同様に最高度に高い・・・そのように解してもらってよい。
冒頭に「いいよ!」と書いたとおりである。(^^;)
★フォーレ:夜想曲全集
(演奏:ジェルメーヌ・ティッサン=バランタン)

1.フォーレ:夜想曲第1番~第13番
(1956年録音)
古色蒼然というのがふさわしいのだろう。
そして、本来の正統な(・・・というものがあるとするなら)フォーレの演奏というのはこのようなものをいうに違いない。
それぐらい特別の説得力がある演奏だと思う。
何も特別なことを施さないのに、フォーレを常に感じることが出来るように思われる。
前2者がそれぞれピアニストの旨みを聴くべきアルバムであるのに対して、これこそはフォーレの正伝するものを感じるためのディスクだと思える。
この薫りこそ、英国テスタメントが復刻したかったものなんだろうな。
フォーレは作曲家としての人生の最初から最後期までピアノ曲の作曲を続けた。
最初期の夢見るような旋律といささか躍動感を伴った楽曲、中期の華やかで思わずクラッときちゃいそうな色彩感、フォーレ独特の不安定な安定感を伴った曲集、後期のどこまでも沈潜していく晦渋な音楽・・・それぞれに魅力的であり、そのすべてがかけがえのない音楽史上の財産であるように思える。
ドビュッシー、ラヴェルが大家であるのは論を待たないが、少なくとも同位以上に数えられてもおかしくない作曲家だと思うんだけど・・・弾き手を選ぶのが問題なのかな。(^^;)
でも、小さな声でつぶやいておく。
フォーレ万歳!!
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