SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
もしよろしければ、ごゆっくりどうぞ。

モーツァルト;フルート協奏曲 第1番 ト長調

2007年01月10日 00時06分36秒 | オーケストラ関連
★W.A.モーツァルト:フルート協奏曲集・ロンド・アンダンテ
               (演奏:シャロン・ベザリー(fl) 
                     カンガス指揮/オストロボタニア室内管弦楽団)
1.フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313
2.アンダンテ ハ長調 K.315
3.ロンド ニ長調 K.Anh.184
4.フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K.314
                    (2005年録音)

東京に戻ってきたとはいうものの、ネタはどうしても新潟にいたときに聴いたディスクが中心になります。たまたま留守宅にはモーツァルトがこれでもかってぐらい置いてあって、久しぶりにまとめて聴くことになりました。
しかし、これがなかなかよかったですねぇ・・・。
急遽、転勤のときに東京に持ってきたディスクとあわせての聴き比べ大会と相成りました。

決して作曲家の生誕251周年を祝おうなどという、ひねくれた根性に基づいた記事ではありませんので念のため。
確信犯で天邪鬼を気取るのはいいのですが、本当はそうじゃないときに疑われるのはヤなので!
何も言わないとオオカミ少年にされてしまう恐れがあると思いまして・・・。

さてベザリー嬢のフルートはムラマツ製だそうで特注のものらしいですね。そのせいかどうか音色が自然でさりげなく、もたれないところがとてもいいですね。
その軽さは“草笛”、いえ高性能な“よこぶえ”というイメージがあります。

どうも私はモーツァルトではないですが、ゴールウェイがアルゲリッチとともにフランクのヴァイオリン・ソナタをフルート陽に編曲したもののソロを聴いたとき以来、フルートがキライというか苦手になってしまったようなのです。
オケの中でオブリガートを吹いたり、同じソロでも“牧神”を聴いたりするときはうっとりするのですが、あのときは華奢な楽器のクセに脂ぎってるというか、えげつないように思えてしまって・・・。
その濃さはメタボの私にさえ“こってり”どころではありませんでした。あくまでも好みの問題なのですが・・・。

その点、この演奏はどこまでも“す---っ”と自然に伸びていく素朴な音色と、伴奏のオーケストラも同質の軽さで非常にバランスがよろしいので、抵抗感なく聴けてしまいました。
東京へ戻って、モーツァルトのフルート協奏曲を聴いてみようと思った所以です。

これを吹いているのが、ジャケットで見るとどことなく妖精っぽく見えなくもないお嬢さんというのもなおよい、衣装が黒い薄手のボディコンシャスなものであるというのもまたよい・・・、ということで結構、結構。
これは演奏には関係ないだろうと思いますが、聴き手のイメージを喚起するという意味では商品的に優れていると思いますねぇ。あわせ技一本というか、満足度5%増しで消費税分も楽しめるというかそんな気分です。

何故こんなディスクを留守宅に置いてっちゃったんだろう?
と思って記憶を辿ったのですが、確かこのディスクって何かの雑誌でチェックしていて、偶然ショップでワゴンに乗ってるのを買い求めたように思うのですが、めっちゃ安くて、それぐらいのものかと思ってしっかり聴かなかったのかもしれませんね。最初に聴いたときは、食い足りないと思ってた記憶がありますから・・・。

そうそう販売店のかたに言いたいのですが、CDを販売するときに「大安売り」「御奉仕」みたいにアナウンスしていただくのは大歓迎なんですが、「在庫一掃」とか「クリアランス・セール」って銘打つのは止めてもらいたいものですねぇ。
同じことかもわかりませんが、それでは売ってる商品や演奏家へのリスペクトが感じられなくなっちゃいます。

そもそもディスクの原価なんてのは50円もしないもんじゃないですか?
そのうえに演奏家の“芸”のほか“想い”やなんやかやが一緒くたにパッケージングされ商品になっているわけですから、大量生産の衣料品のバーゲンみたいなプロモーションだと商品それ自体の価値を失することになりはしないでしょうか?

その意味ではSMAPやら幸田“えろかっこいい”さんのディスクであったとしても、ほとんど目に見えない価値を商品化して売っているようなもの。
少しでも高い価値があるように、見せてもらいたいものです。

大安売りは大歓迎ですよ!! お間違いなく。

しかし私も“こってり”はいやで“食い足りない”のもダメって、ゼイタクですよねぇ。
自分で書いててそう思ってしまった。
正月松の内にメタボの“べからず集”をいっぱい破った今だからこそ、ベザリー嬢のフルートが心地よいのかもしれませんね。健康診断前に、私なりに体を絞ったときには実はゴールウェイのフルートに癒されるのかもしれません。
いや、あのギトギト加減には・・・、どうかなぁ??

★モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 他
               (演奏:リーザ・ベズノシューク(fl)
                    フランシス・ケリー (hp)
                     ホグウッド指揮/エンシェント室内管弦楽団)

1.フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
2.フルートと管弦楽のためのアンダンテ ハ長調 K.315
3.ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.191
4.フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313
                  (1985年・1986年録音)

クリストファー・ホグウッドは、古楽器によるモーツァルトの幼少時から作品も含めた交響曲全集録音という快挙を成し遂げた人として、有名(?)な人だと思います。
オワゾリールというレーベルがどんなところかはあまりよくは知らないのですが、私がCDを聴き始めたころはルーリーのモンテヴェルディとかホグウッドの古楽器のモーツァルトっていうのは、ほとんどこの分野の唯一のスタンダード的なイメージで受け止められていたように思います。

ここでも私は天邪鬼を発揮して、古楽器オケに関しては当時新進で売出し中のガーディナーやらブリュッヘンの芸術を見極めてからご本尊を拝もうとしておりました。そうしたら、ご本尊に戻る前にコープマンやらアーノンクールやらインマゼールやらが雨後の筍のようににょきにょき出てきて、とっかえひっかえ聴いているうちに竹やぶで迷子になっちゃったような感じです。

そして今回ベザリー嬢の演奏を聴いたのを機に、実に久しぶりに聴きなおしてみたわけですが、この竹の根元は光ってました。

いやはやなんとも“典雅”です。 これこそ“ミヤビ”です。ウットリしてます。

ト長調協奏曲もいいけど、フルートとハープのための協奏曲がもう絶対にいい!!
「この曲のいい演奏がないか?」なんて記念年は思ってましたが、これで十分というかこれ以上の演奏がありましょうや?

フルートも適度にさりげなくていいし、ハープの音色がこんな素敵だとは思いませんでした。
オケも思いのほか、中低音の足腰が必要とあればグッと踏ん張って馬力を感じさせるものでよいです。
こんな演奏のよさを、どうしてこれまで聞き逃してきたのだろう?

私の耳がよくなったのか、それとも最近聴いてきた音楽にくたびれてきたのか、単に好き嫌いがなくなってきただけなのか・・・。
いずれにしても幸せな気づきに乾杯!!!

★W.A.モーツァルト:フルートと管弦楽のための作品全集 (2枚組)
                  (演奏:有田 正広(fl)・長澤 真澄(hp)
                       東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ 
                                  寺神戸 亮(リーダー))

1.フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K.314
2.フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
3.フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313
4.フルートと管弦楽のためのアンダンテ ハ長調 K.315
5.フルートと管弦楽のためのロンド 二長調 K.373
                  (2006年録音)

有田正広さんのディスクです。実は全部持ってます。(フルート苦手なのに・・・)
バッハなんか全集2回も作ってくれちゃうもんで・・・。
まぁ、その違いを味わい比べて楽しんでるんで、それはそれでいいんですけどね。

演奏はとても雄弁、録音技術の向上というか最新化という要素も含めて、良くも悪くもものすごく生々しい演奏です。

本来こういった曲がもっているであろう賑々しさはよく出ているし、それは現代の録音技術あってこそのものであるとは思うのですが、そういうふうに聴きたいときにはブラヴォーであっても、もっとひなびた感じに聴きたいという要請が聴き手にある場合にはちょっとどうかなぁ・・・。
どの音がというわけではないのですが、全体として耳障りに感じられてしまう恨みありやと思わないでもありません。

この演奏は楽しいときに聴いて、さらに浮き浮きしたいときに効果のある演奏と私には思えました。そんなときならサイコーにハッピーになれること請け合いでしょう。

演奏解釈の妥当性やらは、管楽器“どシロート”の私でありますのでわかりませんが、聴いてみて露ほどにも違和感は感じられないのは、演奏してらっしゃるみなさんの自家薬籠中の表現だからなのでしょう。
満を持して世に問われたのだということが、感じ取られるディスクであります。


今回聞いた3枚はどれも演奏家の良心が感じられる奏楽に溢れていて、聴いている私もとてもいい気持ちで楽しむことが出来ました。

やはりモーツァルトは偉大なのかもしれない。私はモーツァルトにも、ジェラってたのかなぁ・・・。

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8 コメント

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作曲者らしい話題……(-_-;) (梨形館 醉 主人)
2007-01-10 18:08:21
EMI France の発売したシュトラウス・ファミリーのCDを聴いているのですが、仏語と独語のタイトルしか書いてなくて、知らない曲は独和辞典を引かなくてはなりませぬ。
今も、ヨゼフの Buchstaben-Polka なんてのがあって、作品名辞典を見ても載ってないので、独和辞典を見たら、「文字」あるいは「活字」ということらしいです。なるほど、曲の終わりのほうで ABCDEFGHI....なんて楽団員の合唱が入ります。

Buchstaben の項を読んでいたら、die vier Buchstaben とか die funf Buchstaben なんてのが載ってました。モーツァルトの好きな単語の婉曲(か?)な表現ですね……(^_^)。
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天才作曲家 (eyes_1975)
2007-01-10 20:42:29
モーツァルトのフルート作品は魅力あふれます。
私が持っている1つであるカラヤンのアルバム。こちらです。
http://www.7andy.jp/cd/detail?accd=C1045138
解説書には
モーツァルトはフルートは好きではなかった。
と書かれていた。でも資料が見当たらなく、天才としての証なのでしょうね。少年時代から管楽器のための協奏曲はたくさんあるからね。
トラックバックありがとうございます。
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梨形館 醉 主人さん、教えてくだされ・・・。 (クラウディオ アラウ)
2007-01-11 01:03:24
“Buchstaben”と“モーツァルト”ってついていけませんでした。
すんまへん・・・。

ちなみに私は日本語が不自由なもので、大学時代第2外国語はドイツ語を専攻し国際人を目指したのですが、1年かけて覚えたられたのが、

Ich kann Deutsche sprechen nicht!

だけでした。綴りは気にしないでください。聞かせてさしあげたいぐらい流麗に発音は出来ますから!
てなわけで、単位はとった(!)もののじぇんじぇん判りませんでした。

ちょいとネットでサーフィンしたけどやっぱりわからない・・・。
教えてください!このままじゃ、夜も眠れません。


さて、ヨゼフ・シュトラウスがワルツ王より天才だという話は聞いたことがありますが、私は“天体の音楽”ワルツが好きです。コレしか知りませんが・・・。
重ね重ねすんまへん。

それではおやすみなさい。
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ははは・・・★ (クラウディオ アラウ)
2007-01-11 01:09:24
お聴きになったディスクのソリストがゴールウェイなわけですね!!
まいったなぁ・・・。

体中の脂分を絞って思いっきりこってりした音楽が聴きたくなったときに試してみることにしましょうか・・・?(^^)/

ところでカラヤンのほうは素晴らしい指揮者だと先日帰省中に気がつきました。
先ほどアップした次の記事に、カラヤンへの賛辞もちょろっと書いてありますからよろしければどうぞ。

もしもジャイアンツ・ファンならおすすめしませんが・・・。
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実は下ねた……だ (梨形館 醉 主人)
2007-01-11 18:06:52
あ~あ、格調高い(本当にそう思っていますヨ!)ブログのコメントに、最初に下品なハナシを持ち込んだのはだあれ……

die vier Buchstaben 4文字(の言葉)
die funf Buchstaben 5文字(の言葉)
   ※ funf の u はウムラウトです

これは直訳で、順に、Popo、Arsch のことです。
ま、要するに
    <<<<< ケツ(の穴) >>>>>
です。モーツァルトの手紙に出てきそうな単語なのですが……。

しかし、何故ワタクシは、ヨゼフ・シュトラウスのポルカの曲名を調べているときに“ケツの穴”などというものに出会わなくてはならんのか!
今年のニューイヤー・コンサートでは『うわごと』『ディナミーデン』というヨゼフの傑作ワルツが採り上げられたので、メータが好きになってしまったのであります。
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これならわかります(^^)v (クラウデイオ・アラウ)
2007-01-11 20:45:15
すみません。先のコメントで見栄(三重ではない)はってました。
とても流暢には発音できません。

せいぜいKEI IGAWAさんレベルですね。
多分彼のスピーチのメモには、ひらがなが書いてあったんでしょう。そう思えてなりません。

K.I.のことはどうでもよくて、とにかく私の語学レベルはその程度以下ということが言いたかったわけです。

要するにムフフ系の“ふぉー・れたー・わーず”ってことですね!!
そういうのはキライじゃありませんよ。

うそうそ・・・。

しかし昨年のレコード芸術7月号でモーツァルト名盤大全っていう企画がありまして、声楽曲をまとめちゃってたものだから、あの“春へのあこがれ”について読んだすぐ後に“おれの尻をなめろ”というのがでてきて、私笑っちゃいました。

手紙の単語はもっとカゲキだったらしいですねぇ。

なるほどなるほど・・・。(^^)/
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音楽ネクタイがありました (匿名)
2007-01-12 23:28:03
音楽ネクタイがありました

音符の模様、楽器の模様、ベートーベンの肖像などかありましたよ

音楽ネクタイ(ドラム 青)
http://www.bidders.co.jp/pitem/50356395

音楽ネクタイ(バイオリン)
http://www.bidders.co.jp/pitem/50307321

音楽ネクタイ(ベートーベン)
http://www.bidders.co.jp/pitem/50307612



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へぇ~・・・★ (クラウディオ アラウ)
2007-01-12 23:40:45
いらっしゃいませ。

いろいろあるんですねぇ。
あわせるシャツやジャケットを選ぶのも楽しいかもですね。
どんなシチュエーションのときに着ていったらいいんだろう?

教えてくださって、ありがとうございました。
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