
高橋多佳子さんの新譜「ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番&ムソルグスキー:展覧会の絵」は期待通りのたいへんな好盤でありました。
しかぁ~し、我が家ではその良さを引き出せると思われるCDプレーヤー:エソテリックX-50wで再生すると、スピーカーの音が歪んでしまう。。。どぉしよう。。。
いろいろ試聴させていただいた東京インターナショナルオーディオショウは前週に終わってしまっているし、何とかならないかなぁと思っていた矢先、雑誌でテレオンのオーディオフェアがあることを知りました。
別の予定があったのですが取りやめて、最終日の午後に新譜を抱えていそいそと出向いてまいりました。
目的は2つ。
・高橋多佳子さんの新譜を最新サイコーのシステムで聴く。
・QUADのESLの最新機種を聞く。
いずれも達成はしたのですが。。。
なお、このイベントでのことは、(東京インターナショナルオーディオショウの残りの記事と併せて)また何回かに分けて記事にします。今回はあくまでも高橋多佳子さんの新譜にまつわる話だけということで。。。
■エソテリック・タンノイのブースにて
冒頭写真のとおり、エソテリックの最新型ユニヴァーサルプレーヤーを入り口にして件のディスクを聴きました。金メッキのCDスタンドはとっても素敵でほしかったのですが、購入者用のノベルティで市販されていませんとのこと。さすがに百万単位のプレーヤーをそのためにもう一台おごることはムリでありました。
試聴に使ったスピーカーはタンノイの“ターンベリー”。
ラフマニノフの第2楽章を聴かせていただきました。選曲理由は実演を聴いているからということでしたが、これが結果的にひとつめの誤りでありました。
まず、エソテリックさん、ムリを聞いてくれてありがとう。。。と御礼を言ってと。
音は、中高音はほどよく脂が乗った清楚・上品な音でした。ただエコーは若干多めか?というより、中低音がモワンモワンしちゃってちょっとたるみ気味。
そしてこれもまた予想通りというか当然ながら、主としては弦楽器や人声に合わせてチューニングしてあるとみえ、スケールの大きなピアノの音のボディ感・フレーム感を求める私にはちょいとピントが合わない再生になってしまいました。
もちろんタンノイのスピーカーが悪いわけではなく、ソフトとの相性および私の求めた条件が悪かったということです。サーファーのウエットスーツを着た女の子をさそって、渓流でキャンプしたみたいなものでしょうか。押し黙っちゃうのも無理ないですよね。
このとき隣にあったカンタベリーで聴いたら、少なくともスケールは大きな再生になったでしょうから、「スピーカーをどっちにしますか?」と聞いていただいたときの選択が2つめの誤りであったといえます。これも理由は「ウチにカンタベリーは入らないから、入手しようと思えば可能なものを」などと当初の「最高の音を聴きたい」という目的からブレた判断基準を採用した私のバカ・バカってところでして。。。あぁ。
しかも悪いことに休憩時間に無理を言って聴かせていただいたために若干音量を絞らなければならなかったこと、あろうことか隣のブースでホルストの木星のトゥッティががんがん鳴っている瞬間に重なってしまったことも相俟って、タンノイには可哀そうな感想になってしまった部分も多々あります、と一生懸命言い訳を。
でも、「そんななか一生懸命聴いたんだよぉ!」・・・ということでご勘弁。
■QUADのブースにて
最終日最後のQUADのデモ、開始5分前に行ったらなんと。。。一番乗り!ラッキー!一番前の真ん中に陣取ってやれっっ!!
そして果たして開始時間になっても私一人・・・・・・ほょっ。。。

写真のとおり、和室(!)でデッドな環境。QUADの最新型最高位の機種ESL2905と、ソニーの話題のSACDプレーヤーとプリメインアンプとの組み合わせで果たしてどんな音を聴かせてくれるのか!
QUADはレコーディング時のモニターとして使用される実績も多く、ピアノの再生に関しては右に出るものがないというかたもいるほどですから、私にとっては長年聴いてみたいスピーカーの筆頭格だったのです。
なーんてことをいろいろ考えてたら、進行の担当の方がわざわざ「お聴きになりたいソフトはありますか?」などと聞いてくださるではありませんか!?
そりゃ、客ひとりで要望聞こうにも相手は私しかいないしなぁ。。。
よしきたとばかり「はいっ!!!」と答えたら。。。一瞬意外そうな顔をされた!?
そりゃ普通そうかもしれないなぁ。
小心者とはいえB型の私。元々ここに来た動機からしてあつかましいことこのうえない。。。
とはいえせっかくの機会、さっきの失敗を取り返そうと賑やかなラフマニノフの第一楽章をかけていただきました。ありがとうございます。
さてさて、どきどき、わくわく・・・
結論を最初に言うと、QUADのシステムには「私」がフラれてしまいました。以下に試聴記めいたものを。。。
まず、何という秘めやかで上質かつクリスタルのような芯のある輝かしい音色。そして、そこで起こっている事象にまつわるすべての音が聞こえる。どんなに分厚い和音が連続していても、ダンパーべダルを踏んで音を大迫力のカオス状態にしても、混沌の中にある一粒ひとつぶの音のまんなかの結晶が見えるよう。
ピアノはこの世のものとも思われぬ繊細な輝きの明滅をもって鳴る。。。
ただ、飾り窓のガラス越し、その向こうで高橋多佳子さんが全身全霊を傾けた非常なテンションの熱演をしてるんだけど、音そのもののイメージはカロリーが低いというか汗をかいてないという感じ。
迫力ある実在感の乏しい大熱演。。。なんてミスマッチですよねぇ。
もともとピアノのボディ感、フレームがきしむばかりの迫力を、ESL方式のQUADに求めようとした私がここでもバカなのかもしれない。
後にJAZZの曲がデモされたときも、ウッドベースが普通はモコモコいってるだけなのに、小股の切れ上がった低音でブンブンいっている。とにかく音の高低を問わず、音という音はすべて聴き取れる。でも、いわゆる“迫力”はまるでない。確かに想像力でそれは補えるかもしれないが、迫力を実際に聴いて音の粒を想像するほうが私にはピンと来る。
ピアノのカオスの中の音のたたずまいの再現力といい、モニタースピーカーとして重用されているのもむべなるかなとは思いました。そういう意味では余のスピーカーをもって代えがたい性能を確かに持った個性的な銘機であります。
問題は私がそれを好きか?ということになります。。。
いぇ、そのフォルムを含めた美しさにほだされた私がふらふらと寄っていったところで、QUADのほうから私に対して「かぐや姫」のように半ば拒絶含みの条件をつきつけてきたといったほうが良いでしょう。。。フラれたのは多分私なのです。
えぇい! 出世するか年末ジャンボで3億円ゲットしたら4台目ぐらいにオマエも囲ってやるぞぉ。。。
と力なく言っておこう。ムリっぽいから。。。
しかし、今回のこの試聴は大変得がたい経験で、有意義なものでした。
ディスクにどんなオトが入っているのか、レントゲン写真で見たような気がします。ただでさえ分厚い和音の強打が多い楽曲の収録されたこのディスクに、どのような音が素材として格納されているのかがよーくイメージできました。
音はすべて録られて入っていることがわかったのです。後はそれをいかにしてもう一度空気の振動としてディスクの外に戻すかという課題をクリアするだけであるこということが確信できました。ここから先は、私のチャレンジです。QUAD姫に恋した収穫はあったということ。。。かな。
輸入元のご担当者のかたがこのスピーカー(ESL方式)の原理について詳細に説明していただき、とても興味深く伺うことができました。とくに、コンデンサーマイクで収録しているディスクが殆どなので、ピストンモーションのスピーカーではなくESL方式の再生が自然ではないかというご提言にはとても説得力を感じました。
私のサイン入りのディスクのパッケージをご覧になり「新しいディスクですか?いい音ですね。このホールは音響がいいとみえてよく使用されていますよね」と仰っていたのも印象的。。。
本当にいろいろお願いを聞いていただきありがとうございました。
■アキュフェーズのブースにて
アキュフェーズといえば我が国を代表するアンプメーカーであり、質実剛健なイメージを持っています。
とはいえ、今回はアンプではなくそのブースでモニターとして採用されていたB&Wの800Dスピーカーについての一言なのですが。。。

ここでは、高橋多佳子さんのディスクをかけていただく機会はありませんでした。しかし、その音を聴いて、かしこまった真面目な再生音には大変興味を覚えました。
“渾身の一撃”と謳われ、その演奏は「一途さ」「ひたむきさ」によってかもし出される切迫感において当代随一だと思われます。そんな曲の再生には、やはり最も相応しいスピーカーなのかもしれないのではないかと。。。
というのは、オクタヴィアレコードのHPを見ると、モニターはB&Wの多分802スピーカーではないかと思われるのです。今、旧モデルが投げ売り状態になっていることでもあり、いちどちゃんと聴いてみたいなぁと思わされました。そうはいっても、俄かに入手できるようなシロモノではありませんが。
グラモフォンでもB&Wがモニターだと思われますし、ツィメルマンのディスクの一部には801がモニターだと明記してあるものまであるぐらいですから。
最高の音のイメージを鮮明にするため、一度名機で聴いてみて、そのうえで現実的な候補を絞っていきたいと思います。お金はないけど。。。
しかぁ~し、我が家ではその良さを引き出せると思われるCDプレーヤー:エソテリックX-50wで再生すると、スピーカーの音が歪んでしまう。。。どぉしよう。。。
いろいろ試聴させていただいた東京インターナショナルオーディオショウは前週に終わってしまっているし、何とかならないかなぁと思っていた矢先、雑誌でテレオンのオーディオフェアがあることを知りました。
別の予定があったのですが取りやめて、最終日の午後に新譜を抱えていそいそと出向いてまいりました。
目的は2つ。
・高橋多佳子さんの新譜を最新サイコーのシステムで聴く。
・QUADのESLの最新機種を聞く。
いずれも達成はしたのですが。。。
なお、このイベントでのことは、(東京インターナショナルオーディオショウの残りの記事と併せて)また何回かに分けて記事にします。今回はあくまでも高橋多佳子さんの新譜にまつわる話だけということで。。。
■エソテリック・タンノイのブースにて
冒頭写真のとおり、エソテリックの最新型ユニヴァーサルプレーヤーを入り口にして件のディスクを聴きました。金メッキのCDスタンドはとっても素敵でほしかったのですが、購入者用のノベルティで市販されていませんとのこと。さすがに百万単位のプレーヤーをそのためにもう一台おごることはムリでありました。
試聴に使ったスピーカーはタンノイの“ターンベリー”。
ラフマニノフの第2楽章を聴かせていただきました。選曲理由は実演を聴いているからということでしたが、これが結果的にひとつめの誤りでありました。
まず、エソテリックさん、ムリを聞いてくれてありがとう。。。と御礼を言ってと。
音は、中高音はほどよく脂が乗った清楚・上品な音でした。ただエコーは若干多めか?というより、中低音がモワンモワンしちゃってちょっとたるみ気味。
そしてこれもまた予想通りというか当然ながら、主としては弦楽器や人声に合わせてチューニングしてあるとみえ、スケールの大きなピアノの音のボディ感・フレーム感を求める私にはちょいとピントが合わない再生になってしまいました。
もちろんタンノイのスピーカーが悪いわけではなく、ソフトとの相性および私の求めた条件が悪かったということです。サーファーのウエットスーツを着た女の子をさそって、渓流でキャンプしたみたいなものでしょうか。押し黙っちゃうのも無理ないですよね。
このとき隣にあったカンタベリーで聴いたら、少なくともスケールは大きな再生になったでしょうから、「スピーカーをどっちにしますか?」と聞いていただいたときの選択が2つめの誤りであったといえます。これも理由は「ウチにカンタベリーは入らないから、入手しようと思えば可能なものを」などと当初の「最高の音を聴きたい」という目的からブレた判断基準を採用した私のバカ・バカってところでして。。。あぁ。
しかも悪いことに休憩時間に無理を言って聴かせていただいたために若干音量を絞らなければならなかったこと、あろうことか隣のブースでホルストの木星のトゥッティががんがん鳴っている瞬間に重なってしまったことも相俟って、タンノイには可哀そうな感想になってしまった部分も多々あります、と一生懸命言い訳を。
でも、「そんななか一生懸命聴いたんだよぉ!」・・・ということでご勘弁。
■QUADのブースにて
最終日最後のQUADのデモ、開始5分前に行ったらなんと。。。一番乗り!ラッキー!一番前の真ん中に陣取ってやれっっ!!
そして果たして開始時間になっても私一人・・・・・・ほょっ。。。

写真のとおり、和室(!)でデッドな環境。QUADの最新型最高位の機種ESL2905と、ソニーの話題のSACDプレーヤーとプリメインアンプとの組み合わせで果たしてどんな音を聴かせてくれるのか!
QUADはレコーディング時のモニターとして使用される実績も多く、ピアノの再生に関しては右に出るものがないというかたもいるほどですから、私にとっては長年聴いてみたいスピーカーの筆頭格だったのです。
なーんてことをいろいろ考えてたら、進行の担当の方がわざわざ「お聴きになりたいソフトはありますか?」などと聞いてくださるではありませんか!?
そりゃ、客ひとりで要望聞こうにも相手は私しかいないしなぁ。。。
よしきたとばかり「はいっ!!!」と答えたら。。。一瞬意外そうな顔をされた!?
そりゃ普通そうかもしれないなぁ。
小心者とはいえB型の私。元々ここに来た動機からしてあつかましいことこのうえない。。。
とはいえせっかくの機会、さっきの失敗を取り返そうと賑やかなラフマニノフの第一楽章をかけていただきました。ありがとうございます。
さてさて、どきどき、わくわく・・・
結論を最初に言うと、QUADのシステムには「私」がフラれてしまいました。以下に試聴記めいたものを。。。
まず、何という秘めやかで上質かつクリスタルのような芯のある輝かしい音色。そして、そこで起こっている事象にまつわるすべての音が聞こえる。どんなに分厚い和音が連続していても、ダンパーべダルを踏んで音を大迫力のカオス状態にしても、混沌の中にある一粒ひとつぶの音のまんなかの結晶が見えるよう。
ピアノはこの世のものとも思われぬ繊細な輝きの明滅をもって鳴る。。。
ただ、飾り窓のガラス越し、その向こうで高橋多佳子さんが全身全霊を傾けた非常なテンションの熱演をしてるんだけど、音そのもののイメージはカロリーが低いというか汗をかいてないという感じ。
迫力ある実在感の乏しい大熱演。。。なんてミスマッチですよねぇ。
もともとピアノのボディ感、フレームがきしむばかりの迫力を、ESL方式のQUADに求めようとした私がここでもバカなのかもしれない。
後にJAZZの曲がデモされたときも、ウッドベースが普通はモコモコいってるだけなのに、小股の切れ上がった低音でブンブンいっている。とにかく音の高低を問わず、音という音はすべて聴き取れる。でも、いわゆる“迫力”はまるでない。確かに想像力でそれは補えるかもしれないが、迫力を実際に聴いて音の粒を想像するほうが私にはピンと来る。
ピアノのカオスの中の音のたたずまいの再現力といい、モニタースピーカーとして重用されているのもむべなるかなとは思いました。そういう意味では余のスピーカーをもって代えがたい性能を確かに持った個性的な銘機であります。
問題は私がそれを好きか?ということになります。。。
いぇ、そのフォルムを含めた美しさにほだされた私がふらふらと寄っていったところで、QUADのほうから私に対して「かぐや姫」のように半ば拒絶含みの条件をつきつけてきたといったほうが良いでしょう。。。フラれたのは多分私なのです。
えぇい! 出世するか年末ジャンボで3億円ゲットしたら4台目ぐらいにオマエも囲ってやるぞぉ。。。
と力なく言っておこう。ムリっぽいから。。。
しかし、今回のこの試聴は大変得がたい経験で、有意義なものでした。
ディスクにどんなオトが入っているのか、レントゲン写真で見たような気がします。ただでさえ分厚い和音の強打が多い楽曲の収録されたこのディスクに、どのような音が素材として格納されているのかがよーくイメージできました。
音はすべて録られて入っていることがわかったのです。後はそれをいかにしてもう一度空気の振動としてディスクの外に戻すかという課題をクリアするだけであるこということが確信できました。ここから先は、私のチャレンジです。QUAD姫に恋した収穫はあったということ。。。かな。
輸入元のご担当者のかたがこのスピーカー(ESL方式)の原理について詳細に説明していただき、とても興味深く伺うことができました。とくに、コンデンサーマイクで収録しているディスクが殆どなので、ピストンモーションのスピーカーではなくESL方式の再生が自然ではないかというご提言にはとても説得力を感じました。
私のサイン入りのディスクのパッケージをご覧になり「新しいディスクですか?いい音ですね。このホールは音響がいいとみえてよく使用されていますよね」と仰っていたのも印象的。。。
本当にいろいろお願いを聞いていただきありがとうございました。
■アキュフェーズのブースにて
アキュフェーズといえば我が国を代表するアンプメーカーであり、質実剛健なイメージを持っています。
とはいえ、今回はアンプではなくそのブースでモニターとして採用されていたB&Wの800Dスピーカーについての一言なのですが。。。

ここでは、高橋多佳子さんのディスクをかけていただく機会はありませんでした。しかし、その音を聴いて、かしこまった真面目な再生音には大変興味を覚えました。
“渾身の一撃”と謳われ、その演奏は「一途さ」「ひたむきさ」によってかもし出される切迫感において当代随一だと思われます。そんな曲の再生には、やはり最も相応しいスピーカーなのかもしれないのではないかと。。。
というのは、オクタヴィアレコードのHPを見ると、モニターはB&Wの多分802スピーカーではないかと思われるのです。今、旧モデルが投げ売り状態になっていることでもあり、いちどちゃんと聴いてみたいなぁと思わされました。そうはいっても、俄かに入手できるようなシロモノではありませんが。
グラモフォンでもB&Wがモニターだと思われますし、ツィメルマンのディスクの一部には801がモニターだと明記してあるものまであるぐらいですから。
最高の音のイメージを鮮明にするため、一度名機で聴いてみて、そのうえで現実的な候補を絞っていきたいと思います。お金はないけど。。。
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