SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
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装丁のうち・・・

2012年01月09日 21時37分10秒 | 器楽・室内楽関連
★マニャール・フォーレ:弦楽四重奏曲
                  (演奏:イザイ弦楽四重奏団)
1.マニャール:弦楽四重奏曲
2.フォーレ  :弦楽四重奏曲
                  (録音:2004年)

今年はドビュッシー生誕150年の年。。。
ミケランジェリの【映像】に惹かれてクラシックの樹海に誘われたものとしてはショパンやリスト以上に慶賀の念に堪えない・・・というふうにならないのかもしれませんが、正直、いまいちどころかいまさんぐらい盛り上がりませんです。
このところほとんどドビュッシーは聴いてないから・・・。(^^;)

それというのも、「映像」はやっぱりミケランジェリの70年盤(最晩年のがオクラばせながら出てきたのはやっぱりオクラにしておくべきだったと思っています)を超えるものはないし、「ベルガマスク組曲」はドビュッシーの正統な流儀ではないかもしれないけどコチシュのすっきりながらロマンたっぷりの演奏にとどめを刺すし、その他、ツィメルマン、アラウ、アントニオーリ、ストット、青柳いづみこさん、小川典子さん、遠山慶子さんの前奏曲集や選集があればという状況が何年も変わらないですからね。
「牧神」にしてもアバドとクリヴィヌがあればいい気がするし、室内楽も弦楽四重奏曲は10種類ぐらいあるはずだけどラヴェルのそれのつけ合わせみたいな位置づけで聴いてきたから・・・今はこれはこれでいい曲だと思っていますが。。。

今年の記念年リリースの新譜に期待・・・ということにしておきましょう。
とはいえ、昨年のリスト記念年の成果をここで発表できないので、過度な期待はしないようにしなければなりますまい。
自分の耳にフィットする演奏が現れるはずだと思い込んで、「想定外」の結果に終わるとさびしいですからね。


さて、このところ弦楽四重奏曲(弦楽五重奏曲)を聴く機会が多い状況は相変わらずです。
ことにシューベルト・・・
メロス弦楽四重奏団は前回の記事に書いた通りですが、ブランディス四重奏団、ブロドスキー四重奏団、ペーターゼン四重奏団、アウリン四重奏団、カルミナ四重奏団、パノハ四重奏団、クス四重奏団などなどとっかえひっかえ聴きまくっています。
このほかにも聴いていますが私の耳にはまだピンと来ていません。
逆に、ピンと来るものだけでもこれだけある・・・ということなのですが。

弦楽四重奏曲第12番の断章以降、13番、14番、15番、そして弦楽五重奏曲D.956に至る曲は・・・あまりにすばらしい。
浦島太郎の歌のように、文字にできない美しさなので、語らずに沈黙するほかありません。

ピアノ・ソナタ第18番~第21番や即興曲集・楽興の時もそうですが、シューベルトの晩年の楽曲に心奪われてしまうと、あっち側の世界に連れて行かれて帰ってこれなくなりそうです。
こっちの精神状態がぐちゃぐちゃであっても、その意味でリセットできる気がするのは絶大な効用といえるでしょう。

この世のものとも思われない旋律があるかと思えば、地獄の入り口みたいな混沌もあり、とくに終楽章にはやけくそにも聞こえる舞曲のリズムあり・・・
演奏家の解釈と聞き手の気分次第で、どれだけの感じ方ができるか、まさに無限大、それも「天国的な長さ」で味わえるという・・・抽象的な書き方でしかシューベルトの曲を聴いたときの体験は語れないのです。

よくも悪くも聴いてるだけでこれだけ揺さぶられるのですから、弾いてる人たちは大丈夫なのかな・・・と思うこともしばしばですが、それで世をはかなんでという話も聞かないからきっと大丈夫なんでしょうね。


で・・・
今回取り上げるのはフォーレのディスクにしました。

イザイ弦楽四重奏団は今般新しいレーベルを自身で立ち上げ、新譜ばかりでなく自らの旧譜を新しい装丁で発売したようです。
レーベル立ち上げの理由はきっと、レコーディングの曲目やパートナーの選定に際して、アーティストの希望とレコード会社側で大きな開きがあることなのでしょう。
今般発売されたレパートリーを見れば、イザイ四重奏団の意欲と善意が感じられて思わず応援したくなります。

しかし、演奏の内容もさることながら、この新しい装丁というのが実に統一感があってオシャレでよろしい。
冒頭に掲げた写真は私が持っていたディスクですが、これは旧のジャケットです。
ネット上で新しくなったジャケットを見たときには、質感のある彫刻の絶妙なカットでむさいオッサンの並んでいるものよりもはるかによく見えてクヤシイ思いをしましたが、実際に店頭で見たらあんがいちゃっちかったので安堵することにしました。

これとは別にハイドンの「十字架上のキリストの7つの言葉」のディスクを新装丁のもので購入したのですが、このジャケットは素晴らしいと思いました。
演奏も安定感あふれる素晴らしいもので、牧師の説教入りのものとそうでないものの2枚ある・・・
解説書もおそろしく分厚く、研究の内容がつまびらかに記されている・・・

これです!

演奏だけではなく、収める内容、装丁、解説に至るまで自分たちの思ったままにプロデュースするという姿勢が本当に伝わってきます。
装丁のうちには、アーティストをはじめとするディスクにかかわる人の想いが詰まっている。。。
惜しむらくは解説が読めない・・・これだけマーケットがあるということで来日するアーティストが多いのに、どうして日本語の解説はつかないのか・・・ことだけです。。。


装丁の話をもう少しさせてもらうと、私はデジパックが嫌いです。
そもそも(装丁そのものを守るための)強度がない、やはりプラスチックのケースに入れてもらえると安心です。
しかし、アーティストの意向があるならばプラスチックのケースの上にもうひとつ紙で覆ってそこに好きな図絵をこしらえてくれるといいのになといつも思っています。

話がしっちゃかめっちゃかな方向に飛んでしまっています。
元に戻して、イザイ弦楽四重奏団のフォーレの弦楽四重奏曲の演奏に関して言えば、これまた安定感のある音色でフォーレ最晩年の名曲をわかりやすく聴かせてくれる、ようするに、うっとりと心をゆだねられるように聴かせてくれる横綱相撲の演奏だと感じます。

昨今、エベーヌ四重奏団という活きのいいチームが出てきてドビュッシー・ラヴェル・フォーレの弦楽四重奏曲のディスクで世界を席巻したのは記憶に新しいところですが、私としては勢いがありながら時折見せる響きのうるおいにポテンシャルの高さは十分認めるところではありますが、横綱イザイ・北の湖に関脇エベーヌ・千代の富士というほどに思われます。

シューベルトもフォーレも歌曲をめでる声が多いですが、私はまだそこまで手も耳もまわっておりませんで、フォーレのクァルテットなら志の高いイザイ弦楽四重奏団の演奏にとっぷり浸っていられれば幸せ・・・です。


≪ちなみに≫
・マニャールの弦楽四重奏曲は、シューベルトの舞曲のやけくそリズムにも似た感じがする曲です。
 イザイ四重奏団にしてみれば両A面的な扱いだと思いますが、私にはいまのところフィルアップにしか思えませんでした。
 良さがわかるまでにはまだまだ時間がかりそうです。

・フォーレの室内楽のディスクならアウリン弦楽四重奏団のピアノ五重奏曲集が絶品でした。
 これほどクールな美しさに満ちたフォーレは初めてでした。

・ドビュッシーの注目盤としては、旧譜ですが、フランソワ・シャプランのドビュッシー全集には期待しています。
 MP3ではすぐダウンロードできるようですがやっぱりWAVでほしいです。
 できれば妥当な金額でディスクで映像だけでも入手できないかな・・・と。
 今回のタイトルではないですが、装丁のないデータだけっていうのは、いかにも味気ないと思いませんか?
 レコードがCDになったときには俺たちの時代のメディアだと思いましたが、データをダウンロードするだけという時代が来るとは「想定外」でした。

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