Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

日日是好日 一日一日を大切に頑張って行きましょう ξ^_^ξ

レオナルド・ダ・ヴィンチ (1452~1519年)イタリア 万能の天才は「異端」の顔を隠していた?

2017-07-27 12:40:54 | Weblog


芸術家としてだけでなく、解剖学や地質学、土木工学、そして発明の分野でもその才能を発揮した万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。2003年にアメリカで出版されその名を冠して大ベストセラーとなった本があった。『ダ・ヴィンチ・コード』だ。ダン・ブラウンの書いたこの冒険推理小説は、全世界で7000万部を突破。2006年にはトム・ハンクスの主演で映画化もされ、そちらも大ヒットした。
この作品では、ダ・ヴィンチが描いた宗教画の最高傑作『最後の晩餐』を、世界を揺るがす謎が秘められた絵として説明し、ヨーロッパ文化の底流を流れて来たキリスト教の異端思想や隠秘学の伝説を、鮮やかに浮き彫りにしている。もちろん作品はあくまでもフィクションであり、そのすべてが真実と云うわけではない。それでも、描かれた内容が不思議なほどのリアリティを以て読者に迫って来るのは、世界で最も有名な芸術家でありながら、謎めいた部分の多いダ・ヴィンチの存在が後押ししているからだと謂えよう。先にも触れた様に、ダ・ヴィンチは芸術面だけでなく、様々な分野に及ぶ才能を有した。ルネサンス期のイタリアを代表する「天才」である。それと同時に、彼には常に「神を冒涜する異端者」と云う疑惑が纏わり着いていた。

ダ・ヴィンチが異端視される例として、よく引き合いに出されるのが彼の手稿のほとんどが鏡文字(左右を反転した状態で書かれた文字)で記されていることだ。その理由としては、彼が左利きだった為と云う解釈が一般的だが、キリスト教では、左手は「邪悪の手」とされている。神に向かって十字を切る時に使うのは、「神の御手」である右手であり、左手を使えば、それは神への冒涜を意味するのである。また、ダ・ヴィンチは錬金術や科学に興味を持っており、自身の研究を隠す為に鏡文字を使ったとも謂われているが、教会にとって神の領域を侵す科学は、まさに「異端の思想」であった。それから、ダ・ヴィンチは菜食主義者であったと謂うが、ここにも異端の影が隠されている。ローマ・カトリック教会からすれば、神は人間をあらゆる動物の上に立つものとして創造したのだから、それを食べないことは神への不敬にあたる、と云う考えから、ルネサンス期のイタリアでは「菜食主義=異端」と見られていたのである。

更に、ダ・ヴィンチには「男色者」として逮捕された経歴もある。同性愛は異端の最たるもので、それだけで火炙りになる大罪だった。もちろん、いずれも当時の教会側から見た「異端」の疑惑であり、彼が本当にキリスト教に対しての異端の思想を持っていたのかどうかは分っていない。『最後の晩餐』を始め、『岩窟の聖母』や『洗礼者ヨハネ』など、ダ・ヴィンチは何作もの宗教画を描いているが、不思議なことに、ダ・ヴィンチ本人によるキリスト教に関する記述はほとんど残されていないのだ。それが単なる偶然によるものなのか、それとも、やはり他者には明かせない秘密の意図があったからなのかーーールネサンスの巨人の正体は、今も謎めいたベールに包まれたままである。

        

                                                   世界と日本の怪人物FILE
                                                           歴史上の偉人たちに隠された裏の顔

*画像
 レオナルド・ダ・ヴィンチ
  鏡文字が記された「ウィトルウィウス的人体図」
 最後の晩餐
 岩窟の聖母
 洗礼者ヨハネ

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菜根譚 前集130項 | トップ | 西太后 (1835~1908... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事