為鼠常留飯、憐蛾不点燈。
古人此等念頭、是吾人一点生生之機。
無此便所謂土木形骸而已。
「鼠の為に常に飯を留め、蛾を憐れみて燈を点けず」(蘇軾詩集39巻の詩)と。
古人の此等の念頭は、是れ吾人の一点の生々の機なり。
此れ無ければ、便ち所謂土木の形骸のみ。
***************************************************
「思いやりの心」
「ネズミの為にいつも飯を残しておき、蛾が火に飛び込むのを可哀想に思って、灯火を着けないでおく」と蘇東坡は詩に詠んでいる。
古の人のこのような心掛けは、これこそ現在の私達が生きて行く上での一つの重要な心の働きである。
この心掛けがなかったならば、まるで土や木で作った人形と同じように、全く心を持たない形だけの人間に過ぎない。