「鬼は外!福は内!」の掛け声に合わせて豆をまく。お馴染みの節分の豆まきは、
古くから伝わる日本の伝統行事である。
上流階級の間で豆まきが始まったのは、室町時代だといわれている。
当時の文書に「豆打」として、豆まきの様子が書かれている。宮中でも広く「豆打」が行なわれていた。
この行事については、中国の風習である桃の杖などで鬼を追い払ったり、
弓矢で鬼を射る行事などが日本に入って来たのではないかと云う説と、
それ以前から民間で行なわれていた行事が武家や公家の間に広まったと云う説もある。
民間では、古くから豆まきが行なわれていたことが分っている。
それも節分だけでなく、大晦日、煤払いの日、正月七日と云った日にも行なわれていた。
播磨東部では、節分と大晦日の二度豆をまき、奥州北部では、年末の煤払いを済ませた晩に年男がまくところもある。
また、北九州では正月七日に豆をまくケースが多い。漁民はこの豆を拾っておいて、
海上で大風の日などにもう一度まく。
こうした民間の豆まきは、元々呪術的な要素が強く、
豆まきに使われる大豆は、邪気を祓うものだと考えられていた。
更に、霊界の意志を知る為の占いにも使われて来た。
一度まいた豆を拾って、節分の夕、それを焼いて、
その焼け方で月々の天候を占ったりする豆占いも全国各地で行なわれていた。
今では家庭に欠かせない行事になっている豆まきだが、その昔はもっとミステリアスで厳粛な行事だったのだ。
呪い あなたの知らない不気味な世界
ーあなたも当事者かもしれないー
習俗に秘められた魔の呪術