Carmel reilly 「With angels beside us」より
Cassandra 29
私が20代の初めのころ、暴力的なボーイフレンドとつきあっていた。
友人や家族は早く別れてしまえと言っていたが、自尊心が低かった私にはそれができずにいた。それに私には小さな息子がいた。
ある時、私たちは口論になり、私は相手に、隣の部屋で子供が寝ているのだから出て行ってくれと言った。
すると彼は外に出ていき、車から拳銃を持って戻ってきた。
そして銃口を私に向けたかと思うと、引き金を引いた。
確かに銃口が光るのが見えた気がしたが、何も聞こえなかった。
何かが私の腕の前で素早く動いた感覚があって、次の瞬間、私の向かい側の壁に弾がめり込んでいた。
彼は私に当たったと思って、すぐに家から逃げるように出て行った。
私はしばらくの間、弾がめり込んだ向かい側の壁を見つめて呆然としていた。
何かが空中で弾を弾き飛ばしたとしか思えなかった。
ふと我に返って、あわてて隣の部屋にいる息子を見に走った。
息子はすやすやと眠っており、息子のベッドの横に天使が立っていた。
彼は私に微笑みかけ、息子の額にそっと手を当てて、消えた。
彼は私の守護天使なのだと思う。
今、私はボーイフレンドとは完全に決別し、もっと自信をもって生きている。
息子は父親をなくしたけれど、私には助けてくれる友人や家族がいて、なにより守護天使がついてくれているのだから大丈夫。