愚息が持参して、置いてあった。
ぱらぱらめくると、面白い!
というのは、ワタシが20代から30代に
ある種の強迫観念にかられて読もうとした
(読んだとはとても口にできない。まったく
理解不能だった)本の数々が
とてもわかりやすく、なおかつ
現実に役に立つように書かれている。
武器になる哲学(山口周・KADOKAWA)
古希になろうとするシニアにとって
どんなところが面白かったかというと、
まずは懐かしさですね。
浅田彰の「逃走論・スキゾキッズの冒険」
これは人をパラノ型とスキゾ型にわけて捉える
考え方で、
パラノとは「00大学を出て00といういい会社に
勤めて00ヒルズに住んでいる自分」に固執し、
それを強める方向に人生を積み上げていく。
一方のスキゾとは、
自分の美意識や直観のままに行動、
今でいうノマド型かな。
これほど流動的になっている世の中で
「パラノタイプ」は環境変化が起きるとそれまで
積み上げてきたものが一瞬にして崩れる
リスクがある云々~~。
京都にある「哲学の道」
こんな哲学用語、経済学用語もね、
「ロゴス・エトス・パトス」
「ペルソナ」「「ルサンチマン」
「カリスマ」「悪の陳腐さ」とか
興味深い言葉に引かれてページを開くと、
そこには思わぬ、なるほど、な世界が。
私の拙い説明だけでは、
最近よく出ているビジネス本と
代わりはないけど、
役に立ったのは本書の至る所に
「エラー」「ミスする」「失敗する」ことの
大事さを解いていること。
最適な答えは何度もトライ&エラーを重ねてこそ、
「多くの失敗をできれば若い時に重ねること」
これをよくある啓蒙書とは違って
具体的、現実的、論理的に展開している。
蟻の餌を運ぶ道筋とかでね。
えっ?若いとき? もう手遅れじゃない~~。
まあ、いいではないですか。
アッ、こっちのミスではなかった、ミスった!
無料イラストです。
こういう考えが社会に広がると、
風通しがよくなるよね。
せめて私だけは寛大に。
失敗の種類によるけどね、
とまあ、まだまだなワタシ。
失敗を責めない、
他人だけではなく、自分の失敗もね。
責めないでね。
とまあ、結局は我田引水になるんだけど。
一応第一線で働くビジネスマン向きでは
あるけど、
「その人が何を言おうとしているかをより正確に
理解しようとする場合、
その人が何を肯定しているかより
何を否定しているかを知るほうがより重要」とか、
「見えない努力もいずれは報われるの大嘘」とか。
これはね、
「努力は報われない」ということではなく、
「努力しても必ずしも報われるとは限らない」
「報われる」説に捕らわれた人は、
「成功した人はそれだけのことをしている」
ひいては、
「不幸な人はそういう目に遭うだけの
ことをしている」「自業自得」と考えてしまう。
自分のなかにもこういう考え、あるような。
「頑張りの空回りに陥った人」は
「自分はこんなに頑張っているのに報われないのは
この世界が、組織が間違っている」と
組織を破壊したり、テロに走ったりする。
最近この手の事件が多いのは、
「努力は報われる」と教えるせいもあるかも。
ある企業の課長はリストラを勧められ、
「自分はこの会社のために家庭も顧みず
寝食を忘れて働いてきたのに~」と社長室で
なんと切腹をしたそうです。
切腹だよ、切腹、すごいね。
一方最近は「努力が報われないなら、
寝ていたほうがマシ」とパラサイトしたり、
ニートになる人が増えているのは、
もうこの説はあまり信じられていないとも
思うのですが、
ではどうすればいいのか。
奴属することなく、主体的に人生を選ぶ~~?
ううん、言うは易し。
それはともかく、
現代に起きている問題を的確に切り取り、
哲学を使ってある種の問題提議を
与えてくれる爽快さ。
でも、やはり「解答」は自分で考え選択する、
その多いなるヒント、導きになるのは確かです。
人生百年時代だから、古希でもね。
こちらも面白そう。
哲学用語辞典としてもわかりやすくて、
この本一冊で当分は楽しめそうです。
哲学とは役に立たないからいいと
思ってきたのですが、
そうか、役に立つのか~~、
役に立ったような気がするだけなのか。
というわけで、
今回は哲学は面白い!でした。
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