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『反貧困ー「すべり台社会」からの脱出』(湯浅 誠)

2009-04-23 21:16:13 | 読書日記
 うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。そんな社会にはノーを言おう。合言葉は「反貧困」だ。

 ”溜め”は、外界からの衝撃を吸収してくれるクッションの役割を果たすとともに、そこからエネルギーを汲み出す諸力の源泉となる。

 ”溜め”は金銭に限定されない。有形・無形のさまざまなものが”溜め”の機能を有している。頼れる家族・親族・友人がいるというのは人間関係の”溜め”である。また、自分に自信がある、何かをできると思える、自分を大切にできるというのは、精神的な溜めである。

 結局、貧困状態まで追い込まれた人たちの”溜め”を増やすための組織的、社会的、政治的ゆとりが日本全体から失われているのではないか。国も地方自治体も、企業も、社員も、学校も、家庭も、今や誰もが「サバイバル」を口にし、一瞬でも気を抜いたら負けてしまう危機感を煽っている。

 作者は”溜め”という言葉を使っていますが、確かに、世の中のあらゆる部分に「余裕」というか「ゆとり」がなくなってきている気がします。
 何か問題が起こると、他人をとことんまで咎め、追い詰めてしまう。自分に余裕がないから、他人のちょっとしたミスも許せない。すると人間関係がどんどんギスギスしてしまっている。

 自分のことで精一杯だから、人が”すべり落ちる”ことを何とも思わない。いやそれ以上に競争相手が減ったぐらいに考えて、逆に這い上がろうとする人を足蹴にしたりする。

 何ともやり切れない風潮が広がっている気がしてしょうがない。

 この社会を変えるためには、ただ役所の窓口対応を批判しているだけでは意味がいないのでは。

 もっと、世の中の人々が心の余裕を持ち、他人の行動を大らかな気持ちで眺めるようにならなければ・・・。
 
 「みんなで社会を変えていこうじゃないか」という力強いメッセージが込められた作品です。
 


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