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『ゆりかごで眠れ』(垣根涼介)

2009-04-23 21:45:33 | 読書日記
 凄絶な幼少期を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、ひとりの少女を伴い来日した。目的はライバル組織に売られ、日本警察に勾留されている部下の奪還と復讐、そして…。

 人は生まれる環境を選ぶことはできない。生まれながらにして、ギャングになる運命の人間がいる。そうしなければ生きていくことができないからだ。そして、一度ギャングの世界に足を踏み入れると、決して五体満足で抜け出すことができない。
 
 懸命に生きても、正しく生きようとしても、決して幸せになれない人間がいる。
 「仕返ししようなんて思わないことだ。人を怨んじゃいけない。自分の心を檻にいれちゃいけない。憎しみはね、檻だよ。いったんその檻に入ってしまったら、終りだ。どんなに正しい生き方をしようが、どんなに真面目に働こうが、心に憎しみを飼っている人間を、神様は明るく照らしてはくれない。一生、灰色の壁の中で息をすることになる。抜け出せなくなる。」

 悲しい結末ではあるが、何かまだ「・・・」とストーリーが続きそうな気がします。自分に課された運命の中で、必死にもがき苦しみながらも戦い、生き続けた男が、最後に達した境地に一筋の光が見えたからか。


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