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群馬の田舎から情報発信!

『武士道セブンティーン』(誉田哲也)

2011-06-21 21:36:29 | 読書日記
 西荻早苗が福岡の強豪校に転校し、今までの剣道との違いに戸惑う。
 
 磯山香織は後輩を育てながら頑張っている。

 二人の友情と、武士道とは何かを悩む姿。

 「武者と武士の違いはなに?」
 「武者の生業は戦うこと。武士の生業は、戦いを収めることだ」

 深くて、難しい言葉。
 けれど、剣道を極めていくと、戦いを収めることの難しさに気づくのかもしれません。

 相変わらず、二人の主人公の目から見た世界を交互に配する手法で、
テンポよく話が進みます。女子高生のリズムに合った会話のテンポが小気味よく感じられます。

 ”今時の高校生”と一括りにはできない、青春の姿があります。
 笑い転げたり、悩んだり、涙を流したり、たくさんの経験が、人を成長させていく。
 
 武士道の世界も面白そうだが、青春の輝きが眩しすぎる世界が広がっています。

 
 

『ダイイング・アイ』(東野圭吾)

2011-06-16 19:04:23 | 読書日記
 殺されかかった男が記憶をなくしてしまった。
 その記憶が少しずつ戻ることで、自分が罠に嵌められたことが分かってくる。

 「この作品は最後はどこへ行ってしまうのか」と先の見えないストーリー展開。
そして、登場する女性の不気味さは正にホラー作品???

 最後に表題の「ダイイング・アイ」の意味がよく分かり、不気味さが一層増しました。

 

『オリンピックの身代金』(奥田英朗)

2011-06-06 19:06:28 | 読書日記
 昭和39年、東京オリンピックの年。
 日本は目覚ましい経済成長を遂げるが、東京と地方の格差を生む
という歪も生まれる。
 
 オリンピックという世界的イベントの中で、この歪は国民の意識から
遠ざけられていた。
 
 しかし、そんな大勢の中でも、一人、疑問を持ち、大衆・国家に立ち向かおうと
考えたのが主人公である。

 貧しさに苦しむ田舎の出ながら、東京大学に通う主人公が、なぜ、これほどまでに
この歪に立ち向かおうと考えたのか?

 田舎の人間が、人柱となって、東京いや日本の経済発展を支えたことを、東京の人に
理解してもらいたい。ただそれだけが主人公を最後まで突き動かした動機なのでは。

 それにしても、著者はどうしてこんなテーマの作品を創ろうと思ったのか。
 私には、絶対に思い付かない発想である。

 社会派の作品ながら、巧みな時間軸の配置により、謎が少しずつ解き明かされていくミステリーにもなっている。
 大部な作品ながら、一気に読ませてしまう技量はさすが!上手過ぎる。
 著者の意図をどこまで理解できたかは分からないが、エンターテイメント作品としても十分楽しめる作品に
なっていると思います。