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群馬の田舎から情報発信!

『面白くて眠れなくなる数学』(桜井 進)

2011-01-23 14:16:44 | 読書日記
 「数学は旅
  イコールというレールを数式という列車が走る」

 学生時代に数学の勉強していると、「これが自分の生活にどんな役に立つのか?」という疑問を何度か持ったことがある。
 しかし、因数分解でセキュリティが守られていたり、クレジットカードの番号も法則があったりと、意外と数学の要素をもった道具を我々は身近に使っている。道具どころか、生活のあらゆるところに数学が潜んでいるのかもしれませんが。。。

 数式という、時間・空間を超えた共通の言語があるからこし、人類は発展を遂げられてきたのかもしれません。

 その数学・数式が如何に美しく出来上がっているかを、素人にも分かりやすく伝えようとしているのが本書です。

 私自身、どこまでこの作品を理解できたかはわかりませんが、思わず手にとってしまったぐらいですから、著者の意図は少しは実現したのかもしれません。

『デフレの正体』(藻谷浩介)

2011-01-16 15:09:23 | 読書日記
 団塊世代の一次退職→彼らの年収の減少→彼らの消費の減退→内需対応産業の一層の供給過剰感→内需対応産業の商品・サービスの値崩れ→内需対応産業の採算悪化→内需対応産業の採用抑制・人件費抑制→内需の一層の減退という国内経済縮小の流れがある。

 「本当は、団塊世代の一次退職に伴って浮いた人件費を若者に回す努力をすることで、内需の減退を防ぎ、際限ない経費削減地獄を脱することが可能です。」

 「高齢富裕層が、持っている金融資産の1%でも消費に回してくれれば、国内経済はドラスティックに浮揚します。」
 
 「この事態を招いた最大の原因が、「日本人の加齢に伴う生産年齢人口減少」という事態の本質を無視し、起きていることを無理やりに「景気循環」だけで説明してしまうこと」

 「企業は「景気対策」を政府に任せるのをやめ、自らが若者を雇用することで内需を拡大させる。他方で政府は(金持ちも生活困窮者も一律に支援するような今のような年金への財政投入をやめ)困窮した高齢者へのセーフティーネットを万全にすることで、高齢者の退職を促進する。」
 
 「年金から「生年別共済」への切り替えを」

 「現在の途上国援助で公的住宅を建てるときに繰り返されている失敗が、現地の民間住宅よりも快適な水準の公営住宅を供給してしまうことなのです」

 課題は
①生産年齢人口が減るペースを少しでも弱める
②生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やす
③個人消費の総額を維持し増やす

 そのためには、
①高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進
②女性就労の促進と女性経営者の増加
③訪日外国人観光客・短期定住客の増加
が具体策。

 単位、高齢化率や、有効求人倍数といった指標ばかりに目を奪われるのではなく、絶対値としての高齢者人口の増加、生産年齢人口の減少ということを見なければいけない、という指摘は新鮮でした。

 政府のマクロ政策や、ばかの一つ憶えのような公共事業の追加、に頼らずに、民間主導でデフレを克服しようという著者の姿勢に、今後の日本の進むべき方向性(意気込み)がある気がします。

『シンプルに生きる』(ドミニック・ローホー)

2011-01-15 20:14:45 | 読書日記
 無駄をそぎ落として、シンプルに生きること。それが充実した人生を送るためのポイント。

 ただ単に身軽になるのではなく、自分の好きなもの、自分の嗜好に合ったものを厳選して持つことが大事。
 厳選するのも、自分の人生を真剣に見つめなおし、自分に本当に必要なものは何か?、自分が本当に好きなものは何か?を自分自身に常に問い直すことが必要。
 そういった意味で、シンプルに生きるとは、自分自身のこと、自分の人生のことを常に真剣に考えていなければ、実現しないものなのかもしれません。

『人はひとりで死ぬ』(島田裕巳)

2011-01-15 20:01:15 | 読書日記
 「人が孤独に死なないということは、孤独に死ねないことの裏返しでもある。これが有縁社会の実態である。」

 「無縁ということは、しがらみから解放されることであると同時に、孤独になるということでもある。」

 「公務員の場合には、採用は基本的に試験によって決まる。」「どういった努力をすればいいかあらかじめ推測できる。」
「ところが、企業の採用は、試験も行われるが、点数が決定的な意味を持つわけでもなく、足きりに使われる程度。どういった人間が採用されるのか、基準も曖昧で、応募者に目安がわからない」

 「年金や医療・介護保険をすべてなくしてしまえば、高齢者の単身世帯は一挙に減少するであろう」

 「いくら文明や文化、技術が進歩しても、不死は実現されない。そして、最期は私たちはひとりで死んでいかざるを得ないのだ。」

 「私たちは死ぬまで生きればいい」

 「無縁社会は恐れの対象ではなく、逆に自由で、豊かな可能性を帯びた社会にも見えてくる」

 ある意味、無縁社会は私たちが求めてきた生活の結果の必然なのかもしれません。確かに昔の村社会のような有縁社会に今更戻りたいとは思わないですから。

 であれば、「人は最後はひとりで死んでいかなければならない」というシンプルな考え・思想を持ちさえすれば、今をいかに真剣に生きるかに力を注ぎ、死の瞬間、あるいは死後のことを心配することに労力を注ぐ必要がないと、吹っ切れるのでしょう。

『NO LIMIT』(栗城史多)

2011-01-09 09:11:23 | 読書日記
 日本人初、エベレストの単独・無酸素登頂。
 そして世界初となるエベレスト登頂のインターネット生中継に調整している登山家のメッセージ集。

 見えない山に登っているすべての人たちへ。

 ありがとう。
 すべてのことに感謝する。
 いいことにも、悪いことにも。

 不安を消すな。
 不安はなむならないということだ。
 どんなに挑戦しても、または、挑戦せずに安全な道を選んだとしても
 生きている中で、不安は消えることはない。
 あらゆる不安を受け入れよう。
 それより、いま生きていることに感謝しよう。

 だが何を目指していようとも、
 ここが限界、
 ここが最終地点と決めつけた瞬間に、
 すべてが終わるだろう。
 終わりは始まりだ。
 もっと大きな山に向かおう。
 道のない道を歩き続けることで、
 未来は切り開かれていく。

 登山をインターネット中継し、登山の状況を発信するという新しい試みをしている著者。ただ単に山頂の美しい風景を発信するというのではなく、登山の過酷さ、そして登山家が何を考えながら登っているのか、も発信できるということで、画期的なことだと思う。

 本作品は、著者の日ごろ考えていることを、多くの人へのメッセージという形でまとめたものである。

 単独登頂を次々と成し遂げているということで、傲慢な性格かと思いきや、そもそも登山を始めたきっかけが彼女にふられたからだったり、すべてのもに感謝したり、登山はたった一人ではできないので仲間を大切にする姿だったり、常に不安を抱えて登山をしていたりする姿が見えてきます。

 山の頂上に登った「その先」を見据えて登山している。生きて、無事に下山し、仲間に感謝の言葉を伝える、そこまでして初めて登山は成功したと言える。

 挑戦することの大切さ、そしてそのためにはまず一歩踏み出してみる勇気が必要、そんなことを日々の著者の経験の中から、力強く発信されている作品になっています。
 そして、数多く掲載されている写真の本当に美しいこと!

『青い虚空』(ジェフリー・ディーバー)

2011-01-08 09:58:07 | 読書日記
 サイバースペースとリアル生活との区別がつかなくなってしまった天才ハッカー殺人鬼。
 それに対峙するハッカーの主人公との対決。

 ネット社会が広がる中で、こんなハッカーが本当に現れたらパニックになってしまうだろう。
 しかし、そんな危険が孕んでいるのがネットの世界なのだろう。
 便利だからといってセキュリティ対策を施さず、ネットを利用すると、一度ハックにあったり、犯罪に使われたりすると、その影響が大きくなりすぎて手の施しようがなくなってしまう。

 かといって、これだけネットが広がった社会で、ネットにつなぐことをやめるなんてことは現実的ではない。

 ネット社会の危険性を理解したうえで、慎重に付き合っていくというのが、当面の対応策か?

 それにしても、専門用語が頻発するハッカー、サイバースペースの事件を、パソコンにも詳しくない私にも分かりやすく、面白く、作品にできる作者の能力はすごい。
 最初から最後まで、ハラハラドキドキしながら楽しめました。