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群馬の田舎から情報発信!

『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(小宮一慶)

2008-08-31 12:13:10 | 読書日記
 セブン-イレブンのロゴ、最後のnが小文字なのが見えていましたか?
小金井カントリークラブの相場から、あなたは何を見ますか?
女子高生のルイ・ヴィトンから、あなたは何を見ますか?
発見力を磨くには、
まず、自分には見えていないものがある、
分かっていないことがあるという意識がとても大事です。

 様々な情報へのアクセスは飛躍的に容易になった。情報量による不平等はずいぶん少なくなった。にもかかわらず、同じ情報に触れていても、そこから何を見るか、そもそも見えるのかどうかは、相変わらず人によっと大きく異なる。
 
 人は何万回見ても、見えないものは見えない。
 発見力も発想力も、基本は同じ。他の人には見えていないものを見る力である。
 より正確に言うと、「見える力」である。

 関心を持てば、ものは見えます。
 仮説を立てれば、ものは完全に見えます。

 著者は見える力を養う方法として、次の項目を挙げています。
1 他の人より少しよけい勉強する
2 新聞を読む
3 ふつうのものをたくさん見る
4 問題解決を極める
5 関心の幅を広げる・奥行きを深める
6 思想を持つ

 ついでにものが見える10の小さなヒントも掲載されています。
①先に要点を知る
②ヒントを先に得る
③分解する
④情報を減らす
⑤気づいたことをすぐメモする
⑥比較する
⑦一部を取り替える
⑧視点を変える
⑨複数で話す
⑩素直になる

 セブンイレブンやローソンのロゴの話にもあるように、我々は何気なく普段見ているものも「見えない」状態であったことがわかりました。
 興味がないものは見えない。社会に広くアンテナを張っていないと、情報は入ってこない。日々の努力の積み重ねが必要だということ。
 そして、仕入れた情報は、使える形にするには、それぞれの情報を関連づけて、立体的に頭にインプットしておくことが有効である。著者は「仮説をたてる」といっていますが、この仮説力がビジネスでいうところの”使える知識”には必要なのだと思います。

 薄い本ですが、新しい視点を意識させてくれた本でした。  
 


 

『ルポ貧困大国アメリカ』(堤 未果)

2008-08-30 20:51:48 | 読書日記
 アメリカの貧困層の実態をルポした意欲作です。

 貧困が肥満を生み出す。
 災害に見舞われた人が、政府から災害復旧事業を請け負った民間企業から見放される。
 医療費が払えないため、一度の病気で貧困層に転落する人々。
 学費を払えない学生(若者)を軍隊が狙う。
 ワーキングプアが支える「民営化された戦争」。

 アメリカンドリーム表舞台の裏にある現代アメリカの負の面を十分描いています。ただただ闇雲にアメリカの政治の後追いすることの危険性がよくわかります。

 災害時の危機管理まで民間委託するというアメリカの民営化はすごい。
 また、アメリカでは日本にある健康保険制度がない。万が一の病気のために、民間の医療保険がその役割をになっている。
 さらには、国家の安全保障という戦争まで、業務を請け負う民間企業があるという。

 果たして、政府とはどこまでの仕事を直接担うべきなのか。

 日本でも、いわゆる「小さい政府」を志向する意見が、最近のトレンドになっている。しかし、本来はどこまでを「政府」に任せるかを議論したうえで、民営化を進めるべきである。

 著者は、よくありがちな貧困は「政府」の責任といったステレオタイプな意見を述べるのではなく、「政府」の在り方を議論すべきとの意見であろうと推察します。

 また、貧困層に人々から、一部の富者がさまざまな形で搾取する構造が出来上がってしまっていることが大変重大である。

 政府がいくらセーフティネット政策を講じても、一部の富者が貧困層から富を搾取する構造がある限り、一度貧困層に落ちてしまうと、そこから這い上がることが大変難しく、人間らしい生活を送ることもままならない。

 今でも、弱者対策というと国の政策の中心はセーフティネットの構築であるが、一歩進めて、弱者(貧困層)から、富を搾取するシステムを打破する政策を打つことが、最も効果的なのではないでしょうか。
 とは言え、具体策となると、さまざまな分野があってすぐには思い浮かびませんが・・・。
 いくら自由経済活動だとは言え、一定のモラルが必要で、社会に影響力がある企業であれば、なおさら“公”の意識が必要なのだと思います。でないと、政府が安易にさまざまな自由経済活動を規制する道を選択してしまうことにもなりかねません。

  

『鳥人計画』(東野圭吾)

2008-08-25 20:36:37 | 読書日記
 「鳥人」として名を馳せ、日本ジャンプ界を担うエース・楡井が毒殺された。捜査が難航する中、警察に届いた一通の手紙。それは楡井のコーチ・峰岸が犯人であることを告げる「密告状」だった。警察に逮捕された峰岸は、留置場の中で推理する。「計画は完璧だった。警察は完全に欺いたつもりだったのに。俺を密告したのは誰なんだ?」警察の捜査と峰岸の推理が進むうちに、恐るべき「計画」の存在が浮かび上がる…。

 何気なく読んでいると、いきなり犯人が自白することで、犯人が誰かわかってしまう。「え、こんなに早くわかってしまうの?」と驚きました。(よくよくカバーの裏表紙をみると、犯人が書いてありました。)
 「そうか、刑事コロンボのように、犯人を先に示して、犯人のトリックが除々に明らかにされ、事件を解決するのか」と思いましたが、どうもそうでないらしい。
一気に最後まで読むと、最後の最後に大どんでん返しがまっていました。

 とは言え、最初からいろいろな伏線が緻密に張り巡らされていて、注意深く読んでいれば、最後のどんでん返しも予想できたかもしれませんが・・・。実にうまい構成でできあがっています。

 スキーのジャンプ界という特殊な世界の状況や、技術(テクニック)など、作者は随分研究したのだと思います。知らない世界を興味深く描いてくれています。

 ジャンプという人間の肉体と科学の関わり、人間の絆など、いろいろな要素が絡み合って楽しい長編小説となっています。

 東野作品の中でも「ガリレオ」シリーズが好きな方には絶対お勧めの作品です。

『合コンの社会学』(北村文 阿部真大)

2008-08-23 21:11:09 | 読書日記
 合コンを社会学の視点から論じた作品です。

 この作品でいう「合コン」とは、限られた意味の「合コン」です。
 ここでいう「合コン」とは、一般的なパーティーや飲み会とは区別される。集まった誰もが出逢おうとしている。この前提が「合コン」を支えている。この「合コン」を通じた出逢いとは、たいへん真面目なもので、長期的な恋愛やさらには結婚にいたることが期待されている。

 私がイメージしていた”合コン”より、かなり限定された範囲の「合コン」を取り上げており、ここでは、社会の階層性が色濃く反映され、職業や年齢や容姿を軸にした序列がはっきりするとのこと。

 確かに出会いを求める場であれば、自然とそのような状況は創られるでしょう。

 もっと、気楽に”飲み会”程度の合コンのイメージしかなかった私とすると、「随分スマートなシステムが、若者の中では作り上げられているのだなあ」というのが率直な感想です。
 勝ち組・負け組と階層分けされながらも、したたかにそんな世の中を生き抜いていく術の一つが「合コン」なのかもしれません。

 オジサンはやっぱり”飲み会”がいいなあ。
 

『フロスト気質』(R・D・ウイングフィールド)

2008-08-17 11:08:39 | 読書日記
 ”フロスト”シリーズの第4弾です。

 慢性的な人手不足で悩むデントン署で次から次へと起こる難事件を、仕事中毒のフロストが解決していく。
 
 よれよれの服と小汚いえび茶色のマフラーをしたしょぼくれた刑事。下品なジョークを連発しながらも、どこか憎めないキャラクターで、今回も楽しませてもらいました。

 上下2巻という長さにも関わらず、次から次へとフロストに持ち込まれる事件によるデントン署のドタバタ模様のおかげで、まったく長く感じられずに最後まで読んでしまいました。

 前作からしばらく時間が経っていたので、すっかり忘れていましたが、やはり「フロスト」シリーズは面白い!
 ちょっとフロストが丸くなり、”いい人”になった気がしないでもないですが、相変わらずの下品なジョークは健在で、他にはない刑事キャラクターが光っています。

 著者が昨年7月に亡くなられているということを初めて知りました。
 しかし、まだ翻訳されていない作品が2作品あるということなので、次回作の発売をまた楽しみに待っていたいと思います。
 

『「売れない壁」を超えるロジカル・スピーキング(藤本篤志)

2008-08-05 20:36:59 | 読書日記
 ロジカル・スピーキングとは、対処療法的な応酬話法ではなく、どんな場面でも論理的に相手を論破する技術のこと。

 コミュニケーションは言葉のキャッチボールである。
 「営業プレーヤーは、商談においてお客様と言葉のキャッチボールをしているのかもしれません。相手の速度に合わせて受け取らなければなりませんし、コースが外れたら見逃して受け取らないのではなく、全力で走って受け取らなければなりません。お客様も気まぐれに、ゆっくりと投げてきたり、急に早く投げてきたり、わざとバウンドするように投げてきたりすることもある。すべての球を捕ることができるためには、キャッチボールといえども、日々の練習がなければ難しいものです。」

 「『売れない』壁を超えることができない営業プレーヤーの大半は、『話す』という行為を『伝える』という行為と間違えている」

 コンサルタントの作品ということで、”話術”のハウツウ本かと思って買いましたが、どちらかというと、「話す」ことと「語る」ということとの違いを常に認識し、「話す」ことの技術を高める努力をし続けることの大切さを説いた作品です。

 そして、最後に『「売れない壁」を超える話し方の最大のルールは「足を動かす」ことに他ならない』と締めくくっています。

 ロジカル・スピーキングとは、いろいろなチェック項目を意識いながら、「話す」技術の向上に努める、普段の鍛錬により身に付けることができるということです。

 

『デカルトの密室』(瀬名秀明)

2008-08-03 09:38:25 | 読書日記
 ヒト型ロボットが実用化された社会。人口知能コンテストで起きた事件から次々と殺人事件が起きる。

 ヒト型ロボットが人間と共存する社会。人口知能。ロボットのフレーム問題。人間の知能と人口知能との違い・差。

 難解でした。なかなかページをめくるスピードが上がらず、時間がかかったために余計そう思ってしまったのかもしれませんが・・・。
 このような作品を書き上げてしまう著者の能力には、ただただ驚きます。

 SFというか、科学ミステリと言うか、ジャンル分けはよく分かりませんが、科学の進歩とそれに伴う影の部分を将来の世代に問題提起している作品だと思います。