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群馬の田舎から情報発信!

『桐島 部活やめるってよ』(朝井リョウ)

2010-07-27 08:21:44 | 読書日記
 題名からは桐島君が主人公かと思いきや、桐島君の周りにいる5人の高校生の生活や思いを描いた作品です。で、当然のことながら、桐島君が部活を辞めた理由も明確には示されません。

 高校生時代というものは、エネルギーが有り余っていて、何か打ち込めるものを持っている人はそれに十分そのエネルギーを注ぎ込むことができる。しかし、まだ、打ち込めるものを見つけていない人は、エネルギーを持て余し、イライラ不機嫌になったり、些細なことに爆発してしまったりするのでしょう。

 何か打ち込むものは、みんなに認められるスポーツでも、自分の好きな映画やアニメでもいい。自分を肯定し、前向きに頑張れるものであれば。

 そんな風に言えるのは自分が歳をとったからかもしれません。高校生の頃のあふれ出るようなエネルギーを持つ時代は本当に短い。振り返った時に、「あの頃は本当に元気があったよなあ」と思うくらいである。

 実際の高校生は、日々の勉強や運動、悩み、苦労など対応するのに精いっぱいでとてもそんなことを考える余裕はないのでしょう。

 でも、このような作品を高校生が読んで、クラスの中心人物であっても、クラスの隅っこで目立たない存在の子であっても、いろいろな悩みを抱えて、いろいろ苦労しながらも生きているということを知ってもらえば、少しは前向きな気持ちになれるのでは。

『気にするな』(弘兼憲史)

2010-07-23 21:06:54 | 読書日記
 「細かいことは気にせず、目先の目標に全力を尽くす。」

 「基本的には人と比較しない。人は人、自分は自分です。自分が一番楽しいと思うところに自分を置いておけば、余計な不満を抱えることもありません。」

 「人生、楽しんだ者勝ちなのですから」

 作者の人生を振り返りながら、結局はたどり着いた、生き方。これらの言葉に凝縮されています。

 人生は自己責任。自分で責任をとりながら、楽しんだ者勝ち。実にシンプルな人生訓です。

『日本人へ リーダー編』(塩野七生)

2010-07-23 20:54:59 | 読書日記
 人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。
 多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない。
                       -ユリウス・カエサル
 自己反省は、絶対に一人で成されねばならない、決断を下すのも孤独だが、反省もまた孤独な行為なのである。

 イタリアを拠点としている作者だからこそ、国際問題に敏感であり、さらには日本の置かれている状況にも敏感なのかもしれない。
 国際社会の中で日本の言動に歯がゆさをおぼえているのかもしれない。

 そんな日本に期待されるリーダーとはどのような人物か?

 著者は言います。
 「日本人だけで解決できる問題に、われわれのエネルギーを集中してはどうであろうか。他国をないがしろにすることまではできないが、優先的に、ということならばできる。そして、それは経済力のならなる向上、以外にはない。」

 常に海外の情勢を気にはしつつも、結局は日本人の強みをいかにつけていくか。日本人自身が考え、力をつけていくしかないのかも。

 

『インシテミル』(米澤穂信)

2010-07-23 20:44:19 | 読書日記
 「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給11万2千円がもらえるという破格の仕事に応募した12人の男女。犯人当てゲームが始まった。

 過去のミステリー作品のレシピをそこかしこに散りばめ、ミステリーに詳しくない読者も、ミステリー好きの読者をも楽しめる仕掛けが満載です。

 「きっと、読者はこのトリックは、ここに論理破綻があるよな」と指摘されそうなところは、キチンとフォローをしておく配慮。
 作者と読者の掛け合いを楽しむ、作者から読者への挑戦的な作品です。

 スーパーマンではない主人公の謎解きも、きっと”素人”読者を意識してのものか。

 まさにエンターテイメント作品の名にふさわしい作品です。