莫大な負債を押し付けられて共同経営者に逃げられた大前剛、ハイテク関連一流企業で働いていたのに娼婦に落ちた梶野理沙、あつてベトナム戦争で英雄と呼ばれながら失業者になったジョン・キングスレイ。一発逆転を狙うこれら3人の人生がラスベガスで一つに合わさり、大きく変わっていく。
「人間はちっぽけで弱い存在なのです。何かを得れば、必ず等量の何かを失う。」
「いつの日か病を得て息が上がるとき、「ジス・イズ・グッド・ジョブ」の一言を、自分自身に向かって言いたいと大前は思った。グッド・ジョブをなすだけの勇気と闘志とを、自分は忘れていたのだ。それこそが人間の証明であるのに。それだけが神に最も愛された生き物の、この世に存在する価値であるというのに。」
「アメリカの公平さとは、ささやかな幸福を公平に分かち与えることではない。チャンスを公平に分配することである。与えられるのは幸福ではなく、幸福になるチャンスなのだ。だから人々はチャレンジする」
きっと、ラスベガスに行ったことがあれば、その非日常性がよく分かり、この小説をもっと楽しめる気がします。
自分の住む世界から弾き飛ばされてラスベガスにたどり着いた人間をも飲み込んでしまうラスベガス。一発逆転を狙う人も、ギャンブルを楽しもうとする人にも等しく奇跡を与える。砂漠の真ん中にこんな巨大アメニティ施設を建ててしまうのはあまりにもアメリカらしい。
浅田さんのラスベガスに対する蘊蓄も素晴らしいが、何とも癖のある登場人物たちを、一つの物語の中に詰め込んでしまうテクニックは素晴らし。
何ともほのぼのとするエンディングで、楽しませてもらいました。
「人間はちっぽけで弱い存在なのです。何かを得れば、必ず等量の何かを失う。」
「いつの日か病を得て息が上がるとき、「ジス・イズ・グッド・ジョブ」の一言を、自分自身に向かって言いたいと大前は思った。グッド・ジョブをなすだけの勇気と闘志とを、自分は忘れていたのだ。それこそが人間の証明であるのに。それだけが神に最も愛された生き物の、この世に存在する価値であるというのに。」
「アメリカの公平さとは、ささやかな幸福を公平に分かち与えることではない。チャンスを公平に分配することである。与えられるのは幸福ではなく、幸福になるチャンスなのだ。だから人々はチャレンジする」
きっと、ラスベガスに行ったことがあれば、その非日常性がよく分かり、この小説をもっと楽しめる気がします。
自分の住む世界から弾き飛ばされてラスベガスにたどり着いた人間をも飲み込んでしまうラスベガス。一発逆転を狙う人も、ギャンブルを楽しもうとする人にも等しく奇跡を与える。砂漠の真ん中にこんな巨大アメニティ施設を建ててしまうのはあまりにもアメリカらしい。
浅田さんのラスベガスに対する蘊蓄も素晴らしいが、何とも癖のある登場人物たちを、一つの物語の中に詰め込んでしまうテクニックは素晴らし。
何ともほのぼのとするエンディングで、楽しませてもらいました。