G's HOME日記

群馬の田舎から情報発信!

『オー・マイ・ガアッ!』(浅田次郎)

2009-12-31 21:45:27 | 読書日記
 莫大な負債を押し付けられて共同経営者に逃げられた大前剛、ハイテク関連一流企業で働いていたのに娼婦に落ちた梶野理沙、あつてベトナム戦争で英雄と呼ばれながら失業者になったジョン・キングスレイ。一発逆転を狙うこれら3人の人生がラスベガスで一つに合わさり、大きく変わっていく。

「人間はちっぽけで弱い存在なのです。何かを得れば、必ず等量の何かを失う。」

「いつの日か病を得て息が上がるとき、「ジス・イズ・グッド・ジョブ」の一言を、自分自身に向かって言いたいと大前は思った。グッド・ジョブをなすだけの勇気と闘志とを、自分は忘れていたのだ。それこそが人間の証明であるのに。それだけが神に最も愛された生き物の、この世に存在する価値であるというのに。」

「アメリカの公平さとは、ささやかな幸福を公平に分かち与えることではない。チャンスを公平に分配することである。与えられるのは幸福ではなく、幸福になるチャンスなのだ。だから人々はチャレンジする」

 きっと、ラスベガスに行ったことがあれば、その非日常性がよく分かり、この小説をもっと楽しめる気がします。

 自分の住む世界から弾き飛ばされてラスベガスにたどり着いた人間をも飲み込んでしまうラスベガス。一発逆転を狙う人も、ギャンブルを楽しもうとする人にも等しく奇跡を与える。砂漠の真ん中にこんな巨大アメニティ施設を建ててしまうのはあまりにもアメリカらしい。

 浅田さんのラスベガスに対する蘊蓄も素晴らしいが、何とも癖のある登場人物たちを、一つの物語の中に詰め込んでしまうテクニックは素晴らし。
 何ともほのぼのとするエンディングで、楽しませてもらいました。
 

『眠りの森』(東野圭吾)

2009-12-23 17:36:41 | 読書日記
 加賀恭一郎シリーズを読みたくて手にしました。

 バレエ界という、閉ざされた社会で起きた殺人事件。
 内部の犯行に間違いないことから、容疑者は限られている。殺人のトリックと動機は何か?
 
 一見、華やかで、近寄りがたいバレエ団の世界で、競い合いながらも、理解し合い、信頼できる関係を築いているダンサー達。 

 華やかさはないが、地道に捜査する加賀の素朴な魅力が発揮されています。この後も加賀恭一郎シリーズが続いていることから、少しずつ成長していく姿を見られれルのではないかと期待しています。
 
 それにしてもシリーズ化されていると、発表された順番に読まないと何となく面白くないような気がしてしまいます。

 ん~、年末年始にまとめて読もうか。。。
 

『パパとムスメの7日間』(五十嵐貴久)

2009-12-13 18:54:47 | 読書日記
 16歳の娘と、47歳の父親の人格が、ある日の事件で入れ替わってしまう。その人格がもとに戻るまでの7日間の物語です。

 それまで、口もほとんどきかなくなるくらい冷え切っていた二人。お互いがお互いの生活を目にすることで、少しだけ理解し合う。

 「それにしても、今時の女子高校生の生態はこんなの?」なあ~んて思っているうちは、ティーンエイジャー向けの商品なんて企画できないのでしょうねえ。中年のオジサンが考えている以上に、今時の高校生はある意味大人だし、だからといって、大人になりきれていない部分も多いし、不安定な世代なんだと思います。分かり切るなんてできないかもしれないけれど、理解しようとしなければ、ずっとそのままで終わってしまうかも。

 お互いのことをもっと知り、お互いを思いやることができれば、人間は繋がりあることができるのでしょう。

 なんともほのかに心温まるファンタジーです。



『夢見る黄金地球儀』(海堂 尊)

2009-12-13 18:47:11 | 読書日記
 「ふるさと創生一億円」で作られた黄金の地球儀。これを盗もうとする物理学者になることを諦めた主人公。最後のどんでん返し。

 これまでの海堂氏の医療ミステリーとは違い、純粋にコンゲームばエンターテイメント小説です。
 
 とは言え、物理学の部分は随分詳しく、いかにも理系らしい作品です。

 最後に次から次へと明らかにされる真実。それまでバラバラに描かれていた事象が、スッキリと一つに繋がりました。
 痛快極まりに作品です。

 著者が、また、違った分野の作品を作り上げてくれるのを心待ちにしています。

『どちらかが彼女を殺した』(東野圭吾)

2009-12-13 18:38:27 | 読書日記
 最愛の妹が殺された。警察官の兄が容疑者を二人に絞り込むのだが。殺したのはどりらか?

 加賀恭一郎シリーズです。

 この作品の特徴は、最後まで犯人を明らかにしないことです。小説終了後に、「推理の手引き」なるものが付いていて、「なーんだ。これを読めばいいのか」と思ったのも束の間。本編の各所に仕掛けられている謎解きのカギを教えてくれるだけで、「後は、自分え考えればいいでしょ」てな具合に突き放されました。

 思わず、最後の手引きを読み返して、「犯人はこの人に違いない」と思い至ったところです。

 東野氏の遊び心は素晴らしのですが、犯人を明らかにしにとは・・・。一本取られました。
 「推理小説は、さまざまなヒントが各所に隠されているから、注意して読めよ」と言われてるようで。。。

 加賀恭一郎が、渋い刑事役が板についてきた作品だと思います。