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群馬の田舎から情報発信!

『オレたちバブル入行組』(池井戸潤)

2010-11-27 15:43:34 | 読書日記
 同世代だけに就職活動の様子はなつかしい気がします。今の大学生の”就活”の厳しさとは格段の違いです。
 
 「たとえ、学生人気ベストテンに入るような企業に就職したからといって、必ずしも幸せな人生を歩んでいるというわけではない」と誰かの言葉。

 確かに、超人気企業に入ったとしても、様々な苦労があるでしょうし、その会社で活躍し続けるには、それ相応の努力も必要となってくるでしょう。

 作品の主人公も、超優良銀行に就職しながらも、上司のいじめにあったり、苦労をしています。同期に中には、上司との折り合いが悪くメンタルの病になり、暇なポストに押しやられ、片道切符の出向人事がだされたりもしています。

 「バブル時代の新入社員はできの悪いのそろっている」というのが通説でしょうが、それぞれ、それなりに頑張っているんですよ。団塊世代の大量上司に囲まれ、年功序列賃金がある日突然崩れ、古い体質の社員と新しい体質の社員との中間のどっちつかず、これがバブル世代の実態なのではないかとも思います。

 主人公のように「やられたら倍返し」なんてことはとてもできそうにない。だからこそ、小説の中の主人公に喝采を浴びせるのかもしれません。

 ドラマ化したら面白い作品だと思います。

『傷つきやすくなった世界で』(石田衣良)

2010-11-23 18:12:24 | 読書日記
 格差社会、負け組、ネットカフェ難民、サービス残業、いじめ、などの痛みに耐える力が湧いてくるようにとの、著者のエールを送るような作品です。

 「この十年を思い起こすと、時代の風はどんどん冷え込んで、厳しくなってきたようだ。この国は「いい加減」を許さない国になってしまった。誰もがヒステリックなまでに正義を求めるようになった。ほんのわずかな失敗や傷に耐えられずに、すぐに切れてしまう人が増えた。多くの人が他人の失敗を受け入れる余裕を失っているように見える」

 全くその通りだと思う。
 
 「いじめはいけない」と訴えるマスコミも、反論できない教師は徹底的に叩く。反論できない相手を徹底的に叩くという風潮はマスコミが作り上げているのでは、と思ってしまう。それが、自分が「正義」だと思うものに極度に拘る人間を作ってしまうのでは。
 さらには、勝ち組負け組などとレッテルを貼ったりするから、極端な競争主義、勝った者勝ちの世界が人々の心の余裕を奪ってしまっている。

 「今求められているのは、傷つきやすくなった世界で、やわらかな心を回復させていく方法なのだろう。人間らしく成功や失敗を繰り返しながら、変化する自分を受け入れ、あきらめることなく未知の可能性を追っていく。」

 この著者のメッセージが多くの”傷ついた”人達の届くといいなあ、と思います。

『白銀ジャック』(東野圭吾)

2010-11-20 20:27:02 | 読書日記
 ゲレンデの下の爆弾を埋めたとの脅迫。ゲレンデのスキーヤーを人質にした身代金要求。その目的は?

 スキー場全体を対象にした脅迫行為といったスケールの大きさ。
 しかし、犯人の要求は分割されて行われる。なぜ分割するのか?
 
 変な言い方だが、最初から最後まで安心して読めた気がする。人が死ぬわけではなく、どこか犯人との知恵比べが主体となっていて、読者もその知恵比べに参加している感じである。

 東野氏の円熟した技巧を楽しめる作品である。

『男は「笑顔」だ!』(弘兼憲史)

2010-11-20 20:11:13 | 読書日記
 悩みが似合わない顔を持とう。
 自在な生き方ができる人は、まず、悩んでも始まらないことには捕らわれない。
 どういう事態を迎えても、それを楽しんでしまう人間がいい。

 人間関係で、自分をよく見せたがっていないか。
 「人の心をつかむ人」は、間違いなく足取りの軽い人だろう。重い荷物を苦にする素振りなど見せない人だろう。
 「フラット」という言葉が浮かぶ。自分の役割や、なすべきことをきちんと果たす。驕りもなければ悪びれもない。
 
 ゆっくりと自分と向き合ってくれる人。
 ほんの数分でも、一緒にいるときはゆっくり向かい合ってくれる。目の前にいる人をいちばん大切にしてくれる。こんなに嬉しいことはない。

 「楽しさは移る」ことを知っている人が楽しい。
 周囲にいる人が疲れないのは、そこにゆったりとした時間が流れているからだろう。本当の意味のくつろぎがあるからだろう。
 何より生きることを楽しんでいる。未来を信じている。これから自分が足を踏み入れようとしている世界をワクワクしながら待ち構えている。
 ときどき自分を振り返って、「いまの生き方が、楽しいのか楽しくないのか」を自問してみよう。「自分の心がワクワクする」にはどうしたらいいのか改めて考えてみよう。
 
 心の余裕と「楽しみ」を持つこと。これによっていい「笑顔」でいられる。「笑顔」でいれば周囲の人も幸せた気分になれ、結果としてますます自分も楽しく暮らすことができる。
 簡単なようだけど、常日頃自分で言い聞かせていないと、ついつい忘れてしまうことかもしれない。

『民の見えざる手』(大前研一)

2010-11-10 21:09:54 | 読書日記
 政治はグッドライフを目指すべきである。
 「国が富む」とは個人が生活を楽しむこと。
 
 行政コストは10分の1にできる。
 官が持っている規制を手放し、民の力を導入すれば、コストをかけずに、経済を活性化させることができる。確かに広大な土地があるから「何か作ろう」なんて発想をしていたら、税金の無駄遣いをするだけ。
 いっそのこと「お金は一切出さないけど、何かいい活用案はありませんか?」と問えば、様々なデベロッパーが開発案をもってくるだろう。何も税金を使うことだけが活性化策ではない。

『非正規レジデンス』(石田衣良)

2010-11-10 20:55:36 | 読書日記
 現代の日本では、ちょっとしたきっかけで社会から落ちこぼれてしまう。
 そして、一度落ちてしまうと、その世界から這い上がることは本当に難しい。

 幼い子どもを育てながら、必死で働くシングルマザー。しかし、働き口も限られるため、低賃金に甘んじ、少しの娯楽も許されない。まさに崖っぷちの生活。ちょっとした手を差し出してくれる人もいないと、本当に堕ちて行ってしまう。

 地方から出てきて、人材派遣会社に登録しながら、日雇いのバイト代でネットカフェを寝ぐらとする若者。帰る家もなく、派遣会社の職員も、「この仕事をしていても、一生、この生活から抜け出せない」と言う。
 一方で、そんな若者を派遣することで利益を得ている派遣会社。

 格差社会をテーマに、現代の若者の実態を、少し痛いぐらいに描いています。さすが石田氏。

 そんな気の重くなるような社会を、主人公のマコトが、真正面から立ち向かう姿が痛快です。
 世相を鋭く切り取る石田氏のツールとして「マコト」は全くもって素晴らしい素材なのでしょう。

『探偵倶楽部』(東野圭吾)

2010-11-07 09:28:42 | 読書日記
 VIPからの依頼を専門に請けおう、会員制調査機関・探偵倶楽部を描いた短編集。

 先日、テレビドラマを見てしまってから読んだので、どうしても映像の人物像を想像しながら読むことになりました。それはそれで、ビジュアル的でよいのですが・・。ドラマの方がちょっと主人公とアシスタントのキャラがたっている気がします。それだけに、今後ドラマはシリーズ化されるのでは、との期待が持てます。

 それにしても、東野氏のキャラクターづくりは凄い。次から次へと新しいキャラクターを創り出す。続編を期待しています。

 

『腰痛はアタマで治す』(伊藤和麿)

2010-11-07 09:10:01 | 読書日記
 腰痛の根本的な原因は、長年の不良姿勢と誤った日常動作にある。
 あごを引いて頭の位置を修正すれば、骨盤が前に傾き、腰部に負担をかけていた姿勢を修正できる。

 長い間腰痛に悩まれてきているので、題名に惹かれて手にとりました。
 確かに、整形外科に行くと、「椎間板ヘルニアの気がありますね。湿布を貼って様子をみてください」程度の処置しかしてもらっていませんでしが。

 腰痛も様々な原因があるのでしょうが、「姿勢のクセ」が一つであることは間違いないでしょう。

 仕事中の椅子に座った姿勢の部分は試してみようと思います。
 日々の努力が腰痛と上手く付き合っていく秘訣ということでしょうか。