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群馬の田舎から情報発信!

『オリンピックの身代金』(奥田英朗)

2011-06-06 19:06:28 | 読書日記
 昭和39年、東京オリンピックの年。
 日本は目覚ましい経済成長を遂げるが、東京と地方の格差を生む
という歪も生まれる。
 
 オリンピックという世界的イベントの中で、この歪は国民の意識から
遠ざけられていた。
 
 しかし、そんな大勢の中でも、一人、疑問を持ち、大衆・国家に立ち向かおうと
考えたのが主人公である。

 貧しさに苦しむ田舎の出ながら、東京大学に通う主人公が、なぜ、これほどまでに
この歪に立ち向かおうと考えたのか?

 田舎の人間が、人柱となって、東京いや日本の経済発展を支えたことを、東京の人に
理解してもらいたい。ただそれだけが主人公を最後まで突き動かした動機なのでは。

 それにしても、著者はどうしてこんなテーマの作品を創ろうと思ったのか。
 私には、絶対に思い付かない発想である。

 社会派の作品ながら、巧みな時間軸の配置により、謎が少しずつ解き明かされていくミステリーにもなっている。
 大部な作品ながら、一気に読ませてしまう技量はさすが!上手過ぎる。
 著者の意図をどこまで理解できたかは分からないが、エンターテイメント作品としても十分楽しめる作品に
なっていると思います。
  


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